今日のうたコラム - 歌ネット|歌詞検索サービス「歌ネット」

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  • saji
    鞦韆と庭の薔薇。
    鞦韆と庭の薔薇。

    saji

    鞦韆と庭の薔薇。

     2022年4月13日に“saji”がNew Digital Single「灯日」を配信リリースしました。同曲は、4月より放送開始のTVアニメ『トモダチゲーム』エンディングテーマに起用。sajiが現在までにリリースしてきた歴代のアニメタイアップソングの中では珍しく、ベーススラップから始まる、深みあるギターサウンドが特徴的なオルタナティブロックサウンドに仕上がっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“saji”のヨシダタクミ(Vo.)による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「灯日」に通ずるお話です。彼が子どもの頃に身につけたとある工程、覚えた感覚とは…? 今作のタイトルや歌詞にもつながっているエピソードを、ぜひ楽曲と併せて受け取ってください。 突然ですが皆さんこれを読めるでしょうか。 鞦韆 (※スマホの調べる機能使っちゃダメよ)   これは―しゅうせん―と読みます。 馴染みのある言い方にするとブランコ。 公園に必ずあるアレです。   ちなみに鞦韆は鞦でも韆でも、どちらもブランコという意味があります。ぶらさがって遊ぶ器具の事です。余談ですが、ブランコは本来、中国で夜のおもちゃ(大人の嗜み)として誕生したそうで、それがいつしか遊具として広く親しまれるようになったそう。   話が逸れましたが何故こんな言葉を持ち出したのかと言うと、この鞦韆という言葉が僕の人間性を創造(改造)したからです。   僕は昔から本、主に漫画を読むのが好きで、家の中にある本はジャンル世代問わず全て読みました。両親が漫画好きであった為、たぶん家の中に本棚が10個以上はあったと思います。   中には当然、子供向けの漫画ではないモノも数多く存在した為、当時では意味の分からない言葉やシチュエーション、それこそ漢字なんかが出てきて、知らない言葉を調べて覚えるという工程はこの時に身につけました。   <難しい言葉が出てくる→調べる→使ってみたい→頑張ってインプットする>を繰り返すうちに、勉強面でも国語が得意になったし、<イヤイヤさせられているという感覚がないから>授業も熱心に楽しく受けられた気がする。   そんなある日、本棚の奥から『蘊蓄事典』なる古い辞書が出てきまして、中を開くと脳がちぎれそうになる位難しい漢字が大量に載っていました。   そのたまたま開いたページに載っていた言葉こそが<鞦韆>で、書けるようになるまでひたすら書き取りを自らにノルマとして課し、来る日も来る日も書き続けました(ちなみに今はもう韆は書けません)。   この、誰も知らない言葉を自分だけが使えるという感覚がとても嬉しくて、単語だけではなく使用例なんかもずっと調べては誰かに実践してみたり。今考えると相当ウザい子どもですが、この時に憶えた言葉の引き出しが、今の仕事に繋がっているので、昔の自分にとても感謝しています。   その時の感覚が今回の新曲「灯日」というタイトルであったり、歌詞に投影されているので気になる方は聴いてみてね。   人間、何が将来を支える武器になるか分からないから、とりあえずは何でもやってみるべきだなあと、ふと思い出した昼下がりの電車内にて。 <saji・ヨシダタクミ(Vo.)>

    2022/04/13

  • Thinking Dogs
    本当の自分とは何なのか。
    本当の自分とは何なのか。

    Thinking Dogs

    本当の自分とは何なのか。

     2022年3月27日に“Thinking Dogs”が新曲「Collage」をリリースしました。本楽曲は、ひかりTVのオリジナルドラマ『ラブシェアリング』の主題歌にも起用されております。MVでは、見られる者と見る者を客観的な視点から、現代におけるソーシャルな監視社会を抽象的に表現。ぜひ、ドラマ、歌詞の世界観と合わせてお楽しみください。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Thinking Dogs”の 大輝 (Dr.)による歌詞エッセイを3回に渡りお届け!今回は第1弾。綴っていただいたのは、新曲 「 Collage 」にまつわるお話です。歌詞のテーマは「本当の自分とは何なのか」。好きなもの、好きなひと、好きな場所、自分にとっての“好き”を思い浮かべながら、このエッセイと歌詞を読んでみてください。 皆さんは「自分」という人間が本当はどんな人間なのか、じっくりと考えたことはありますか?   どんなモノが好きで、どんな人が好きで、どんな人間になりたいのか。   よくよく考えると、自分のことって分からないことだらけだったりしますよね。かくいう僕もその1人で。   今回の 「 Collage 」 という曲は「本当の自分とは何なのか。」をテーマに歌詞を書きました。     そもそものCollageという言葉。これはフランス語で「糊付け」という意味で、新聞や雑誌などから切り抜いた写真や絵、文字などを画用紙などの台紙に貼って1つの作品にする技法のこと。   所謂美術の表現技法ですが、実は人間も同じで「自分」という台紙に服やメイク、音楽や映画といった娯楽、食べ物、はたまた付き合う相手といったモノを自分の趣味趣向に合わせて切り取って貼り付ける、一種のCollageなのでは? と感じました。     そんな中で浮かんだ疑問が1つ。 自分が好きだと思って貼り付けているそれらのモノは、果たして本当に自分が好きなモノなのか。     「SNSで話題だから。」 「友達みんなが観てるから。」 「憧れのあの人が使ってるから。」 「映えるから。」     他にも沢山あると思うけど、そういった理由で買った物、食べた物、観た物、行った場所が皆さんにも1つはあると思います。もちろん僕もあります。   ただ、そうやって手を伸ばしたモノは本当に自分が欲しかったモノなのか。選んでいるようで選ばされているだけなんじゃないのか。   流行りのモノが悪い訳じゃない。ただ、流行りのモノばかりを追いかけていても、それは「いつになっても誰かのオマージュ」なんじゃないのか。     良くも悪くも、何も考えなくても、色々なところから色々な情報が入ってくる今の時代。そんな時代だからこそ、そこから何を選ぶのかがとても大事な気がしています。そしてまた、その選択が「自分」というモノを形成していくのかなと思います。     「本当の自分とは何なのか。」 僕もまだ探している途中です。そしてこれはきっと、生きている間ずっと付きまとうテーマだと思います。   最後の日にどんな答えが出せるのか。 そんなことを楽しみにしながら、人生という長い長い自分探しの旅をこれからも楽しみたいと思います。 <Thinking Dogs・ 大輝> ◆紹介曲「 Collage 」 作詞:大輝 作曲:わちゅ~

    2022/04/12

  • erica
    あなたの目に今年の「春」はどう映って見えるだろう。
    あなたの目に今年の「春」はどう映って見えるだろう。

    erica

    あなたの目に今年の「春」はどう映って見えるだろう。

     2022年3月23日に“erica”がデジタルEP『告白日和~白と赤の真ん中~』をリリースしました。今作には、春の訪れ×恋愛をメインに楽曲を収録。新曲「卒業ソング」を新たに書き下ろし。そして、ファンからの恋愛に関するお悩みへのアンサーを自身のYouTubeチャンネルにアップしていた『Mlogシリーズ』(Music×Blog)より「春は来ない」「桜フラペチーノ」「桜、輝け」「笑っていてよ」を収録しております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“erica”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾。綴っていただいたのは、様々な春の歌が収録されている今作に通ずるお話です。みなさんには、忘れられない春の記憶はありますか? ericaの心に今も鮮明に残っている、ある春の出来事とは…。 春の歌はごまんとある。 同様に、季節にちなんだ歌も沢山あるがなぜだろう。 春の歌が少し特別に思えるのは私だけだろうか。   長い冬を越え、蕾は花を咲かせ、動物は冬眠から目覚め、人間は別れと出会いの時を迎える。街は桜が満開に咲き、パステル色に染まるショップの洋服たち。 これがおとぎ話だったら、きっと妖精が空を舞い花が歌っている。 それがこの地球の「春」だ。   あなたの目に今年の「春」はどう映って見えるだろう。 まだ暗いトンネルの中を歩き、光を探している人もいるだろう。 新しい出会いに期待している人もいるだろう。 私にもこれまでにいろんな「春」があった。   あれは小学校の卒業式。 もう随分昔の話になるが、今でも鮮明に覚えている出来事がある。 担任の先生に何かサプライズがしたくて考えていた時、たまたまテレビで見た番組がきっかけで、とある企画を思いつきクラスのみんなに提案をした所、みんなも心よく賛成してくれた。   その企画というのは、一人一輪ずつバラの花を机の中に隠して置いて卒業式が終わり、教室に戻った時「せーの」の合図でバラの花を掲げ、先生にお礼の言葉を全員で言う。といった内容だ。   今思えば大したことのない企画かもしれない。 でも当時の私たちにとってはとんでもなく大事だった。 強いて言うなら全国ツアー並みのプロジェクトだ。 まずは先生にバレないようにすることはもちろん、クラスの全員から花代のお金をもらわないといけない。 一人たった250円。ではない。250円も出さないといけないのだ。 小学生にとっては大金である。   私は発案者だったこともあり、集金係としてお金を集め、お花屋さんに電話し、卒業式の日にバラを取りに行き、みんなに配り、掛け声の練習もする。 そんな全てのことをやらなくてはいけなかった。 払えない人はどうすれば良いか。 お金をもらうということの責任を初めて考えた。 学級便りみたいにそれぞれの親に向け手紙を書いて渡してもらう。 それでも払えない人は払える人が20円ずつ多く払ってなんとか賄った。 全ては順調だった。あとは当日を迎えるだけだった。   そんな時事件が起こったのだ。   卒業式の3日前、集めたお金が無くなった。 どこを探してもない。 学校中みんなで探した。それでもなかった。 誰も疑いたくない。でも誰かが盗んだとしか思えなかった。 もうどうしようもなかった。   卒業式の前日、私はクラスのみんなに言った。 本当に申し訳なかった。全て私のせいだと謝った。 何度も何度も謝った。みんな泣いていた。 とっくにみんな許してくれていたけどやっぱりどうしてもちゃんともう一度言いたかった。   そしてこんなことも言った。 「最後にお願いがある。もしこの中に出来心で盗んでしまった人がいるなら決して怒らない。絶対に責めないし犯人も捜さない。だからどうかまだそのお金があるのなら何も言わず私のロッカーに返してほしい。」 そう言って私は泣きながら頭を下げてお願いをした。   当日の朝、私は誰より早く学校に行った。 恐る恐るロッカーを開ける。 あった。 巾着袋に入った見覚えのある集金袋が確かにそこにあった。 卒業式の当日、戻ってきた。 奇跡が起こったのだ。   そこからのことはもう何がなんだか、今思えば小学生の私によくできたなと感心する。 急いで学校の近くの花屋に行く。 開店を待っていたら卒業式に遅れる。 張り紙にある電話番号に公衆電話から電話をかける。 留守番電話にメッセージを残す。 時間と場所を指定する。 学校に戻り、時間になったらトイレに行くと嘘をついて教室を出る。 初めて今でいう“代引き”というやつを小学校の門でした。 花を受け取って隠す。 卒業式が終わったタイミングで先生にバレないように数名で机に花を入れる。 こうしてようやく私のミッションは終わった。   「せーの」 「先生今日までありがとう。」   教室にバラが咲いた瞬間だった。 泣きながら喜ぶ先生の顔を、みんなで泣きながら抱きしめ合ったあの日を私は今でも忘れない。   人は間違いを起こす。 完璧な人なんて一人もいない。 大切なのは信じる気持ち。 悔い改め反省できる心。 そして、支えてくれる仲間の大切さだと思う。 皆違くて皆それでいい。   今年もきっと数えきれない物語があっただろう。 あなたの心に咲く桜は今年もあの頃と変わらず咲いているだろうか。 出会えた友 出会えた夢 過ごした宝物の日々を この胸にずっといつまでもずっとお守りにして 私たちは今日もそれぞれの道を歩いていく。 <erica> ◆デジタルEP『告白日和~白と赤の真ん中~』 2022年3月23日発売   <収録曲> M1 卒業ソング M2 春は来ない M3 桜フラペチーノ M4 桜、輝け M5 笑っていてよ

