LIVE REPORT

Uniolla ライヴレポート

Uniolla ライヴレポート

【Uniolla ライヴレポート】 『Uniolla 1st Tour 2021』 2021年12月7日 at LIQUIDROOM

2021年12月07日@LIQUIDROOM

撮影:西槇太一/取材:田山雄士

2021.12.15

KUMI(Vo&Gu/LOVE PSYCHEDELICO)、深沼元昭(Gu/PLAGUES、mellowhead)、林幸治(Ba/TRICERATOPS)、岩中英明(Dr/Jake stone garage、brainchild's)による新バンド、Uniollaが自身初となるツアー『Uniolla 1st Tour 2021』を東名阪で開催。本稿では12月7日に恵比寿LIQUIDROOMで行なわれた初日の東京公演の模様をレポートする。

最高の顔触れが揃ったバンドの記念すべき初ライヴだけに、恵比寿LIQUIDROOMには多くの観客が詰めかけ、開演の時を今か今かと待ちわびていた。そして、定刻になるとメンバーとサポートの野崎泰弘(Key)がステージに登場。BGMとして流れていたWunder Wunderの「Coastline」がそのままSEに代わり、「A perfect day」でオープンな空気を解き放つあたりがなんともナチュラルで、メンバーの佇まいや音楽性と合っていてとてもUniollaらしい。

輝かしく灯るステージの照明、颯爽と響きわたるKUMIのヴォーカルおよびマンドリン、深沼の美しいギターフレーズなどにうっとりする中、“こんばんは、Uniollaです! 1stツアー、1stライヴ、今日は来てくれて本当にどうもありがとう。ドキドキしてるよ。みんなと一緒に素敵な時間を過ごせたら嬉しいな”とKUMIが挨拶。初めてお客さんを前に奏でる感覚、バンドの呼吸をひとつひとつ確かめるように、5人は歌と音を鳴らす。続く「手探り」ではKUMIがエレキギターに持ち替えて単音でイントロフレーズを弾いたりと、これまでにはないアプローチが観られるのも実に新鮮だった。

楽しさのあまり、演奏直後に思わず“どうもありがとう!”と大きく声を上げる深沼。その口振りがPLAGUESなどのライヴで観てきた感じと同じすぎたため、“いつもの癖でつい言っちゃいました(笑)”と自ら弁明するところから最初のMCタイムへ。林も“深沼さんの“どうもありがとう!”でびっくりしましたよ”とツッコミを入れ、KUMIも“こんなにしゃべっちゃってていいの!?”と笑い、和やかなムードが漂い出す。

「無重力」「Knock」とリリースされたばかりの1stアルバム『Uniolla』の収録曲が次々に届けられるうち、このバンドの凄みがじわじわと露になっていった。中でも素晴らしかったのは、制作時からメンバーによるサウンドのみでステージが成り立つこと、楽器を重ねすぎないことにこだわり、隙間をあえて活かしたアンサンブル。5人の音が絶妙なバランスで溶け合い、演奏に豊かさと深みが生まれる。これは派手なアイディアや思考にとらわれていては到底辿り着けない、研鑽を続けてきたミュージシャン同士ゆえの味わいだ。ライヴでも各自のプレイがよく聴こえるのがUniollaの特徴。その耳当たりは懐かしくて新しい。

“どんなお客さんが来るのか、どんな演奏をするのか、いろんな緊張があったと思うんですけど、僕らも同じくらい緊張してます”と深沼が話していたが、林がコロナ禍の日々でいつもよりジョギングがたくさんできたとか、岩中が実はけん玉の準初段を持っているとか、KUMIが過去にソフトボールをやっていて足が速いなど、メインのカッコ良いパフォーマンスとは打って変わって、MCではほんわかトークが気ままに繰り出される。そんなギャップもまた、初ライヴで明らかになったUniollaの魅力だろう。

憂いをもって切ないトーンで聴かせる「Sputnik love」、林のベースと野崎のキーボードを軸にサイケな色を施した「No pain」。鳴らされるサウンドはライヴが進むごとに広がりを見せ、同時に5人の雰囲気もどんどん良くなっていく。“緊張してる”と言いつつも快感が勝って、自然と笑顔をこぼすメンバー。それぞれにキャリアを積んできた面々が今なおワクワクドキドキしながら、新しいバンドが組めた、充実のアルバムが完成した喜びを、そして作った曲を演奏できる楽しさを、観に来てくれたオーディエンスと全力で分かち合っている。その青春の煌めきにも似た純粋無垢なエネルギーにグッときてしまう。アルバムでエンジニアを務めたLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIも、そんなUniollaの姿をPA席から嬉しそうに見守っていた。

