竹島宏、スペシャルインタビュー!「それがちょっと邪魔をするんですよ…」レコ大企画賞受賞の「ヨーロッパ三部作」に続く新曲『ハルジオンの花言葉』が 2024年7月3日に発売! 竹島宏の甘い歌声が耳に残るマイナー調のポップス系歌謡曲バラード! オリコンで発売初週1位! 歌手としての生き方にも迫る!
インタビューの最後に、直筆サイン色紙 の 読者プレゼントあり!
Takeshima Hiroshi
竹島 宏
29th Single『 ハルジオンの花言葉 』
★ 2002年に歌手デビュー、23年目のポップス系歌謡曲歌手!
★ 前作までの「ヨーロッパ三部作」が昨年末の「レコ大」で企画賞を受賞!
★「ヨーロッパ三部作」のイメージを引き継ぐ最新曲『ハルジオンの花言葉』!
★ 竹島宏の甘い歌声が耳に残るマイナー調のポップス系歌謡曲バラード!
★ 曲調の全く違うカップリング 2曲も A面クオリティ!
★「オリコン」週間 演歌・歌謡シングルランキングで発売初週 1位!
★「自分が全くそういうことに興味がない…」
★ インテリジェンスを感じさせる語り口の「孤高のシンガー」!
■ シングル リリース情報


各配信サイト
歌詞を見る(新着順)
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竹島 宏 歌詞一覧(人気順)
『竹島宏の旅はハッピー オッパッピー #5』6/22(土)放送!【オリジナル】
■ 配信ライブ情報
TAKSHIMA SUMMER LAND 【Streaming+】
配信日時 : 2024年 8月16日(金)14:00~ 約80分
配信サイト: イープラス「Streaming+」
視聴料金 : 視聴券 ¥3,500(税込み)別途システム手数料330円
特典付き視聴券 ¥5,000(税込み)別途システム手数料330円
配信期間 ; 2024/8/19 (月) 23:59 まで視聴可能
発売期間 : 2024/8/17 (土) 23:00 まで
竹島 宏 Live ~秋の音 2024~ 【Streaming+】
配信日時 : 2024年 9月6日(金)14:00~ 約80分
配信サイト: イープラス「Streaming+」
視聴料金 : 視聴券 ¥3,500(税込み)別途システム手数料330円
特典付き視聴券 ¥5,000(税込み)別途システム手数料330円
配信期間 ; 2024/9/9 (月) 23:59 まで視聴可能
発売期間 : 2024/9/7 (土) 23:00 まで
【生配信】竹島 宏 Live DATE♡デート 【Streaming+】
配信日時 : 2024年 9月22日(日)19:00~ 約100分
配信サイト: イープラス「Streaming+」
視聴料金 : 視聴券 ¥4,000(税込み)別途システム手数料330円
特典付き視聴券 ¥5,000(税込み)別途システム手数料330円
配信期間 ; 2024/9/25 (水) 23:59 まで視聴可能
発売期間 : 2024/9/23 (月・祝) 23:00 まで
■ コンサート / ミュージカル 情報
2024NATSUフェス 音【うた】ふぇす 竹島宏 スペシャルステージ(観覧無料)
開催日時: 2024年8月18日(日) 13:00 / 15:00
開催会場: 高浜Tポート Tぽーとホール(愛知県高浜市)
竹島宏 バースデーライブ 2024
開催日時: 2024年8月25日(日)
① 11:30受付・お食事 / 13:00ショー開始
② 16:30受付・お食事 / 18:00ショー開始
開催会場: ホテル椿山荘東京(東京都文京区)
料 金 : お一人様 ¥27,000(お料理・フリーソフトドリンク・税込み)
竹島 宏 コンサート ~Dreamer~ ユメオウヒロシ
開催日時: 2024年 9月1日(日)1回目 12:15開場 13:00開演 / 2回目 15:45開場 16:30開演
開催会場: 福井県立音楽堂 ハーモニーホールふくい 大ホール(福井県福井市)
チケット: 1回目 全席指定 S席 7,000円 A席 5,500円 当日はプラス500円(税込)
2回目 全席指定 S席 7,000円(税込)オフィスK でのみ取り扱い
竹島宏 ライブ 2024 GoGo博多
開催日時: 2024年 9月3日(火)① 12:00開場 12:30開演 / ② 15:00開場 15:30開演
開催会場: レソラNTT夢天神ホール(福岡県福岡市)
チケット: 全席指定 7,000円(税込み)当日はプラス500円
竹島 宏 夢の世界へお連れします 2024 in 神戸
開催日時: 2024年 10月18日(金)① 13:00開場 13:45開演 / ② 16:30開場 17:15開演
開催会場: 神戸朝日ホール(兵庫県神戸市)
チケット: 指定S席8,000円 指定A席6,000円(税込)当日はプラス500円
竹島 宏 Lunch&Dinner Show
開催日時: 2024年 11月23日(土・祝)
ランチショー 12:00受付 12:30お食事 13:30ショー開始
ディナーショー 16:30受付 17:00お食事 18:00ショー開始
開催会場: ザ・グランユアーズ フクイ ホテルフジタ福井3階 天山の間(福井県福井市)
料 金 : お一人様 22,000円 (コース料理・フリーソフトドリンク・税込)
Musical プラハの橋 The Bridge of Prague(出演:竹島 宏 / 庄野真代 / 宍戸 開)
開催日時: 東京公演 2025年 1月 7日 (火) ~ 13日(月・火)
京都公演 2025年 2月10日(月)~ 11日(火・祝)
開催会場: 東京公演 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
京都公演 京都劇場
チケット: 10,000円 (全席指定/税込)
先行発売: チケットぴあ 先行 2024年 9月7日(土)10:00 ~ 16日(月・祝)23:59
一般発売: 2024年 9月28日 (土) 10:00~
「Musical プラハの橋」公式サイト
■ 竹島宏 スペシャルインタビュー!