    2022/04/11

  • LM.C
    君に作り話を唄うウソつきな僕
    君に作り話を唄うウソつきな僕

    LM.C

    君に作り話を唄うウソつきな僕

     2022年4月6日に“LM.C”がニューアルバム『怪物園』をリリース!今作は、前作『FUTURE SENSATION』以来、約3年8カ月ぶりとなるオリジナルアルバムです。2020年にリリースされた「Campanella」「No Emotion」「Happy Zombies」の3曲を含む全11曲が収録。なお、LM.Cは現在アルバムリリースを記念した全国ツアーを開催中。ツアーファイナル公演は4月26日に東京・LIQUIDROOMにて行われます。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“LM.C”のmayaによる歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、作詞についてのお話です。作詞を始めたきっかけとは。歌詞に変化が生まれ始めた理由とは。そして、自身にとって大きな存在となった楽曲とは…。作詞作業真っ最中の方にも是非、読んでいただきたい歌詞エッセイ。今作と併せてお楽しみください。 今、正に作詞をしていて その作業の合間にこのサイトを訪れ このページにたどり着いてくれた そんな人がいるかもしれない   そう意識しながら書き始めました。何故なら私にその経験があるからです。普段は元より作詞の合間、休息のために歌ネットを訪れることがあります。   そこに作詞の直接的な答えは存在しないし、数多の歌詞があれど曲さえ知らないことがほとんどです。だけど、どこかの誰かが思いを乗せて完成させた沢山の詞を見て読んで感じることで、作詞という孤独な時間を肯定してもらえる気がするのです。非常にありがたいです。サイト内の『言葉の達人』や『言葉の魔法』にはかなり前からお世話になっております。   私が作詞を始めたきっかけは単純でした。   LM.Cを始める数年前、バンドがやりたくて作曲をし始めたものの、メンバーがおらず全パートを自分で担当するという選択肢しかなく、メロディーに対し言葉がないのは味気無いなと感じて書き始めました。そこから時を経て、作詞や作曲を積み重ね続け、気付けば100曲以上の歌に詞を乗せてきました。   LM.Cを始める前、そして活動を開始してからしばらくの作品の言葉は、日々感じていることや気持ちを反映させたものではありましたが、それは対外に向けたものではなく、多くが自分自身へ向いたものでした。   そこに変化が生まれ始めたのは、応援をしてくれる存在を認識するようになってから。そして、その存在を初めて強く意識して完成させたのが、活動開始から1年後にリリースした「 LIAR LIAR 」という曲です。当時は今より作詞も作曲も経験が浅く、どのように気持ちを形にすればいいかを沢山考えて曲に向き合いました。   広がるこの世界のどこにいたって すぐ逢いに行くから 君に作り話を唄う ウソつきな僕を許して   他の曲に通ずる、この“作り話”が何を意味するのかは、そのときの状況や受け止め方によって変わりますが、それが何であれ、それを伝えたいという気持ちがあり、そこに偽りはないことを歌っておきたかったのです。   当初は上記の箇所と最後のサビは同じ歌詞だったのですが、レコーディングスタジオで気持ちを声にして残していくなか、最後の言葉を書き替えました。   レコード会社のディレクターに、「言葉が強くてLM.Cっぽくないから変更しないほうがいいのでは?」と提案されました。その通りでした。当時の自分、当時のLM.Cにとってはそうでした。だけど、そこから積み重なってゆく未来を想像したときに必要な言葉だと直感したのです。   広がるこの世界のどこにいたって すぐ逢いに行くから 君に作り話を唄う 目の前の僕を信じて   どんなバンド、グループ、ミュージシャンにも、大切や特別を超越したような曲が存在すると思います。この曲は、我々にとってのそれなのです。それ故、ライヴのセットリストにほとんど並ばないという現象が起きている程であります。   そんなことを経て、今では全ての作品、全ての言葉は自分にだけ向けたものではなくなりました。新しく完成した『怪物園』というアルバムもしかりです。色々な状況やハードルを越えて今でも仲間でいてくれる存在、その期待に応える音楽が揃いました。これをきっかけに出会う人にとっても申し分のない作品となっております。   そして、冒頭で述べた作詞作業真っ最中の方。キャリアも状況もそれぞれであろうし、そもそもそのような方がこの文章を目にする機会があるのかも分かりませんが。どんなに楽しく臨めたとしても歌に言葉を乗せるという行為は簡単にはいきませんよね。作詞を担当する多くの方がそうだと思います。   もし現在、作詞が思うように進まず頭を抱えているのならば、勝手ながら応援させていただきます。テキトーに言葉を並べて形にすることはできるのに、そうしない、そうできないのは歌詞をぞんざいに扱っていない証拠です。向き合った分だけ大切なものになるのです。   書いていて気付きました。 これ、 未来の自分が読むやつです。 完全にそうなるやつです。 なのでもっと押しておきます。 大丈夫。やれるよ。 今までもそうしてきたじゃん。 これからもそうするんだ。 もう分かってるでしょ。   もっと自分と、その言葉を待っている存在、そしてこれを書いている私、あなたを信じている私を信じて突き進んでください。   ご高覧いただきありがとうございました。 <LM.C・maya> ◆紹介曲「 LIAR LIAR 」 作詞:LM.C 作曲:LM.C ◆ニューアルバム『怪物園』 2022年4月6日発売 収録曲歌詞一覧: https://www.uta-net.com/album/ WHR-3/ <収録曲> 01. 開園 02. Elephant in the Room 03. Valhalla 04. No Emotion 05. Panic Time 06. Campanella 07. Montage 08. Lost Summer 09. Happy Zombies 10. End of the End 11. 閉園

    2022/04/09

  • 日食なつこ
    クロソイド曲線
    クロソイド曲線

    日食なつこ

    クロソイド曲線

     2022年3月30日に“日食なつこ”がニューアルバム『ミメーシス』をリリース。今作は、多岐にわたるジャンルからさまざまな感性を吸い上げ、“擬態”をテーマに作り上げられました。「この世界たちをいま音と言葉で自分なりになぞったら絶対面白い曲が書ける!」という強いアウトプット欲が生んだ全13曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“日食なつこ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 クロソイド曲線 」のお話です。 ずっとずっと強くなった今 もう二度と手には入らない光   ずいぶん昔の話です。私たちは夜明け前の下北沢にいました。   まだ夜の早いうちから始まった談合は、過去の話、未来の話、人の話、笑い話、愚痴、噂、さまざまな話題で盛り上がったり盛り下がったりして延々と続きました。決して豊かではない財布をひっくり返し、気分のままにお酒と肴を頼み続け、居酒屋の一席につっぷして居座り、ラストオーダーを取りに来た店員の声で気付けばあっという間に夜の終わりはやってきていました。   おもてに出ると空はうすぼんやりと明るんでいて、リセットされた清潔な空気で通りはしんと静まり返っていました。居酒屋から出てきた私たちだけが、アルコールの臭気と煮詰まった疲労感を纏わりつかせて異質に突っ立っていました。始発の電車はもうとっくに走り出していました。駅へ向かいましょうか。どちらともなく口にして歩き出しました。   東口改札まではまっすぐな坂道がだらだらと伸びています。鈍牛の如き重たい足取りを急勾配がじわじわ攻めつけます。私より幾分酷い酔い方をして君はもうほとんど地面を向いて歩いています。酩酊しながら何か口走っていますがそれを聴き取れないほど私の耳ももう半分眠りこけています。まっとうな朝を迎えたであろうスーツ姿の男性が颯爽と抜き去っていきました。彼の目に私たちはどれほどだらしない生物に映ったことでしょう。   こんなみっともない夜の終わり、よれよれで登る坂の先、そこにまともな続きがあるなんて信じられるような無鉄砲な時期はその頃もうとっくに通り過ぎていました。いい歳して夜通し酒を飲んで明け方路上に半ば転がりかけながらふらつくような生活が許されている惨めな猶予を、心のどこかで自覚しながら気づかないふりをして笑っていました。穴だらけの羽で飛び続ける日々にそれでもなお固執していました。選べる道などもうありませんでした。私たちは非力でした。   体感速度よりずっと早く、世界が回っていた頃の話です。   2021年春、私は初めてひとりで首都高速道路を走りました。急カーブに翻弄されつつ猛スピードでよその車を抜いたり抜かれたりしながら、なぜかふとよぎったのは、あの下北沢のどうしようもない夜明けでした。危機感溢るるドライブに駆け巡った走馬灯だったかもしれません。欠伸を噛み殺しながら少しだけ笑いました。   クロソイド曲線とは、道路のカーブなどに用いられるゆるやかに曲がりが強くなる曲線のことだそうです。徐々に急カーブを描き出す人生の難易度になんとか食らいつき続け、私はいつしかこんなスピードも複雑な道も乗りこなせる器用な大人になっていました。愚直にまっすぐ飛ぶしかなかったあの頃を笑うことだってもう出来るはずですが、一向にそんな気持ちにならないのはもう二度と戻らない穴だらけの日々にしか放てなかった光の価値を理解しているからなのです。   ここまで「√-1」「meridian」「クロソイド曲線」3曲分のバックボーンについて、3つの記事を綴らせていただきました。明るい話が1つもありませんでしたね。ごめんなさい。   全然楽しくもない納得もいかない日々を越えるために、私は歌を作り続ける人種ということなのでしょうね。   これを書いている翌日はまた首都高をひとり運転しなければいけません。厄介な走馬灯を見ないよう、荷造りを終えたら早めに休もうと思います。それではまた、どこかで。 <日食なつこ> ◆紹介曲「 クロソイド曲線 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ   ◆4thフル・アルバム『ミメーシス』 2022年3月30日発売   <収録曲> 1. シリアル 2. √-1 3. クロソイド曲線 4. meridian 5. 必需品 (album ver.) 6. 夜間飛行便 7. vip? 8. un-gentleman 9. hunch_A (album ver.) 10. 小石のうた (Natsuko singing ver.) 11. 悪魔狩り 12. うつろぶね 13. 最下層で

