片倉三起也作曲の歌詞一覧リスト  292曲中 1-200曲を表示

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曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
おとめの反乱キューティー鈴木キューティー鈴木宝野アリカ片倉三起也流行りのカッコで駆けてるあなたの 手にはマンガの本 街を歩けばつまらないおしゃべり ちょっとケリいれたいね  どこ行く?なんてネ 聞かないで 誘いだしたのは あなたなのに  つきあいきれない アイソッが尽きたの ついに乙女の反乱 うんざりしちゃう トキメキ逃げて ゴング鳴らして 退場したい  ……ごめんあそばせ  クールな振りして渦巻く 欲望 目線 私の膝 ふざけて黙って男ゴコロは とてもついてゆけない  優しくなくては 不満だし 強くなくっちゃ 燃えないのよ  つきあいきれない 何もあげない ついに乙女は乱心 うんざりしちゃう ざんげしなさい 男磨いて 出直ししてね ……十年はやいよ!  つきあいきれない アイソッが尽きたの ついに乙女の反乱 うんざりしちゃう トキメキ逃げて ゴング鳴らして 退場したい  ゴング鳴らして 退場したい ……ごしゅうしょーさま
フラワーチャイルドALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也夢のフラワーランドヘ 連れて行ってあげるわ ひかりたちのダンスに合わせ 花のドレスでキララ歌いましょう  風のメリーゴーランドに わらい声がひびくよ ほら ここでもつぼみがひらく みんな一緒にリララ踊りましょう  星がささやくころには 甘いミルクを飲んで ふわふわ眠るゆりかごのなか あなたのことそっとおもいだす  明日もほほえむおひさま せかいじゅうをつつむわ どんなときもやさしいこころ わすれないでねそれがやくそくよ
硝子天井のうちゅうALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也ガラスの天井 眠りにつくとき 見上げれば夜空は 世界中の 物語を聞かせてくれた  それはどこ? 遠い海 行き交う人の みんな青い目をしている それとも遠い砂漠 らくだに揺られて 終わりのない 旅  四角く切り取られた宇宙 それが僕のすベてだった  あれはどこ? 遠い星 宇宙の果てに いつしか連れて行ってくれると 約束したね 今も あの頃のように 信じて待っている
パラソルのある風景ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也空飛ぶパラソルを追って あの娘は行ってしまった 水槽の金魚のひれが おだやかな殺意のよう 私の大事な媚薬を盗み あの人に飲ませた 罪は重い  行方不明の哀しいポートレート しぶい髭の探偵は たくさんの少女の中から 私の腕を捕らえる 昨日はお部屋で眠っていたわ そんな娘は知らない 他をあたって  まっかなパラソルが浮かぶ 湖に犬がほえる 探偵は首をかしげて 完全犯罪成立 私は見つけた媚薬の獲物 お髭の探偵さん 貴方がいい
少女忌恋歌ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也指ですくう こぼす涙 はかなく舞う 鳥の羽根に 髪を飾り 心ひらく  冷めた瞳 何を見てる 鏡の裏 通り抜けて 後戻りの 記憶に戸惑う  遠く闇を よぎる影に 身をひそめて 息づくとき 終わりのない 唄を聞いた  といだナイフ 指をすべる 滲む赤い 花びら見つめて 愛する痛みを 知りそめ  迷宮の入り口に 人はみな惑わされ 禁断の夢に酔う  手繰りよせた 記憶の糸 めまいの中 色づく吐息に 忘れたはずの 声を聞く  迷宮の入り口に 人はみな迷い込み 禁断の夢を追う 永遠の旅に出る  冷めた瞳 何を見てる 何も見ない
鏡面界 im JuniALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也六月の雨に 薄紫の花 堕ちてゆくだけの 動かぬ蝶の色 手をのばしても 何も触れない 貴方はこんなに 近くにいるのに  フロアに割れた鏡 たえずmusic流す 永遠に繰り返す 砕けたまま 星のように キラキラと  六月の雨は ひらいた花の色 読み忘れていた 詩集の紐をとく 手をのばしたら みんな消えてく 貴方もきっと 消えてしまうでしょう  フロアに割れた鏡 たえずmusic流す 虚ろって繰り返す 果てしない夢のように つめたい心の中 砕けたまま 星となりぬ キラキラと キラキラと…
ストロベリーパイをお食べALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也真っ赤な Strawberry pie おもてなししましょ とろける Honey Love いくら食べても 飽きることはない love me  銀のナイフを 握りしめる瞬間から 胸は躍る  おなかすかせた獣みたいに 恋をした  アノ子が欲しいの アノ子じゃ わからない コノ子がいいかな いいえドノ子も 中味は変わらないね  真っ赤な Strawberry pie おもてなししましょ とろける Honey Heart いくら食べても 飽きることはない 素敵な Strawberry pie 甘くて切ない あふれる Honey Love いくらあげても まだまだ足りないの love me  食べ散らかした お菓子のように あちこち 恋のシガイ  部屋から部屋へ コマドリたちは 放し飼い  おしゃべりはずんで いっしょに寝ました 三日もたったら 愛は壜詰め 綺麗なカビが生えた  真っ赤な Strawberry pie おもてなししてね とろける Honey Heart いくら飲んでも すぐにノドは乾く 素敵な Strawberry pie 甘くて切ない あふれる Honey Love いくらあげても まだまだ足りないの love you  真っ赤な Strawberry pie おもてなししましょ とろける Honey Heart いくら食べても 飽きることはない 素敵な Strawberry pie 甘くて切ない あふれる Honey Love いくらあげても まだまだ足りないの love me
Chu ChuALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也ある日 目覚めたときに 胸の奥で かすかな痛みとともに あなたを思う  Sha La La La 窓で 光たちが 踊っているよ どんな朝より キラキラすべてが 綺麗だと 感じる  あなたのことこんなに 好きだなんて 気づいたら もうじっと してられない  Chu Chu Chu Chu 小鳥が 私の耳に 愛をうたうよ 服を着ながら とつぜん なみだが こぼれた 一粒だけ  Sha La La La みんな 女の子は 生まれる前 可愛い天使だったこと 秘かに思い出す こんなとき  Chu Chu Chu Chu あなた 頬に胸に キスを送るわ どんな夜より やさしい夢をあげたいのよ ああ今すぐ
SanctuaryALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也若き葉末には風が立ち 森は翡翠の息を返す 雲の切れ間から注ぐ 光に君を見初めん  碧き瞳のほほえむとき そは鐘のひびき胸に打つ さしのべた腕に絡む 蔦の葉に君を逃す  残る 香り 水面をかけゆく恋の舟 つかの間の波に 揺られ  やさしき幻影 心に映るその姿よ 永遠なる君に 想いを捧げん  若き葉末には風は眠り 森は密やかに息を止む 抱きしめた腕のなかで 静かに君は消えゆく  月は 満ちて 黄金の羽根が舞いおちる 我はただひとり森に  祈りたまえや
月夜のピエレットALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也曇りかけた 空を見上げ 夜の息の 冷たさに  手を伸ばせば あなたがいた 昨日さえも 遠くなるの  あなたの夢まで 出掛けてゆきたい  パラソル回して 銀色影絵の つなわたり 恋の径 あなたの窓辺にそっと腰かけて おやすみの投げキッス 明日 逢いに来てね  まだふたりは 見つめるたび 恋におちる季節でも  雪のときも嵐もある ずっと 駆けてゆけるかしら  離れてるだけで 泣きたくなるから  月夜のピエレット 瑠璃色螺子巻 くりかえすセレナアデ あなたのこころに 音符の星たち きらきらと降りつもる 明日 きっと晴れよ  パラソル回して 銀色影絵の つなわたり 恋の径 小さな不安はうずめてしまおう ゆらゆらと踊るように 生きていたい  月夜のピエレット 瑠璃色螺子巻 くりかえすセレナアデ あなたのこころに 音符の星たち きらきらと降りつもる 明日 きっと晴れよ
Water DropALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也あふれる想いは どうして生まれるの 透明な泉で 心は出来てる あなたを知って 気づいたの  はるかな昔から 水は命を生み 森は息を返し 星は闇を照らす そして人は 誰かを愛する ただひとりだけに だいじな言葉を 伝えて  逢えない夜には 夢の入り口で あなたを待ってる 離れ離れでも 同じ明日を 見つめたい  はるかな昔から 雨は空ヘ帰り 花は土に抱かれ 鳥は歌をうたう そして私 あなたを愛する その腕のなかで 懐かしい鼓動 聞くのよ  はるかな未来にも 水は命を生み 森は息を返し 星は闇を照らす ずっと私 変わらず愛する 今あなただけに 好きって言葉を言えるの  どんなものからも あなたのすべてを 守るわ
カフェテラスでお茶をどうぞALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也カフェテラスで お茶をどうぞ 午後三時の ティータイム おしゃべりな こもれびたち  紅茶にたらした ハチミツのように ほら 時間も溶けてしまう  忙しいあなた ちょっと足を止めて 座っていきなよ  しあわせを スプーン一匙でも さしあげられたらいいな  カフェテラスで お茶をどうぞ いたづらな そよ風に テーブル中のクロスが舞う (flying flying)  あっちこっち 大騒ぎ 午後三時の ティータイム 小鳥たちがウェイトレス  ホットなアップルパイに つきさしたフォークで さあ 恋を占いましょう  待ちぼうけの君 信じることも美徳 がっかりしちゃダメ  いつでも 変わらない笑顔のまま 逢えたら素敵ね!  カフェテラスで ひとやすみ ミルクカップで うたた寝 夢のおかわりは いかが? (glaces glaces)  甘ずっぱいお菓子そえて 初恋の味かしら 胸のなかもクランベリージャム  カフェテラスで お茶をどうぞ 悩み事もいっしょに 飲み干してしまえるから (singin' singin')  いつ来たって花盛り クリィーミーなときめきを カフェテラスで お茶をどうぞ
愛だけじゃないALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也今だけ 楽しければ いいだなんて そんなの つまらない  この次 会ったときにも 見てほしいの もっと素敵な別の私を  愛だけじゃない 恋だけじゃない あなたにあげたいもの  ドキドキしたい 冒険したい 永遠にかがやく そうよ ダイヤモンドの魂(ハート)  ひとりのときはいつでも 切ないほど 想ってるけれど  あなたの声聞いただけで 勇気出ちゃう 危険も恐れぬ少女になるわ  Kiss だけじゃない Sweet だけじゃない あなたとやりたいこと  もっと知りたい もっと見せたい かかえきれぬほど たくさんの 未知なる日々  愛だけじゃない 恋だけじゃない だけどそれが 始まり  この手にしたい あなたといたい 広い世界中で 一等賞の幸せを  愛だけじゃない 恋だけじゃない あなたにあげたいもの  ドキドキしたい 冒険したい 永遠にかがやく そうよ ダイヤモンドの魂(ハート)
ぶくぶく空が…ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也冷たい雨にうたれて 駆け出したの 行き交う人の傘だけ はなやぐ睡蓮のよう  ぶくぶくぶく空が アブクをたてる Rainy rainy day どうして 言えなかったの ごめんねの一言が  水たまりは底なしの 沼になって わたしの足をのみこむ 転んで服もずぶ濡れ  ぶくぶくぶく空よ アブクをたてて Lonely lonely day ハートを 洗いながして 泣きながら笑っちゃう  “もしもし おじょうさん ごきげんいかが?” 手をさし出したのは 笑顔のあなた  ぶくぶくぶく空は アブクをたてて Shiny shiny day 夕日を 磨いてたのね だってこんなに まぶしい
Cheri CheriALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也ラビアンローズなんて まだまだ遠いけど あなたがくれるベエゼは 薔薇色なの  呪いの魔法が みるみる解けるように わたしは綺麗に 微笑(わら)えるようになる  Cheri Cheri 銀のナイフ ずっとずっとお守りだった 不実の果実がなる ジャングル Cheri Cheri もうひとりに きっときっと戻さないで あなたが好き ジュテームおしえて  自由はあふれて みんな木の葉みたい ひとりじゃ行き場所さえ 決められない  あなたとわたしを 籠に閉じ込めて 日がな一日絵を描く ステキナミライ  Cheri Cheri 胸の小鳥 ずっとずっと鳴きっぱなし ふらちな不眠症の ラビリンス Cheri Cheri だけど強く ぎゅっとぎゅっと抱きしめられ ゼンマイねじ 壊れちゃいそう  Cheri Cheri 銀のナイフ ずっとずっとお守りだった 不実の果実がなる ジャングル ほんとに欲しいものは この世にふたつだけ あなたの瞳 ジュテーム見つめて
日曜日のシエスタALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也まぶしい 木漏れ日の下で スヤスヤ あなたは午睡(ひるね)してる  甘い 甘い 甘い キスを あげましょう 頬を 頬を つねったり 起こそうかな  恋って毒キノコみたい 見た目は華やかで 胸が苦しい  ひとりで 残された気分 寝顔は なんて幸せそうなの  そばに そばに いてもいつも 不安よ どんな どんな 夢を追っているの?  恋って しゃぼん玉みたい うっとりして ほんのはずみで割れる  Mon amour fait la sieste.(私の愛は今休息しています) Mon amour fait la sieste.  甘い 甘い 甘い キスを あげましょう どこに どこに 今あなた いるのかな  恋って そう迷路みたい どうしても 通れない道がある  Mon amour fait la sieste. Mon amour fait la sieste.
LabyrinthALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也Flyin' to my Dream ひとりじゃないこと あなたの胸で はやく教えて 呼びつづけて 私を  自由という名の 迷路の真中で 途方にくれながら 膝を抱えてる  鏡の壁を覗くたび ワタシハ ダレと こだまが問いかけるよ  Flyin' to my Dream 凍てついた夜を いくつ壊せば 未来が見えるの Labyrinth of my Heart 幾重にもつづく 扉の向こう 何があるのか 連れて行って 私を  愛という名の 深い森の中で 何度も傷ついて あなた探してる  少女の夢で信じてた 出逢いの奇跡 いつか星が導く  Flyin' to your Love ひとりじゃないこと あなたの胸で はやく教えて Labyrinth of my Heart まだ見ぬ光が 心の隙間 満たすその時 生まれ変われそうなの  Flyin' to my Dream 見えない翼は どんな風にも きっとはばたく Labyrinth of my Heart 幾重にもつづく 扉の向こう 何があっても 呼びつづけて ずっと 連れて行って 私を
Rose MoonALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也ああ 逢いたくて 恋の歌さえずる カナリア 吐息の檻の中で 翔び立つことも出来ない  じゃあ おやすみと 急ぐように電話は途切れ あなたの香に似た 冷たい闇が降りるわ  恋しさに負けそうになる 奪いたい あなたを 微笑みや言葉や愛 わたしの知らないものから  ああ 逢える日の ときめきは 茨の羽根なの 素肌に刻むように あなたを抱きしめるでしょう  心まで裸になれる 瞬間をください 薄紅の薔薇になって その胸の中に 散りたい  恋しさに負けそうになる 壊したい あなたを 想い出や未来や夢 わたしだけ見えるように  心まで裸になれる 瞬間を ください 薄紅の薔薇になって その胸の中に 散りたい  その胸の中で 散りたい
HalationALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也シュールな空の下 退屈が喉につかえ あくびが出ちゃうたび 胸のどっか叫んでいる  壁の落書きだけ あたしに話しかけるの 罪のないハートたち キラキラ星 墜ちるよ  刹那 刹那 遊べや遊べ 永遠に 永遠に 踊れや踊れ  変わらない言葉を 誰かが持っているのかな その言葉はいつか あたしの耳に届くかしら  いいことがありそうで なんにもない日もあって それでもなんとなく キラキラ夢 見てるよ  生きよ 生きよ 恋するように 愛でよ 愛でよ 爪の先まで  道路の真中で 小犬のように泣きたいな あたしの神様は どこで道草してるのかな  膝を抱えながら 朝が迎えにくるのを 待っていたら瞳の中 キラキラ星 墜ちたよ  刹那 刹那 遊べや遊べ 永遠に 永遠に 踊れや踊れ
乙女の祈りALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也寝返りうつたび 地球が軋む 不眠の闇を つれづれ越えて  あなたを好きだと 言ったとたんに すべてが嘘に 変わってしまいそう  巷にあふれる退屈な 毒にも薬にもならない Love Song  乙女の祈り この想いは どれだけつづくのかしら 熱いからだも 流行り病と同じでいつか冷めるの? ああ 誰か教えて  爪に星を塗り 占うカード 決まって落ちるよ ハートのQueen  こころの底から 信じられるモノ 本能のままに 探すしかないね 楽しく 泣かないで生きるには 満足できない 夢見るStories  乙女の祈り この世界はあたしのために進む 誰とも違う あたしをまだあなたは知りもしないで ああ 何が愛なの?  乙女の祈り シュウアクな大人にはなりたくないよ この手の中で けして変わらないものは こにあるの ああ 誰か答えて  乙女の祈り この想いはどれだけつづくのかしら 乙女の祈り この世界はあたしのために進む ああ それがすべてよ
堕落論ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也間違いだらけの バイブルを開いたように ときどき人生は 理由もなく憂鬱になる  平穏は ビロオドの柩みたいで このままじゃ埋もれそう  あせっちゃって わめいちゃって 何でも放り投げて 遊んじゃって 終わっちゃって 自分に言い聞かせる ねえこんな日も きっと大切だって  らくがきだらけの バンビの日記帳に 並んだ アイノコトバ 紛いものの星みたいね  しあわせに掟があるなら それに気づいちゃいけない事  はしゃいじゃって ふざけちゃって でも何かおかしくて 恋しちゃって ふられちゃって とつぜん悟ったわ いつもあたし ぜったい本気が足りない  あせっちゃって わめいちゃって 部屋中散らかって 疲れちゃって 眠っちゃって ステキなあしたを 夢見るのも きっと才能だわ  もう はしゃいじゃって ふざけちゃって 何かが見えてきて まあいいっかって 立ち直って なんだかね 単純なの でも新しいあたしに これで会えるの
ナルシス・ノワールALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也あなたは兄さまの友達 白い頬をした少年 わたし憧れていたの たとえどんなに邪魔にされても 茨の庭を追いかけたけれど あなたの瞳にはいつも兄さまが 映ってた 扉の陰から抱き合うふたりをはじめて見たとき とても綺麗で胸が騒いだ  ナルシス・ノワール 何も知らぬ少女の日の初恋よ ナルシス・ノワール 今もあまいあなたの声が聞こえる  ある日兄さまは家を出て あなたも二度と来なかった 母さまは嘆き悲しみ 家には灯もともらない 大人になるまで知らずにいたわ 町外れの湖にふたりは 沈んだと 神に背いた愛の報いだと 人々は囁くけど わたしは目を閉じるだけ ナルシス・ノワール 湖のほとり そっと咲いた水仙は ナルシス・ノワール ああどんなにあやしく香ったでしょう  ナルシス・ノワール あれからわたし どんな男も愛せない ナルシス・ノワール 今も変わらぬ あなたの姿が見える  ナルシス・ノワール 何も知らぬ 少女の日の初恋よ ナルシス・ノワール 今もあまいあなたの声が聞こえる
LOST CHILDALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也虚像(うそ)こそ真実と 画面がささやく  蛹のベッドは 背骨が軋む ぼくたちは 強くなりたい  人は争うことばかり 都市は怯える人だかり  キレイなふりして お家に帰るの  ギブスの翼が 肩に食い込む わたしたち ひとりがこわい  日々は解せないことばかり ママの小言は神がかり
金いろのひつじALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也どんなに離れてても わたしは君を想う  心だけ 翼を持つ ああ風のように  泣かないで そこにいて やさしい唄をあげるから 遠い町 その中で 君の窓だけ輝いて見える  いつでも帰る故郷 ある人は幸せだわ  たそがれに金の羊 ああ空をのぼる  泣かないで そこにいて 懐かしい声を聞かせて あしたへと つづく道 今宵も君を運ぶよ そっと  泣かないで そこにいて やさしい唄をあげるから 遠い町 その中で 君の窓だけ輝いて見える
LABYRINTHALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也Flyin' to my Dream ひとりじゃないこと あなたの胸で はやく教えて 呼びつづけて 私を  自由という名の 迷路の真中で 途方にくれながら 膝を抱えてる  鏡の壁を覗くたび ワタシハ ダレと こだまが問いかけるよ  Flyin' to my Dream 凍てついた夜を いくつ壊せば 未来が見えるの Labyrinth of my Heart 幾重にもつづく 扉の向こう 何があるのか 連れて行って 私を  愛という名の 深い森の中で 何度も傷ついて あなた探してる  少女の夢で信じてた 出逢いの奇跡 いつか星が導く  Flyin' to your Love ひとりじゃないこと あなたの胸で はやく教えて Labyrinth of my Heart まだ見ぬ光が 心の隙間 満たすその時 生まれ変われそうなの  Flyin' to my Dream 見えない翼は どんな風にも きっとはばたく Labyrinth of my Heart 幾重にもつづく 扉の向こう 何があっても 呼びつづけて ずっと 連れて行って 私を
deep forestALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也ある日 あなたは森へ行く 誰も棲まない その奥へ きれいな泉 湧き上がり そっと あなたは口づける fu fu‥‥  晴れることない 霧が溶け 枝は 光を抱きしめる 白や黄いろの 蝶が舞い 花は開いて 実を結ぶ  いまわたしは 生きていると感じる 目を閉じても あなたが見えているから 何よりも強く  ある日 あなたは森を出る 足跡ひとつ 残さぬよう 泉はいつか 泥の中 朽ちた木の葉が 揺れるよ  でもわたしは 生きていると感じる 目を閉じれば あなたに会えることを もう知っているから
少女貴族ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也ナイトメアの途中 目蓋が開いた 裸の胸 心臓の上 赤い蝶が羽ばたいていた  いまも地下牢の柩に眠る 遙か祖先 一族たちの 王に優る気高き血が わたしの奥で叫んでいる  目覚めよ目覚めよ aristocrat 集えよ集えよ majesty  異端をはじきだす社会に 真実の美は生まれない 腐敗 汚染 低俗の民に 天は罰を与える  ブランド狂いの継母たちは 金に物を言わせ やや子可愛や 無能教師に託し  路上かまわず 絡まりあった 犬のような男と女 愛もクズに成り下がる 恥を知らぬヤツは葬れ  抱けよ抱けよ 叡智なる 光を光を 魂(こころ)に  この地上に美が消えれば 生きられない私たち 誇り 高貴 純血の我ら 制裁の剣を持つ  この目を汚すものは消せ わたしを護る声がひびく  目覚めよ目覚めよ aristocrat 称えよ称えよ majesty  右に倣えのデモクラシーに 夢の未来は築けない 欺瞞 虚飾 陋劣の國に 天は遙か裂けて  降らせよ降らせよ 輝く 光を光を この身に  この地上に美が消えれば 生きられない私たち 誇り 高貴 純血の我ら 聖裁の剣翳す
a la cuisineALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也あふれる果実の ジュース 人さし指ですくう ハニー 一晩中 呼びつづけた あなたの名は 何より甘いシュガー  こんなに くっついていたら 食べられるのは beiser だけね いくらでも 欲しいけれど ちょっぴりおなかが 鳴っているでしょ  もうすぐカフェが できるわ 幸福のレシピを みつけたわ  aller a la cuisine シーツを巻きつけて aller a la cuisine l'amour 待ってて  気をつけて 恋の炎は 舌を焦がしそうな いきおいなの
un tableau blanc~絵画旅行~ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也Redonのペガサス 神秘の青(ブルー) Rubensの天使は 薔薇いろに微笑う  Monetの睡蓮の 庭にたたずみ Rousseauの葉陰で しばし午睡(シエステ)  いつでもこころは かがやくパレット 思い出を重ねる  Kislingの少年 初恋の瞳 Rossettiの少女は 愛は語らう  Cezanneの丘で 樹木を駆け抜け Goghの星月夜 闇を彷徨う  わたしのこころは 白いタブロー 未来を描くため  この胸には 誰にも描けぬ あなたがいつもいる
コッペリアの柩ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也黒い太陽が 沈まぬ街で 誰もが黙って 奇術めき働く  金属の壁に 囲われた部屋 私は朝まで 死んだように眠る  あなたが見えない この眼は見えない 我ら造りたまいし神  コッペリアの柩 人は踊り疲れた人形 祭壇の羔 機械仕掛けの夢は どこに向かってゆく  世界の終わりを 予言が告げる 隣人の扉を 兵士たちが叩く  幾千の指が 翼のように 折られ畳まれて 祈りだけが昇る  あなたに会えない ここでは会えない 我ら救いたまえる神  コッペリアの柩 流れる涙はもう枯れ果て 血に飢えた孤独 死は天使の和毛の 匂いをさせて舞う  それでも触れたい この手で掴みたい 我ら護る唯一の愛  コッペリアの鼓動 生きることは痛みを知ること 脱ぎ捨てた靴を もう一度踏みならし 迷わず歩き出す  コッペリアの柩 暗闇から目覚める光よ 祭壇の羔 螺旋の途切れた夢は どこに向かってゆく
曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
闇の翼ですべてをつつむ夜のためのアリアALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也叶わぬ 願いは ひとつぶの種 深い夜へ 埋める  月のしずくで 育てたならば どんなふうに芽がのびて そして葩(はな)は何いろで ひっそり 夢のどこかで 咲くのでしょうか  もしも 願いが もうここにいないひとに 送るものなら  よごとに ますのは 闇の静けさ もういちど あの微笑みと やさしい声に 逢えるなら すべてを 捨てることさえ いとわないのに  なみだは 夜露に抱かれ 草に落ちる その葉陰 思い出たちが はらはら踊るよ  見果てぬ 哀しみ 空へ放てば こうもりたちの羽に乗り 夜明けのひかりを浴びて 今宵の 夢の終わりで 消えるでしょうか  いつでも想いは 変わることなく 胸の奥に たたずむ
MALICEALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也薔薇の靴を履いて 踏みつけたいモノは何? イトシイ アナタヲ 悪夢と快楽 その隙間が 愛なの  恋なんて美しい病気だと 思いましょう キガフレ オシマイ 月光治療も もはや効き目がなくて  赤く滲むことない痛みが 知らぬ間に 胸に散らばるの あなたの指で触れてやさしく ここは幻影城(シャトー・ノワール)  闇のローブ・ドゥ・マリエ纏って 黒衣の舞踏会 さあワルツを あなたの指をとって 誰にも 渡さないから  繋ぎ止められるのは 蜜のからだだけですか ハアトハ オキザリ それならほんとの 遊戯(あそび)をつづけましょう  赤く滲みはじめた痛みを 見せてあげるから 胸を裂いて あなたの首を寄せて囁く あたしはマリス  研いだ銀のナイフも輝く 月夜の晩餐 ああ最期の あなたの首を抱いて もう二度と 離さないのよ  赤く滲みはじめた痛みを 見せてあげるから 胸を裂いて あなたの首を寄せて囁く あたしはマリス  研いだ銀のナイフも輝く 月夜の晩餐 ああ最期の あなたの首を抱いて もう二度と 離さないから
