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LOVE PSYCHEDELICO ライヴレポート

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【LOVE PSYCHEDELICO ライヴレポート】 『LOVE PSYCHEDELICO 「LIVE THE GREATEST HITS 2020」 @TOHO CINEMAS TACHIKAWA TACHIHI』 2021年1月11日 at 配信ライヴ

2021年01月11日@配信ライヴ

撮影:田中聖太郎/取材:田山雄士

2021.01.21

LOVE PSYCHEDELICOが1月11日、1stアルバム『THE GREATEST HITS』の完全再現ライヴの模様を配信した。

本公演は昨年10月8日に東京・TOHOシネマズ 立川立飛 プレミアムシアターで開催。新型コロナウイルス感染拡大の影響でライヴを楽しむ機会がなかったファンへのプレゼントにしたいというデリコの想いから、ぴあアプリユーザーとファンクラブ会員より抽選で限定80名を無料招待して行なった激レアなワンマンだ。同会場はNAOKI(Gu)がスピーカーのチューニング監修を手がけたことが話題となり、そこでダブルミリオンを売り上げた伝説のデビューアルバム『THE GREATEST HITS』の全曲が味わえるのも貴重。また、配信日は奇しくも同作の発売からちょうど20年の節目の日で、成人の日に収録曲もめでたく20歳を迎えたのだった。

NAOKIのお馴染みのリフから「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」でライヴはスタート。バックのスクリーンにカセットテープが回り出す映像もデリコならではのクールさで気分が高まる。そして、やっぱり音響がすごい。KUMI(Vo)の歌声とNAOKIのギターをはじめ、深沼元昭(Gu)、高桑 圭(Ba)、富田政彦(Dr)、松本圭司(Key)を含む全パートの鳴りがとてもクリアーで、なおかつダイナミックに届く。2019年のアコースティックツアー『TWO OF US』で大活躍した特注スピーカーに加え、今回のTOHOシネマズ 立川立飛の音響設備。その素晴らしいサウンドは、配信という状況でも存分に感じることができた。

続いては、KUMIがアコギを手に歌う「Your Song」。マスク姿ながら総立ちで楽しむオーディエンスのハンドクラップが演奏にプラスされ、オープンしたばかりの真新しい会場に温かいアンサンブルが染みわたっていく。KUMIとNAOKIも嬉しそうにステージ中央でギターを奏で合う。さらに「Last Smile」。絶大なインパクトを誇るこのヒットソング3曲がアルバムの曲順通りに届けられたことで、“THE GREATEST HITS”というタイトルの説得力や真実味が一段と増す。リリースから20年。今やスタンダードと呼びたいほど耳馴染みのある楽曲だが、同時にLOVE PSYCHEDELICOじゃなければ表現できないオリジナリティーに富んだ楽曲であり、そんな事実にも改めてハッとさせられる。

デビュー以降ずっとライヴを彩ってきた定番曲を経て、「I mean love me」からはディープゾーンへ。ステージが赤と青のライティングで照らされる中、妖しくサイケデリックな演奏に乗って、KUMIの英詞ヴォーカルもぐんぐん熱を帯び出す。タメの効いたリフやボトルネック奏法などNAOKIのギターが華麗に冴え、場内をラブ&ピースなムードに包んだ「Moonly」。KUMIとNAOKIがともにアコギをプレイしてふたりだけで聴かせ、息ぴったりのハーモニーでフォーキーに駆け抜けた1分弱の小曲「Are you still dreaming ever-free?」と、ルーツである60~70年代のロックに2000年代当時の音楽性をミックスさせたナンバーの数々をテンポ良く、極めてナチュラルに届けるあたりがなんともデリコらしい。再現ライヴとなると、他のミュージシャンならばもっと硬さがうかがえたりするものだけれど、そこを感じさせず楽曲にのめり込ませてくれるのがさすが。

このあたりで観る側も収録曲全てを曲順通りに披露していく、まさにアルバム完全再現ライヴのセットリストであることを察する。MCなしで進むスタイルにしても、ほぼ原曲に忠実なアレンジで聴かせる楽曲にしても、おそらく『THE GREATEST HITS』そのものを
混じり気なく、じっくり楽しんでもらいたいという意図だろう。しかも、原曲および生演奏の魅力をスムースに融合させたような最高の音質で堪能できるのだから、本当に贅沢でスペシャルな体験だ。KUMIとNAOKIも1stアルバムの再現を心から楽しんでいる様子がまたいい。

「I miss you」になれば、客席のオーディエンスが手を左右に振って身体を揺らす。デリコのふたりと同じくアルバムに没頭して音楽を無垢に楽しむ姿は、画面越しで観ているこちらも思わず胸が熱くなる。KUMIがハンドマイクで躍動感あふれるパフォーマンスを見せ、ライヴハウスさながらに盛り上がった「ノスタルジック'69」。NAOKIが爪弾くやさしいアコギの響きを中心に、やわらかなアンサンブルで披露した「These days」。うっとりと聴き惚れるうちに、ライヴはもう終盤に差しかかっていた。

ここまで聴いてきてしみじみ思ったのは、『THE GREATEST HITS』の楽曲がその名に似つかわしくまったくもって色褪せていないこと。色褪せるどころかむしろフレッシュで、抜群の輝きを放っていることに舌を巻く。そして、名盤の完全再現を支えるバンドメンバーのサポートぶりも観応え十分。中でも、キーボードのみならず、曲によってギターとマンドリンも弾く松本の存在感は目を惹かれるシーンが多かった。配信ライヴではそうした各プレイヤーの手元や表情が細かく確認できる。

冒頭でリズムボックスの音色にNAOKIがちょっとしたフレーズを添え、弾むようなラップ調の歌唱で入る「LOW」は、KUMIのヴォーカルに合わせて自在にかたちを変えていくグルーブ、陽のテンションが気持ち良すぎてもう圧倒されてしまった。そんなこんなでアルバムの最後を飾る「A DAY FOR YOU」までが本当にあっと言う間。当日の会場ではコロナのせいで声を出せなかっただろうけど、家で観られる配信ライヴならKUMIの“everybody!”に応えてサビでシンガロングができる。集まってくれたファンたちへの感謝と受け取れる演奏、メンバー全員が自然にこぼす晴れやかな笑顔もたまらない。

音楽の素晴らしさが伝わるラストソングを終えたところで、“どうもありがとう!”と清々しく告げたKUMI。そのままメンバー紹介&全員で一礼し、エンドロールとともに一夜限りのプレミアムショウは幕を閉じた。本編のみ、アンコールなしの1時間。こうやって名盤にじっくり浸れる機会は、めくるめくスピードで情報が行き交う昨今においてかけがえのないひと時だったし、映画館でのライヴにも俄然興味が湧いたので、もし同じような試みがまたあるなら、次は生で目撃してみたい。

撮影:田中聖太郎/取材:田山雄士

LOVE PSYCHEDELICO

1997年結成。00年1月、TOWER RECORD新宿店・渋谷店・名古屋近鉄パッセ店・大阪丸ビル店・下北沢ハイラインレコードの5店舗にて、2曲入り100 円カセットを数量限定発売。同年4月にシングル「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」でデビューすると、01年に発表した1stアルバム『THE GREATEST HITS』が200 万枚、02年発表の2nd アルバム『LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA』が100万枚を超える驚異的なセールスを記録。NAOKIの卓越したギターテクニックとKUMIのヴォーカルスタイルは、印象的なリフ、日本語と英語が自由に行き交う歌詞により、独自の音楽スタイルを確立している。

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