    2022/04/08

  • THE BACK HORN
    ウロボロスを知ってますか。
    ウロボロスを知ってますか。

    THE BACK HORN

    ウロボロスを知ってますか。

     2022年4月13日に“THE BACK HORN”がニューアルバム『アントロギア』をリリース。アルバムタイトルの“アントロギア”は、古代ギリシャ語で<花を集めること>を意味し、今日では詩文を集めた詩集を表すことに由来。様々な花が持つ色彩のように4人の“今を生きる希望”が描かれた作品となっております。今作には、これまで通りメンバー全員が作詞作曲で参加し、様々な組み合わせにより制作された全12曲が収録。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“THE BACK HORN”による歌詞エッセイを4週連続でお届け。第1弾は菅波栄純が執筆。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 ウロボロス 」にまつわるお話です。併せて、歌詞も先行公開中! ぜひ、エッセイとともにお楽しみください。 この曲には、コロナ禍においてライブを含めた音楽活動がなかなかできず鬱屈とした時の気持ちや、いつ終わるともしれない絶望感が渦巻いてます。それをベースにしながらも、無限の絶望のループをこの手でぶっ壊して進んでいくんだ!と宣言する力強いロックミュージックでもあります。   ウロボロスを知ってますか。古代の「無限や永遠」の象徴で、蛇が自分の尾を噛んで輪っかになってる姿をしています。破壊と創造や生と死など色んなイメージが重なっていて、ちょっと不気味、ミステリアスな存在でもあります。そのイメージを使ってループする絶望感を表現しました。   歌詞で気に入ってる部分は、<先生、最近「夢を持て」って言わなくなりましたね>というところです。完全な妄想なんですけど先行き不透明な時代において、学校の先生も「不用意に夢を持て、なんて言えないなぁ」って思ってるんじゃないかな、と。演出的にも語りっぽく唐突に入ってくるので怖くて好きです。   あとは楽曲の中盤で神様が出てくるところも好きですね。この世の何もかもが記載されてるとされる「アカシックレコード」を、神様がブログを書くみたいに更新してる様子で、あんまり深い意味はないんですけど味があります。   ブログの更新通知的に「この世が終わりますよ~」って通知がスマホに来るっていう。その通知を信じた者だけが方舟に乗って生き延びる。以前「惑星メランコリー」という歌詞で似た内容を書いたので、セルフオマージュみたいな感じですね。ちょっとユーモラスな描写になってるのが「ウロボロス」バージョンの特徴です。   一応断っておきますが、そんなに神秘的な思想が強い方ではございませんのであしからず。ただこの世にある素材を様々組み合わせて歌詞を作るのが好きだっていうだけです。   そういう、どこからでも素材を持ってきて歌詞にするからか、自分の場合、歌詞を書くと自然に「この時代を生きていて今感じてること」が混じってきます。なので「メッセージの強い曲にしよう」とか「時代を反映しよう」っていうことはあまり考えていません。   考えてはいないんですが、逆に「普遍的なものにしよう」とも思っていないので、振り返ると「あぁ、あの頃の感じがするなぁ」と、自作の歌詞を読むと思ったりしますね。そこに唐突に時空を超えたような題材がミックスされたりするので、ウチの味はちょっとクセが強いかもしれません。   そんな感じでしょうか。いやぁ、しかしニューアルバムの歌詞はどれもとても良いのでぜひ聴いてみてくださいね!それではまた「アントロギア」の世界でお会いしましょう。   <菅波栄純(THE BACK HORN)> ◆紹介曲「 ウロボロス 」 作詞:菅波栄純 作曲:菅波栄純 ◆ニューアルバム『アントロギア』 2022年4月13日発売   <CD 収録内容> 01. ユートピア 02. ヒガンバナ 03. 深海魚 04. 戯言 05. 桜色の涙 06. ネバーエンディングストーリー 07. 夢路  08. 疾風怒濤 09. ウロボロス 10. 希望を鳴らせ 11. 瑠璃色のキャンバス 12. JOY  

    2022/04/07

  • 半崎美子
    過去から託された大切なメッセージを歌にして未来へと手渡していく。
    過去から託された大切なメッセージを歌にして未来へと手渡していく。

    半崎美子

    過去から託された大切なメッセージを歌にして未来へと手渡していく。

     メジャーデビュー5周年を迎える“半崎美子”が、2022年4月6日にニューシングル「蜉蝣のうた」をリリース。タイトル曲の作詞作曲を手がけたのは森山直太朗。儚くも力強いメロディーと、忘れ得ぬ思い出を慈しむような歌詞となっており、「言葉にできない思いを歌う、声なき声を聴く」半崎の音楽活動にもリンク。歌い手として新たな表現が生まれました。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“半崎美子”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 地球へ 」に通ずるお話です。歌手・本田美奈子.が自然との共生を願い書き記した散文からメッセージを受け取り、半崎が書き下ろしたハートフルなバラード。そこに込めた想いとは…。 影響を与える才能と影響を受ける才能。   私は間違いなく後者の才能があると薄々気づいていました。   アーティストであるならば、影響を与えてこそと思われるかもしれませんが、よくよく振り返ってみると、歌手という夢を強く意識した時も、北海道から上京を決意したときも、自分で曲を書き、歌い始めた頃もずっとあらゆる人に、事象に、音楽に、影響を受け続けてきました。   自分で楽曲を書いていても自分で書いているような気がしないのは、誰かの思いを歌にしているからであり、その人に書かせてもらっているような感覚があるからだと思います。   自分の思いを表現するのではなく、あなたの思いを歌にする。   託された言葉を歌にする。   自己を手放すことで表現する、それが私の自己表現であると。   私自身は器となって、出会った方達の大切な声を、声なき声を受けとっていきたい。   一昨年、そんな思いをまた一つ形にする機会に恵まれました。   歌手の本田美奈子.さんの思いを引き継ぐ活動「LIVE FOR LIFE」が、毎年開催している本田美奈子.さんのメモリアルコンサートで歌うテーマ曲の制作依頼です。   本田美奈子.さんが生前に遺されたいくかの散文の中にあった「地球へ」に触れた時、どこか予言的であり、祈りにも似たこのメッセージを歌にしたいと強く思いました。   地球という一つの星、地球という一つの命の声を聴く。   きっと本田美奈子.さんの受信力は万物に対して働いていたのだと思わずにはいられない。   森のささやき、海の祈り、山の便り、空の願い、鳥や虫たちの声を、聴くことができる人であったのだと。   多言語を聞き取れるというのは、なにも外国語だけに限らない。   親が赤ちゃんの言葉を理解できるのは、側にいて常に気にかけているからであり、何を求めているのかわかるようになっていく。   共に暮らすペットの言葉もきっと聞き取れる。観察し、気にかけることで変化に気づける。   言葉を介さずともみんな語っている。   そこに対話が生まれる。   亡き人の声も聞こえてくる。   耳を澄ますことで聞こえてくる小さな声を、私も受け取れる人でありたいと常々思う。   一人一人がそういう気持ちでいたならば、本田美奈子.さんの願う形の共生が、いつか叶う日がくるかもしない。   過去から託された大切なメッセージを歌にして未来へと手渡していく。   「地球へ」がまた何年後かの未来で誰かに受け取ってもらい、手渡されていくことを願いながら。 <半崎美子> ◆紹介曲「 地球へ 」 作詞:半崎美子 作曲:半崎美子 ◆ニューシングル「蜉蝣のうた」 2022年4月6日発売   <収録曲> 1.「蜉蝣のうた」 2.「地球へ」 3.「私に託して」 4.「地球へ 合唱ver.」  