病める薔薇(そうび)ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也廃屋の庭の隅に 病める薔薇の 一株 匂いの亡霊たちが 過ぎし日々を 呼び覚ます  あの人の洩らす言葉 ひとつひとつに 胸を染め 汚れ知らぬ 少女のように すべてを信じた  やがて死すべき その葉陰 恋の亡骸も埋もれて なべて 土の中  いまそっと指に触れる 病みしもなお 赤き棘 わが憂い痛ましむ 気高き最後の抗い  忘れ去られし女にも 鮮らかに夢は 訪う 滲む血の如く  やがて朽ちゆく その葉陰 面影だけが仄揺れて なべて 闇の中  いつまでも胸の奥に 病める薔薇の 一片 匂いの亡霊たちが 思い出を抱いて薫る  甘く甘く 哀しみを 彩るため
閉ざされた画室(アトリエ)ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也世界の果てから 見たなら ここが 世界の果てね  曇った 天窓 年老いた画家が 暮らす 室(へや)よ  世界中に あふれる 色という色を 見てきた あなたが  描いた 少女像(わたし)は 画布(キャンバス)のうえで 蒼く 沈み  わたしより先に 大人になってく  暖炉を 灯した 夕暮れ 天へと むかうのは 炎  わたしは かじかむ あなたの乾いた 指を つつむ  くずおれた灰に おちるのも炎  その胸に 深まる海で 泳ぎを止めた 哀しみの 魚たちの行方 わたしにきかせて ああ 欲しいと思う  わたしの眸は 未来を見つめても 輝けないのに  あなたは色褪せた 写真の青年の 眸のまま  しずかに絵筆は 遠い日を写す  その胸の 奥の窓辺で かつて唄った 喜びの 小鳥たちのなかの 最後にわたしを ああ 置いてください
SacrificeALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也ガラスの空の下 この都会は瓦礫の森  ネオン色の夢が散る 其処ここに 無惨に綺麗に その間を渡ってく いまあたしは あなたに逢いたい 生きるために  地下室に潜んだ 子供らの 目には目を  裁き合う許し合う ひとりでは 穢れは拭えず 注ぎたい捧げたい ただこの身の 赤い赤い血を 生きる証を  堕落の楽園で 快楽は美徳の神 獣は肉体を喰み 少女らは虚無を孕む  もっと光を  地下室に眠れる 子供らの 歯には歯を 御母の御胸は あまりに遠すぎる  あふれる愛の炎を さもなくば気高き死を ガラスの空の下 この世中瓦礫の森
桂花葬ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也盛りの森で わたし眠る あなたの夢を 噎せるような 香りに涵し ここから見上げる 星は 金の鎖  静かな胸を 慄わすのは あなたが去った 足音の凍った欠片 梢に掛かった 星は 銀の斧  金木犀が 揺れてる  人はなぜ はるかなる 天ばかり 仰ぐのだろう 帰ってゆくのは 深い深い土 その下なのに  いくつ辿って 思いだせる 痺れるくらい 甘い記憶 ひとつふたつ 指をのばしても 触れるのは 風だけ  金木犀が 散らばる  弔いの列のように 時が 通り過ぎて逝く この目を閉じれば 遠い遠い日に 戻って行ける
apres le noirALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也Cheri, mon amour 夢で逢う 私はどんなふうに微笑うの?  Tu vois lumiere あなたは かがやく私しか 見てない  Que fais l'amour ろうそくも 届かない深い闇に もうひとりの私がいて いつでも あなたの まなざしを求めてるのに  Je t'aime, je t'aime 囁きが 唇に触れるたび  Je vois noir 小さな痛みが 胸を熱く塞ぐ  Que fais la vie 甘い薔薇 その陰の棘のように 傷つけ合うときが来て すべてが 消えること 蕾の日から知ってても  Que fais l'amour, et que fais la vie もう何にも言わないで 答えは愛しい 瞳の奥にあるはず  だからこうして 恋人たち 見つめ合うのね
妄想水族館ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也甘口のアルコホルで 魔昼の中毒 一日淫ら乱れて マルゴオ快楽(けらく)の美味  転がった玻璃(ガラス)瓶に 吐息の芥子の実 戯れ伸びる花に あなたの片眼が咲く  恋は盲目なんて 溺れても ああ無情  憂鬱症(メランコリア)発病で 千の魚 行き交う アタマの中通り抜け 溶けたハアト食べる 白昼夢(まひるのゆめ)  地球儀を青インクで 塗りつぶしながら 焦げた赤道線で 夕日を探してるの  陽炎の珊瑚礁に 沈んだ日常 切ないときをつなげ 歴史は老い急ぐよ  夢は泡沫に消え 世紀末ああ無惨  形態変化(メタモルフォーゼ)発情期 千の鱗 生まれる 鰭の先で愛し合い 真っ赤な泡を散らす 海の底で  憂鬱症発病で 千の魚 行き交う アクアリウム囚われて あなたはガラスの向こう  形態変化発情期 千の鱗 生まれる 鰭の先で愛し合い 真っ赤な泡を散らす 海の底で
戦争と平和ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也Love will give wish to all the people 夢から目醒めて 泣き出す幼子をあやしつけるように What should we do for the world この星を揺らす せつない叫び声をそっと鎮められたら  たとえ天の怒りに触れて ひかりの園を追われたとしても  けしてあなたと離れはしない 瓦礫の森の白い月を見上げて はるか遠い時 黄金の記憶を呼び戻すの  Love will give wish to all the people あなた抱きしめた腕には哀しみも抱きしめられるわ What should we do for the world この星を覆うつらい歴史の先を人は歩みつづける  荒れた地にも一茎の花が 太陽に向かい咲きほこるように この世に満ちる美しきもの めぐる緑と広がる蒼穹の下で あなたを愛し 故郷を想って私は生きる  Love will give wish to all the people 涙が笑顔に変わるとき世界は塗り替えられるわ What should we do for the world この星を包む海より深い愛を人は満たしつづける  炎散る廃虚逃げ惑う人 飢えた子供の罪なきその眸に おとぎばなしの青い鳥の影が映る日まで  Love will give wish to all the people 無力なこの手を差し伸べれば いつか誰かを救えるの? What should we do for the world この星を揺らすせつない叫び声をいつか鎮めるために  Love will give wish to all the people あなた抱きしめた腕なら 哀しみに戦い勝てるわ What should we do for the world この星を覆うつらい歴史の先を人は歩みつづける  Love will give wish to all the people 涙が笑顔に変わるとき世界は塗り替えられるわ What should we do for the world この星を照らす空より高い愛を人は掲げつづける
熱帯性植物園ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也シゲミのなか 重ねる吐息 待ちわびる ここから熱帯 道すじは ミドリの果て まぼろしの蘭 蜜を吸って 光り食んで あたしはあなたを 植えつくす 風は熟れて 草を薙いで 深まる迷路を作り出す 絡む蔦 la la la  ナミダは今 汗のしずくに 恋をする いつでも熱帯 渇く間に ルビーの蛇 底なしの沼 皮を剥いで 果実噛んで あなたはあたしを 埋めつくす 息を止めて 幾度死んで それでも終わりはこないから このままで la la la  蜜を嘗めて 光り吐いて あたしは あなたを 撒き散らす 空は堕ちて 幹を裂いて 翳ろう出口を塞いでく 棘を抜いて 疵は満ちて あたしは あなたを孕んでく 息を止めて 幾度死んで それでも 終わりはこないから このままで la la la
NostalgiaALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也道に 灯が ひとつ ひとつ点り 山のふもとに 童話のような汽車が行く  幼い日々へと運ぶのは 草の小舟か森の梟か わたしの名前を呼ぶ声は誰 振り返れば 懐かしい顔が 笑っている  抱えきれない想い こぼれおちて 何も言葉に できない時があるの  夕闇迎える蛍火や ささやき交わす風や木々の音は かつてわたしを愛した人たちの 形見のように やさしさに満ちて いまを 包む  探してた夢は ここにあるわ 小さなわたしが 握りしめてる  指をひらけば 真っ白な花が舞うの  夏が終わったらこの道を ひとりでまた辿って行くでしょう もしも忘れ物があったとしたら それは遠い 昨日までの 儚い わたしの影
夢魔の夜、あなたを迎える者があるALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也現は幻 夜の夢こそまこと 目映い太陽に 傷ついた眸を あなたは閉じる さまよう霊魂に 闇が新たな命を 与えたもう  “夢魔に堕ちよ”  ここは救済の暗黒の獄 逢魔ヶ刻から始まる  犯した過ち 洗い清める 涙はまだ足りず 地上で果たせぬ 希み残らず その身に 叶えたもう  “夢魔に耽よ”  いまは快楽の極彩の宴 流刑の地の果て これから もうあなたはひとりではない
Lolita in the garretALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也アトリエの窓辺から ルドン・ブルーの空こぼれ 床(フロア)を塗りつぶす  夜明けまえ去った人 広いシーツは冷たく 変わらぬ朝を包む  tu sais, je t'aime この次は どこか私を連れ去って まだ知らぬ自由を覗きたいの 大人のずるさは 知ってるけど  描きかけの自画像と 鏡に映した顔は 夜毎に かけ離れ  恋だけで 息をする わたしは泡沫の日々 浴室で沈めたい  tu sais, je t'aime 会えるまで あなたを学びつづけよう カフェ 地下鉄 美術館 どこにいても あなたの視線で なぞってるの  tu sais, je t'aime すぐに来て どうかわたしを連れてって 何もかもきらめく その場所へ  Monsieur, どうして愛は 移ろい人を変えるのか 汚れない想いが 真実か すべてをあなたに 教えて欲しい
FeliciterALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也平野義久花束にこぼれて落ちる ナミダは空の色 この世で目にした穢れを すべて流すように  ひとり手懐けた 寂しさの小鳥 窓を越えて行く  おめでとう 心から あなたへと 送りたい 昨日まで探しつづけてきた 幸せを抱く迷子の天使 このとき あなたのベールに 降りるの  いくつもの夜に語った コトバは月の色 散ってはまた咲く夢を なだめては眠った  喜び哀しみ 分け合って人は 優しさを知るの  ありがとう 心から あなたへと 伝えたい どんな日もそばにいてくれた 宝石箱の想い出のなか 何よりも あなたの笑顔が うれしい  恋した季節の 切なさも 胸に忘れないでいて  おめでとう 心から あなたへと 歌うから 今日からは大切な人の 微笑み護る女神となって いつまでも 変わらぬあなたで いてほしい
星月夜ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也平野義久どんなにあなたを 抱きしめても いつかはふたりが 離れる時がくる  迷子のように それがこわい  星が音を たてて墜ちる 秘やかな こんな夜は  誰も天使に なれないけど 心は空より 息づいているわ  ただひとつの 翳りもなく  あなたが目を 閉じたあとも そばにいるわ いつまでも  もうわたしが 帰る場所は あなたしか ないのだから  いつしか涙は 悲しみよりも 愛するために あふれてゆくでしょう  あなたを知る それまでより  わたしが目を 閉じるときは ただこの手を 握ってて  もうわたしが 帰る場所は あなたしか ないのだから  木々のみどり 風のかおり わたしたちが 流れてく  時をこえて 夢をこえて そばにいるわ いつまでも
MOTHERALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也あなたがこの世で目にした 穢れや醜いものすべて わたしの指で ふさぎ ぬぐい きれいなものだけ見せたい  うつむいて 土の花 顔を上げ 空の星 希望 ひとつひとつ 数えましょう  きっと 生まれ変わって わたしはあなたを 産む母になる こんなふうに髪を撫で  あなたがこれまで流した 涙は 透明な海へと 注いでゆくわ 寄せて かえす 波間に月は輝く  愛はどこにあるのか 人はどこへ行くのか 答えを少しづつ 探しましょう  いつか 生まれ変わって わたしはあなたを 守る母になる こんなふうに抱きしめて  だけど 今は小さく 何にもできない 女の子なの ただそばに居るだけの
少女殉血ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也白馬ニ跨リ 闇ヲ駆ケル ワタシハ父ガ仇 討ツ剣士ノヤウニ  留マル事無キ 無常ノ世ニハ 純潔ト不浄トガ 同ジ場処ニ棲ム  眼蓋ノ 君ガ面影ダケハ 茜ニ染マツテモ 消エハシナイデシヨウ  “ワタシヲ オ許シ下サイ”  放テヨ魂 捧ゲル血ト薔薇 気高ク生キヨト 御霊ノ言乃葉 迷エル心ヲ征シ ワタシヲ 導イテ下サイ  飽食ノ森デ 飢エル狼 ワタシハ求メテイタ 命賭ケシモノ  君ヲ想フトキ 熱ク伝フ 涙ノヒト雫ニ 真実ハ在リヤ  一夜限リノ 契リハ胸ニ 刻ミ込マレタ刺青 今生ノ餞  “ワタシヲ忘レテ下サイ”  翔ビ立ツ魂 捧ゲル死ト百合 貴ク散ラント 吹キコム神風 憂イノ季節ハ過ギヌ コノ身ヲ 嗚呼 迎エテ下サイ  “ワタシヲ 行カセテ下サイ”  放テヨ魂 捧ゲル血ト薔薇 気高ク生キヨト 御霊ノ言乃葉 美シキ日びノ為ニ ワタシヲ 導イテ下サイ  麗シキ日びノ為ニ ワタシヲ 導イテ下サイ
地獄の季節ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也ああ祈りの 季節がはじまる  盛りの炎が 消えたこの世の 最後の種子から 生まれ落ち黄昏に 育った子らよ  純粋の闇 真実の夜 その底に潜む 月光は獣道 本能の声が呼ぶ  銃をかまえて aller a la chasse 夢を狩り出す手解きを 指に食い込むダフネの花 まだ見ぬ母の子守唄 身体中を熱く巡り ひかれ合う血と蜜  もっと強く啜ってごらんよ ここに湧く享楽の美酒を  死を抱くよりも 恐れるものは 揺蕩う時間に 流されて魂が 老いてゆくこと  求めもしない 救えもしない 未来に望むのは 愛よりも美しい めくるめく滅亡  翼をもいで aller a la chasse 君を飾ろう檻の中 噎び泣くのは鞣しの肌 不在の父に恋い焦がれ 白い胸を輝かせる 癒えることない疵  もっと深く抉ってあげよう そこに在る悲しみの果実を  剣をたてて aller a la chasse 君を抱いても終わらない 鏤められた野獣の罠 異端の神を仕留めよう  銃をかまえて aller a la chasse 夢を狩り出す手解きを 指に食い込むダフネの花 まだ見ぬ母の子守唄 身体中を熱く巡り 混じり合う血と蜜  いくつでも齧ってみせよう 甘やかな苦しみの果実を ああ実りの地獄の季節で 僕らの永遠よ!