今だと「演歌・歌謡曲」という範疇に入るのは仕方がないが、竹島宏 は、コブシをまわすような、いわゆる「演歌歌手」ではなく「ポップス系の歌謡曲歌手」だ。
たしかに、2002年のデビュー曲『いいもんだ いいもんだ』(作詞:久仁京介 / 作曲:水森英夫)は音頭調だし、初期のころは「ムード歌謡」とか「演歌」と言ってもいいような曲もあるが、2009年に発売された 9作目のシングル『禁じられた想い』(作詞:松井五郎 / 作曲:都志見隆)以降、これまでのシングルは、いずれもポップス系の歌謡曲で、従来のイメージの演歌とは全く違う。コブシをまわすこともないし、カバーでも演歌は歌っていない。
イケメン歌手であることには違いないが、チャラチャラしたところは全くなく、まるで文学青年のようなその佇まいも印象的だ。語り口も、取材のときなどは、テレビ番組などで見せる話し方とはちがい、言葉を選びながら、ゆっくり、ソフトな話し方で、真摯に一生懸命に答えようとする。その内容も、様々な人の立場になって考え、知的で理路整然としていて、インテリジェンスを感じさせる。まるで学者か経営者と話しているようにも感じてしまう。
真面目な性格と、多くの歌手とは違い本格的に歌のトレーニングを始めたのが大学生のころからと遅かったこともあり、歌への姿勢も真摯でストイックだ(デビューまでのヒストリーに関しては、以前のインタビューで話してくれているので、そちらをお読みください。最下部にリンクを付けておきます)。
いわゆるライバルと呼ばれるような歌手たちや、先輩歌手や後輩歌手といった周りのことは全く気にならず、ただ自分とだけ向き合う。他の歌手と比べることよりも、自分自身と勝負しようとしているようにも感じる。自分の歌を聴きにくるお客様のためにより良い歌を歌うことを第一に考え、自分の歌を高めることだけにフォーカスしている。
デビュー23年目に入った 竹島宏 は、そういう「孤高のシンガー」というような雰囲気を纏っている。
2021年に発売された通算26作目のシングル『プラハの橋』、翌2022年の 『一枚の切符』、続く2023年の『サンタマリアの鐘』(3曲とも、作詞:山田ひろし / 作曲:幸耕平 / 編曲:坂本昌之)は、「ヨーロッパ三部作」と呼ばれ、昨年、2023年末の「第65回 日本レコード大賞」で企画賞を受賞した。
この「ヨーロッパ三部作」を歌ったことで、竹島宏 という歌手のイメージが、ある程度、確立され、また、歌も大きく変わったと感じる。それまでと比べて、余計な力が抜けて響きが豊かになったことで、言葉も明るくクリアになっている。歌声の魅力もより感じられ、言葉がより伝わる歌唱になっている。
先ごろ、この「ヨーロッパ三部作」をモチーフにしたミュージカル『プラハの橋』が、来年、2025年1月に、東京と京都で上演されることも決まった。作曲・編曲を 宮川彬良 が担当し、竹島宏 のほか、歌手の 庄野真代、俳優の 宍戸開 らが出演する。
そして、その「ヨーロッパ三部作」に続く、通算29作目となる最新シングル『ハルジオンの花言葉』(作詞:松井五郎 / 作曲:幸 耕平 / 編曲:坂本昌之)が、先日、2024年7月3日に発売された。
新曲『ハルジオンの花言葉』は、「ヨーロッパ三部作」のイメージを引き継ぐドラマティックなマイナー調のバラード。サビの言葉が、竹島宏 の歌声でメロディとともに耳に残る。以前からのファンも、「ヨーロッパ三部作」で新たにファンになった人たちでも、期待を裏切られることのないいい歌だ。
<もくじ>
1 2023年末「レコ大」企画賞を受賞した「ヨーロッパ三部作」
〜「ファンの皆さんにも何らかの形でのご恩返しということに…」〜
2 歌が変わるきっかけにもなった「ヨーロッパ三部作」
〜「それがちょっと邪魔をするんですよ…」〜
3 「ヨーロッパ三部作」に続く最新曲『ハルジオンの花言葉』
〜「必要以上に感情を込める必要はないんです…」〜
4 竹島宏 の「花便り」からイメージして作られた『ハルジオンの花言葉』
〜「音に乗った言葉、乗せ方がさすがだなと思いました…」〜
5 対照的な曲調の2曲のカップリング曲
〜「贅沢なシングルになったと思います…」〜
6 「X」の「花便り」が歌にも影響
〜「これは花のおかげですね…」〜
7 定番になっているカバー曲『Too far away』
〜「伝わるものがあるんじゃないのかなっていう…」〜
8 バラエティのレギュラー番組『竹島宏の旅はハッピー オッパッピー』
〜「すごく大きな影響を与えていただいてる…」〜
9 デビューから22年、いかに自分を確立していくか
〜「自分が全くそういうことに興味がない…」〜
1 2023年末「レコ大」企画賞を受賞した「ヨーロッパ三部作」〜「ファンの皆さんにも何らかの形でのご恩返しということに…」〜
ーー 2021年に通算26作目のシングルとして発売されたマイナー調の3連バラード『プラハの橋』(作詞:山田ひろし / 作曲:幸耕平 / 編曲:坂本昌之)は、その年の『第63回 輝く!日本レコード大賞』で、日本作曲家協会選奨を受賞した。そして、『プラハの橋』に続き、翌2022年に発売された『一枚の切符』(作詞:山田ひろし / 作曲:幸耕平 / 編曲:坂本昌之)、その翌年の2023年に発売された『サンタマリアの鐘』(作詞:山田ひろし / 作曲:幸耕平 / 編曲:坂本昌之)は、いずれもヨーロッパを舞台にしたマイナー調のポップス系歌謡曲で、「ヨーロッパ三部作」と呼ばれ、昨年、2023年末の「第65回 日本レコード大賞」で企画賞を受賞した。
竹島: 思いがけないことだったので、純粋に「あっ、そうなんだ……」って、すごくうれしかったですね。やっぱり、この足かけ3年で「ヨーロッパを舞台に」っていうだけじゃなくて、主人公も同じで物語が続いてるっていうそのあたりもすごく評価していただくポイントになったみたいで、完全に(作詞、作曲の)作家の先生方のお陰ですね。
ーー 3作とも、作詞は 山田ひろし、作曲は 幸耕平(みゆき こうへい)という同じ作家による作品だ。山田ひろし は『木蘭の涙』(スターダスト☆レビュー)や『トイレの神様』(植村花菜、共作)などで知られる作詞家で、幸耕平 は、橋幸夫と安倍里葎子とのデュエット曲『今夜は離さない』や、石野真子『ジュリーがライバル』、田川寿美『女人高野』、大月みやこ『乱れ花』などや、最近では、市川由紀乃、純烈、藤井香愛 らの曲を数多く手がけていることで知られる作曲家だ。
竹島: 多分、(作詞、作曲の)先生方も、そこまで狙ってお書きになってたわけではないと思うんですけども、先生方がそうやって繋いでくださったものが、ひとつの形になって、そういうところでの賞ってことは、日頃の作品への注目度というか、CD のセールスとか、いろんなことも加味されてくると思うので、そうすると、やっぱり、直接的ではないかもしれないけれども、ファンの皆さんにも何らかの形でのご恩返しということにはなったかなって思いますね。
ーー 「ヨーロッパ三部作」の1作目『プラハの橋』は、その年、2021年の『第63回 輝く!日本レコード大賞』で、日本作曲家協会選奨を受賞し、当日は「レコ大」のステージでも歌った。
竹島: はい。でも、去年(2023年の企画賞受賞のとき)は、(当日のステージでは)歌ってなかったんですけど、ミュージックビデオを流していただいたんです。放送を見て、ミュージックビデオが 3曲分も流れてたから、それはびっくりだなって……(笑)。なかなか3曲とも流していただける歌手っていないだろうなって……(笑)、ありがたいなと思いました。
ーー そもそも、「ヨーロッパ三部作」は、最初から三部作として企画されていたのだろうか?