    2022/04/06

  • LEGO BIG MORL
    自己否定。
    自己否定。

    LEGO BIG MORL

    自己否定。

     2022年3月16日に“LEGO BIG MORL”が、ニューアルバム『kolu_kokolu』をリリースしました。このアルバムは、バンドの結成15周年を記念した、メジャー復帰第1弾作品。昨年配信リリースされた「潔癖症」「愛を食べた」のリマスタリング音源、新曲8曲の全10曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“LEGO BIG MORL”のタナカヒロキによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回です。綴っていただいたのは、作詞をする際の「決め事」について。そして、今回のアルバム曲でおこなった、自身の過去の歌詞に対する「自己否定」についてのお話。ぜひ、今作の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください…! 同じ歌詞の中に「僕」と「私」の両方の一人称が出てきたら違和感がありますか? それが文字数やリズムの都合だけで使い分けられていると美しくない気がするのです。   ちなみに個人的な話になるが、僕は歌詞で「俺」を使ったことがない。しかし、LEGO BIG MORLの歌詞に「俺」が出てくる曲がある。「 memento 」だ。これは15周年のLEGOの歴史の中でボーカルのキンタが歌詞を書いた2曲のうちの1曲だ。   僕も私生活で「俺」を使うことはあるが、歌詞になると「僕」が一番座りがいいのだ。しかし歌う本人が歌詞を書くと自然と一人称が「俺」になったことは横でそれを見ていた僕にとって興味深かった。   もちろん歌詞に正解はないし、ルールもない。かっこよければいいという、「それを言っちゃあ、お終えよ理論」をさらりとかわし、アイデンティティを刻み込む。歌詞なんて誰でも書ける。でも僕じゃないとダメな理由を突き立てるのだ。   気をつけていることがある。それは自分の中でのルールとまでは言わないものだ。年々変化するし、増えていったものもあるし、実行できなかったものもある。さっきのLEGOでは「俺」を使わないのもその1つ。無意識で体が勝手に気をつけているものもあるが、今思いつくものを並べてみようと思う。     ●共感を求めない  あるあるネタ合戦ではないのだ。  書くべきことを書いた上で共感がついてくるなら嬉しい。    ●上手いこと言おうとしない  大喜利ではないのだ。  僕の場合はそれをやるとオナニーになり駄文になることが多い。    ●言葉の都合を押し付けない 僕が書いているのは詩ではなくで歌詞だ。  良い歌にするために歌詞がある。  音符とリズムとタッグを組むのだ。   ●ボーカルの口の開け方に注意する  自分が歌わないからこそ気をつけたい。  伸びやかなメロディの語尾や叫びのような語尾はなるべく、イ段やウ段は避けてあげたい。   ●嫌なところを突く   毒にも薬にもならない歌詞は無言と同じだ。    ●揚げ足取るんじゃなくて物事の軸足ごと蹴り上げる  木を見て森を見ずにはなりたくない。     偉そうに並べましたが、これら全て実践できているわけではないし、このエッセイを提出した後にも、「あ!あの決め事もあったのに!」とか思い出すのでしょう。 如何せん15年も歌詞を書いているのだ。自転車の乗り方や注意点を1から言語化してみろと言われている気分になる(誰も言語化しろとは言ってない)。   今回のアルバムの曲の歌詞で僕は過去の自分を否定した。「 ただそこにある 」という曲のサビでの歌詞はこうだ。   「あなたのため」 その言葉はどこで聞いても美しくない   しかし、今回の新しいアルバムのリード「 心とは 」の歌詞ではこんな事を書いている。    刃は研いだら隠しておけ それを抜く時は あなたのため   「あなたのため」という言葉を否定したり肯定したりしている。 もう1つ。「 大きな木 」という曲がある。僕らのベストアルバムにも入っているから聴いて欲しいが、そこにはこんな歌詞がある。   届け 君の奥の方へ 溶けてなくなるように 僕らはすべて混ざり1つになる   しかし、今回の新しいアルバムの「 Gradation~多様性の海~ 」という歌詞ではこんな事を書いている。    僕らは違うから そのまま 一つになれない だから愛し合う   ひとつになったり、なれないと言ったり。 「あなたのため」も「ひとつになる、ならない」も僕はどちらも正しいと思っている。    先のエッセイでも書いたように僕は日常を、心を書いているつもりだ。 整合性を取ろうとしたり、その辻褄の合ってなさを隠したいという人間らしい揺らぎはもちろん僕にもある。それなのに、その自己否定すら書けた。どちらも正しいと思っているのだから本当は自己否定ではないのだが、そう思われてもおかしくない。   「あいつ言っていること違うやん」   僕はそれをわかった上で書いたし、だからここにも書いている。日常を、心を、人間を書こうということは、矛盾を描く作業なのかもしれない。   最後に歌詞で「あなた」と「君」の二人称はよく使われるだろう。他の作詞家がどのように使い分けているのかはわからないが、僕には僕の中での決め事がある。    それは種明かしをしないまま、「あなた」に判断を委ねようと思う。 <LEGO BIG MORL・タナカヒロキ> ◆New Album『kolu_kokolu』 2022年3月16日発売   <収録曲> 1. ラブソングを聴いてしまった 2. Hello Stray Kitty 3. 潔癖症 (Remastered version) 4. 心とは~kolu_kokolu~ 5. Gradation~多様性の海~ 6. 痛い春 7. アソビ 8. 愛を食べた (Remastered version) 9. 分かつ 10.タイムマシン

    2022/04/05

  • 優河
    絶対に夜は明けるから。
    絶対に夜は明けるから。

    優河

    絶対に夜は明けるから。

     2022年3月23日に“優河”がニューアルバム『言葉のない夜に』をリリース。タイトルには、アルバム制作に費やしたこの2年の想いが込められております。聴くものの心を震わせる唯一無二の歌声と、紡ぎ出す心象と心情の描写で織りなす世界観が高い評価を得る彼女。ドラマ『妻、小学生になる。』主題歌「灯火」も大きな話題に。    さて、今日のうたコラムでは、最新作を放った“優河”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 夜明けを呼ぶように 」に通ずるお話。自分で自分を大切にできない、自分を認めてあげられない、そんなあなたへ。歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。 ちょっとした言葉や景色 誰かの表情や声色で 硬くがんじがらめになっていた心がふと 解れることがある     この数年間思い返せば私はずっと 迷い子のような気持ちだった 体の真ん中にあるはずの心が どこか遠くへ行ってしまっているようで   放っておくとどんどん歌から離れてしまって 私って何ができたっけ  何かできるっけ という言葉を胸の奥で繰り返し 繰り返せば繰り返すほど 胸が硬い鋼でぐるぐるに縛られていくようだった     自分で自分の価値をきちんと認めてあげることは 誰かに自分を認めてもらうより難しいのかもしれない 私は誰かに自分の価値を 自分の思っている分 目に見えるように 認めてもらいたかったのだと思う     私はそんな気持ちで数年過ごしてしまったけれど やっぱりこのままじゃいけないと思って 魔法バンドとコンタクトを取ったのが今作のきっかけ   魔法バンドと会話を重ねていく中で 音を重ねていく中で 今まで閉まりきっていた扉が開いて そこにさっと光が流れ込んできたようだった     自分で自分を大切にできない時は 体が冷えて寒くて 誰もいない夜のような感じがする だけどそこから抜け出すきっかけは 案外日常の中にたくさん散りばめられているのだと思う     ちょっとした言葉や景色 誰かの表情や声色 どんなに些細なことでも 心がほぐれていくきっかけは どこかにきっとあるから 絶対に夜は明けるから     無理に探そうとしなくて大丈夫 そういう気分になったら散歩に行くような気持ちで 少しの時間 世界と目を合わせてみると 心にさっと光は流れ込んでくるから   絶対に夜は明けるから 大丈夫 < 優河> ◆紹介曲「 夜明けを呼ぶように 」 作詞:優河 作曲:優河 ◆ニューアルバム『言葉のない夜に』 2022年3月23日発売   <収録曲> 1.やわらかな夜 2. WATER 3. fifteen 4.夏の窓 5.loose 6.ゆらぎ 7. sumire 8. 夜明けを呼ぶように 9. 灯火 10. 28

    2022/04/01

  • 日食なつこ
    meridian
    meridian

    日食なつこ

    meridian

     2022年3月30日に“日食なつこ”がニューアルバム『ミメーシス』をリリース。今作は、多岐にわたるジャンルからさまざまな感性を吸い上げ、“擬態”をテーマに作り上げられました。「この世界たちをいま音と言葉で自分なりになぞったら絶対面白い曲が書ける!」という強いアウトプット欲が生んだ全13曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“日食なつこ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 meridian 」のお話です。 光が空に満ちた日 それを望んではいなかった誰かの絶望   高校3年生の時に「meridian」という曲を書きました。当時たいへん勉強のできる同級生が、その成績の良さだけで半ば強制的におりこう大学への進学を勧められ続けており、「本当は違う道に進みたいのに進路指導や担任のゴリ押しが強すぎて断れない」というようなことを女子トイレで泣きながら話してくれました。   ぶっちゃけその子とは特別仲が良かったわけでもなんでもなく、悩みを打ち明け合えるほど親密な関係を築けていたわけでも全然なく、クラスも部活も交友関係も別。今思い返すと一体どういう経緯であの子の胸中を女子トイレで聞くような流れになったのだったか全く思い出せないのですが、本当の意味で賢い同級生が絞り出したそんな嘆きを、特段賢くもなんともなかった私は何故か聞いていたのでした。   当時の私は教科によってはテストで学年最低点を取れちゃうようなもう誰からも何の期待もされていないような存在で、学校の行事なども既に気乗りしなくなってきていたのでライブや音楽オーディションの予選日程をわざとぶち当てて休んでみたりして、文武両道のスローガンに勤しむ同級生たちにこれ以上ない不信感と不愉快さを振り撒きながら過ごしていた出来の悪い逆流みたいな生徒でした。もう少し上手く立ち回れたんじゃないかという苦々しさと、それでもよくやりきったなその姿勢でという気持ちと、振り返るならば半々です。   とりわけ辞書を使う科目、英語や現文、古文、漢文なんていう授業では、ろくすっぽ話も聞かずに延々と辞書をめくり続けて面白そうな単語を探しては「これは曲に使える!」なんて目を輝かせながらノートの端っこばかりをその類の言葉で埋め尽くして、そうやって日々を何とかやり過ごしていたような時代でした。   その単語ストックの中に「meridian」という言葉がありました。太陽が最も高く昇った瞬間のことを指すその英単語は、陽光を浴びて光り輝く“難関大学○○名合格!”の立て看板や垂れ幕、それを絶やすことを恐れて生徒に迫る学校の姿勢そのものを揶揄する言葉のように当時の私の目には映りました。   光を望まない者たちが見据える影の道の存在など考えもしない、隠れ場所を見失って溶ける嘆きに気が付くこともない、導き終えたその先の未来にはもう興味がない、そんな先導者たち。   生徒が身を削ってようやっと打ち上げる光のことを、この学校は一体何年先まで覚えていてくれるんだろうか? 暗がりの女子トイレで吐露された悲しみのことを、私だっていつまで忘れないでいられるんだろうか?   乾いた壁に吸い込まれていくように続く啜り泣きの向こうで、太陽の光がすりガラスに当たって、幻のように揺らめいていました。   結局あの子は散々勧められたおりこう大学へと見事進学を果たしました。一度だけフェス会場で偶然会ったことがありましたが、案外元気そうにしていたのでまあよかったのかもしれません。   Twitterのフォローをいつの間にか外されていたのを確認した日を最後に連絡手段が潰えたため、幸福だろうとそうでなかろうと、あの子の行く末を知る機会はもう当分なさそうです。 <日食なつこ> ◆紹介曲「 meridian 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ ◆4thフル・アルバム『ミメーシス』 2022年3月30日発売   <収録曲> 1. シリアル 2. √-1 3. クロソイド曲線 4. meridian 5. 必需品 (album ver.) 6. 夜間飛行便 7. vip? 8. un-gentleman 9. hunch_A (album ver.) 10. 小石のうた (Natsuko singing ver.) 11. 悪魔狩り 12. うつろぶね 13. 最下層で