未來のイヴALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也ケミカル・スコープで 覗いて 朝まで 禁忌などない お気に召すまま 解剖学的に愛して  都市は巨大な 実験場なの 不用になれば すぐに消される 情熱に生き急いで  地下室にエデンの園 奪い合う 幸福は 幻  未來のイヴ メフィストフェレスの 骨から生まれた 涙もないアンドロイドの 堕落の女神よ あなたの林檎 舐めさせて 齧らせて 含ませて 罪の味を  金属の脳には めくるめく恍惚 天使のままで 死に絶えていった 少女たちの記憶なの  誰もが変わらぬ 決められた運命 無情の神に 隷属の日び ほんとの自由などない  信じられるモノはここに 横たわり微笑む肉体  理想のイヴ 科学者達が すべてを注いだ 愛 操る 電子仕掛けの 安息の娼婦よ 誘惑の蛇 まさぐって突き刺して さぐらせて 闇の奥を  あなたの瞳に 見つめられて 紅玉の胸 鼓動が鳴り出す  わたしはイヴ メガロポリスの 妄想で育った 汚れ知らぬアンドロイドよ やさしく抱きしめて  未來のイヴ メフィストフェレスの 骨から生まれて 涙を知るアンドロイドは 恋する女よ あなたの林檎 舐めさせて 齧らせて 悟らせて 生きる意味をもっと
ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也je vis je meurs dans mon cocon  tu ris tu reve c'est loin sans moi  指には何も 触れることなく 紡がれて 繰り出されてゆく 扉  je vis je meurs dans mon cocon  言葉はもう 翼を持たずに 白い壁 赤く叩いて 穢す  あなたに二度と 触れることなく 紡がれて 滴るのは 愛する痛み
pastel pureALI PROJECTALI PROJECT今野緒雪片倉三起也平野義久朝もやの中 続く白い道 鳥のさえずり 挨拶かわしながら 時に雲が 垂れ込めて 日差し陰ろうとも 背すじ伸ばして 歩く 私は知ってるから 重い雲の上は 青い空  夕べの鐘が 響く並木道 手と手つないで 小走り 日が暮れるよ 夜の とばりが追いついて 昼間の夢をのむ 急かさないで 時よ 私は信じている 暗い夜空だから 光る星  道草をして行こう ほら花が咲いている 立ち止まり見上げる 青い空 背すじ伸ばして 歩く 私は知ってるから 私たち見守る 青い空
青蛾月ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也憂いの三日月に 恋したウサギは 光の雫で からだを染めるよ 手を伸ばせば何でも 届くと信じられる  胸刺す月の針 光を紡いで あなたを迎え飛ぶ 絨毯をつくる 唇を濡らしても 触れるのは風ばかり 独りきりの 蒼いこの世界で  天鵞絨の闇の中で 泣きながら眠る 悲しみよ夢の中で 立ち止まるがいい  感じる指先の鮮やかな記憶 あなたに逢うための 祈りを続ける 瞬きをする間 塗りかえられる景色  一人では何処へも 飛ぶことができない 遠い国へ 誘うことまでも  幾千の年月が過ぎても あなたから届く月の便りを ただ 待つばかり わたしは月姫 哀しい運命の 金の文字が 瞳に沁みる 涙が零れて 止まらない  抱きしめられるたび 帰ってゆく想い それは昔聞いた おとぎ話の中 息を潜め 美しき夜に  苦しみは森に潜む 青蛾の翅 銀粉にまかれながら 消え失せてしまえ 花に埋もれ オフィーリア わたしはここに 狂気に埋もれた夢を 取り戻すために  光に包まれて 抱かれて眠れ 悲しみよ夢の中で 凍りつくがいい
幻想庭園ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也黄金の空のしたで 眠りについた廃墟の 隠された鉄の門が 追憶のように開く 秘境の花園は 神秘なる薫りで 溢れる  それはかすかな郷愁 そして少しの哀しみ わたしは言葉を失くし 幻想のなかを歩く 角を持つ獣が やさしい目を向けて 佇む  夕昏には 金の光が満ち 炎に燃える 麗しきこの庭園 幾千ほどの 薔薇たちが見る夢の ひとつひとつを 数えながら 時を 過ごした日々が 遙かな昔 それでも あったような 気がする
わが恋は月光に散りぬALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也だらりの帯 緋毛氈 ひとり雛遊び 手毬追って庭の隅 夕暮れの木蔭  わたしは現る 儚い女(ひと) 闇が揺れて  はらはら舞うのは 桃の花 哀しい瞳は誰 こんこん子狐 白き影 零れ落ちる涙が綺麗 小さな胸の奥で感じた  あれから幾年が過ぎ ひとり雛飾り 変わらぬものの尊さ 変わりゆくわたし  せめて優しい 少女の時 思い出そう  きらきら手鏡 映るのは 淋しい瞳の闇 ゆらゆら宵待ち 恋の花 月の晩だけ そっと咲いて 朝焼けの光に凍える  はらはら舞うのは 桃の花 あの日の瞳はわたし ゆらゆら散るのは 恋の花 月の輝きに死す こんこん子狐 白き影 零れ落ちる涙は帰る 夢が夢でいられた頃に
DaphneALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也春まだ浅き 黄昏の 冷たく棚引く 風の底に  密かにダフネの 香り嗅ぐ 行く手に穿たれし わが奈落を 閉ざすように 塞ぐように 甘く纏いつき  あなたへと 転がりゆく 心を放てと  逢いに行っても いいですか 月影籠もる闇へ  この身が抱くのが 荊でも ああ恋は 傷つくことを恐れぬ  静かにダフネは 朽ちるだろう 乙女の最後の 季節のように  幸福と哀しみの 狭間 私は佇み  ただあなたの 髪を撫で 眠りにつく日 待ちわびる
Je te veuxALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也わたしの胸はぴあの ゼンマイ仕掛けの小鳥 くるしい恋の唄ばかり 歌いすぎたみたい やさしく叩いて 壊して  わたしの指はミシン 心臓ふちどるビーズ いつも赤い糸ばかり よじれもつれ途切れ 幾重にも絡まる愛の重さ だけど絹(シルク)のように 包んであげるわ  世界中でいちばん あなたが欲しい もう何も誰もいらない  わたしのからだはまだ 組み変わってゆくパズル どうぞ恋の欠片ごと 嵌めてつなぎ合わせ ここにあなたが 居るという答え そっと唇寄せて 教えて下さい  わたしの目がすべてを 消してしまうまで ずっと
コッペリアの柩石田燿子石田燿子宝野アリカ片倉三起也黒い太陽が 沈まぬ街で 誰もが黙って 奇術めき働く  金属の壁に 囲われた部屋 私は朝まで 死んだように眠る  あなたが見えない この眼は見えない 我ら造りたまいし神  コッペリアの柩 人は踊り疲れた人形 祭壇の羔 機械仕掛けの夢は どこに向かってゆく  世界の終わりを 予言が告げる 隣人の扉を 兵士たちが叩く  幾千の指が 翼のように 折られ畳まれて 祈りだけが昇る  あなたに会えない ここでは会えない 我ら救いたまえる神  コッペリアの柩 流れる涙はもう枯れ果て 血に飢えた孤独 死は天使の和毛の 匂いをさせて舞う  それでも触れたい この手で掴みたい 我ら護る唯一の愛  コッペリアの鼓動 生きることは痛みを知ること 脱ぎ捨てた靴を もう一度踏みならし 迷わず歩き出す  コッペリアの柩 暗闇から目覚める光よ 祭壇の羔 螺旋の途切れた夢は どこに向かってゆく
禁じられた遊びGOLD LYLICALI PROJECTGOLD LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也薔薇の首輪つなげて 銀の鎖くわえて 今宵もひとり果てる あなたが憎らしい 跪いてお甞めよ 苦い愛の雫を 天使に施す青いドレサージュ  自己と云う柩の中 魂はまだ動いてる 千切れた翅は月光に 生き返り 潤むわ 闇よりも 怖いのは孤独 ふたりの証 十字架の元で 貪りませう  薔薇の手錠はずして 白い手首かさねて 触れ合うことの奇跡 あなたが愛おしい 跪いて捧げよ 痛い愛の言葉は 包帯に滲んだ赤いアラベスク  罪でもいい 好きと言って 禁断のくちびるを  世界は聳え建つお城 門を開けるのは神 そんなふうに導きつづけて  そしてわたしの目を 塞いだら 誰よりやさしく 名前を呼んで その時知るでしょう 永遠の意味を  薔薇の指輪まじえて 革のリボンむすんで 鏡の間の舞踏会 すべてが狂おしい 迷い込んで悟れよ巡る愛の歴史を 涙で飾ろう黒いマリアージュ  嘘では嫌 好きと言って 純潔のくちびるで  薔薇の首輪つなげて 銀の鎖くわえて 今宵もひとり果てる あなたが憎らしい 跪いてお甞めよ 苦い愛の雫を 天使に施す青いドレサージュ  薔薇の手錠はずして 白い手首かさねて 触れ合うことの奇跡 あなたが愛おしい 跪いて捧げよ 痛い愛の言葉は 包帯に滲んだ赤いアラベスク  心から 好きと言うわ 穢れなきくちづけを
あたしがアリスだった頃ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也細い首 絡みつく 見えない長い指 手鏡に 映るのは 三日月とあの人の影  もう少しだけそばに居て あたしのこと忘れないで  過去と現在(いま)が 時間の国で魅かれ合う  ああ此処は 何時(いつ)でしょう  白い胸 抉るのは 微笑と熱い息 恋と云う嘘に死ぬ 世にも愚かなお伽話  もう一度だけ逢いにきて 愛していたと囁いて  夢と記憶は 同じ絵の具で描かれる 汚れた血 混ぜ合わせて  あたしがアリスだった頃 何もかもがきれいだった 空に染みひとつ 目にすることはなかった  あたしがアリスだった頃 さいごにアリスだった時 魔女が棲む森で 迷子になって怪我をした 呪いとは気づきもせず
コッペリアの柩(Noir Ver.)ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也コッペリアの柩 流れる涙はもう枯れ果て 血に飢えた孤独 死は天使の和毛(にこげ)の 匂いをさせて舞う  黒い太陽が沈まぬ街で 誰もが黙って奇術めき働く 金属の壁に囲われた部屋 私は朝まで 死んだように眠る  あなたが見えない この眼は見えない 我ら造りたまいし神  コッペリアの柩 人は踊り疲れた人形 祭壇の羔機械仕掛けの夢は どこに向かってゆく  世界の終わりを 予言が告げる隣人の扉を 兵士たちが叩く 幾千の指が翼のように 折られ畳まれて 祈りだけが昇る  あなたに会えない ここでは会えない 我ら救いたまえる神  コッペリアの柩 流れる涙は もう枯れ果て 血に飢えた孤独 死は天使の和毛の 匂いをさせて舞う  それでも触れたい この手で掴みたい 我ら護る唯一の愛  コッペリアの鼓動 生きることは 痛みを知ること 脱ぎ捨てた靴を もう一度踏みならし 迷わず歩き出す  コッペリアの柩 暗闇から目覚める光よ 祭壇の羔 螺旋の途切れた夢は どこに向かってゆく
曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
阿修羅姫GOLD LYLICALI PROJECTGOLD LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也阿修羅修羅の舞 この手を取って あなたが好きだと言ってるじゃない 諸行無常 移ろいゆく浮き世 人の心 留まらぬとしても 恨ミザラマシ  最期の瞬間に あなたの瞳 見つめられるなら 犯す罪残さず 地獄の神に赦しを乞おう  殺め合うように 求めてはいけないでしょうか 胸深く刺さった 哀しみの剣  鮮血のヴィーナス 素肌に鎧うのは 金襴の鎧よりも美しい 愛と云う傷跡  阿修羅修羅の詠 嵐の声が 恋しい名前を叫びつづける 夜叉般若の面 華の貌 あなたに逢うのはどっちの私 身モコガレツツ この想いだけは けして穢れぬように  禍の夢を 仄い土の底に孕んで 刻満ちる 女は 赤い雛罌粟 狂い咲くでしょ  命削ぐように 愛したのは運命でしょうか 交わった 縁の 指切る綾取り  転生のヴィーナス 生まれ落ちた場所は この地上の何処よりも果てない 愛という戦場  阿修羅修羅の舞 髪を解いて あなたが欲しいと言ってるじゃない 諸行無常 移ろいゆく浮き世 寝ても目醒めても泡沫の日々 玉ゾ散リケル  何がいちばん 尊いことかを教えて  阿修羅修羅の舞 脚を絡めて もうあなたを誰にも渡さない 魑魅魍魎夢魔食んで蜜蟲 堕ちる処まで堕ちて空蝉 身ノイタヅラニ  阿修羅修羅の詠 嵐を越えて 恋しい名前を 叫び続けて 夜叉般若の面 華の貌 あなたが逢うのはどっちのわたし 身モコガレツツ  この想いだけを抱いて 生きて行くだけ
鎮魂頌ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也愛する者を 守りぬくため 僕らは命を 投げ出せるだろうか  この手に握る 平和という名の 剣をかざして 戦うのだろうか  生まれくる前の我 それは今ここに 眠る英霊か  真白き鳩が 舞い降りるたび さわぐ梢の間 真昼の月  迷える小径 たどりついた地で 遠い兄のような 声を聞く ああ君 我の代わり生きよと  頭を垂れて 祈りつづける 老いし人の背に ゆらいだ陽炎  終わりなき悲しみを 包み抱くのは 誰が眼差しか  蝉時雨だけが 降り注ぐ日の まばゆい空の 青さが染みる  さまよう心 呼び戻した地に 優しい姉のような 唄を聞く ああ君 死にたもうことなかれと  真白き鳩が 飛び立ってゆく 翼の先の 光に向かい  忘れることなき 涙の川の 果てない流れを 人は渡り  生きる果敢なさ 生きる尊さを 巡る時のなか 僕らは知る  迷える小径 たどりついた地で 遠い兄のような 声を聞く ああ君よ 己がため強くあれ