竹島: いや……、最初、「ヨーロッパを舞台にした歌を1曲」っていうことで『プラハの橋』ができて、「ちょっと評判がいいから、またもう1曲なんか作ろう」ということで、それが続いてった感じです……(笑)。
ーー 最初の『プラハの橋』の評判が良かったことで、2作目、3作目となり、結果的に三部作になったということだ。そうなると、作家も、毎回、「同じイメージで前作よりも良いもの」を作らなければならなくなる。
竹島: そうですね〜、見てて大変そうだなと思いました……(笑)。僕は作品は作らないですけども、多分、ひとつ大きな「ひながた」みたいな作品ができちゃうと、どうしてもそこを起点に作品を作らなきゃいけないとか……、そこを超えるとか……、あとは、そこと色を変えなきゃいけないとか、そういう生みの苦しみみたいなものもあるんだろうなっていうのは、制作の途中でも拝見してて感じました。
2 歌が変わるきっかけにもなった「ヨーロッパ三部作」〜「それがちょっと邪魔をするんですよ…」〜
ーー 「ヨーロッパ三部作」で、竹島宏 という歌手のイメージ、歌の世界観が、ある程度、確立されたと思う。同時に、それまでの歌、たとえば、『恋町カウンター』(2018年)、『噂のふたり』(2019年)、『夢の振り子』(2019年)という「踊らされちゃう歌謡曲シリーズ三部作」や、『はじめて好きになった人』(2020年)、『向かい風 純情』(2021年)などと比べて、歌声も変わったと感じる。余計なチカラが抜けて、より響きが豊かになったことによって、その歌声の魅力がより伝わるだけでなく、クリアな響きになったことで、言葉もがより聴こえてくるようになった。
竹島: ありがとうございます。「変えた」とか「変わった」っていう意識もあんまり実はないんですが、ただ、いろんなことがわかってきた……、「歌い方がわかってきた」っていうそういう時期かなと……。ずっと勉強してきて、積み重ねてきた結果というか、それまでは、頭ではわかってても、実際に体で表現しようとしたときにはどうしていいかわからないっていう。それが、頭でわかってる上に、こうしたら体でこうなるっていうことが、そういう意味での歌い方がわかってきたっていう、その時期が、この「ヨーロッパ三部作」かなと思います。
ーー 「掴んだ」という感じなのだろうか?
竹島: う〜ん……、そういうことになるのかもしれないですね。より自分の中で、そうですね……、掴んだ……、「体でちゃんと掴んだ」っていうところかもしれないですね。今までも、ずっと自分の歌い方に関しては勉強はしてきたんですけど、ただ、はっきりと「これ」っていう確証がどこか持ちきれてない部分があって、アドバイスをいただきながら、ただ一生懸命歌っているという……。
竹島: なので……、たとえば……、お箸の持ち方が「人に言われれば直せるけど、自分では直せない」。でも、それが、「自分でちゃんと持てるようになった」みたいな、「美しい箸の使い方ができる」みたいな、そういう感じです。
竹島: まあ、僕の場合は、ちょっと成長が人より遅いので。あとは、歌のいろんな勉強のスタートラインがすごく遅かったので、そういう意味でちょっと遅れをとってたかなと……。
ーー 竹島宏 の場合、多くの歌手とは違い、本格的に歌のトレーニングを始めたのが大学生のころからと遅かった(デビューまでのヒストリーに関しては、以前のインタビューで話してくれているので、そちらをお読みください。最下部にリンクを付けておきます)。
竹島: でも、まあ、逆に、その遅れをとっているっていうそれを悪いとは別に思ってなかったんですけど、遅れを取ってる分だけ、やっぱり人の何倍も勉強はしなきゃいけないし。
竹島: あとは、子供じゃない分、大人になってからの勉強なので、少し……、なんだろうな……、人にいろいろ言っていただいても、自分で考えちゃうんですよね。子供のときだったら、考えずに言われた言葉をすっと受け入れられるけど、でも、生きてきてるから、いろいろ経験もしてきてるから……(笑)、何かを考えて、それがちょっと邪魔をするんですよ……、自分の中で勝手にできちゃってる物差しがあって。
竹島: その物差しを外した状態であれば、もっと素直に速いスピードでできたかもしれないですけど……。でも、それは、全てが悪いわけじゃなくて、この自分の中でできちゃった物差しがあるから、そことの違い……、正しい物差しと自分の中で勝手にできちゃってる物差しとの違いが何なのかってことをまず認識し、この違いを埋めて、差をなくすためにはどうしたらいいだろうって考える時間が長かったけれども、それがあったから、今の自分があるんだろうなっていうのをすごく感じています。
竹島: だから、結局、その道のりは人それぞれだし、いろんなルートがあるだろうけれども、結果的に、自分は自分が歩んできた歌の道のりの中で勉強ができたから今の自分に繋がってるし、あとは、そういう経験が、おそらくこの先、いろんな音楽と出会ったときに、また自分の表現として歌を歌わなきゃいけない状況になったときに、今、この数年の間に勉強して気づいたことが、必ず活かせるんじゃないのかなっていう自負はすごくあって、それはもう、本当に作家の先生とか、あとはボイストレーニングの先生とか、いろんな先生方のご指導の賜物で、やっぱり、いくつになっても、自分が教えを請えば答えてくださる先生方がいてくださるっていうのがものすごく大きなことですね。
竹島: だから、これがもしも、「雰囲気で〜」とか「気持ちで〜」だけで終わってしまうと、ちょっとそれができないけれど、的確に「こうしたらいい」っていうことを答えてくださる方がいてくださるっていうのは大きいですね。その先生方との交流というか、レッスンの時間も含めての積み重ねが、この「ヨーロッパ三部作」のときに、完全とは言わないですけども、ほぼ形になった……、自分の中で。
竹島: その上での今回の『ハルジオンの花言葉』のレコーディングだったので、変な話、怖いものがとくにないというか、「こういうふうに歌うことによって、自分の歌がこうなる」ということが見えるので、あとは、「見える歌い方に近づけるためにはどうしたらいいか」っていうのも、自分が勉強してきて作った引き出しの中から、それを当てていくってことですね。
ーー ただ漠然と「より良い歌を歌う」ということではなく、「正解がイメージできる」ということで、その正解に近づけるための引き出しも持っているということだ。それが、今回の最新曲『ハルジオンの花言葉』にも繋がっている。
竹島: そうですね……、ありがとうございます。