    2022/03/31

  • カノエラナ
    あたしのお腹がどうしてこんなに永遠に満たされないのか。
    あたしのお腹がどうしてこんなに永遠に満たされないのか。

    カノエラナ

    あたしのお腹がどうしてこんなに永遠に満たされないのか。

     佐賀県出身のシンガーソングライター“カノエラナ”が2022年デジタルシングル3作連続リリース!その第3弾シングル「グラトニック・ラヴ」を3月30日にリリース!<グラトニー(暴食)>×<プラトニック・ラヴ(精神的恋愛)>を掛け合わせた造語で、ジャジーな昭和歌謡を彷彿とさせる<肉食系女子>の妖艶な恋愛模様を描いた1曲です。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“カノエラナ”による歌詞エッセイをお届け。今回が最終回。綴っていただいたのは、今作「 グラトニック・ラヴ 」に通ずる想いです。心地よさ、目まぐるし、痛み、虚しさ、様々な感覚が<あたし>を巡るなか、<お腹が減る 何か口に入れなければ>と絶えず繰り返される本能の欲望…。歌詞と併せて、「 グラトニック・ラヴ 」の世界をご堪能ください。 香は煙を縦に引っ張り やがて広がり溶けていく 空気の真中(まなか)で絡まる密度は 思った三倍心地が良い そろそろ時計がゾロ目を弾いて また巡り擦り離れてく 戸棚に飾った愛の痕跡は 戦利品とでもいうべきか   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー ひもじいとヒトは誰だって 生きては行けないのだから   変わらない日々に口付け食んでは 切り込みを入れてまた閉じる 裁縫道具は細胞の奥に 返し縫い還(かえ)しあたたかい 眼鏡に適ったようでよかったよ どうせ明日には無いけれど 戸棚に飾った本当の証 これだけがあたし 確かだもん   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー さびしいとヒトは誰だって 生きては行けないのだから   それから何度も色んな夜中を 誰これ構わず歩いたよ 化学繊維塗れのネオンの城 いつだってあたしお姫様 酒に酔うヒトも明日迷うヒトも 金が有るヒトも無いヒトも ひとたび脱いで手繰って配ったら ほらもう誰がjOKERでしょう   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー 等しいとヒトは誰だって 生きては行けないのだから   なんだかお外が騒がしくなった 嗚呼ヤダ五月蝿い 夜なのに 真っ赤な光がチカチカ迫って 目が回る地球ごと廻る 郵便受けにはぎゅう詰めのチラシ 裏紙にだってなりゃしない 戸棚に飾ったフイルムの写真 深紅に隠して蔵(しま)わなきゃ   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー 限界を超えたら誰だって 好き嫌いはしないのだから   ーいただきますー ーごちそうさまー 嗚呼でもなんだか今日の食事は 凄く薄味だったなぁ   散々暴れて千切って裂いたら 全部全部思い出したよ あたしのお腹がどうしてこんなに 永遠に満たされないのか ねぇダーリン君はあたしに言ったよ ずっと一緒に居てくれると それなのに君は嘘ばっか吐いて 終いには逃げてしまったね あの子のどこがそんなに良かったの? あたしちっとも分かんないよ 運命に出会った様な顔して 平穏平気で棄て去った 散々殴って砕き嫐ったら 全部全部思い出したよ あたしの心をこんなにしたのは 戸棚の奥底マイダーリン   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー おかしいねアタシ今絶頂 生きてる感じがするんだ   ーいただきますー ーごちそうさまー 嗚呼そろそろ満開になる頃か それとも散って去った後か   飽きず桜の下に群れるヒトは 埋まった命に気付かない <カノエラナ> ◆紹介曲「 グラトニック・ラヴ 」 作詞:カノエラナ 作曲:カノエラナ

    2022/03/30

  • LEGO BIG MORL
    心とは。
    心とは。

    LEGO BIG MORL

    心とは。

     2022年3月16日に“LEGO BIG MORL”が、ニューアルバム『kolu_kokolu』をリリースしました。このアルバムは、バンドの結成15周年を記念した、メジャー復帰第1弾作品。昨年配信リリースされた「潔癖症」「愛を食べた」のリマスタリング音源、新曲8曲の全10曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、最新作を放った“LEGO BIG MORL”のタナカヒロキによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾です。綴っていただいたのは、収録曲「 心とは~kolu_kokolu~ 」に通ずるお話。どうして彼らはずっと、心や心臓を歌い続けているのか。そして、心とは一体なんなのか。そんな問いを考えながら、この歌詞とエッセイを受け取ってください。 心とはどこにあると思いますか? 誰かを想う頭か、誰かを想うと痛くなる胸か。   聴診器を胸に当てる。うちのボーカルの心臓音がマイクを通してパソコンの画面で波形になる。僕らのデビューアルバムの冒頭はドクンドクンと心臓音が聞こえた後1曲目のイントロが流れる。   心とか、心臓とかずっと歌っている。僕が歌詞を書いているのでその辺の苦情やご意見は僕に言って欲しい。他のメンバーに責任はございません。LEGO BIG MORLの歌詞は心、心臓などの言葉が多い。生死、光と闇などを歌う僕らにとってそれらを感じる心という概念は避けれないのだ。   しかし改めて思った。 心とはなんだろうか。 そんな臓器はないし、気持ちを味わう上では脳がある。 心とはどこにあるのだろうか。   もし心臓が打つ鼓動の数が生涯で決まっているとしたら。そんな空想の元、書いた歌詞がある。「 end-end 」という曲だ。タイトルは終わりから終わりへ。始まりから終わりや、終わりからまた始まりへ、みたいなテーマはよくあるとは思う。しかしこれは「終わりからまた次の終わりへ」がテーマだ。   そのテーマと空想を組み合わせたこの曲は、鼓動の数が決まっているが故に心拍数をあげないように生きるのか、短命でもトキメキを追い求めて死んでいくのかという物語である。これもまた心臓の話だ。   バンド結成10周年のタイミングでリリースされたアルバム『心臓の居場所』。これは心臓の“場所”ではなく“居場所”なのだ。心臓というものに人格があるが如く、僕という人格の中にまた小さな心臓という人格があるが如く。彼はここにいるよと毎日、毎秒、胸の少し左側で叫んでいる。 その叫びはトキメキとも呼ぶ。ドクンドクンと。   心とはなんだろうか。15年も心を歌っているのにまだわからない。まず「心」の語源を調べてみた。禽獣の臓物を見てコル(凝)やココルなどと言ったことが始まりとある。後に、人の内腑の通称を経て精神を表す意となった。諸説あるそうだ。昔の人は心が内臓に関与すると考えていたのだろうか。   何も壮絶な死生観ばかりを歌いたいわけではない。心や心臓というと、どうしても壮大で厳かな雰囲気を纏ってしまう。しかしコーヒーを飲んだり、ソファに寝そべったり、電車に揺られたり。そうしながらもこれを読んでいるあなたの心臓は今も脈打っているのだ。それは日常の話だ。    LEGOは心とか、心臓とかずっと歌っている。それはLEGOは日常をずっと歌っているということなのだ。喜怒哀楽も、恋も、美しい景色も、底がないような絶望も、ドラマも、それは全て日常の中にある。それを掬い上げ歌詞にしているつもりだ。   これは答えではない。 たぶん死ぬまで答えを導き出せない。  それでも書き続ける。    15年間書き続けて、今提示できるものが「 心とは 」という曲の歌詞にある。明日には違うことを書いているかもしれない。その矛盾や揺らぎすらも「心」みたいで愛おしい。  <LEGO BIG MORL・タナカヒロキ> ◆紹介曲「 心とは~kolu_kokolu~ 」 作詞:LEGO BIG MORL 作曲:LEGO BIG MORL ◆New Album『kolu_kokolu』 2022年3月16日発売   <収録曲> 1. ラブソングを聴いてしまった 2. Hello Stray Kitty 3. 潔癖症 (Remastered version) 4. 心とは~kolu_kokolu~ 5. Gradation~多様性の海~ 6. 痛い春 7. アソビ 8. 愛を食べた (Remastered version) 9. 分かつ 10.タイムマシン