緋紅的牡丹ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也腕を回して抱き取る 夢の形よ 美しき君が其処に居る 奇跡を密かに愛しむ 深き想いはその瞳に 届かざりしも 苦しみは甘き棘を持ち 私は痛みに酔い痴れる  花に譬えて生きられる 戀と云う麗らかな日々を ああ忘れざりしこの世の 思い出と代えて 春の中 散らん  せめて牡丹の 緋の色を残して  倫倫地想著似 擁著似的肩 無法進入似那片天 痛苦交纏 甜蜜的荊棘 在痛中癡戀迷離 浄扎盤旋 迷失留戀  展開的美麗花瓣 幸福的笑臉 愛無法實現的毎天 苦苦思念 世世年年永從心中美好懷念 美的夢町 美的春郷 不要離我那摩遠  紛紛飄落的花瓣 那是緋紅艶麗的牡丹  蝶に譬えて死にたもう 戀と云う残酷の時よ 広げた羽は千切れて 天の高みには 昇れないのなら 君の瞳の青空に 墜ちよう
聖少女領域PLATINA LYLICALI PROJECTPLATINA LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也まだ云わないで 呪文めいたその言葉 “愛”なんて羽のように軽い 囁いて パパより優しいテノールで 奪う覚悟があるのならば  百万の薔薇の寝台(ベッド)に 埋もれ見る夢よりも 馨しく私は生きてるの  どうすれば醜いものが 蔓延(はびこ)ったこの世界 汚れずに羽搏いて行けるのか  ひとり繭の中 学びつづけても 水晶の星空は 遠すぎるの  まだ触れないで その慄える指先は 花盗人の甘い躊躇い 触れてもいい この深い胸の奥にまで 届く自信があるのならば  白馬の王子様なんて 信じてるわけじゃない  罅割れた硝子厘(ケエス)に 飾られた純潔は 滅びゆく天使たちの心臓  また明日も目覚めるたびに 百年の刻を知る 眠れない魂の荊姫  くい込む冠 一雫の血に ああ現実(いま)が真実と 思い知るの  まだ行かないで 月光の結界で 過ちに気づいてしまいそう 安らかなぬくもりに抱かれ 壊れたい私は 罪の子なのでしょうか  そっと零れてくる 涙の意味さえわからない  もう云わないで 呪文めいたその言葉 “愛”なんて鎖のように重い 囁いて パパより優しいテノールで どんな覚悟もできるならば  さあ誓ってよその震える唇で 蜜を摘む狩人のときめき 攫っていい この深い胸の奥底を 射抜く勇気があるのならば  貴方、捕まえたらけして 逃がさないようにして
蜜薔薇庭園ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也緑の指で ここにいない あなたを なぞりつづけて 夢の扉 探せば 乾いた くちびるにのせ 唄う恋も 潤みだす Rosengarten 秘密の茂み 埋もれ咲くのは 蜜薔薇 Rosengarten うす絹 脱いで 纏わりつく薫り抱き 切ない記憶を燻らす この身は香水塔  迷い込んだら けして逃れはしないと 小さな棘は 赤く熟み肌を刺す この痛みが消えるとき 月は満ちてゆくのでしょう Rosengarten 奥深くへと 羽音みちびく蜜蜂 Rosengarten 眩暈の淵で あなたの名前 呼ぶから 今宵の睡りのどこかで きっと聞いてください  この想いを失って 生きるなど できるでしょうか Rosengarten 秘密の園も いつか 荒れ果てるのなら Rosengarten 涙の雫 まだ甘く零れるうち わたしの心を溶かして まだ見ぬ莟に捧ぐ
アンジェノワールの祭戯ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也自鳴鐘の音が 消える午前三時 透きとおった 扉に映る影 手招きに 誘われて  花を燃やす香り 噎せるように甘く 漂うなかで 鍵を開けてしまう ざわめきの 声の渦  今宵は 金の美酒 さあ お召しあそばせ 紅 肌を染め  ドアの外はカルナバル 見知らぬ人々が踊るの 誰も私にかまわないで 天使のままで生きていたい  貴方の顔さえ 忘れてしまったわ 杯のなか 沈んでゆく涙は 少しずつ 嘘の味  この世は 邪悪の蛇 巻かれて 惑わされ それでも 愛したい  身も心もゆだねる 闇夜の帳の波間に 黒い薔薇の花を抱いて 天使のままで息絶える  今宵は 銀の雨 ああ 熱い矢のよう 終わりの ない祭戯  ドアの外はカルナバル 見知らぬ人々が踊るの 誰も私にかまわないで 天使のままで生きていたい  身も心もゆだねる 闇夜の帳の波間に 黒い薔薇の花を抱いて 天使のままで息絶える
百合と夜鶯ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也月に羽根を染めた 夜鶯が舞い降り 馨しき憂いの百合へと 問いかける  何故あなたは 夜毎 花を濡らして 美しい宵を ただ泣いて過ごすの?  それは恋しい人が 娘を抱くから  やさしく触れた指が 忘れられずに 枯れるだけのこの身が 哀れで悲しい あの人の胸のなか 香れるならば 一夜の命も惜しまぬのに  百合は答えあまく慄える  森の苔の褥 彷徨うのは娘 葉末の間から 夜鶯は訊ねる  何故あなたは ひとり暗い小径を 茨に血を流し 迷い込んだの?  それは恋しい人が 去って行ったから  移ろい変わるものは 時だけじゃなく 人の愛と心と 知ってしまったの 愛しい腕のなかに 戻れぬならば もう夢の欠片も見えぬでしょう  長い髪に 薄闇が散る  やがて娘は 朽ちた百合の根元に 倒れてその目蓋を 閉じて動かない 乱れるように開く 花の底から 黄金の花粉が降り注ぐ  移ろい揺らぐものが 儚いのなら 清らかなまま昇る 魂はどこへ 白い墓標の上で 囀る夜鶯は 天使の翼に憧れて  一晩中 羽搏きました
彼と彼女の聖夜(イヴ)ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也ルーベンスの絵のような 雲が空に溶けて 街中にジングルベル 鈴のようにわらう子供  銀のモミの木見上げ ふたり手をつないだ 心はもうどんな日も 凍えたりしない  こんなに気持ちが きれいにかがやく夜が来る  そっとMerryChristmas 雪のかけら 頬に触れて消えるの ずっとMerryChristmas 終わりのない 愛はあるの? 目を閉じて祈る  白い教会の屋根 ながれる賛美歌 生まれるその前に 聞いた気がするわ  誰もがやさしく 誰かを守ってるいつでも  だからMerryChristmas 星は灯る 世界中の窓辺に きっとMerryChristmas 離さないと 約束して それが贈りもの  I love you, MerryChristmas 涙になるあふれそうな想いは I love you, MerryChristmas 愛しているだけじゃ とても伝えられないの  そっとMerryChristmas 夢が降りる もうひとりじゃないのね ずっとMerryChristmas 終わりのない 愛があるの この胸のなかに
月光夜ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也月光の冷たさに 骨がそっと 氷る 雪のような胸の下は 赤い薔薇のシャーベット  蜉蝣の翅も軋む 眠りへの階段 踏み出すたび 痛みの欠片 ひとつふたつ こぼれて融ける  糸杉の間に間に ゆれるのは魂 世にもやさしい目で わたしを見ている  少しだけ今だけ 生きるのを止めよう すべてを忘れたら もういちど目覚める  月光は 銀の爪で 絹の糸をつむぎ 縫い綴じるよ 玉兎(うさぎ)の見た いつか降りる 終嫣の悪夢(ゆめ)  心はこんなにも 儚い匣だから ひとつぶの涙の 重さを知ってる  少しだけ今だけ 生きるのを止めよう 何もかも忘れて もういちど生まれる  糸杉の間に間に ゆれるのは 魂 世にもやさしい目で あなたを見ている  少しだけ 今だけ 生きるのを止めよう 何もかも忘れて もういちど生まれる
神の雪ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也触れたきものは 仄蒼き頬の下 かよう血汐の 生き急ぐぬくもり  時をつなぎ止めるため あなたを抱く 肩の向こう見上げる冬の 夜は羽摶き  いま私に舞い落ちるのは白い雪ではなくて土 冥い闇の底にひとり安らかに埋もれよう この世で大事なものを幾つも失くしてきたのになお まだあなたの美しい横顔に惹かれるのか 果てもなく 狂おしい祈りのように  踏みしだかれた 薄氷の上に立つ 足元すくう凩 天の奈落 越えて届く ひとひらの夢 縋れるならば  いま私に降り注ぐのはやさしい雪ではなく炎 この手で消す術も持たずただ焼かれ朽ちるため この世に変わらぬものなど在りはしないとわかってなお なぜ人はどんな日も無きものばかり望むのか 罰のように 汚れ染みぬ想いに変えて  どうかあなたを包むのは冷たい雪ではなくて星 その輝きに焦がれて私は息絶えるだろう この世に悲しきことは尽きぬほど満ちたと知ってなお なぜこうも易々と涙はあふれるのか 罪人のように いつまでもその腕のなかで
マリーゴールドガーデンALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也こもれび舞う 鳥のさえずり 朝陽にかがやく 光の輪の庭 聞こえてくるの やさしいソプラノのあの声 パラソルの影の中 ほほえむ人よ  オルゴールの 蓋を開ければ よみがえりし世界 馨しき時間 小さな頃 ときめく夢  悲しみを知った今も 胸の痛みに 涙するたび それは 光の花 こころに咲く あの瞳のように  目を閉じれば 帰ってゆく 愛する者に囲まれ いつの日にか 思い出を恋うる あれは 遥かな国 宝石より 美しきものよ  咲きみだれる マリーゴールド 天使の羽根音 幼子の眠り 奏でているの 子守歌の調べ 遙かに 過ぎし日は 鳶色  あまき夢の庭で遊ぶ あの日
Nous Deux C'est Pour La VieALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也Loin, il eait une fois Dans la lumiere Une belle chanson Hier, ce n'etait qu'hier J'etait dans tes bras J'ai fait un beau reve Les reves, si doux si certains Je suis avec toi, ici et toujours  Personne ne connait cette fleur rouge Qui s'ouvre en grand dans mon coeur Quand tes doigts sur moi decement se posent Et que tu murmures, “Je t'aime”  Tant d'amour, tant de passion Comblent mon attente amoureuse Tes yeux sur moi J'en ai besoin Nous deux c'est pour la vie  Loin, il eait une fois Dans la lumiere Une belle chanson Hier, ce n'etait qu'hier J'etait dans tes bras J'ai fait un beau reve Les reves, si doux si certains Je suis avec toi, ici et toujours  Un jour si quelqu'un te fait du mal Je me ferai cygne blanc Alors mes bras deviendront des ailes Pour te proteger du malheur  Tant d'amour, tant de passion Comblent mon attente amoureuse Tes yeux sur moi J'en ai besoin Nous deux c'est pour la vie  C'est il y a bien longtemps L'eclat des etoiles Un beau souvenir C'est peut-etre demain Si tu me regardes Je m'en souviendrai Les reves, si doux si certains Je suis avec toi, ici et toujours  Loin, il eait une fois Dans la lumiere Une belle chanson Hier, ce n'etait qu'hier J'etait dans tes bras J'ai fait un beau reve Les reves, si doux si certains Je suis avec toi, ici et toujours
