あなたがついた小さな嘘が胸の奥、染みになって消えないの。

Salley
あなたがついた小さな嘘が胸の奥、染みになって消えないの。
まっさらみたいに思えても 今日には昨日のしみがある すんだことさの一言を 漂白剤には使えない 涙をシャワーで流すだけ (谷川俊太郎「昨日のしみ」より引用) 詩人・谷川俊太郎さんの「昨日のしみ」という作品の一節です。昨日のしみは、なかなか無かったことにはできない…、よくわかりますよねぇ。むしろ忘れようと思えば思うほど、時間が経てば経つほど、その過去の“しみ”=怒りや悲しみ、不安、悔しさ、後悔が気になってしまうなんてことさえあります。とくに恋愛においての“しみ”はしぶとい…。今日のうたコラムでは同様に、「昨日のしみ」を見つめながら今日を生きている主人公を描いたラブソングをピックアップいたします! ご紹介するのは、男女2人組ユニット“Salley”のニューアルバム収録曲。ここ1年、ゲストを招いての自主企画ライブ、ワンマンライブ、3ヶ月連続配信シングルなど、精力的に活動をし、より強い絆と決意を手にした二人の傑作3rdアルバム。タイトルは『Clear』です。尚、ジャケットは、ボーカル・うららの顔や身体がぐにゃりと歪み、まるで時空の歪みを表現したような摩訶不思議な世界観。もしかしたらこれも、過去により今の心が歪んでしまっている歌の主人公たちを表しているのかも…。 忘れないように たくさん撮った写真の 外側はもう思い出せないよ 永遠なんて 疑ってなかったわけじゃないわ 迫ってくる足音に鈍感だっただけ 「kodama」/Salley まず、アルバムの入口はこの曲です。歌詞中には<別れの正体 それをわかってなかっただけ>というフレーズも綴られております。主人公は、思い出をひとつも忘れたくないほどに、永遠なんてものを信じてしまうほどに、愛した相手とお別れしてしまったようです。しかも、自分が納得できるようなカタチのお別れではなく。そんな“過去のしみ”はもちろん『すんだことさの一言』で洗い流せるものではありません。楽曲は次のように続いてゆきます。 僕とあなたの選んだ道は いつかまた重なる日はくるの 愛してるとか さようならとか 伝えたかった言葉 こだまする 謝りたいな もう遅いかな あの頃の傷ってこんな痛いの 中途半端な約束だけが 今も胸の中 宙ぶらりのまま あなたもそう? 漂ってる あなたもそう? 「kodama」/Salley 【こだま】とは音の反響のこと。主人公の心の中では、別れてから今もなお「愛してる」「さようなら」「ごめんなさい」「会いたい」「あなたはどう思ってる?」「もう遅いかな」「どうして」…様々な後悔の言葉たちがぶつかり合って、幾重にもこだましているように思えます。しかし、もう『涙をシャワーで流す』ことしかなす術はないのでしょうか。できることなら、どんな答えが返ってきてもいいから、もう一度お相手と向き合って、思いっきり言葉をぶつけてみる勇気、欲しいですね…。 たった一度の小さな嘘で 全てが信じられなくなるの こんなにもあたし 冷たくなっていた手で あなたを掴んでいたの? あなたがついた小さな嘘が 胸の奥 染みになって消えないの 本当のこと 教えてくれていたなら あたし、あなたのことを許せたの 「小さな嘘」/Salley また、新曲「小さな嘘」ではまさに“染み”というワードが登場します。<あたし>にとって今日も消えないしみになっているのは、彼のついた小さな嘘。その嘘の内容はわかりませんが、<心配性なあたしをなだめるため>、<隠す手のひら 見たがるあたしのこと 抱きしめごまかし>、彼がついた“優しい”嘘は、きっと真実よりも深く彼女を傷つけています。これもまた『すんだことさの一言』で済ませられない案件。でも、彼女にもまた、その不安をしっかりとぶつけてみる勇気が必要なのです。 『今日には昨日のしみがある すんだことさの一言を 漂白剤には使えない』…それならば「すんでないよ!」と今日、相手に言うしかないのでしょう。たとえそれによって、昨日より大きなしみになってしまったとしても。そしたらまた明日、相手と向き合うのです。きっとすごく心力を使うことでしょうが、それが恋愛というものなのかもしれません。今、昨日のしみを気にして過ごしているあなたの明日が、すこしでも『Clear』になりますように…! ◆New Album『Clear』 2017年2月8日発売 初回限定盤(CD+DVD) VIZL-1089 ¥3500+税 通常盤(CD) VICL-64692 ¥3000+税 <収録曲> 1. kodama 2. Wonderland 3. Winding Road 4. 小さな嘘 5. 真昼の月 6. SPECTRUM 7. カノジョとカレシ 8. 言い訳ガール 9. スカイライン 10. Home 11. Clear
