    2022/03/29

  • ダズビー
    声の在り処、私の在り処。
    声の在り処、私の在り処。

    ダズビー

    声の在り処、私の在り処。

     2022年3月2日に“ダズビー”が1stデジタルシングル「声の在り処」をリリースしました。2011年からニコニコ動画で“歌ってみた動画”の投稿を始め、ボカロPをはじめ様々なジャンルのJ-POPをカバーし、独特な存在感と圧倒的な歌唱力で人気上昇中! 今作の作詞には本人も参加。デビューに向け未来へ一歩踏み出す想いが込められております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ダズビー”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作「 声の在り処 」についてのお話です。初めての作詞にどのような気持ちで臨んだのか。そして、どのようなメッセージを込めたのか。ぜひ、歌詞と併せて受け取ってください。 2022年3月2日、私ダズビーのデビュー曲「声の在り処」がリリースされました。   初めて作詞に参加しましたが、初挑戦でしたので、相当勇気が必要でした。   伝えたいことをまとめて歌詞として書くことは、私にとってとてもワクワクする作業でしたが、「素敵な歌詞を書きたい」というプレッシャーや色んな思いが頭の中をくるくる回り、途中からは、「やはり歌詞を書くことって難しいな、、」と思ったりもしました。   今まで長い間、ずっと楽曲カバーをメインにした活動をしてきましたが、今回のデビュー曲では、カバー曲で表現できなかった「本当の私」「私の内面」をリスナーの皆さんに伝えたかったです。鏡のように、この曲を通じて自分自身を見つめたいという気持ちもありました。   そこで、私だけの「新しい世界」を作っていく作業を始めました。   私の中の抽象的な感情を分かりやすくまとめたいと思いましたし、一つのテーマの中で、色々な素材を使って私の感情を表現したかったです。   普段私が好きな素材をたくさん込めて、まだ形が整ってない何かを手探りで確認するような感覚で、私だけの世界観を作ってみましたが、作詞は初めてでしたし、私自身を振り返って歌詞を書いたり、自分の世界を創造するのは、想像以上に難しかったです。   時間をかけて歌詞を何度も修正したり、ストーリーの肉付けをしたり、整えていく作業を経て、私の心の中の星を見つけることができました。   「声の在り処」は、皆さんを私の世界に案内する道しるべのような曲です。これからもこの世界観をベースにして、様々なジャンルにチャレンジしていきたいと思います。   MVにも私が考えた世界観に関してのヒントが隠れていますので、探してみてくださいね!   メロディーについてもお話させてください。   レーベル側からもらったたくさんのデモ曲を聞いてみましたが、この曲を初めて聞いた瞬間、思わず感嘆の言葉が出てきました。イントロはエモーショナルな感じだったのに、突然ビックバンドが入って堂々とした雰囲気に変わっていく構成に惚れまして、この曲に決めました。   最初はサビのメロディーと2のVERSEがなかったのですが、作曲家さんと何度もコミュニケーションを重ねて、今のメロディーに完成することができました。   レコーディングも何度も繰り返しました。レコーディング中に歌詞を変えたり、もっと派手な感じにしたくてコーラスやハーモニーを追加したり、この曲を通じてたくさんのことをお伝えしたかったです。この曲の全てが聴きどころになってほしいと思いながらレコーディングしました。   その悩みと努力が実って、皆さんにも伝わったらいいなと思います。   これからも新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思います。色々と準備していますので、暖かく見守ってくださいね。 <ダズビー> ◆紹介曲「 声の在り処 」 作詞:ダズビー・REQ 作曲:木下龍平

    2022/03/28

  • 優河
    ただ喉を貸しているだけ。
    ただ喉を貸しているだけ。

    優河

    ただ喉を貸しているだけ。

     2022年3月23日に“優河”がニューアルバム『言葉のない夜に』をリリース。タイトルには、アルバム制作に費やしたこの2年の想いが込められております。聴くものの心を震わせる唯一無二の歌声と、紡ぎ出す心象と心情の描写で織りなす世界観が高い評価を得る彼女。ドラマ『妻、小学生になる。』主題歌「灯火」も大きな話題に。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“優河”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 WATER 」のお話。ふと降りてきたワンフレーズ。その一文からどのような気持ちが生まれ、歌詞が広がっていったのでしょうか…。 'Take me to the water and you know'     声が重なることの美しさをやっと知った私は コーラスからだって曲を書いて良い、という当たり前のようなことが とても新鮮で嬉しかった、のと同時に 具体的な言葉をつけていくことが出来ずにいた   幾重にも重ねた声の中に いくつもの言葉が隠れているようで   それは気持ちなのか 景色なのか 香りなのか記憶なのか   考えているうちに、ふとこの言葉が降りてきた   'Take me to the water and you know'   私はなんのことかわからなかったけれど とにかくこの一文でメロディをつなげていった   言葉の聞き心地も悪くないし歌い回しもとても好きだったけれど 流石にこの一文で歌にする勇気は出ず 気分転換に散歩することにした     いつも歩いている道に水の湧く一角がある 私はそこが大好きで いつものようにぼうっと目を瞑ると   'Take me to the water and you know'   この言葉がまた心に現れて 水の湧く音に体の中が洗われているような気持ちになった   'Take me to the water and you know' '私を水辺に連れて行って そしたら分かるわ'     水の湧く音に耳を澄まして せせらぎに身を委ねる   深呼吸を数回して 私は家に帰ってこの曲の歌詞を書き上げた     曲の持つメロディが 訴える心が 気持ちが それを受け取る人の体を通して人々に伝わる   私はなんでもないのだ ただ喉を貸しているだけ   曲という存在が 私というちっぽけな人間より遥かに大きくて豊かな存在であることを 一つの文を通して思い知らせれたようで   なんだか不思議な体験だった <優河> ◆紹介曲「 WATER 」 作詞:優河 作曲:岡田拓郎・優河 ◆ニューアルバム『言葉のない夜に』 2022年3月23日発売   <収録曲> 1.やわらかな夜 2. WATER 3. fifteen 4.夏の窓 5.loose 6.ゆらぎ 7. sumire 8. 夜明けを呼ぶように 9. 灯火 10. 28

    2022/03/25

  • 日食なつこ
    √-1
    √-1

    日食なつこ

    √-1

     2022年3月30日に“日食なつこ”がニューアルバム『ミメーシス』をリリース。今作は、多岐にわたるジャンルからさまざまな感性を吸い上げ、“擬態”をテーマに作り上げられました。「この世界たちをいま音と言葉で自分なりになぞったら絶対面白い曲が書ける!」という強いアウトプット欲が生んだ全13曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“日食なつこ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 √-1 」に通ずるお話です。 血色の悪い真っ青な手とひび割れそうな真っ赤な手で いくら手繰って寄せ合ったって存在しない数を   漫画を読み耽っていた最中に飛び込んできたのは同業仲間の訃報でした。   連絡をくれたのはマネージャーで、「ニュースサイトなどで知るよりもよいかと思いまして」と普段にも増して一層の気遣いを見せてくれたことが今となっては本当にありがたかったと思います。ネット上でいきなりその報せに出会した日にはどれほど動揺したことかわかりません。   ともあれ、その訃報に頭のどこかが大きく抜け落ちたような気分になりながら、ひとまず「ご一報ありがとうございます」とだけ返信をしました。信じられなかったというよりも、理解にひどく時間がかかった、という状態でした。空っぽになった頭をそのまま放置しておくとよくない感情に入り込まれそうな気がして、何かを振り切るように漫画の続きに戻りました。   読んでいる間は漫画の世界にのめりこんでいました。その時読んでいた箇所は作中でも重要な過去編にあたり、そこそこの衝撃展開の連続に時間も忘れて没頭し、買いためていた数冊分をひといきに読破して、最後の一冊を山の上に積み上げて、はたと現実に戻りました。静かな部屋の中でした。つい数ヶ月前にラジオで私の曲をかけてくれていたばかりでした。スマホには連絡先が残っていて、送ろうと思えば知らないふりをして普通に連絡ができる状況でした。マネージャーから届いた報せの文面が目の奥に浮かんでは消えていきます。   口をついて出たのは子供じみた言い訳でした。「最新巻までの残り数冊、今からぜんぶ買いに行こう」。気がついたら車に乗り込んで家を出ていました。自宅から市街地の大型書店へは片道1時間。けして気楽な距離ではありません。ひたすらに車を走らせどこにも辿り着けないままに思考し頭を何かで埋め立て続ける時間が、あの時冷静なふりをして実は全くもって混乱しきっていた私には必要だったのだと思います。   市街地に近づくにつれて帰宅時間帯にさしかかった道路は混み始め、やがて渋滞にはまった私は坂道の途中でブレーキを引いて車を止めました。西へ向いたフロントガラスいっぱいに、ひび割れたような雲からにじんだ真っ赤な夕焼けが広がっていました。   かなしい絶景をぼうっと見上げながら、ふと自分の手がひどく冷えきっていることに気がつきました。血色の悪い手は暗い車内で青白く浮かび上がり、それでもハンドルを握って目的地に辿り着こうとする意志を見せていました。何一つままならない生き物の手でした。   あの空の向こうにひとりあがりしてしまった人。   …得心して見送るような気持ちには、今もまだ至っていません。 <日食なつこ> ◆紹介曲「 √-1 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ ◆4thフル・アルバム『ミメーシス』 2022年3月30日発売   <収録曲> 1. シリアル 2. √-1 3. クロソイド曲線 4. meridian 5. 必需品 (album ver.) 6. 夜間飛行便 7. vip? 8. un-gentleman 9. hunch_A (album ver.) 10. 小石のうた (Natsuko singing ver.) 11. 悪魔狩り 12. うつろぶね 13. 最下層で