ーー 先ごろ、この「ヨーロッパ三部作」をモチーフにしたミュージカル『プラハの橋』が、来年、2025年の 1月に、東京と京都で上演されることも決まった。作曲・編曲を 宮川彬良 が担当し、竹島宏 のほか、歌手の 庄野真代、俳優の 宍戸開 らが出演する。
3 「ヨーロッパ三部作」に続く最新曲『ハルジオンの花言葉』〜「必要以上に感情を込める必要はないんです…」〜
ーー 「ヨーロッパ三部作」に続く、通算29作目となる最新シングル『ハルジオンの花言葉』(作詞:松井五郎 / 作曲:幸 耕平 / 編曲:坂本昌之)が、先日、2024年7月3日に発売された。「ヨーロッパ三部作」のイメージを継承した『ハルジオンの花言葉』は、マイナー調のバラードで、サビの「♪もしも もしも 心が 愛を(夢を)覚えてるならば」の部分が耳に残る。竹島宏 の歌声のいいところがよく出ていて、切なさが伝わる歌だ。
ーー 発売初週の「オリコン 週間 演歌・歌謡シングルランキング」(2024年7月15日付)で1位となり、その翌々週にも、2度目の1位(2024年7月29日付)を獲得している。
ーー サビもいいが、 Aメロの「♪なれただろうか」「♪光射すのに」の部分がトリッキーなメロディになっていて印象的に耳に残る。その部分が、Aメロでいいフックになっている。
竹島: ああ……、そのへんは「幸耕平 先生」っていう感じですね……(笑)。最近、よく(幸 耕平)先生がおっしゃっているのは、「なんかやりたくなる」って……(笑)、もう「やらざるを得ない」って……(笑)。たとえば、自分が、以前に 幸(耕平)先生に作っていただいた曲を、時々、聴いていただくんですね……、「最近の歌唱がどうか?」って。そうすると、「う〜ん……、歌は別に問題ないけど、もう今の俺には、こういうメロディは作れないな」ってよくおっしゃってて……(笑)。
竹島: だから、やっぱり、(幸耕平 が作る)コード進行とか、メロディラインが、やっぱりちょっと既存の歌謡曲からは大きく飛び出ちゃってるところがあるから、人とは違うメロディラインになるんだなって思います。
ーー そこが、まさに 幸耕平 のいいところで、非凡なポップセンスを感じる部分でもある。
竹島: そうですね。そのあたりが……、自分も、いろんな先生の作品、他のアーティストさんに書かれている作品も含めて聴いてると、「ああ、こういうことなんだな。こういう狙いなんだろうな」とか思いながら聴いたりするんですけど、実際、自分もいただいてから染み込ませるまでの……、このラインでいうと、今回の曲は、「ヨーロッパ三部作」とはまたちょっと違う、ちょっとひとつまた進んだ形の歌謡曲になってるかな〜って。そういう意味では「一瞬、すっと歌えそうで歌えない」、でも、馴染んじゃうと、それが、逆に「心地がいい」っていう作品ですね。
ーー 歌謡曲だけど、よりポップス色が強い。だから、難しいメロディも出てくる。
竹島: そうですね。まあ、あと、(幸 耕平)先生がよくおっしゃってたのは、「譜割り命」って言ってました。「俺の歌を歌うのは、譜割り命だから」って。譜割りをいかに生かした歌い方ができるかどうかっていう……。メロディに既に感情はもう乗ってるから、歌い手が必要以上に感情を込める必要はないんです。
ーー ポップスや歌謡曲の場合、歌手が歌に感情を込めすぎると、押し付けがましくなり、聴く人の感情の入る余地がなくなることも少なくない。
竹島: はい、そうですね。まあ、そこら辺がその譜割りを大切に歌っていれば、自然に感情も乗ってくる歌になるっていう。それはもう「ヨーロッパ三部作」でも、そういう教えがありました。
ーー 『ハルジオンの花言葉』は、「ヨーロッパ三部作」も手がけた 坂本昌之 によるアレンジも素晴らしい。とくに、さりげなくメロディの裏にずっと入っているストリングスが、エレガントで心地よく、効果的に歌を盛り上げている。
竹島: アレンジを聴いたときに、「あっ、これいいな」って思いましたね……(笑)。というか、坂本(昌之)さんていう方が、ものすごくジェントルマンなんですね。もうその「人となり」がジェントルマンで、やっぱり、そのあたりがすごくこのアレンジに出てますね。ホントに……、う〜ん、なんだろうな……、あんまり僕がこの業界の中で出会ったことないタイプの異色な感じなんですよ。すごくピュアな精神をお持ちの方だなって、そういう感じがします。なので、今回も、坂本(昌之)さんにアレンジしていただけてよかったなと思いますね。
ーー レコーディングでも、気持ちよく歌えたと言う。
竹島: そうですね。もう、これ、アレンジのおかげです……(笑)。本当に、アレンジが歌い方を全部教えてくれてますね。あと、まあ、ひとつ言うとしたら、まず「余計なことをしない」、全てにおいて。まっさらな状態で、歌詞とメロディをそのまま歌うってことですかね。
ーー 楽曲が素晴らしいのであれば、それを歌声で音として忠実に再現するだけで良いということだろう。
竹島: そうですね。あの……、要は、「こうやって歌いなさい」っていうふうにメロディが言ってくれてる通りに歌う。そこに自分を入れない。だけど、そのメロディが「こう歌いなさい」言ってってくれてる通りに歌ってると、自然に自分の気持ちが出てくるっていう……。それが、多分、音色になって、変わってくるんだと思います。
ーー そういうふうに、意識的に自分を入れなくても、竹島宏 が歌っている時点で、既に 竹島宏 の個性は出ている。
竹島: ありがとうございます。
4 竹島宏 の「花便り」からイメージして作られた『ハルジオンの花言葉』〜「音に乗った言葉、乗せ方がさすがだなと思いました…」〜
ーー 『ハルジオンの花言葉』は、『悲しみにさよなら』(安全地帯)、『勇気100%』(光GENJI)、『逢いたくてしかたない』(郷ひろみ)、『また君に恋してる』(ビリー・バンバン、坂本冬美)や玉置浩二らの数多くのヒット曲を作詞したことで知られ、これまで3,500曲以上の作品を手がけている作詞家、松井五郎 が作詞した。
ーー 竹島宏 でも、2009年に発売された9作目のシングル『禁じられた想い』以降、おもに、作曲家 都志見 隆(つしみ たかし) とのコンビで、『月枕』(2017年)、『恋町カウンター』(2018年)、『噂のふたり』(2019年)、『夢の振り子』(2019年、『はじめて好きになった人』(2020年)、『向かい風 純情』(2021年)などの人気曲を 松井五郎 は手がけている。
ーー そういう、竹島宏 とは長い付き合いだけに、今回の『ハルジオンの花言葉』は、竹島宏 が、2020年から毎日、休みなく「X」(旧 Twitter)に投稿している「花便り」を知っていて書いたのではないだろうか?
