LIVE REPORT

サザンオールスターズ ライヴレポート

サザンオールスターズ ライヴレポート

【サザンオールスターズ ライヴレポート】 『サザンオールスターズ ほぼほぼ年越しライブ 2020 『Keep Smilin' ~皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!~』 supported by SOMPOグループ』 2020年12月31日 at 横浜アリーナ

2020年12月31日@横浜アリーナ

撮影:西槇太一、関口佳代、高田 梓 取材:千々和香苗

2021.01.05

42回目のデビュー記念日である2020年6月25日に、推定視聴者数50万人を超えた無観客配信ライヴ『サザンオールスターズ 特別ライブ 2020「Keep Smilin' ~皆さん、ありがとうございます!!~」』を行なったサザンオールスターズが、“ほぼ年越し”と銘打って12月31日から2021年1月1日にかけて2度目の配信ライヴ『サザンオールスターズ ほぼほぼ年越しライブ 2020『Keep Smilin'~皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!~』supported by SOMPOグループ』を開催! 開演早々、メンバーが炬燵を囲むコント映像が流れ、笑いどころにも手を抜かないサザンらしさ全開の滑り出し。仮に前回の配信ライヴが全人類に向けた気合いとエールにあふれた公演だとすれば、今回はこのゆったりとしたオープニングも含めて、未曾有の事態に振り回された2020年を懸命に生き抜いた人々に贈る、ご褒美の時間だったように思う。

年越しと言えば、どこもかしこもカウントダウンや生放送で盛り上がり、何となく慌ただしくなるのが恒例だと思うが、本公演はサザンが作り出すムードに浸りながら、迫りくる2021年に急かされることなく進んでいった。セットリストは70~80年代にリリースした楽曲が半数で、ファンキーなお正月ソング「いとしのフィート」をはじめ、会場をムーディーに染め上げた「恋するマンスリー・デイ」、メロウなポップス「あっという間の夢のTONIGHT」と、お酒とともに酔いしれるには打ってつけの時間が流れる。コロナ禍で帰省ができなかった人も多い中、例年ならばあっという間に過ぎ去る年末を、サザンが至福のひと時に変えてくれたような気がした。カラッと晴れやかな気分になる「君だけに夢をもう一度」から、大人な雰囲気に移り変わっていく「夜風のオン・ザ・ビーチ」「LONELY WOMAN」の曲順も贅沢で、グラデーションのように繊細な流れで一曲一曲をしみじみと味わえるのもサザンのライヴの醍醐味のひとつ。客席に照明をセットし、横浜アリーナに満天の星空が広がった「Ya Ya(あの時代[とき]を忘れない)」もロマンチックで、スクリーンには過去のライヴ映像から抜粋したオーディエンスの映像が映し出される。「LONELY WOMAN」の歌詞には《想い出は美し過ぎるから/辛い》というフレーズがあるが、この演出を観た時、美しい思い出は“何としてでも前を向こう”とも思わせてくれるのだと痛感した。この配信ライヴはコロナ禍以前の“あの時代”を取り戻すためのものでもある、そんな確信めいた想いも交差する。

続いて、桑田佳祐(Vo&Gu)曰く“ライヴで一番好き”なメンバー紹介へ。2020年8月に右肩の手術を受けて活動休止し、本公演が復帰一発目のライヴである松田 弘のパワフルなドラミングは健全! 関口和之はベースで筒美京平作曲の「サザエさん」のテーマ的リフをプレイし、“横浜が生んだ天才少女”と紹介された原 由子はキーボードでリズミカルな演奏を披露、パーカッションの野沢秀行はハエ叩きに夢中になって紹介どころではなくなってしまう...というお馴染みの茶番劇を挟みながら、最後は桑田のギタープレイで締めて視聴者を賑わせた。