    2022/03/24

  • あたらよ
    詩は祈り。
    詩は祈り。

    あたらよ

    詩は祈り。

     2022年3月23日に“あたらよ”が、1stアルバム『極夜において月は語らず』をリリースしました。今作には、MVの再生回数3200万回を突破した初のオリジナル曲「10月無口な君を忘れる」、『THE FIRST TAKE』に出演し披露された「夏霞」、揺れ動く歪な女心を繊細かつポップなメロディーで表現した新曲「悲しいラブソング」など、悲しみを繊細な歌声とエモーショナルなバンドサウンドで表現した全11曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“あたらよ”のひとみ(Vo&Gt)による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、歌詞に対する向き合い方のお話です。感情を表に出すことが苦手だった彼女が、自分の内側にある感情に目を向けるようになったきっかけとは。そして、そこから生まれた楽曲と歌詞の変化とは…。今作の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 皆さんこんにちは、あたらよのVo./Gt.のひとみです。   今回、歌詞エッセイのお話を頂いた時に何を書こうか迷ったのですが迷った挙句、今回は私の詩に対する向き合い方についてお話しようと思います。   あたらよというバンドは東京を中心に活動する4ピースバンドで、「悲しみをたべて育つバンド」と、紹介される機会が多々あるのですが、これには私の綴る詩が深く関係していると思います。   私が作詞する上で餌にしている感情は、簡単に言ってしまえば喜怒哀楽の“哀”の部分なのです。曲によっては“怒”を入れることもあるのですが、結局は怒りを超えた先の哀しみについて触れているので、やはり表現したいのは“哀”なのだと思います。   何故、ここまで“哀”の感情に拘るのかと言うと、実は自分でもよく分かっていないのですが、一つ明確なのは私にとって“詩は祈り”だということです。私は基本よく喋るタイプではあるのですが、肝心な本音は心の内に隠してしまうことが多いのです。それ故に、抱え込んだ気持ちに押しつぶされそうになる日々も沢山ありました。そんな日々を生きる中で私が見出した唯一の希望が「詩」だったのです。   それまで感情を表に出さない、当たり障りのない詩を書いていた私は、ある日を境に自分の内側にある感情に目を向けるようになりました。その日は確か、ある人に沢山傷つけられ泣きながら帰ってきた夜でした。冷えきった部屋で一人、暖房もつけずにソファーに座って、おもむろに手にしたギターを泣きながら夢中でかき鳴らしました。寒さも忘れるほど無心でした。   あれは間違いなく、私の心の中にあるストッパーのような何かが外れた瞬間だったと思います。これは逃したらいけない!と思い、溢れてくる詩とメロディをスマホのボイスメモに録音しました。そうして完成したのが、今ではあたらよの代表曲ともなった「 10月無口な君を忘れる 」という曲です。   この曲を作り終え、心の中のモヤモヤが綺麗に浄化されたのを実感した時、「あぁ、私が書きたかったのはこういう詩なのかもしれない」と気付きました。私にとってこの曲は、触れたくない、本当は目を背けたくなる感情に敢えて触れることで、痛いんだけれども、逆に言ってしまえば痒いところに手が届いたような感覚にもなる不思議な曲です。   あたらよの楽曲の特徴としてよく話題に上がる「共感性が高い」というのは、こういった“触れてほしくないけど本当は、、、”みたいな感情を私自らが引き出して歌っているからこそ生まれる意見なのかなと思います。   普段は本音を隠してしまう私だからこそ、詩でなら言えることもある。逆に詩だからこそ伝えられるものがあると思います。そしてそれは私にとって“こうありたい”、“こうあってほしい”といった祈りに近いものでもあります。   だからきっとこれからも私は私のために詩を書き、祈り続けます。そしてそれが、曲を聴いてくれた名前も知らない誰かの心に寄り添い、日々を生きる上での少しばかりの希望にでもなれば嬉しいです。 <あたらよ・ひとみ> ◆紹介曲「 10月無口な君を忘れる 」 作詞:ひとみ 作曲:ひとみ ◆1st アルバム『極夜において月は語らず』 2022年3月23日発売   <収録曲(全11曲)> 01.交差点 02.夏霞 03.極夜 04.祥月 05.「知りたくなかった、失うのなら」 06.悲しいラブソング 07.嘘つき 08.outcry 09.52 10.10月無口な君を忘れる 11.差異

    2022/03/23

  • LEGO BIG MORL
    薪をくべろ。
    薪をくべろ。

    LEGO BIG MORL

    薪をくべろ。

     2022年3月16日に“LEGO BIG MORL”が、ニューアルバム『kolu_kokolu』をリリースしました。このアルバムは、バンドの結成15周年を記念した、メジャー復帰第1弾作品。昨年配信リリースされた「潔癖症」「愛を食べた」のリマスタリング音源、新曲8曲の全10曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“LEGO BIG MORL”のタナカヒロキによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第1弾です。何度も鎮火しかけ、そのたびに息をふきかけ、薪をくべ続け、決して絶やすことのなかったLEGO BIG MORLの炎。結成15周年、そしてメジャー復帰のタイミングの今、その軌跡と想いを明かしてくださいました。 何度も鎮火しかけたことがある。   僕はLEGO BIG MORLというバンドでギターと作詞をしているタナカヒロキです。このバンドは結成15周年を迎えた。バンドというのはその中にある炎みたいなものがその時々によって強さが違うとは思う。   デビュー当時なんて轟々と燃え盛っていただろうし、何かの要因で上手くいっていない時はパチパチと火は小さくなったりもする。しかし火だけは絶やしてはいけない。僕らには火が消えそうな時が何度かあって、その度に鎮火しそうな微かな火にフーフーと息を吹きかけたり薪をくべた。   僕は何年か前に大きなバイク事故を起こした。ICUに入るほどの怪我でも意識があったことが何よりも辛かった。右手は複雑骨折し、先生にも前のようにギターが弾けるかもわからないと言われた。   一般病棟に移った僕のPCには数曲のデモがメンバーから送られていた。彼らは薪をくべてくれたのだ。もうダメかもしれない、もう消えてしまうかもしれない、そう思う僕の小さい火に優しい息を吹きかけ薪をくべた。病室で片腕だけで歌詞を書いた。ラッキーなことに僕は文字を書くのは左利きなもんで。   その数年後、ドラムが脱退した。メンバーチェンジや脱退を繰り返すバンド。それもいい。しかし僕らは10年以上をその4人で音を鳴らした。その関係性を疑ったことが微塵もなかったので精神的にも、音楽的にも欠けてしまったものが確実にあった。それでも続けると決めた僕らは強がりでも演技でも大丈夫と言い合い、表に出れば前向きな言動をした。裏では泣いているメンバーがいても人生は進む。   火を起こすには3つの要素が必要らしい。偶然にもそれは今の僕らLEGO BIG MORLの人数と同じ。点火源、可燃物、酸素。僕らは3人になり、代わる代わるその立ち位置を変え、誰かがその3つのどれかになり火を絶やさず薪をくべた。   そのトライアングルは三位一体となり、2022年大きな炎となる。結成15年のバンドが再メジャーデビューするのだ。炎はメラメラと揺れる。その火はあまりにも清潔だ。    全員で金を出し合って買ったボロい車が大阪ドームの近くでガス欠を起こした。誰かがガソリンを買いに、誰かがハンドルを握り、誰かが車を押した。懐かしいその思い出さえも薪をくべる行為。   僕の事故の時に音楽を止めなかったことも、メンバーの脱退時に表では無理やり前を向いたことも。あの大阪のスタジオで初めて音を鳴らした瞬間についた火は、15年という時を経てもまだ確実に僕らを熱くする。   火が燃え続けるには3つの要素以外にもう1つ要素が必要らしい。それは点火源、可燃物、酸素に加えて酸化の連鎖反応。燃焼の継続というらしい。    それってこれを読んでくれているあなたですよね?  そうですよね?    顔も名前も知らないあなたが僕らを燃え続けさせてくれていると断言させてください。昔は聴いていた、どこかのタイミングで嫌いになった、最近好きになった。 何だっていい。 あなたさえも取り込んで僕らはまた大きな炎になる。 <LEGO BIG MORL・タナカヒロキ> ◆New Album『kolu_kokolu』 2022年3月16日発売   <収録曲> 1. ラブソングを聴いてしまった 2. Hello Stray Kitty 3. 潔癖症 (Remastered version) 4. 心とは~kolu_kokolu~ 5. Gradation~多様性の海~ 6. 痛い春 7. アソビ 8. 愛を食べた (Remastered version) 9. 分かつ 10.タイムマシン

    2022/03/22

  • 優河
    あなたがいま暗闇の中にいて、手探りで何かを探しているなら。
    あなたがいま暗闇の中にいて、手探りで何かを探しているなら。

    優河

    あなたがいま暗闇の中にいて、手探りで何かを探しているなら。

     2022年3月23日に“優河”がニューアルバム『言葉のない夜に』をリリース。タイトルには、アルバム制作に費やしたこの2年の想いが込められております。聴くものの心を震わせる唯一無二の歌声と、紡ぎ出す心象と心情の描写で織りなす世界観が高い評価を得る彼女。ドラマ『妻、小学生になる。』主題歌「灯火」も大きな話題に。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“優河”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 灯火 」に通ずる想いです。大切なひとが目の前からいなくなってしまったあなたへ。苦しみや悲しみ、寂しさを抱えているあなたへ。暗闇の中、手探りで何かを探しているあなたへ。このエッセイと歌詞が届きますように。 大切なひとが目の前からいなくなってしまったらかなしい。 触れられないことが、抱きしめられないことが、 すぐそばにいられないことが、苦しくて寂しくて、胸を締め付ける。   悲しければかなしいほど、ゆっくり時間は進んでいく。 止まっているのかもしれないとすら思う。   けれどもそんな時間の流れのなかで、少しずつ見える景色は変わっていく。   ずっと暗闇だと思っていた夜は白み、太陽の気配が浮かぶ。 苦しみを抱えて固くなっていた心は少しずつ溶けて、解けていく。   地平線を割って生まれる陽の光が、生い茂る葉のすきまを縫って私たちの手もとに届く。 閉ざしていた窓やカーテンは光を追い出しきれずに私たちの足元を照らす。   そのひとがくれた時間や愛情、言葉や喜び優しさは温もりの中だけに留まらず、 私たちの肌に身体にきっと染み込んでいるのだと思う。   私たちはそれらを絶対に失くすことはない。   たとえ一つひとつを思い出せなくなることがあったとしても、 それらはいつの間にか身体から抜けて落ちてしまうようなものではないから。   あなたがいま暗闇の中にいて、手探りで何かを探しているなら、 その手を自分の身体に回して欲しい。   ほんとうに大切で大事なものは、もうすでに十分そのひとから受け取っているのだから。 <優河> ◆紹介曲「 灯火 」 作詞:優河 作曲:優河 ◆ニューアルバム『言葉のない夜に』 2022年3月23日発売   <収録曲> 1.やわらかな夜 2. WATER 3. fifteen 4.夏の窓 5.loose 6.ゆらぎ 7. sumire 8. 夜明けを呼ぶように 9. 灯火 10. 28