竹島: はい、松井(五郎)先生は、完全にそうですね。で、この歌は「メロ先」なんですけど、幸(耕平)先生の中では、「花便り」とか全く頭になくて、ただ、「ヨーロッパ三部作」が終わって、「次、どうしようか?」ってなったとき、いろいろ悩んだと思うんですが、結果的に、「竹島には、なんかちょっと優しい男風な人が、帰ってきてほしいなっていう、そういうような歌を歌わせるのが、多分、ファンの人も喜ぶだろうし、見たいんじゃないか……」って、そういうことだけを、メロディと一緒に 松井(五郎)先生に伝えたんです。
竹島: それで、その「帰ってきてほしい」っていう言葉だけを頼りに 松井(五郎)先生は考えた結果、僕の活動もずっと見守ってくださっているので、「ちょっと 竹島くんの "花便り" にかけたやつをやってみよう」っていうことで、(松井五郎)先生が花言葉から「追想の愛」っていうのを調べてきて、そして、結果的に「ハルジオン」になったという……。「ハルジオン」は、たとえば、バラとか、そういうのとはちょっと違って、あんまり歌謡曲の歌の中に登場してくる花じゃないから、「そういうのもあっていいかな」っていうことで、出来上がったみたいですね。
ーー 「ハルジオン」の花言葉は「追想の愛」で、「かつての愛を偲ぶ」「過ぎ去ってしまった愛を思い返す」という意味を持つ。「ハルジオン」は、「X」(旧 Twitter)の「花便り」で紹介したことはあるのだろうか?
竹島: やってなかったですね……(笑)。だから、僕、正直、この歌をもらってから、「ハルジオンって何?」って、そっから入って……(笑)、「なんだ、そこに咲いてる花じゃない」みたいな……(笑)。なんか、「YOASOBI」とか、坂道系の方の曲にも「ハルジオン」って歌があるみたいですね。
ーー この 松井五郎 の歌詞も抜群だ。歌われたときに、耳で聴いて伝わるように、メロディにきっちり合うように言葉が乗せてある。とくに、Bメロの「♪君のいない 時が埋まらない」「♪君の好きな 花を思い出す」の部分など、意味だけでなく、音としての言葉のチョイスが素晴らしい。
竹島: そうですね、松井(五郎)さんの詞は、一点の曇りもない感じですね……(笑)。音に乗った言葉、乗せ方がさすがだなと思いました。
5 対照的な曲調の2曲のカップリング曲 〜「贅沢なシングルになったと思います…」〜
ーー 今回、『ハルジオンの花言葉』は、ジャケットとカップリング曲が違う「Aタイプ」と「Bタイプ」という2形態で発売されているが、それぞれのカップリング曲もいい。
ーー 「Aタイプ」のカップリング曲『I love youをこの場所で』(作詞:松井五郎 / 作曲:幸耕平 / 編曲:坂本昌之)は、さわやかなメジャー調アップテンポのポップスで、どこかなつかしい感じのする曲。
竹島: ありがとうございます。「恋人の聖地 親善大使」っていうものを、去年、ご縁があって声をかけていただいて、やらせていただいてるんですけど、なんか、何の役にも立ててないので……(笑)。なので、「歌で少しでも応援できたらな」っていうことで、それ(『I love youをこの場所で』)を作っていただいたんです。
ーー 「Bタイプ」のカップリング曲『幻フラメンコ』(作詞:松井五郎 / 作曲:幸耕平 / 編曲:坂本昌之)は、マイナー調のアップテンポ、曲名通りフラメンコ調の曲。サビの後半「♪今夜 幻 幻 幻フラメンコ〜」が耳に残る。
竹島: 『幻フラメンコ』の方は、「まだカップリングは作ってない」って話になったときに、僕が 幸(耕平)先生に、「あの、僕、『星のフラメンコ』(西郷輝彦、1966年)をいつもカバーさせてもらってるんですけど、すごい評判がいいから」って言ったんです。世代を問わず、その『星のフラメンコ』がリアルタイムじゃない人たちも、みんな一緒になって手拍子を普通にできるから、「フラメンコを 1曲作ってください」っていうお願いをしたら、「わかったよ〜」って言って、すぐ作っていただきました。
竹島: それで、あと、(作詞の)松井(五郎)先生が、「イントロはさあ、こういうふうにできたら面白いよね」っていう、その 松井(五郎)先生の言葉をきっかけに、坂本(昌之)さんが、今のこの『幻フラメンコ』のこのイントロができたんです。
竹島: 聴いて、最初、「いいですね! 先生! ちょっとコレ(カップリングには)もったいないから、とっておきますか」って言いました……(笑)。「カップリングにしちゃっていいのかな〜?」って言ったんですけど、「いくらでも作るから大丈夫だよ」っておっしゃってたんで、「じゃあ、そのまま入れさせてください」って……(笑)。
竹島: なかなか、曲も、そのタイミングとか、(作家の)先生たちのいろいろ流れもあるし、「作ろうと思って作れる曲じゃない」っていうのもあったりとかすると思うんですけど……、まあ、なんか、ちょっと贅沢なシングルになったと思います。
竹島: なので、あくまでも、このカップリングとかは、またライブで皆さん盛り上がっていただける曲……、だけど、カップリングとは言いながらもリード曲に近いようなクオリティっていうことで作っていただいて……。僕のカップリングってそういう作品が多くて、A面じゃないかもしれないけど「いいね〜!」って言ってもらえる曲が多いので、だから、今後もまた、あんまり演歌・歌謡曲系でオリジナルだけのライブってないかもしれないですけど、今まで先生方にいただいた作品も含めて、オリジナルだけでも十分にライブができると思ってます。
6 「X」の「花便り」が歌にも影響 〜「これは花のおかげですね…」〜
ーー 最新曲『ハルジオンの花言葉』を制作するにあたって、そのきっかけとなったという 竹島宏 の「X」(旧 Twitter)での「花便り」は、コロナ禍に始まった。
竹島: きっかけは、コロナ禍のときに、何もできなくて、活動が止まっちゃって、「ファンの人が寂しいだろうな」みたいな……。やることもないし、会うこともないからって思ってたときに、ちょっと、花の写真と花言葉を載せて、「少しでも、なにか安らぎになったらいいな」みたいな感じでしたね。もう、本当、軽い気持ちで……、最初は長く続けるとかも全く考えてなかったです。でも、最初から、毎日やってました……(笑)、やることもなかったですし……(笑)、本当に。
ーー 毎日、休みなく投稿を続け、2022年12月には「1000投稿達成」がニュースにもなった。
竹島: そうです。だから、ずっと毎日やってます……(笑)。
ーー 毎日、違った花が出ているが、その花の現物はどうしているのだろう?
