意味なさそうな今が、何に変化するか。

NakamuraEmi
意味なさそうな今が、何に変化するか。
2024年5月29日に“NakamuraEmi”がオリジナルアルバム『KICKS』をリリース! 今作は、集英社「HAPPY PLUS」公式テーマソング「一目惚れ」、NakamuraEmiの新境地を開いた3部作「究極の休日」「白昼夢」「晴るく」、コラボレーション曲「祭(feat.Mummy-D)」、「雪模様(feat.さらさ&伊澤一葉)」、「Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY」純粋に音楽を楽しむ仲間との幸せな空気感が詰め込まれた「梅田の夜」、何気ないことが今の自分に全て繋がっていると教えてくれる「一円なり」の全10曲が収録。 さて、今日のうたではそんな“NakamuraEmi”による歌詞エッセイを全4回に渡りお届け。今回が最終回です。綴っていただいたのは、収録曲「 一円なり 」にまつわるお話です。小学校の頃に通っていたそろばん教室。友だちのカナちゃん。大好きな岩崎先生。自身の大切な思い出と、そこから繋がっている今の想いを明かしてくださいました。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 小学生の時にそろばん教室に通っていました。特別何か目的があったわけではないけど、一緒に通う友達と先生が好きで通っていました。 私はとにかく気分屋で、わがままで、ものすごい嫌なやつだったと思います。 でもそろばんに一緒に通っていたカナちゃんはそんな私にもすごく優しくかった。面白かった。おまけに超可愛かった。 しかも私の家に変質者が入ってきた時も、カナちゃんとカナちゃんのお母さんがすぐ助けに来てくれました。 怖かったけど本当に嬉しかったなぁ。 当時は、自分の何が悪くて相手の何が素晴らしいかもわかっていなかったけど、大人になってカナちゃんの心のデカさを改めて実感しています。カナちゃんのような優しい子になりたいと今でも思います。 そろばん教室の岩崎先生はいつも笑顔で、その笑顔がまたすっごく可愛くて、優しくて、ちょっとハスキーな声。 色々な子が通いにきてたけど、それぞれの個性をすごく大事にしていたことを子どもながらに感じていました。 先生のことが大好きで数字が苦手な私も通っていたんだと思います。 そろばんをやめて約23年後、私はメジャーデビューをして地元・神奈川県厚木市の山野楽器さんでインストアライブをしました。 地元の友達や家族も見にきてくれていましたが、そのサイン会の列に現れたのが岩崎先生でした。 変わらない笑顔とちょっとハスキーな声で、「えみちゃんメジャーデビューおめでとう」と言って、『お祝い そろばん岩崎』と書いたお祝いを包んだ封筒をくれました。先生がまだ私を覚えてくれていて、ここにかけつけてくれたことが本当に嬉しかったです。 その封筒も中身もそのまま大事にしまってあったけど、2022年の年末、物を整理してた時にこの封筒を見つけ、その直後2023年1月2日、新年1発目にブワーーっと書き上げた曲です。 私の個人的な内容すぎることはわかっていましたが、どうしてもライブでやりたいと言って、ビルボードで披露させてもらいました。歌った瞬間、これは絶対音源にしようと思いました。 今いる場所、今やっていること、全く意味ないんじゃないか。時間とお金の無駄なんじゃないか。そう思うことがあると思います。 でも小学校の数年間の記憶が、今の自分の大切な曲を生み出してくれるなんて想像もしませんでした。 意味なさそうな今が、何に変化するか。 疲れることも多い毎日だけど、そんな時々起こるサプライズに人生捨てたもんじゃないなと思います。 ちなみにこれを書く数時間前に、岩崎先生のところにCDとコーヒーどら焼きを届けに行ってきました。ちょうどお出かけ中で会えませんでしたが、ご家族に預けてきました。 先生、聴いてくれたら嬉しいなぁ。 <NakamuraEmi> ◆紹介曲「 一円なり 」 作詞:NakamuraEmi 作曲:NakamuraEmi ◆オリジナルアルバム『KICKS』 2024年5月29日発売 <収録曲> 1.火をつけろ 2.梅田の夜 3.祭(feat.Mummy-D) 4.晴るく 5.白昼夢 6.雪模様(feat. さらさ&伊澤一葉) 7.一目惚れ 8.Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY 9.究極の休日 10.一円なり