棚の隅に眠っていた 遠い日々の贈り物
今 私が開くように あなたがのこしたメッセージ
光りの塵 射し込む窓 ほおづえつき 読みだせば
目を覚ました文字たちが 踊り始める
夢の中のあなたは あの日と変わらず
まだ幼い私を抱きしめてくれる
いつのまにか眠っていた 冬の午後は過ぎてゆく
ただ 涙の跡だけを ページに記して
「宇宙図書館」/松任谷由実
さて、前作『POP CLASSICO』から約3年ぶりとなる今作は、タイトルどおり、宇宙に浮かんでいるとある大きな図書館のようなアルバムなんです。過去、現在、未来…、時空も場所も越えた歌の中の物語に触れるたび、その景色や心情が音を通じて頭のなかにブワーッと広がってきます。まず、アルバムの1曲目に収録され、リード曲でもある「宇宙図書館」はまさにそんな世界への入口。ちなみにこの曲、歌ネットで人気NO.1の「やさしさに包まれたなら」の歌詞にもどこか通じているようにも思えます…。
小さい頃は神さまがいて
不思議に夢をかなえてくれた
やさしい気持で目覚めた朝は
おとなになっても 奇蹟はおこるよ
カーテンを開いて 静かな木洩れ陽の
やさしさに包まれたなら きっと
目にうつる全てのことは メッセージ
「やさしさに包まれたなら」/松任谷由実
憶測ですが、もしかしたら「宇宙図書館」の<あなた>は、「やさしさに包まれたなら」で描かれている“小さい頃に夢をかなえてくれた神さま”のことなのかもしれません。<おとなになっても 奇跡はおこる>ということ。<目にうつる全てのことは メッセージ>なんだということ。ふとした日常からそう感じたあの頃も、今や遠い日々…。しかしある日、<私>は夢の中で再び<あなた>のやさしさに包まれ、忘れかけていた大切なことや愛しい日々を思い出したのではないでしょうか。このアルバムの“旅”はそんな楽曲から幕を開けます。
セーターで拭いたガラスを流れる景色
きらきら粉雪踊ってる
今は寂れた駅を見送りながら
あなたを思い出してる
憎らしい顔つくって 窓に映した
ときどきひどい喧嘩をした
こんな私のことも好きだと言った
あなたが 無性に恋しい
時の列車は走る なつかしい歌を乗せて
時はただ先へ進んでゆく
忘れることも忘れて
「あなたに会う旅」/松任谷由実
月までひとっ飛び あなたへひとっ飛び
今夜の私はちょっとちがう
千鳥足してふりかえれば 理想の彼が月に揺れてた
あなただったのね!
冴えないふうな仕事中も 本当は私わかってたのよ
もしかしたらって…
帰りたくない こんな春の夜
終電時間が迫っても 行かないで
「月までひとっ飛び」/松任谷由実
私の地図には いつでも 潤んで光る街があるの
あなたと暮らした あの頃のまま みじかい通りだけど
もう名前は変わって 幸せそうな人影 映る窓に
日々は流れ 誰もが大人になる
愛してると云いたくて 今も心は立ち止まる
雨の中の涙が 空にかえる霧のように ひと知れず
「私の心の中の地図」/松任谷由実
収録曲から3曲をピックアップしました。本当に1つ1つ、小説のようですね。時にゆっくり、時にビューンと、過去、今、過去、今、過去、の旅を繰り返しながらどの物語も“未来”へ向けて進んでゆきます。そして、宇宙図書館でユーミンワールドに入り浸っているうちに、あっと言う間にアルバムを丸々聴き終えてしまっているのです…。曲を聴きながら、歌詞にもじっくりと堪能していただきたいアルバム『宇宙図書館』。まだ入手していないという方は、この土日に是非…!
◆38th Original Album『宇宙図書館』
2016年11月2日発売
豪華完全限定盤 UPCH-29229 12,960(Tax in)
初回限定盤 UPCH-29230 4,104(Tax in)
通常盤 UPCH-20431 3,456(Tax in)
<収録曲>
1 宇宙図書館
2 残火
3 Sillage〜シアージュ
4 AVALON
5 あなたに会う旅
6 星になったふたり
7 月までひとっ飛び
8 Smile for me
9 私の心の中の地図
10 君(と僕)のBIRTHDAY
11 気づかず過ぎた初恋 (Extra Winter Version)
12 GREY