セットリストは前回の配信ライヴとほとんどかぶっておらず、それどころか「走れ!!トーキョー・タウン」(1982年発表のシングル「匂艶(にじいろ) THE NIGHT CLUB」収録曲)、「世界の屋根を撃つ雨のリズム」(1997年発表のシングル「BLUE HEAVEN」収録曲)などのレア曲も飛び出し、長年のファンをも唸らした。言わずもがなの人気曲「勝手にシンドバッド」「マンピーのG★SPOT」の他、2回の配信ライヴ共通で演奏された楽曲のひとつが「東京VICTORY」。《どうせ生まれたからにゃ/生命(いのち)の限り旅を続けよう》《みんな頑張って》と歌う力強いエールは、前回のライブから変わらずに届けたい想いなのだろう。珍しい選曲の中でふいに投下された「栄光の男」の《叶わない夢など/追いかけるほど野暮じゃない》や、「はっぴいえんど」の《歌うことしかない 人生だけど/イカす仲間が奏でるはLove Song(「愛の歌」)》という歌詞にも、音楽で人々の背中を押したいサザンの想いが受け取れる。無観客であるがゆえに配信の回数を重ねれば重ねるほど、視聴者からはそれぞれのライヴの違いが求められていくが、前回のキャッチーな展開からよりディープなサザンを味わえた本公演で、早くも次のライヴへの期待度を高めた印象がある。観客と会えない時間が続く中でも、配信ライヴを“臨時のライヴ”とするのではなく、一本一本が大勝負であり大真面目。まるで盛大なバラエティーショーを見ているかのような大掛かりな演出も交えながら人々を笑顔にさせ、音楽業界で大胆に舵を切る姿が眩しかった。

そんな中、2020年の終わりは刻一刻と近づいており、ここからはお得意のセクシーなナンバーを連投! “みんないい年迎えましょう!”と「ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)」「エロティカ・セブン EROTICA SEVEN」を披露し、炎をふかせたステージの前でダンサーが宙を舞う派手な演出も。ライヴタイトルにも掲げた「マンピーのG★SPOT」では、ガラガラだった客席でマスクを着用したお祭り姿のダンサーたちが神輿を担ぎ、“嵐”と書かれたヅラを被った桑田がクレーンに持ち上げられながら花吹雪を撒くというヤンチャっぷり! 前半は少し感傷に浸れるくらいの心地良い時間をくれたかと思えば、どんでん返しと言わんばかりのお祭り騒ぎでカウントダウンに突入し、「一月一日」を合唱して2021年を迎え、桑田の“エンタメ業界は負けないからな!”という宣言で本編を締め括った。

アンコールでは画面越しでも眩しいくらいの照明に包まれながら「希望の轍」を届け、2020年の心残りをそっと胸に潜ませながらも、“また一年頑張ってみよう”と思える活力が湧いてくる。最後の「勝手にシンドバッド」は正月らしい振袖姿のダンサーたちとともに再び派手に盛り上げながら“暮れも正月もなく 人の命守る 医療従事者の皆さん そして家族のみんなを守ろう 収束が見えてこない みんな苦しいけど コロナ禍を乗り越えて いつか素敵な未来を迎えよう”と歌詞を変えて歌い上げ、桑田の“今年はみんなに会いたいな。待っててよ! 素晴らしい一年を。死ぬなよ!!”という心からの叫びが世界中に響いたのだった。

ライヴ終演後には、疫病退散・無病息災を祈念して、北海道札幌市、岩手県陸前高田市、神奈川県茅ヶ崎市、愛知県名古屋市、滋賀県大津市、宮崎県宮崎市の全国6カ所で打ち上げられた『みんなで上げよう!! 全国Keep Smilin'花火』の映像が桑田佳祐の2020年に公開された楽曲「SMILE 〜晴れ渡る空のように〜」に乗せてフィナーレを飾る。前回の配信ライヴから約半年、サザンが日本中に与えた影響は視聴者数でも物語っているが、この日のライヴ中にチャットで度々目にした“ありがとう”“また明日から頑張れる”という言葉からも、数字では表しきれないところで多くの人の力になっていることが伝わる。全国各地で見られたこの花火は祈念であり、サザンなりの“ありがとう”の表現でもあるように思えた。

本公演は各配信プラットフォームにて1月7日(木)23:59まで見逃し配信を実施。視聴チケットは1月7日(木)21:30まで販売している。

撮影:西槇太一、関口佳代、高田 梓
取材:千々和香苗

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 10

    10.Ya Ya(あの時代[とき]を忘れない)

  2. 16

    16.LOVE AFFAIR~秘密のデート~

  3. 17

    17.ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)

  4. 18

    18.エロティカ・セブン EROTICA SEVEN

  5. 21

    <ENCORE>

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