“アルバムの11曲だけじゃライヴが成立しないと思った”(深沼)ということで、中盤ではなんと未発表の新曲を4曲も披露! The Cureなどのポストパンクやニューウェイヴのテイストを感じさせた「Leap」、USカントリーっぽさを孕みつつエレピの清々しい音色がいいアクセントになっていた「It's just the time」、祈るように《許し合って》と歌うアンセム調のロッカバラード「容赦なく美しい朝」、モータウンビートに乗せた軽やかなナンバー「嘘はないはず」。こうした初お目見えの楽曲でも、聴き手にスッと入ってくるクオリティー、ポップセンスを誇っているのがすごい。それでいて、オルタナティブロックを好むバンドの側面も強く際立っていた。

「絶対」「どうしても」などが配されたライヴ後半は、深沼のメロディーに導かれたKUMIの素直な歌唱が印象的に感じられる展開に。《「絶対」って君が言うのを聞きたい》《なぜって? 「どうしても」って言うしかない》といった、KUMIが使うイメージのないワードから生まれたUniollaならではの新たな人格みたいなものが一段と伝わってくる、LOVE PSYCHEDELICOとはまた別の繊細なタッチ、切ない響きがたまらない。それに寄り添うバンドのグルーブも美しく極まるばかり。

「Trapeze」のイントロに乗せて、“このふたり(KUMIと深沼)で“こんな音楽いいよね”って始まったところから仲間が、スタッフが集まってくれて、今日みんながこうやって来てくれる。なんて幸せなんだって思います。どうもありがとう!”とKUMIが改めて感謝を告げる。そのあとに“Uniollaを続けていきたい”という嬉しい言葉もあった。クライマックスは彼女の歌声がますます温かく場内に浸透し、オーガニックでゴキゲンなサウンドとともにオーディエンスをやさしく包み込む。そして、バンドの演奏が情熱的に加速するアウトロにメンバー紹介も挟んだ「あしたの風」で、本編を最高のテンションのまま締め括った。

アンコールでは、KUMIがメロトロンを弾きながら大切な人とのつながりと儚さを歌う「果てには」を、メンバー4人だけの慈しみに満ちたアンサンブルで届けた。“僕らエンターテイメント業界は苦難の時期を過ごしてきて、今も制約が多かったりするんですけど、その中で無謀にも新たなバンドを始めて、こんなにたくさんの人たちが来てくれて本当に嬉しいです。最初のライヴを観たというのがいつか自慢できるようなバンドになれたらいいなと思います。これからもよろしくお願いします!”と深沼がまとめ、ラストは全員でもう一回「A perfect day」を、KUMIがハンドマイクのバージョンでより伸び伸びと演奏。まさに《このままでずっと続けばいいのに》と感じる、ハッピーと生命力があふれる大盛況のライヴだった。

撮影:西槇太一/取材:田山雄士

Uniolla

LOVE PSYCHEDELICOのボーカルKUMI、深沼元昭(PLAGUES / Mellowhead)、林幸治(TRICERATOPS)、岩中英明の4人による新たなバンド「Uniolla」。( 読み:ユニオラ )深沼が過去に多くのボーカリストとの共演を実現してきたソロ・プロジェクト「Mellowhead」に、KUMIをゲストボーカルとしてフィーチャーしたいと考えたことを発端に誕生。そこに、深沼と多く活動の場を共にする相棒であり、理解者でもあるTRICERATOPSの林幸治(B)と、深沼がプロデュースを手掛けたこともあるJake stone garage(活動休止中)の岩中英明(Dr)が参加。サポート・ミュージシャンとしては佐野元春&ザ・コヨーテバンドで活動を共にする渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)、またLOVE PSYCHEDELICOのツアーへの参加も記憶に新しいLenny Castroがレコーディングに加わった、いわば、プロ・ミュージシャンが集まった『大人のガレージ・バンド』。レコーディングはLOVE PSYCHEDELICOのプライベートスタジオ〈Golden Grapefruit Recording Studio〉にて行われ、LOVE PSYCHEDELICOのNAOKIもレコーディングエンジニアとして全面的にバックアップしている。等身大でのびのびと歌うKUMIの優しく穏やかな声、そしてメンバーの「顔」が見えるような、オーガニックで風通しの良いバンドアンサンブル、全曲の作曲を手掛けた深沼のポップスセンスが作品に息づいており、耳馴染みの良いメロディ、エヴァーグリーンでタイムレスな響き、そして同時にオルタナティブな匂いを感じとることができる。

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