LIVE REPORT

THE ORAL CIGARETTES ライブレポート

THE ORAL CIGARETTES

【THE ORAL CIGARETTES】 『唇ワンマンツアー UNOFFICIAL DINING TOUR 2017』 2017年6月16日 at 日本武道館

2017年06月16日@日本武道館

撮影:Viola Kam (V'z Twinkle Photography)、鈴木公平/取材:石角友香

2017.06.27

狭義のバンドシーンにこだわらず、自らが心底やりたい音楽、そしてTHE ORAL CIGARETTESの存在意義を賭けた作品が新作アルバム『UNOFFCIAL』であり、さらなる野望を抱えたタイミングでの初の日本武道館公演を“キャリアの通過点”と発言してきた山中拓也(Vo&Gu)の晴れやかな覚悟がバンドの意志として立体化した、そんな凄まじいライヴだった。オープニングから骨太で国内外のジャンルを意識させない「5150」を配し、しかも高解像度の巨大なビジョンに映し出されるメンバーの精悍な表情、立ち上る火柱、感情を揺さぶりまくる照明は、のっけから500gのステーキを供されたぐらいのインパクト。一気に新作からのナンバーを軸に披露する4人の音楽的な筋力と各々突出したキャラクターそのものが、アリーナやさらにその先の広大なキャパシティを十二分に想像させてくれるパフォーマンスを見せていく。

中盤では山中のヴォーカルのみならず、妖艶さの奥にある儚さやドロッとした想いを「不透明な雪化粧」などで堪能させた。また御馴染み“キラーチューン祭り”は2013年の「Mr.ファントム」からはじまり、“何度も僕らを救ってくれた曲”という「起死回生STORY」(2014年)から、「エイミー」(2015年)、「DIP-BAP」(2016年)といった1年ごとにバンドのターニングポイントであり、振り返ればメルクマールになった曲でつなげるという流れも秀逸。しかも節目を象徴する曲はいずれも試行錯誤とチャレンジの末にリリースした曲ばかりなのだ。しかしどうだ? 爽快なギターロック寄りの「エイミー」にしても、初めてヒップホップを彼ら流に昇華した「DIP-BAP」も、巨大なライヴ空間では極めて効果的なフックとなっていたし、何よりひと所に安住しないオーラルのスタンスが明確に伝わるタームになっていた。

その意志は本編終盤、山中が“ずっと武道館は通過点だと言ってきました。でも、みんながいてくれて埋まってる武道館には思い入れのある場所になりました”と、今のバンドのスタンス通り、体験したからこその素直な想いがこぼれた。そこからの「リコリス」の説得力たるや。そして、何にも迎合しないと歌った上で、“人はひとりでは笑えない”と歌う「LOVE」の真実味。アンコールも含め全21曲に絞り込んだ、濃厚な体験としての日本武道館公演は、バンド、ファン双方にとって新たな始まりの夜だった。

撮影:Viola Kam (V'z Twinkle Photography)、鈴木公平/取材:石角友香

THE ORAL CIGARETTES

ジ・オーラル・シガレッツ:2010年6月結成。精力的なライヴ活動、山中拓也の内面からあふれ出すリリックを緻密に計算されたアレンジで料理した楽曲が話題を呼び、地元の奈良はもちろん関西圏で一気に知名度を上げる。12年、『MASH A&R』オーディションにてグランプリを獲得。13年8月には待望の全国流通盤となるミニアルバム『オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証』をリリース、14年7月16日に1stシングル「起死回生STORY」でA-Sketchよりメジャーデビューを果たした。

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