    2022/03/18

  • ENVii GABRIELLA
    ずっと、人並みの恋愛がしたいと思ってた。
    ずっと、人並みの恋愛がしたいと思ってた。

    ENVii GABRIELLA

    ずっと、人並みの恋愛がしたいと思ってた。

     2022年3月9日に“ENVii GABRIELLA”が、メジャーデビュー1stミニアルバム『Metaphysica』(読み:メタピュシカ) をリリースしました。アルバム名は、曲を聴く人によって、様々な角度からメッセージを受け取ることができる、“様々な視点で捉えていく”というメッセージ。“meta”とは“変化”を意味する言葉であり、そのタイトルのとおり、まったく違った音楽性をもった曲たちが『Metaphysica』を彩っております。    さて、今日のうたコラムでは、最新作を放った“ENVii GABRIELLA”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 Finally Found You 」に通ずる想いです。自分のことを嫌いになった時期もある。卑屈に人生を諦めていた時期もある。それでも、そんな自分と一緒にいてくれて、大切なことに気づかせてくれた<あなた>への手紙…。歌詞と併せて受け取ってください。 あなたへ   恋人として一緒にいられる確率について考えたことある?   あなたと付き合うことになって、一緒に過ごすようになって、色んなことがあったよね。初めてデートした日、食事をしながら、二人きりが初めてだという気がしないくらい沢山話をして、そして日に日にあなたが大切になった。   どんな恋人だって、付き合い出す初日から、深い想いを抱くことはないと思ってる。ずっと片想いして、やっと両思いになったとしても、お互いを慈しむ気持ちは、日に日に育つものでしょ?   楽しい事だけじゃなかった。だって、こんなに違いすぎる。考え方も、生活リズムも、職業も、生き方も。まぁいいやと想ったことが、あなたにとってはきっちりしてないと気が済まないことだったり。ちゃんと話したいことが、あなたにとって面倒なことだったり。   ある晩、「めんどくさい」って言われたことを今でも覚えてる。ちょっと不機嫌になってしまった時に、そう言われたんだけど。その時に、「二人の考え方が違うんだからめんどくさくてもちゃんと話をしようよ」って言った。   あなたは、「もういい大人だから、自分を変えることはできない」と言っちゃうような人だったのに、今では面倒な話でも、喧嘩になりながらも、ちゃんと受け止めて話をしてくれるようになった。   クリスマスプレゼントを買って渡した時、「俺はそういうことしないし、何もあげてないのに」とちょいと困惑してたよね。でもね、毎日貰ってるよ。色々。   電話してくれるでしょ。頑張ってねって言ってくれるでしょ。仕事で煮詰まってる時は、ほっといてくれる。色々やってあげた時は、ありがとうって言ってくれる。それから、一緒にいてくれる。   ずっと、人並みの恋愛がしたいと思ってた。   物心ついた時から、「好きだな」とか「嫉妬の対象」が、世間でいうところの普通とはずれてるなって感じてた。男の子のことをかっこいいと思ったし、女の子をみて羨ましいと思ったりしました。女の子になりたいと思ったことはなかったけれども、なんだか自由だな。と感じてた。   きっとそれは、「あの男の子かっこいよね!」「あの少女漫画感動するよね」などとキラキラと話しては盛り上がっている世界。思春期になった時、周りに「彼氏・彼女」なんてものが出てき始めて、「自由に告白して付き合って」と言うことができるみんなが羨ましかったんだと思う。疎外感と、嫉妬心、馴染めないし馴染みたくない複雑な感じ。   「ゲイ」だとか「LGBTQ」なんてない時代に子供時代を送ったけど、そんな全ての感情の一応の答えを見つけるのは、高校に入った頃だった。自分という生き物の正体と「ゲイ」という名称が合致した時。ヘテロセクシャルよりも、出会いの数も少ないマイノリティが、好きな人と恋人になる確率なんて人生全部使っても叶うかどうかなんじゃないかなって思ってた。   あなたと知り合う前にも、色んな人と付き合いをしてきた。それは楽しいこともあったし、色々。幼い恋愛をしてた時もあるし、勢いで付き合ってた時もあった。憧れていた「恋愛」というものを追い求めていた気もする。   そして、あなたに会った時、全てが報われた気がしました。あなたが笑いながら話しかけてくれている時、例えこの人といつか別れることになろうとも、今この瞬間をずっと待っていたんだと思いました。   そのくらい、あなたは「普通」をくれた。普通にデートして、普通に夜電話して、普通に喧嘩して、普通に日曜日をだらだら一緒に過ごす。普通にどうしようもない格好でコンビニに一緒に行く。それがどんなに幸せなことだか、言葉にできないのが悔しい。   あなたと一緒にいることで、気づけたことがある。ずっと卑屈に人生を諦めてたんだなって。自分のセクシャリティに、人生に、見た目に、いろいろなもののせいにして、目の前が曇っていたんだなって思った。ゲイだなんだって、関係ない。自分を受け入れてなかったんだなって。     恋人として一緒にいられる確率について考えたことある?   ある日、自分が起こした行動の先にあなたが居た。 そして惹かれあって恋人になった。   あの時出会った二人が同じセクシャリティだった。 この確率。   それぞれのお父さんとお母さんが知り合って、 同じ時代に二人が生まれた。 両親が出会う確率。   両親が日本に住んでいて東京に住んでた。 そして自分も関東に居る。 あなたも日本に住んでいて東京にいた。 この確率。   二人とも人間だった。 この確率。   それは誰にでも当てはまる事。   きっと、今の性別で生まれて、相手が恋愛対象として合致する性別である確率は、誰もが背負っているよね。羨ましいなと眺めていた友達カップルだって、彼らが男だったから、女だったから叶った出会い。起こした行動で出会わなかったかもしれなかった可能性。それは友人でも、家族でも誰でも、今の自分を形成する全てが揃っていないと成り立たない出会いだと思う。   あなたに書いたこの曲で「セクシャリティ」とワードにして歌っているのは、自分たちが「セクシャルマイノリティ」だからってだけじゃなくて、全ての人が「生まれついた自分」で、最後には幸せを掴むことができる可能性がある、そしてその無数の可能性の中であなたと出会えたということが伝えたかったから。   幼い頃に、成長途中で、人生で大事な時期にどんなに自分のことを嫌いになったとしても、時の流れの中で、自分を受け止めて、見つめて、受け入れた先に、待ってくれている何かがあるはず。そう思わせてくれたあなたに。   私が私であること。 あなたがあなたでいてくれたことに ありがとう。     注)この手紙はフィクションです。実際の人物や団体とは関係ありません。 ◆紹介曲「 Finally Found You 」 作詞:souljuice 作曲:souljuice   ◆ミニアルバム『Metaphysica』 2022年3月9日発売 https://lnk.to/Metaphysica   <収録曲> 1.Finally Found You 2.Cabaret 3.Ride/Reboot 4.Sorry Not Sorry 5.Dystopia 6.女優(仮) 7.Moratorium 8.ハッピーハッピーウェイウェイドンチー

    2022/03/17

  • 杏沙子
    女の子には、ある呪いがかけられている。
    女の子には、ある呪いがかけられている。

    杏沙子

    女の子には、ある呪いがかけられている。

     2022年3月2日に“杏沙子”が、mini Album『LIFE SHOES』をリリースしました。長所と短所、裏と表、理想と現実、生きていくうえで誰しもが抱えている矛盾を左足と右足に例えた今作。時に立ち止まり考えながらも、前に進み続ける全ての人に、毎日の一歩を助けてくれるお気に入りのシューズになるような作品でありたいという想いが込められております。    さて、今日のうたコラムでは、最新作を放った“杏沙子”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 女の子にしてよ 」のお話。いつも女の子の胸の内にあるとある呪い。時に、恋人がいるときのほうが強くなる呪い。「女の子として、もっと愛してほしい。」そんな想いを抱えているすべての方に、この歌詞とエッセイが届きますように。 女の子には、 ある呪いがかけられている。   そして、多くの女の子が その呪いに苦しまされている。   わたしもその中の1人だ。     痩せなきゃ。 おしゃれしなきゃ。 メイクしなきゃ。 かわいくいなきゃ。 綺麗でいなきゃ。   誰かに指示されたわけでもないのに、 どこからか聞こえてくる声。 その声に従わないと、自分の価値が なくなってしまうんじゃないかという恐怖。 自分のためだけにやっているつもりでも、 突き詰めてみれば、 誰かの目を意識したその声に 無意識のうちに支配されていたりする。   女の子として、愛されたい。 女の子として、求められたい。 女の子として、幸せになりたい。   本能に近い、願いであり、呪い。 解ける日は、いつか来るのだろうか。   恋人ができれば、 わたしのことを愛してくれる人がいれば、 そんな呪いは解けていくのかな、 なんて昔は思っていた。 でも、そんなことはなくて、 長く付き合えば付き合うほど、 いわゆるマンネリや倦怠期とか言うやつで なくなっていく言葉や行動に、 どうしようもなく虚しくなった。 むしろ、恋人がいないときよりも、 その呪いは強くなった気がした。   別にそれがすべてじゃない。 冷めたとか、 愛がなくなったわけじゃない。 むしろパートナーとしての絆は 深まっていくし、 悪いことばかりじゃない。   でも、捨てられない。譲れない。 女の子として、愛されたい気持ちは。 呪いから逃れられないのだ。 そして、その呪いは 恋人にしか解けないのだ。   「女の子として、もっと愛してほしい。」 そんなことは言えるわけもなく、 例え言えたとしても、 お願いしてもらった愛ほど虚しいものはない。   だからまた、 かわいくいなきゃ。 綺麗でいなきゃ。 の声が大きくなっていく。   この呪いが完全に解ける日がいつか来るのなら、 そのとき女の子は幸せになれるのだろうか。 そんなことを考えながら、 「女の子にしてよ」を書いた。   その答えはまだわたしにもわからない。   けれど、 「女の子にしてよ」と ただ1人に対して強く思ったことは、 そのただ1人を強く愛していた証拠なのだなと、 初めてこの呪いを少しだけ愛おしく思えた瞬間だった。   女の子には、 ある呪いがかけられている。   そして、多くの女の子が その呪いに苦しまされている。   でも、もしかしたら、その呪いは 愛を知る鍵になるのかもしれない。 <杏沙子> ◆紹介曲「 女の子にしてよ 」 作詞:杏沙子・石崎光 作曲:杏沙子・石崎光 ◆mini Album『LIFE SHOES』 2022年3月2日発売 【初回限定盤】CD+DVD VIZL-2013 ¥4,180 【通常盤】CD VICL-65664 ¥2,750   <収録曲> 01.元カノ宣言 02.ピスタチオ 03.Mirror 04.ともだちに戻るよ 05.負けたんだ 06.好きって 07.眩しい 08.女の子にしてよ  

    2022/03/16

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