水月鏡花ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也遥かな記憶は 水面に描いた 翡翠の波間に 浮かび  わたしの身体は 届かぬ底方へ 撓み沈み揺れて落ちる  生まれくる前に 視た夢が泳ぎつく場所は なんにもなくても すべてがあふれる 光で織られた岸辺でしょうか  ぬくもる目蓋は 開くの それとも 閉じるためにあるのかしら  生まれくる前に 視た夢が辿りつく時は 薄闇の幕が そっと捲られた あなたに出会った あの日でしょうか  生まれゆく前に 還ったあとも夢はつづき 忘れえぬ声と 微笑みを抱いて 永遠の輪の中昇ってゆくの
In The WorldALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也平野義久もし言葉を持たずとも 風のように わたしたちは 歌い続けられるかしら 誰に教えられずとも 人を愛することが できるように  はじめて君に触れた指から わたしの命は芽吹き 空を大地もすぐそばに在り ここで生きていると思えた In The World  ナイフひとつ持たずとも 知らぬ間に誰かの心 傷つけているかも知れず それはやがてこの目から こぼれる赤い涙かもしれない  こんなに君を知った胸にも 孤独の火の子は散って いったい何を燃やしたいのか 今を生きたいと願っても In The World  たとえ世界が終わろうとして 星の灯が消えても 君の瞳のその輝きが 終わりのない旅を教える  はじめて君に触れた指から  わたしの命は芽吹き 空も大地もすぐそばに在り ここで生きてくと思える In The World
GOD DIVAALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也幸福の種 いかがと 地獄に棲む天使が 売りにくるのなら  不幸の方 お安く 絢爛豪華な惨劇 お試しいかがでしょう  不測の罠へと堕ちても 有能な弁護団が 助けにおいでと今さら 信じてらっしゃいますの?  さあさようこそ ここが救済の地 貴方はただ黙って 身を任せればいい 忘れなさい忘れなさい この世の有耶無耶を 望む道行き道すがら 薔薇色カタストロフ  色失せた現に 愛欲非道の 人生劇場は満席  他人の不幸は 無常に滴る蜜の味で 己の上には起きぬと 思ってらっしゃいますね?  さあさようこそ ここに極楽の血 貴方はただ眼を伏せ 腕差し出せばいい 夢見なさい夢見なさい あの世の底深く 針の先から裂けてゆく 終焉トラジコメディ  ご覧遊ばせ 醜いこの景色 その足下を抄う 砂上咲く楼閣 壊しなさい壊しなさい 自ら意志を持ち  さあさようこそ ここが救済の地 貴方はもう黙って 身を委ねればいい 忘れなさい忘れなさい この世の有耶無耶を 果てる道連れ行き止まり お熱いカタストロフ
殉教者の指ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也数えてみよ さあ心を 荊が巻く身体の中 あそこここにそこにも在り 弾け裂ける 憎む妬む恋うる欲す  ああ一度に君に向かう想い ああ僕はもう止められない こんな責め苦の果てにも  繋げてみよ この血管 僕の肉を縫う赤い絲 目眩続くこの長さが 君への距離 太く細く熱く硬く  愛などと奇麗事で叫べば 剥がれて暴かれるのは穢れ 皹割れてゆく死  愛などと奇麗事で呼べど 痛みに掏り替えられる陶酔 ああそれでも君に向かう想い もう僕は生きることしか出来ず 責め苦を背負って
白堊病棟ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也斉藤聡まぶたをあけてなお 闇ならば 夢の底に留まりましょう  この身覆う白い緞帳に 鮮やかな絵を描く あなたの優しい眼差し  見つめてください この世にたったひとりで 生まれてきた 名もなき魂を  誰かがわたしに そっと触れれば その指があなただと 信じられる強さだけが わたしの真実だから  かつて零れた 血の色も無く 戦いの地に萌える草  荒野より冷たいこの胸に 流れ出す哀しみも いつか溶けるのでしょうか  迎えてください この世でいまもひとりで 消え入りそうに 震える魂を  誰かがわたしに 呼びかけるたび その声はあなただと 想い続けられる力だけが 命を満たすの  探してください この世でずっとひとりで 生きることを 覚えた魂を  誰かがわたしを 抱き上げる時 その腕はあなただと 信じて待つ運命だけが わたしのすべての光
ピアニィ・ピンクALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也あでやかに咲いた ピアニィ・ピンク あたりいちめんに 色褪せた頬の 私を 染めておくれ  恋をしたら ひとりきりでも 小さな胸が 事件であふれちゃう  こっそりあなたを 見つめるそのたびに 世界が息づいた  朝つゆに光る ピアニィ・レッド 炎みたいね 弱さにうつむいた 日々を燃やしておくれ  誰にだって 優しいあなたを くやしいけれど 誇りに 思っちゃう  女の子は皆 秘密の花園で 綺麗になってゆく  清らかに歌う ピアニィ・ピンク ときめく吐息 裸のくちびる そっと蝶々が触れた  あなたの瞳に 誰より ああ残りたい  あでやかに競う ピアニィ・ピンク あなたのために 笑顔が いちばん すてきな私になる  あでやかに咲いた ピアニィ・ピンク 私のために 笑顔が いちばん すてきな私になる
月蝕グランギニョルGOLD LYLICALI PROJECTGOLD LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也頭上には星屑 墜ちるは奈落の底 幕開きし暗黒グランギニョル 死と生が手を取り踊り巡る 欲望カルナバル 誰もが群れのなか 孤独に耽り いけない夢を見る  今は廃屋 黄金塔の遊戯場で 甘き追憶 髑髏の眼窩に探る  錆びつく短剣を 拾い上げ この胸に 向けて翳すたび 赤き血が 生きる痛みに滾る  極彩の楽園 独裁者の庭園 時は一千一夜 魔の都 グロテスクな街に 眠れる君は王女 少女サクリファイス 透明な翼で 無垢なる魂 黎明を迎えよ  着飾りし罪 戦慄の舞台上で 演ずるは罰 聖裁の喝采はなく  横たわる君の 薔薇色のぬくもりは この虚無に捧ぐ供物なれ 朽ちゆく花の薫り  幻覚の満月 残酷なる太陽 終わりなき月蝕グランギニョル 堕天使と悪魔が手を取り踊り嗤う 覚醒マスカレイド そして誰も独り 孤独にふるえ 恐怖を思い出す  極彩の楽園 独裁者の庭園 時は一千一夜 魔の都 グロテスクな街に 眠れる君は王女 汚れることなかれ 清らなる微笑よ  頭上には星屑 墜ちるは奈落の底 幕は閉じ暗澹グランギニョル 死と生が 抱き合い踊り果てる 陶酔ニルバーナ 人びとは叫ばん 神の言葉を 世界に光りあれと
赤と黒ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也眠れる獅子は目覚め 見果てぬ夢を追う 眠らぬ街は永久に 未来なき明日を追う 私はひとりで 瞳ひらく夜  闇の奥でいつまでも 紅ゆれる残り火のように 鎧まとう心にも くすぶった想いは消えず  ああ すべてを燃やすほど 情熱の炎のなか 生きていたいと  眠れる獅子は目覚め 見果てぬ夢を追う 行くべき道がどこへ 続いていたとしても いつかあなたに たどりつける  群れなす羊たちの 見上げる遠い空 はかない幸せより もっと大事なものを この手につかむと 信じているから  革のコートに隠し持つ 弱さを彩るための刃 あなたの腕に抱かれて こぼす涙で溶かしたい  ああ 命に代えてまで 守りたいものを人は まだ持っているの  天には神はおらず 地上は荒れ狂う めくるめく欲望の 王に仕えし民は 虚無をかかえて通り過ぎる  汚れぬ心の中 あなたを想っている 汚れたこの世界で 出会える愛はきっと 他の何よりも 光り輝くだろう  眠れる獅子は目覚め 見果てぬ夢を追う 行くべき道がどこへ 続いていたとしても いつかあなたに たどりつける  群れなす羊たちの 見上げる遠い空 はかない幸せより もっと大事なものを この手につかむと 信じている  眠れる獅子は目覚め 見果てぬ夢を追う 眠らぬ街は永久に 未来なき明日を追う 今日もひとり 瞳とじて 汚れぬ心の中 あなたを想っている 汚れたこの世界に 生まれる愛はきっと 他の何よりも 光り輝くだろう
WishALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也I wish, my wish When I wish upon a star 星に願いをかけたの I wish, my wish my dream comes true 巡り逢えるように  琥珀の雲に咲く ひかりの花園 目に見えない花が 白い羽根になって そっと肩に落ちてくる  眠るあなたの顔 見つめてるだけで こんなに優しくて こんなに泣きそうで 胸があつい気持ち どんなふうに 伝えたらいいの  I wish, my wish 小さな頃に 星に願いをかけたの I wish, my wish 大切な人に 巡り逢えるように 私はあの夜から あなたを探していた  色褪せないものは 未来(あす)を祈る声 “願い”は争って 勝ちとるものじゃない 誰の上にも ほら 輝いて広がるわ 天空(そら)が  I wish, my wish 愛する人を ぎゅっと抱きしめた腕を I wish, my wish 伸ばせば星に 届くかもしれない あなたがそばにいれば どんな勇気も持てる  I wish, my wish When I wish upon a star いつかあなたとふたりで I wish, my wish our dreams come true 同じ夢叶える ねえ その時のために きっと生まれてきたの  I wish, my wish 小さな頃に 星に願いをかけたの I wish, my wish 大切な人に 巡り逢えるように 私はここでずっと あなたを待っていたの
夢のあとに apres un reveALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也しずかな夜に 眠りかけるのを そっと揺り起こす 月の指先よ  失くしたはずの ぬくもり 思い出すようで  おやすみ おやすみ もう おやすみ 胸の欠片(かけら) 明日は 明日は やさしいから  夢のどこかで 出会いし人の その移り香を いつまでもさがすよ  真白い百合が 似合うでしょう 恋の枢には  さよなら さよなら もう さよなら 遠い昨日 明日は 明日は やさしいから  ほのかに青く 刻は降りつもる 草に埋もれし 日時計の上にも  きれいな影絵が 窓で 手招きをしても  お眠り お眠り もう お眠り 胸の欠片 二度と 二度と 目覚めぬよう  さよなら さよなら もう さよなら 遠い昨日 明日は 明日は やさしいから
Anniversary of AngelALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也ブルーベルの空に 粉雪が舞ったら それは天使の羽根よ 胸の痛みを 撫でましょう  逢えない人 想い うつむいてばかりの そんな あなたのために 今宵 呪文を かけましょう  雲の上から 見ていたの あなたのこと ずっと  Anniversary of Angel 凛ときらめく 夢におやすみ もう泣かないで Anniversary of Angel 闇のなかでも 透明すぎる やさしい心 小さな涙が わたしを呼び覚ました  頬染める 希望と 交差する 不安を リボンのように結び 勇気のベル 鳴らしましょう  春の息吹も すぐそこで 足踏みしてるよ  Anniversary of Angel きっとすてきな 恋に出会える ほら顔あげて Anniversary of Angel すべての瞬間(とき)が 祝福に満ち 誰より綺麗に かがやく日がいつか あなたを迎えに来る  Anniversary of Angel けさ神様に お願いしたの 地上(ここ)に来ることを We are alone, We are angels だってわたしは もう一人の あなただから ふたりがいっしょになる あなたがあなたになる  Anniversary of Angel 凛ときらめく 夢に暮らそう 笑顔が似合う Anniversary of Angel すべての瞬間が 祝福に満ち 誰より綺麗に かがやく日がいつか あなたを迎えに来る
天使に寄すALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也天界は今 はるかなる 湖のように 汚れなきその心を 地上へと 映し出す  目覚めよ 天使 さあ 瞳をあけ 濡れた翼は 月の光に ひらくでしょう  生きとし 生けるもの達の 祈り声は風 命の樹木を揺らして 空をふるわせる時  目覚めよ 天使 さあ 腕をのばし 小さな手のひら 抱えきれない 愛がある  謳えよ 天使 永遠なる調べを いつか翼は 誰かの夢を 抱きしめる  目覚めよ 天使 その 薔薇のえくぼで 絶え間なく流れる 涙を止めるため