竹島: あっ、買ってる花もあるし、最近は、次第に、ファンの方が花束とかブーケとか送ってくださったりするんですよね。で、それも、「せっかくだから載せよう」と思って載せさせていただいてます。
竹島: だから、最初の頃は、本当に「一輪挿し」みたいな一輪のやつとか、あと鉢植えみたいなのを買ってきて写真を撮ってたんですけど、だんだんファンの皆さんが送ってくださるようになって、今は、地方で頂いたお花も可能な限り東京に持って帰って写真に撮ってます。だから、ちょっとしおれちゃったりとか、枯れちゃったりとかもあるんですけど、それも、そのまま載せてます。でも、たまに、送ってくださる花が「なんの花だったかな〜?」とかってことも……(笑)。
竹島: あと、以前、クチナシかなんかの花を送ってもらったとき、お花屋さんに頼んだものだと思うんですけど、花がないんですよ。だから、多分、ファンの人が一生懸命お金払って送ってくださったと思うんですけど、ちょっと送ってもらったものがあんまりだったんだろうなっていうものもありましたけど、でも、それも、そのまま花はついてないけど載せました……(笑)。
竹島: 本当に、なんか、なんですかね……、なんかもうずっと毎日やってるから、逆に「いつ辞める?」みたいな感じなんですけど……(笑)。
ーー 始めて4年目になるが、1日も休まず続けるのはつらくないのだろうか?
竹島: 途中、ちょっとつらい日もありましたけど……(笑)、でも、結局、「ちょっとなんかしんどいな」と思いながら載せてても、ファンの人が「今日もありがとう!」みたいなコメントを書いてるのを見ると、「またやろうかな」みたいな……。
竹島: ここまでずっと花の写真を撮ってたりとかすると、綺麗なのも花だし、枯れてくのも花だしって、なんかそういう気持ちにちょっとなりますね。それが自分にとってすごく良かったんじゃないかと思いますね。
竹島: 歌とかでも、ちゃんと歌えなかったらもう本当に落ち込んでたのが、「歌えない日があっても、それも歌人生だから」っていうふうに思えるようになってきたのが、これは花のおかげですね……(笑)。なんか不思議ですね。今までだったら、もう1ヶ所うまく歌えなかったところがあると、本当にもう自分で自分のこと「死んでしまえ」ぐらいな感じでしたけど、全くそういうのがなくなったというか……。だから、花の力ってすごいですよね。
竹島: なので、相当、自分の調子が悪いとかでない限り、なんとかして今後も続けたいと思ってます……(笑)。
7 定番になっているカバー曲『Too far away』〜「伝わるものがあるんじゃないのかなっていう…」〜
ーー 竹島宏 のコンサートで、頻繁に歌われるカバー曲がある。『ほほにキスして』などのヒット曲で知られる 水越けいこ が歌った『Too far away』(作詞・作曲:伊藤薫、1979年)だ。1988年には 谷村新司 が『Far away』としてカバーするなど、多くの歌手にカバーされている名曲だが、竹島宏 の CD や DVD には収録されていない。
竹島: はい、たしかに CD には収録されてないですね。そうですね……、結構、歌ってますね。純粋に「いい曲だな」と思って何かのライブで歌い始めて……。で、最初は、あんまり、それこそ、そんなに上手に歌えてたわけじゃなかったと思うんですけど、でも、なんか歌ってくうちに、その楽曲自体にも自分がはまっていったし、あとは、結構、ウチのファンの人って、歌詞をかみしめながら歌を聴く方が多くて、たとえば、1回『Far away』(『Too far away』)を歌うじゃないすか、そうすると、「なんか良かった」っていうことだけは覚えてるんだけど、「どんな意味だったのか?」ってことを、それこそ「歌ネット」さんで歌詞を検索して見ると、「ああ〜、こういう意味だったんだ〜、もう1回また聴きたい」みたいな感じで……、で、また、自分も歌ったりとかして、その繰り返しをしていくうちにって感じですね。
竹島: だいぶ前から歌ってはいたんですけど……、いつからだったのかなあ……、随分前に、岩手とかどっかのディナーショーのアンコールとかでも歌ってたかな……。たとえば、ちょうどコロナ禍のときなんかも、配信ライブとかいろいろやってる中でも歌わせてもらったんです。
竹島: やっぱり、(歌詞の)意味合いが、「遠くにいる恋人に」というか、「その思いを」っていうのが、どんどんどんどん深まってたんでしょうね。自分の中では、「歌は祈り」みたいな気持ちがすごくあって、なので、その場にいてくださる方、その場にはいない方でも、気持ちを込めて歌い続けていれば、その「思い」っていうのは音の波動となって、音は聴こえないかもしれないけども、伝わるものがあるんじゃないのかなっていう……。そういう気持ちで歌っていきたいなっていうのがすごくあって、ま、そういう自分の気持ちを表す上でも、この『Far away』(『Too far away』)の詞の世界とかが、すごくフィットするんですよね。
ーー 最初は、単純に好きで歌っていたが、歌詞やメロディの奥深さによってどんどん好きになり、そのメッセージ性も含め、伝えたい気持ちがより強くなっていったということだろう。
竹島: はい。で、(作詞作曲の)伊藤(薫)先生にお会いしたときに、「歌わせてもらってるんですよ〜」って言ったんですけど……(笑)。自分はカバーアルバムとか作ってないですけど、もし作ることがあったら、入れたい曲かな〜っていう。この『Far away』(『Too far away』)は、いろんな方が、それぞれのバージョンで歌ってますけど、歌唱でも、僕自身、ものすごく勉強させてもらいました。
8 バラエティのレギュラー番組『竹島宏の旅はハッピー オッパッピー』〜「すごく大きな影響を与えていただいてる…」〜
ーー 昨年、2023年6月から、CS「チャンネル銀河」で、竹島宏 のレギュラー番組『竹島宏の旅はハッピー オッパッピー』が放送されている(不定期放送)。2016年5月から放送されている『竹島宏の歌MAX』のような音楽番組とは違う「歌×旅×食」がテーマのバラエティの冠番組で、小島よしお とともに日本各地を旅する。最新エピソードでは、竹島宏 の故郷、福井を訪れている。
竹島: あ〜、(『竹島宏の歌MAX』とは)全然違いますね〜……(笑)。まあ、本当に、小島(よしお)さんとのご縁が非常にありがたいなって思う番組ですね。番組そのものも、スタッフの人たちもすごくいい人たちばかりで楽しいんですけど、そこに全く違う世界で生きてこられた 小島(よしお)さんとご一緒する時間も、今の自分にとっては、すごく大きな影響を与えていただいてるような気がしますね。
ーー どんな影響があるのだろう?
