私の人生を変えてくれたRHYMESTER。

 2024年5月29日に“NakamuraEmi”がオリジナルアルバム『KICKS』をリリース! 今作は、集英社「HAPPY PLUS」公式テーマソング「一目惚れ」、NakamuraEmiの新境地を開いた3部作「究極の休日」「白昼夢」「晴るく」、コラボレーション曲「祭(feat.Mummy-D)」、「雪模様(feat.さらさ&伊澤一葉)」、「Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY」純粋に音楽を楽しむ仲間との幸せな空気感が詰め込まれた「梅田の夜」、何気ないことが今の自分に全て繋がっていると教えてくれる「一円なり」の全10曲が収録。
 
 さて、今日のうたではそんな“NakamuraEmi”による歌詞エッセイを全4回に渡りお届け。今回は第3弾です。綴っていただいたのは、収録曲「祭 (feat.Mummy-D)」にまつわるお話。自身の人生を変えてくれたRHYMESTER。そのRHYMESTER・Mummy-Dとともに曲を作ることになった経緯は…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。


一人弾き語りでライブをしていた20代後半、パソコンが壊れてしまったことがきっかけで、当時聴いていたiPodをお付き合いしていた彼のパソコンに同期させてもらいました。彼はDJだったので私のiPodは聴いたことのないHIPHOPだらけに。色々な音楽が流れてくる中、私にブッ刺さったのがRHYMESTERの『ONCE AGAIN』でした。通勤時間の朝に流れてきて、聴いた瞬間景色が変わったことを覚えています。
 
「言いたいことがあるから音楽をやっている」そう伝わってくるRHYMESTERの音楽に、当時バラードを上手く歌うことばかり考えていた私は自分が恥ずかしくなりました。そこから「まずは音楽は趣味に変えて人間を頑張ろう、仕事を頑張ろう」になり、その毎日からできた音楽がNakamuraEmiの始まりでした。
 
 
私の人生を変えてくれたRHYMESTER。「いつか一緒に音楽を」なんて考えられなかったほど自分にとっては大きすぎる存在でしたが、2023年三重県桑名市のアンバサダー「魅力みつけびと」をやってもらえないかというお話が舞い込んできて、推薦してくださったのはなんとMummy-Dさん。マネージャーからそのことを聞いた時は「…….なんて? もう一回言って。」を何度繰り返したか。断る理由は0.0001%もありませんでした。
 
 
「魅力みつけびと」として桑名の祭や文化を伝える1年間がスタートしました。こんな機会を与えてくれた桑名の皆様とMummy-Dさん。最初は期待を裏切らぬようにと思っていたけれど、実際桑名に行き祭や歴史、人や土地に触れると、その魅力にただのめり込んでいきました。
 
1900年前から存在する桑名宗社とともに400年続く石取祭。他にもたくさん桑名の歴史を若者たちが引き継いでいく姿をこの目で見てきました。それは私がRHYMESTERの音楽からバトンを勝手に受け取ってNakamuraEmiができたように、Mummy-Dさんが「Emiちゃんなら桑名を大事に伝えてくれるんじゃないか」と桑名のバトンを受け取ったように、目には見えない宝物のような感情に桑名で沢山気づくことができました。
 
昔のことを今も引き継ぐというのはとても難しい時代で、その宝物のような感情を守っていきたい、そんな想いから生まれた曲です。
 
 
憧れすぎる存在のMummy-Dさんと、音楽ではなく「桑名」という場所で繋がったことで「人間」としてMummy-Dさんを見ることができたことが、私の背中を押してくれました。そして「Dさんにこの曲に入ってもらいたい」と決意をした私とギタリスト・プロデューサーのカワムラヒロシさん。
 
 
Dさんのスタッフさんにオファーし、Dさんご本人にはまだ伝わる前のある日、なんとDさんとカワムラさんと私を「飲みにいこー」と何も知らずに誘ってくれたのがピアニスト・伊澤一葉さんでした。カ……カオス。憧れのおふたりがいるおかしな飲み会で、酒を飲んでもオファーしたことは絶対に言ってはならぬ状況、一生忘れません。そしてその数日後、Dさんはこのオファーを受けてくださり、もうこれは伊澤一葉さんに絶対にピアノを弾いてもらいたいとなり、「祭」が完成しました。
 
 
無事音源も完成し、リリース解禁日の前日、朝7時くらい。Dさんからいただいた「祭」のコメントがチームのLINEに共有されました。私は眠気眼で読んで一撃、布団のなかに潜って泣くしかないっす。
 
今日のコラムはそんなDさんからいただいたコメントで締めさせてください。
 
「コクられまち」 今一番好きな言葉です。
 
<Nakamura Emi>

 
祭 コメント〈from Mummy-D〉
 
Emiちゃんは憧れのパイセンとコラボしたつもりなのかも知れないが、オレの認識は違う。ありとあらゆるミュージシャンとコラボしてきた世界一尻軽なラッパーからしても、あなたの詞と歌声は尊い。最近特に!成長してる!身長伸びてる!わはははは!
 
要はオレの方がフィーチャリングされたかったのだ。コクられ待ちだったのである。大人はずるい。しかしファンをデビューの頃から公言してくれてたEmiちゃんを幻滅させてしまってはならぬので、メチャメチャ気合い入れた。そう見えないように心掛けたが、バレているかも知れない。
 
結果メチャメチャ好きな曲に仕上がった。お祭りとメッセージ性を同居させるのは中々至難の業だが、奇跡的なバランスで成り立ったと思う。カワムラヒロシ、伊澤一葉も流石であった。そして何より、オレはNakamuraEmiというアーティストを本当にリスペクトしている。そう見えないように心掛けるが、バレてしまうかも知れない。



◆紹介曲「祭 (feat.Mummy-D)
作詞:NakamuraEmi・カワムラヒロシ・Mummy-D
作曲:NakamuraEmi・カワムラヒロシ・Mummy-D


◆オリジナルアルバム『KICKS』
2024年5月29日発売
 
<収録曲>
1.火をつけろ
2.梅田の夜
3.祭(feat.Mummy-D)
4.晴るく
5.白昼夢
6.雪模様(feat. さらさ&伊澤一葉)
7.一目惚れ
8.Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY
9.究極の休日
10.一円なり