apre le noirALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也Cheri, mon amour 夢で逢う 私はどんなふうに微笑うの?  Tu vois lumiere あなたは かがやく私しか 見てない  Que fais l'amour ろうそくも 届かない深い闇に もうひとりの私がいて いつでも あなたの まなざしを求めてるのに  Je t'aime, je t'aime 囁きが 唇に触れるたび  Je vois noir 小さな痛みが 胸を熱く 塞ぐ  Que fais la vie 甘い薔薇 その陰の棘のように 傷つけ合うときが来て すべてが 消えること 蕾の日から知ってても  Que fais l'amour, et que fais la vie もう何にも言わないで 答えは愛しい 瞳の奥にあるはず  だからこうして 恋人たち 見つめ合うのね
聖少女領域石田燿子石田燿子宝野アリカ片倉三起也まだ云わないで 呪文めいたその言葉 「愛」なんて羽のように軽い 囁いて パパより優しいテノールで 奪う覚悟があるのならば  百万の薔薇の寝台(ベッド)に 埋もれ見る夢よりも 馨しく私は生きてるの どうすれば醜いものが 蔓延(はびこ)ったこの世界 汚れずに 羽搏いて行けるのか ひとり繭の中 学びつづけても 水晶の星空は 遠すぎるの  まだ触れないで その慄える指先は 花盗人の甘い躊躇い 触れてもいい この深い胸の奥にまで 届く自信があるのならば 白馬の王子様なんて 信じてるわけじゃない  罅割れた硝子厘(ケエス)に 飾られた純潔は 滅びゆく天使たちの心臓 また明日も目覚めるたびに 百年の刻を知る 眠れない魂の荊姫 くい込む冠 一雫の血に ああ現実(いま)が 真実と思い知るの  まだ行かないで 月光の結界で 過ちに気づいてしまいそう 安らかなぬくもりに抱かれ 壊れたい私は 罪の子なのでしょうか そっと零れてくる 涙の意味さえわからない  もう云わないで 呪文めいたその言葉 「愛」なんて鎖のように重い 囁いて パパより優しいテノールで どんな覚悟もできるならば  さあ誓ってよ その震える唇で 蜜を摘む 狩人のときめき 攫っていい この深い胸の奥底を 射抜く勇気があるのならば 貴方 捕まえたらけして 逃がさないようにして
KING KNIGHTALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也はるかな遠い昔 この手は翼でなく 双つの剣で  草いきれの褥で 僕らは獣のように 息を殺してた  いま孤独と虚無の中で 騒ぎ滾る血をいかにしよう 本当の強さ欲しいと願えば 導かれるのか  いざ行かん甲冑の鋼を照り返し つわものどもが夢の跡を 心を覆いつくす盾を取り払えよ 見えない国境はすぐそこに  地獄の底から声がきこえても “まだまだ夜明けは遠かろう”  触れ得ぬ星の屑 希望の輝きは 一夜に消えども  永遠なる明日はいづこ 瞬間刹那の時 つなぎ永劫を  どこに畏怖も畏敬もなく 生きる空しさをなんとしよう 真の優しさ安逸の揺り籠に 育ちはしない  いざ駆けよ漆黒の荒馬嘶いて 雄々しき國の末裔たち 張り巡らされた高き柵を飛び越えよ まだ見ぬ世界は果てしない  天の彼方から歌が降り注ぐ 帝の恩恵をその背に  いざ行かん甲冑の鋼を照り返し もののふたちが辿りし道 その想い封じ込める楔を外せよ ぬかる足跡も乾くだろう  いざ駆けよ漆黒の荒馬嘶いて 麗しき國の先駆者たち 終わりなき戦いに投じる御身へと 誠の魂宿るまで  もうひとりの自分が僕に声かける “ここからすべてが始まる”
埋葬の森の黄昏坂ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也病葉泥濘るむ地上は つづく足跡 覆い隠して  斑に滴る月光 木々の隙間から僕を侵し 痛みばかり鏤めてゆく  あなたのもとへ飛び立てる 翼の無いことをよろこぼう 誰も苦しみと共に 出逢うことを 望みはしない  葬りたいのは絶望よりも 生まれた小さなひかり 穿たれゆく土の底に  あなたの眠り呼び覚ます 歌を知らぬことが仕合わせだ 人は死神と共に 在ることなど 忘れればいい  あなたもとへ飛び立てる 翼の無いことを哀しもう そして蔓延った 根のように佇む  僕らは独り
汚れなき悪意ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也・斉藤聡傷を負った若い獣が 檻に囲われ閉じ込められ 自由という名の荒野へと 駆け出す夢ばかり見る それが今のこのわたしの姿  心には誰も 暗い闇があり あふれる恐怖を抱え蹲る 何が間違いで どれが正しいか この手で選ぶにはまだ世界は大きすぎて  君ならわかってくれると思った  月が雫を降らせるなら 今宵涙の代わりにしよう 少しだけ生きただけなのに かぶさる孤独の影は 長く深くわたしを包むから  なぜ君に出逢い その頬に触れて またひとりになると知っても愛し どこが始まりで いつが終わりかと 迷い込んで行き止まって慄えているばかり 何より優しさに怯えてた  なぜ人は生まれ なぜ死んでゆくか 幼いまま答えを探しつづけ ああ君と出逢い その背を見送り また逢えると信じるのは愚かなのだろうか  心には誰も 暗い闇があり あふれる恐怖を抱え蹲る 何が悪なのか そして善なのか この目が捉えるのには世界は翳りすぎる  だから君にそばにいて欲しい
眠れる城(Drama Version)ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也目覚める前の国で 僕らはいつも 頬を寄せ合いながら 唄った  見知らぬ未来たちが 待っていようと いつか迷わずに 戻って来られるように  小鳥にも授けよう 忘れえぬ 歌のつばさを  優しくて哀しい 気持ちはいつどこで 育っていくのだろう 蒼い芽の中  君だけ抱きしめる 腕は蔓となって そっと絡みついて 離れたくない lalala  果てなくつづく園の 片隅にある この小さな世界で 眠った  摘まれたつぼみ埋める 弔いの土 ふたり掘りながら ぬくもり残してゆこう  ただ夢を見ることが これほどに 難しいなら  愛しくて寂しい 心はバラバラに ひび割れ重なって 星のかがやき  君へと差しのべる この手は風になり どんなに遠くても かならず届く lalala
曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
薔薇獄乙女GOLD LYLICALI PROJECTGOLD LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也豹のように美しくわたし 着飾るは闇の毛皮 谷間の百合 踏みつけても あなたの場所に向かうため  牙を立てる果肉の甘さは 結ばぬ実の不実の夢 交わりましょう  逃げてるのか追ってるのか わからなくなるまで わたしを視て もっと深く 溺れ乱れ蜜地獄  魔触の爪 腐蝕の骨 軋む音響かせ これが愛か憎しみなのか 答えは必要ですか  ああ掴まれた心臓は あなたの氷のような 指の中で生き返るわ  哀しみだけ飼い慣らしても 粧うは蝶の微笑 足首結わく綺麗な鎖 奈落の扉につながり  舌でなぞる鍵孔の先は 血の味に繁る小径 進めますか  抱いてるのか抱かれるのか わからなくなるほど あなたを視る 回す腕は 咲いて散って薔薇地獄  不浄の月 腐爛の夜 欠けてはまた満ちる これが恋でも裏切りでも 屍は同じでしょう  ああ手にしつくしたものから その目に色褪せるなら 何度だって生まれ変わる  逃げてるのか追ってるのか わからなくなるまで わたしを視て もっと捕らえて 燃えて紅蓮薔薇地獄  いきたいのか堕ちたいのか もうわからないけど これが愛で苦しみならば 終焉が欲しいですね  ああ奪い取ってその心 鑞に変わりゆくわたしの からだの奥 閉じ込めるわ
極楽荊姫ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也互いの血肉を貪って 生け捕られるように 愛し合うことは限りなく 悦びに近づけど  天日の恵みのままに 芽吹き散る花の定めなど わたしの目蓋は見ず  月闇の呪縛の糸に 縛られた盛りの時を 引き延ばそうと足掻く  生きなくちゃならない 眠りの森の外 貴方を見掛けても 擦れ違う 仮面の微笑さえ 交し合うことなく  ふたつの乳房の間裂き この心渡せるなら すべての証と引き換えに いっそ止めを願えど  潜りゆく地獄の獄 其処にこそ在る安息と 幸福の逆光に  落ちたまま仰ぐ空には 忌まわしき遥か郷愁 二度と戻れなくとも  夢すべてまぼろし いばらの森の外 誰もが望むものだけ  待っていたなら この愛に 出逢えなかったでしょう  痛みなら深くあるほど 焔には緋の柱たち その先は天上と  知ればこそ仰ぐ空には 愛惜しき陰翳の影 この身に受け写して  生きなくちゃならない 眠りの森の外 貴方を見掛けても 行き違う 仮面の下伝う 滴は甘くとも
L'oiseau bleuALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也平野義久貴方のその面影だけが 私を今に留めているの この広い世界中で たったひとり 幸福をくれた人 あの日々はもう ここにはない 青い鳥は 籠を抜け飛び立った 恋は捕らえれば すぐに逃げるもの 愛は育ってしまえば 枯れるだけなの もっと自由なあの空へ いいの どうぞ 越えてらして  貴方の優しいまなざしが この身へと かつて降り注いだ 眩むような日射しの中 ただふたりで 目を閉じて 生きていられたのに 青い鳥よ 窓を抜け 飛んで行った どこまでも どこまでも 永遠に
君がため、惜しからざりし命さへALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也わが余命幾ばくか 死神のみぞ知りたもう 残った日々すべてを たとえ引きかえにしても  君がそばに いたあの時に 戻れるなら なんでもしよう  生まれて初めて死ぬほど 逢いたいと願う人がいる  これまで本気で悲しいと 感じたことなどなかったのに  なのにどうして目蓋からは 涙が伝ってしまうの 君の元へたどり着くかのように一筋  この世に生きるだけで 背負った罪はないだろうか 粗末な人間には けしてなりたくないとか  もう汚れた 感情なのか すべて君の ためだとしても  生まれて初めて死ぬほど 恋しいと思う人がいる  これまで独りが耐えられず 慄えたことなどなかったのに  なぜ欲してはいけないのか 僕だけのために流される 温かく美しい一滴 紅い血の  ハバタク羽根 与エタモウ マダソノ胸ニ 光ハトドクワ  生まれて初めて死んでも 逢いたいと願う人がいる  これまで本気で悲しいと 感じたことなどなかったのに  なのにどうして目蓋からは 涙が伝ってしまうの 君の元へたどり着くかのように一筋
春蚕ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也捧ぐ贄は ただひとつの戀 わが心 血に染む 紫の  さあ玻璃に閉じ込めなさい きずを飾り 曇っていく世界で もがいてあげる  ひと春を生き抜いて ひと夏を絶え絶えに 厭かずまた目覚め落ち 水玉の嗚咽から 訪なう指はすべて あなたとして受け入れ 浮き上がる喉元に 贖罪の痣の亀裂剥ぐ  塞ぐ繭は 踊る影抱いて 上弦の月下 爪は染む 紅ゐに  見えない針 背中を貫き 動けませぬ ただあなたを此処から 見上げる為と  幾雫を迎えて 幾片を飲み乾して 何度でも繰り返す 白濁の嘔吐から あまく曳く糸を繰り 天舞う如地を這い 擦り歩く足元に 桎梏の縄の痕摩れる  ひと春を生き抜いて ひと冬に凍り死す そしてまた生まれ落ち 白濁の嘔吐から あまく曳く糸を繰り 天舞う如地を這い 擦り歩く肘膝に 桎梏の縄の痕涸れる  絹の絲で縊りたくば 願わくは汚れぬ殻のなか 煮えよ燃えよ ただひとかけ 残りしがわが魂
S嬢の秘めやかな悔恨ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也眠れる木馬に 跨(またか)り向かうのは 月夜に燃え果てた 赤い廃墟のフェアリーランド  迷子のわたしを 助けに参りましょう 今なら伸ばせるこの腕は細くても もっと重い悲しみ 抱えてきた ひとりでも  崩れた鱗の 家では秘密の 扉は開かずに 夢を閉じ込めてしまった  壊れたあなたを 助けに参りましょう 今ならやさしく 抱きしめてあげられる どんなつらい記憶もいやせるのよ ふたりなら  泣かないわたしを 哀れんでくれますか みつめる瞳の 輝きをくれますか  壊れたあなたを 助けに参りましょう 今ならやさしく 抱きしめてあげられる 清らかな聖地(ばしょ)にさえ降り立てるわ このままで
名なしの森ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也一年中咲き乱れる 薔薇の園で暮らせたなら わたしたちだって 少しも変わらずに 時をのぼって行けるかしら  物を言わぬ庭師のように 土に乾いた指で 美しいものだけを造り出す  春の甘い黄昏にも 凍える冬のベッドにも いつも同じ夢が降りて でも感じる心はもう違うのでしょう  失くせるもの譲れぬもの 選びとっては 寂しさと諦め 植え込むだけなら  何処にあるかわからぬ お城を探しつづけるの きっと辿りつけると からだ中泥だらけにして 涙と溜め息とで 来た道は沼地に変わって 後戻りはできないから ずっと手を引いて  鏡のように静まった 闇夜の水面を覗けば わたしたちの望むものの すべてがきらびやかに 手招きしている  その向こうに行くというの? 何もかも捨て まやかしに飛び込むほど 弱くはない  何処にあるかわからぬ お城を探しつづけるの けして辿りつけずに 胸が血だらけになっても うろつく獣たちを怖れない 行けるところまで いつか気づく それは目には 見えないものだと  其処にあるかわからぬ 明日を探しつづけるの きっと辿りつけると からだ中傷だらけにして さまよう獣たちの姿が 自分と知っても 哀れまないで 本当のふたり まだ生まれてない