竹島: 「あっ、今までの自分で良かったんだな」って思わせてくれる人ですね。小島(よしお)さんのいろんな……、何だろうな……、小島よしお さんって方は、すごく誠実というか、押し付けがましさのない性格って言うんですかね。人との距離感の取り方がすごく巧みでいらっしゃるというか、全く外連味(けれんみ)ないというか、それで、なんか、いるだけで急に空気が変わっちゃう明るくなるみたいな空気感っていうのは、すごいなと思うんですけど、「だから何?」っていうアピールでもなく、自分にもなんかその圧で来る感じなんですけど、でも、別にそれ以上は来ないみたいな、「竹島さんは、竹島さんですよね」みたいな。その間合いの取り方がすごく絶妙ですよね。
竹島: なので、何回かご一緒させていただいてて、年下でいらっしゃいますけど、なにか人生の先輩とご一緒させていただいているような……。(小島よしお は)1歳下なんですけど、それは、やっぱり(小島よしお)は、ご家庭があってパパでいらっしゃることと、あとは「そんなの関係ねー!」で時代を築かれたっていうところもあると思うんですけど、そこら辺も含めて、なんか不思議な安心感があるっていう中で、自分もマイペースにいつも収録させていただいてて、お互いにお互いを向き合ってるんだけど、正直あんまりかみ合わない……(笑)、かみ合わないんだけど、かみ合わないままお互い……(笑)。
竹島: でも、それも、かみ合わないことが悪いとはお互い思ってないんですよ……(笑)。それは、「かみ合わないのが僕たちだから」みたいな……、だけど、一緒にこの番組を進めていってるっていう……、「どっかでちょっと何か交わることがあるかもしれないけど」みたいな。
竹島: なんか、そこら辺も、すごく僕にとっては大きな出来事というか、たとえば、歌を歌うとしたら、最終的にデュエットするとしたら、男性でも女性でも「ひとつのものを仲良く作り上げましたね」って、「心がひとつになりましたね」っていう絵が見えないと気持ちが悪いだろうし、そういう絵を求められるだろうから、いろいろと調整をしながら、そこにみんな近づけますよね。
竹島: だけど、あの番組のときは、ひとつにまとまらなくていいんですよ。それぞれのまま、個々のままいても、「それで成立するっていう世界があるんだ」っていう、無理やり交わる必要はないって。仲が良いとか悪いとかそういうことじゃなく、でも、個々として存在する中でひとつの番組が出来上がっていて、なぜか、ちぐはぐなような、かみ合うような、かみ合わないような、そのあたりのバランスの凸凹な感じが、見てる人は面白いっていう。
竹島: そこで成立してる番組っていうところが、それはもしかして歌番組じゃないからかもしれないですけど、見てる人はちょっと面白いのかなっていう。ファンの方も、「最初から最後までずっと笑いっぱなしだよね〜」って言われるので、僕は「そう、結局、あんまりかみ合わないんですよね〜」って言うと、「そうそう、そこが面白いんだよ!」みたいなこと言ってて……(笑)。
ーー たしかに、ちぐはぐではあるが、不思議なバランスがあって面白い。
竹島: あ〜……、多分、それは、二人とも大人だからかもしれないですね。
ーー お互い、そんなに気を使うことなく勝手にやっているところが面白い。
竹島: そうですね、全然、気は使ってないですね。あの番組は、ほぼ打ち合わせがないですね。台本みたいなのがあっても、まず台本通りにはならないし……、なんか、まあ、非常にいい経験をさせてもらってますね。
9 デビューから22年、いかに自分を確立していくか 〜「自分が全くそういうことに興味がない…」〜
ーー 今だと「演歌・歌謡曲」という範疇に入るのは仕方がないが、竹島宏 は、コブシをまわすような、いわゆる「演歌歌手」ではなく「ポップス系の歌謡曲歌手」だ。たしかに、2002年のデビュー曲『いいもんだ いいもんだ』(作詞:久仁京介 / 作曲:水森英夫)は音頭調だし、初期のころは「ムード歌謡」とか「演歌」と言ってもいいような曲もあるが、2009年に発売された 9作目のシングル『禁じられた想い』(作詞:松井五郎 / 作曲:都志見隆)以降、これまでのシングルは、いずれもポップス系の歌謡曲で、従来のイメージの演歌とは全く違う。コブシをまわすこともないし、カバーでも演歌は歌っていない。「演歌・歌謡曲」という言われ方に違和感は感じないのだろうか?
竹島: まあ、あんまり気にしてないですけどね。
ーー 若手歌手と言われながらも、2002年のデビュー以来、まる22年が過ぎた。最近は、後輩の若い歌手も増えてきている。
竹島: ああ……(笑)。っていうか、自分が、それだけの年齢とか、年月が経ったっていうことの自覚がまだないんですよね……(笑)。22年って言われても「ああ、そうなんだ〜」っていう感じで……(笑)。
竹島: 「最近、若いっていう人たちが出てきてる」っていうのも、そう聞くから「ああ、そうなんだ〜」っていうくらいなんですけど……(笑)。誰からどこまでがそうなのかっていう意識も実はあんまりなくて、まあ、せいぜい言うと、それこそ『新・BS日本のうた』とか、そういういろんな番組でご一緒すると、「そうなんだ〜、若い人が出てきてるんだな〜」とか、「この人が今ちょっと注目されているのかな〜」とか、「(レコード)メーカーさんのイチ押しなのかな〜」とか、ちょっと業界的な目で見る部分はありますけど……(笑)。
ーー NHK BS と BSプレミアム4Kで放送されている人気の音楽番組『新・BS日本のうた』では、「若手イケメン5人衆」のような企画で出演したこともあり、その中では、一番先輩だった。
竹島: あっ、あれは、僕はね、心苦しかったですよ……(笑)。なんか、自分がただ年月がいってるだけで、「まとめられないしな〜」と思いながら。
竹島: まあ、でも、なんですかね……、自分はあんまり歴史的なことを勉強してないですけど、おそらく、歌謡界の歴史の中でも、どんどんそうやってキャリアが出てきて、また若い人が出てきてっていう繰り返しで、自分がデビューしたときなんかも、そういう立ち位置の先輩たちがいらっしゃって、多分、いろいろなことが繰り返しある中のそういうひとつなのかなっていう、歴史の流れの中で……。
竹島: たしかに、そういう意味では、自分は、いわゆる「新人さん」とか「若手」っていうふうな部類からはちょっとずつ離れてきてるんだろうなっていうのはあります。
竹島: ただ……、ひとつ言えるのは、お客様からそういう言葉、若手の最近デビューした子たちのこととかを直接言われることはないですけど、なんとなくそういうような話が自分の耳に入ってくるような形になって聞くと、「ああ、そうなんだね」「そっか、自分はちょっと上になってきてるんだな〜」っていうふうに思うんですが、でも、結局、自分の中では、正直、先輩も後輩も誰も見てないんですよ……(笑)。結局、自分のことしか見てないっていうか……(笑)。
ーー まわりを全く気にしていないというか、そもそも気にならないのだろう。それよりも、自分がどうか、自分がどうありたいかということだけが気になることで、そこしか見ていないのだろう。
竹島: 多分、本当は、業界的な感じで言うと、もう少し「先輩的な自覚」とか「ライバル心」みたいなものを持つとか、かき立てるとか、「そういうような中で何かを」っていうね、お互いに競い合わせる絵っていう方が面白いって……、それは「イケメン3」のときに言われたことがあるんですよ。
ーー 「イケメン3」は、2008年に『NHK 歌謡コンサート』(現在の『うたコン』)の企画で、北川大介、山内惠介 とともにイケメン演歌歌手トリオとして結成された。2009年12月には『恋の摩天楼』というシングルも発売されている。
竹島: でも、なんか、本当に申し訳ないのが、自分が全くそういうことに「興味がない」ということと、あと、「もう、そういう時代じゃないだろうな」っていうのは、実は本当に思っていて……。
竹島: だから、これからは、そういうところじゃなくて、いかに自分っていうものを確立していくかってことがとても大切で、おそらく、今までの流れだと、自分を確立するために人と何かをしたりとか、競い合ったりすることで、自分っていうものを発見するとか見つけ出すっていうのが、今までの時代のやり方だったかもしれないですけど、これからは、もちろん、競い合うことが悪いわけじゃないですけど、競い合うとかそうじゃないんですよね。
竹島: なんか、もっと自分の内面を掘り起こす時間を持った人だけが残っていくと僕は思っているので、そういうことを、今、ずっと、永遠と……(笑)。
竹島: それで、自分としては、なんだろう……、「竹島宏の世界」をやっぱり作りたいんですよね。「竹島宏 のライブに行って、竹島宏の歌を聴きたい、竹島の声を聴きたい」っていう、そういうお客様に応援をしていただきたいっていう、そのための活動を自分は今しているので。ということは、「誰よりも優れて」とか「誰よりも売れて」とか、そういうことじゃなくて、「この歌は、この声は、竹島宏 のライブに行かないと聴けないよね」っていうそういう歌手になるっていうことが僕の今の最大の目標ですね。
竹島: そういう意味で言うと、ちょっと離れてるかもしれないけども、「じゃあ、絶対にヒット曲を作らなきゃいけないか?」って言うと、そうではなくて、またちょっと違ってくる……。だけど、ヒット曲は欲しい。要は、どういう意味でのヒット曲かというと、「竹島宏 の世界ってこれだよね」って、その代名詞になるような歌、代名詞になるようなヒット曲は作りたいっていう……。名刺代わりですね、名刺代わりのヒット曲を作るっていうことはしたい。
竹島: でも、それは、「チャートで何位」とか、「何万枚とか何百万枚売れた」とか、そういうこととはちょっと違う。そういう意味でのヒット曲を作るために、僕は、今、自分の歌をトレーニングし、自分の声を追求して、ボイトレでもその歌唱トレーニングでも行ってるつもりなので、そういう感じで生きてきちゃってるので、だから、正直、「他(た)と交わらない」というか……(笑)。
ーー それは、はたから見ていても感じる。竹島宏 は、決して他の歌手仲間と仲が悪いわけではないが、群れ合うようなことはなく、「孤高の歌手」のようにも見える。
竹島: あ〜……、でも、なんか、ポップスの人とかって、そういう人、多いですよね。そういう人たち多いから、だから、自分は……、まあ、お客様は、どうしても演歌歌謡のお客様だから、やっぱり「みんなで」っていうところはあると思うんですけど、もうちょっと広い視点でこの音楽ジャンルを見ていただくと、「あっ、こういう歌手がいる」「こういう歌手もいるんだね」っていうふうに思っていただくと、多分、またちょっと、竹島宏 の見方も変えていただけると思います。
竹島: それと、あと、ひとつ言えるのが、自分がこんなこと言い切れるのは、もう 竹島宏 の歌を一途に愛してくださる方が、ずっと応援をしてくださってる方がいるから、だから、やっぱり、そんな皆さんの信頼にも応えたいし、自分の歌を一途に愛してくださってる皆さんの気持ちを僕も信じて、歌を届け続けるっていう……。ずっとその時間を費やしてきたので、あとは、これからも自分の歌を聴きたいと思ってくださる方たちとの出会いを楽しみに、いろんな歌を歌いながら、頑張っていけたらいいのかなっていうふうに思っています。
(取材日:2024年 7月19日 / 取材・文:西山 寧)
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