薔薇架刑ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也もしもわたしが 仄蒼き薔薇(そうび)なら 肉体(からだ)は綻ぶ花でしょう  添い寝する駒鳥たち 刺で抱きしめ 甘き蜜を引きかえに 生き血を注がせ赤く赤く 月を浴びて燦燦と 盛りの刻を立ち止まらせて 祈りのように 呪いのように 開いた花唇の奥底で唄う  そうまでもして 咲き誇るのかと 問うなかれ  もしもわたしが 野に咲いた薔薇なら 心は蠢くその根でしょう  土深くに亡骸を 幾つ数えて 闇に染みし濁る夜露 貧り尽くし吸い尽くして 朱い茎を昇りつめ 光の在処 探りつづける 天女のように 獣のように 堕ちていく場処は墓穴と知れど  それほどまでに 愛したいのかと 問うなかれ  枝を巡り 葉を滲ませ 自らの身を架刑とせん 月に潜み煌煌と わたしは薔薇でわたしは女 呪いのように 祈りのように 秘する想いは薫りつつ爛れ  そうしてなおも 生きてゆくのかと 問いながら
眠れる城ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也目覚める前の国で 僕らはいつも 頬を寄せ合いながら 唄った  見知らぬ未来たちが 待っていようと いつか迷わずに 戻って来られるように  小鳥にも授けよう 忘れえぬ 歌のつばさを  優しくて哀しい 気持ちはいつどこで 育っていくのだろう 蒼い芽の中  君だけ抱きしめる 腕は蔓となって そっと絡みついて 離れたくない lalala  果てなくつづく園の 片隅にある この小さな世界で 眠った  摘まれたつぼみ埋める 弔いの土 ふたり掘りながら ぬくもり残してゆこう  ただ夢を見ることが これほどに 難しいなら  愛しくて寂しい 心はバラバラに ひび割れ重なって 星のかがやき  君へと差しのべる この手は風になり どんなに遠くても かならず届く lalala  恋しくて哀しい 気持ちはいつどこで 育っていくのだろう 薔薇の根の下  君だけ抱きしめる 力はいつの間に こんなに強くなり 放したくない lalala
暗黒天国ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也Darling 目を開けて この世の悪の巣窟で 啄まれる心を頂戴 逃げもできぬ 幽閉の蒼白の王子よ わたしが女神  バタフライの羽も 天使の唾液も あなたをまだ見ぬ極楽へ 連れ出せはしない  腐りかけた自由 垢に塗れた愛(アムール) 煉獄の焔でZEROから 済世しましょう  不夜の空に 黒いダリア 失する妄想 堕ちる現実 もがけ蟻ジゴク  Darling 声上げて このいま刺し違えるほど 大事なものが欲しいのなら 祈りは果てて 牢獄で昇天の姫君 あなたが魔王  怒りの拳も嘆きの傷も 跡形もなく 熔けて消えて散って泡沫  すべては密猟区 埋もれた罠に ハメられるのなら 粉々に砕いてほしいわ  死に至らぬ病  心臓には毒薬(プワゾン) 冒されながらも生きる日々 祝福されたし  眼蓋の奥 赤いザクロ 恋する右脳 臆する左脳 つぶせ針の山  Honey 抱きしめて 素肌の絹の光沢で 恍惚しちゃう時間を頂戴 カラダは裂けて 天国で再会の片割れ ふたりは半神(デミゴッド)  至極の善と魅惑の奈落 約束の地は 何所か其所か夢かうつつか  サアドウゾ 此処イラデ 絶頂ヲ迎エマショウ  Darling 目を開けて この世の悪の巣窟も 蝕めない心を頂戴 逃げもしない 幽閉の蒼白の王子よ わたしが女神  Darling 声上げて このいま刺し違えるほど 大事なものが欲しいのなら 祈りは果てて 牢獄で昇天の姫君 あなたが魔王  組まれた指と懺悔の首と 贖う罪は 何か何れか嘘か真か
桃色天国ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也平野義久ついばむチェリー 甘いためいきで なにもかも くるんでキャンディー  つぶれたパイ シナモンの舌で うたってよ 気楽なラブソング  むずかしいことはもう抜きにして ほら今日だけは スウィーツ食べて過ごせばいいじゃない  ロココな空 ヴァニラな雲 砂糖菓子の階段 のぼって Heaven うもれて Sweetly 世界を造るのは 天才パティシェたち  泡立てましょ ながれるクリィム あら二人は 溶けてメランジェ  焼けたハアト そっとカラメリゼ いつまでも こうしてたい  悲しいことは忘れていい ねえ今夜だけは ハニーを舐めて夢見ていいじゃない  ショコラな夜 ドラジェの星 飴細工の寝台 ねむって Heaven もたれて Dreaming 世界を創るのは 名もなき恋人たち  不仕合わせだと感じたら ほらすべて投げだし お菓子を食べて生きればいいじゃない  ロココな空 シフォンな虹 砂糖菓子の階段 のぼって Heaven うもれて Sweetly もぐってミルフィーユ  ショコラな夜 ピーチな月 飴細工の寝台 ねむって Heaven もたれて Dreaming 世界を味わえる 名もなきわたしたち
跪いて足をお嘗めGOLD LYLICALI PROJECTGOLD LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也跪いてお嘗めよ 赤い爪を 縺れた舌で女王様とお呼びなさい  地獄に咲く太陽と 極楽に墜ちる闇と 眩しさと絶望なら どちらが深いのだろう  頭ノ中カラ薔薇薔薇 散ラシテアゲルワ波羅蜜  秘めやかに疼く傷も したたかに滴る血も 心の底へと届く 美し貢ぎ物なのに  求めるのが まだ愛なんて 男達どれほどまで 浅はかな子供だろう  跪いてお嘗めよ 聖なる足 掠れた喉で女王様とお呼びなさい 生きる証 聳える痛みの塔に 這って昇って絶え絶えに それでも乞うのなら  私の凍りついた涙を融くのは あなたの最後の一声かもしれない  好色と嗜虐の目と 組み敷かれる屈辱と 恍惚の狭間に視る 哀しき幸福の影  躯ノソコカラ炸裂 逃シハシナイワ絶頂  騙し騙されて繋ぐ 蜘蛛の糸のはかなさよ 信じられるものはもう 何も有りはしないのに  縋りたいのが なお愛なんて 女達どれほどまで 愚かな生き物だろう  跪いて捧げよ 永久なるもの 渇いた喉で母様と叫びなさい 生きる教え 撓った鞭の音を 数え纏って怖怖と それでも乞うのなら  純粋と云う 汚物に塗れた宝石を この手で掬い出せるのかもしれない  横たわって求めよ 甘い舌を 可愛い声で姉様とお鳴きなさい  跪いてお嘗めよ 聖なる足 掠れた喉で女王様とお呼びなさい 生きる証 聳える痛みの塔に 立って昇って絶え絶えに そうして恋うるなら  私の凍りついた魂を解くのは 再び目覚めるあなたの瞳でしょう
最愛なる魔王さまALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也黒に染む 翼に包まれて 死するために わたしは生まれてきた  ただ一目 お逢いしてわかった 胸を貫いた 懐かしさのなかで  跪きましょう どんな罪よりも こうして貴方を愛した真が 何よりわたしを 楔に打つ 激しく深く  生娘のように 花を産んで ときに娼婦の如く 天を揺らす  横たえるこの身は 善も悪も 超えて密やかなる 生け贄となり  捧げ続けましょう どんな言葉より こんなに貴方が恋しいと叫ぶ 声にならぬ声 魂が抱く言霊を  この首を掴まれ 息を止めていたい 美しい闇の淵で そのお顔 見ていたい  倒れ臥すでしょう 絵空事よりも こうして貴方を愛した真が 見せる幻影の 恐ろしくも麗しい様  この首を掴んで 抱き寄せてください 二度と開かぬ瞼に そのお姿を永久に
青嵐血風録ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也疾風の如く 胸に噛み付く 須臾の想い熱く わが心には蒼き狼 無疵のまま血を流す  迷い惑い彷徨って 意味を成さぬ咆吼の 山に空に谺越え 何処に届く絶唱  路に倒れて呼ぶ名などない 散らばる誇り掻き抱く時 溝の泥水映える若月 優しき春を何故見せる  誰かの孤独と ひととき交われば 救いの手は影だけ伸ばす 僕らが視たいのはその先でも ここは遙かな真紅の戦場  流浪の民の 堕ち行く先 悪の華は暗く わが魂の青き嵐よ 止む事無く降り続け  焦り喘ぎ這いずって 断ち切らんと煩悩の 行きつ戻りつ獣路 いつ果てるや葛藤  生まれながらに知っていたのか 愛という名のぬくもり哀し 暗に求めた垂乳根の母 貴女が与えし日々の中  近づき遠ざかり 抱くのは幻か この腕には諸刃の剣 誰かと刺し違え確かめ合う この世に生まれ落ちたということ  俘囚の身なれ 牙を向けても 見えぬ敵はいずこ わが心には蒼き狼 眠らぬ夜を幾つ過ぎ  切り裂かれし晴天と 紫黒の地の渾沌と 奇跡のような夕映えを 纏う我は血みどろ  疾風の如く 胸に噛み付く 須臾の想い深く わが心には蒼き狼 涙無く傷は沁みて  流浪の民の 堕ち行く先 悪の華は暗く わが魂の青き嵐よ 止む事無く降り続け  迷い惑い彷徨って 意味を成さぬ咆吼の 山に空に谺越え いつか届く絶唱  嵐逝き夕映え 纏う我は血みどろ
暗黒サイケデリックALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也ひとつふたつと夢を 数えていくもんじゃない もっとずっと固く大きく していかなくちゃ  抱えているものは重たいんでしょ それは真暗な心の闇 なんて呼ばれる ありふれたものよ  いますぐ目を凝らして その暗黒に どんな世界も描き出せる すべての極彩色(いろ)を見出すべきだわ  他人と同じことなんか したくない興味ない 特別が欲しいから ワタシのところに来たんでしょ?  学びなさい 毒しなさい 淫しなさい サイケデリック めくるめってのたうって この先なんでも選り取り見取り  本気遊び何でも 落としていけばいいわ いくらやってやられたって 減りゃしないから  案外そのハート脆いみたいね 頼もしくって儚くって 皆そんなもん カワイイものだわ  自分が誰よりも愛おしいって? それが正解 臆すること なく愛せたら 素敵なことよね  足枷あっての自由よ 生きるって不自由よ でも気ままに見えている ワタシを手本にしたいでしょ?  欲しなさい 感じなさい 極めなさい エゴイスティック 嫌われて 疎まれて それで世界が終わるわけじゃなし  どれかどこかと愛を 確かめてるんじゃなく 次のいまをいまのいまより 良しとせよ  強がって 偉ぶって 人生はなんぼのもんだわ 真実が虚像より 小さくたって構いやしないから  学びなさい 毒しなさい 淫しなさい サイケデリック めくるめってのたうてば この先なんでも その手の中に!  ひとつふたつと夢を 数えていくもんじゃない もっとずっと固く大きく していかなくちゃ
CYBER DEVILSALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也タマゴ型ノ寝台ニ 潜り込モウ満チテクノハ 冷タイ懐カシイ羊水デ ヤットホラネ眠レルンダ  スイッチ一ツデ 夢魔ヲ操ッテ ドンナ未来ナラ満足ダロウ  全能ノ神モ崇高ナル王モ コノ國ニハモウイヤシナイカラ 果敢ナ戦士ニモ賢イ武将ニモ ドンナ時代デモナレハシナイシ 頭バカリ肥大化シテ 歪ンデイク色妄  全世界ニ繋ガル前ニ 無数ノ蛾(バグ)ニヤラレル前ニ 本当ノ 真実ノ 強イ強イ父(アナタ)ヨ 僕ヲ抱イテ  ダリア毟ル花ビラニ ソノ場シノギ託ス願イ 好キト嫌イト分ケ隔テ 散ラシ吐シ腐ッテイク  クリック一ツデ 恋マデ落チヨウ 現ハ甘美ナ錯覚デショ  救済ノ女神モ絶世ノ美女モ コノ星ニハモウイヤシナイモノ 夢見ル姫君モ気高キ令嬢モ コンナ時代ニハ絵空事ダシ ココロ囲ッテ膨張シテ 見ル間ニ可愛イ奇形  月ノ彼方ニ繋ガルヨリモ 未知ノ誰カト出会ウヨリモ 本当ノ 真実ノ 美シイ母(アナタ)ヨ 私ヲ産ンデ  飽クナキ戦争モ怖イ暴力行使モ コノ土地ニハマダ起コラナイケド 戦ウ兵士ニモ偉イ英雄ニモ ドウシタッテキットナレハシナイシ 理由無キ抵抗無法地帯バカリ コノ街ニハマダ増エテイクダロウ 純白ノ天使モ祈ル巡礼ニモ コノ先デモキットナレハシナイシ イツマデモ守ラレル宇宙 ミルク色ノ細胞  全世界ニ繋ガル前ニ 無意味ノ蛾ニヤラレル前ニ 本当ニ 真実ニ 父サマ母サマ 僕ラヲ 愛シテ
胡蝶夢心中ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也そう私を見つめる瞳に もしも恋しさが潜むなら 目を伏せずに受け止めたこと 限りなく優しい罪となる  いくつも儚い夢 越えてきたの 最後にあなたの元で 目覚めていいの?  なぜ人は魅かれ合い 触れずにはいられないの 月の届かぬ夜も ひとり過ぎてきたのに  鱗粉の毒を撒き 舞うことを止めぬ蝶は 天の川に身を投げて 生まれ変われることも 望まない  いま私を見つめる瞳に いつか憎しみが宿るなら あなたの眼は光を束ね このからだ焼き殺せるでしょう  探すのを止めるのは 早いわ 愛を 私はまだそれを 大事に持っている  なぜ人は出逢いから 運命を選び取るの 慄える淡い羽を そっと授かるように  生きることはただ死に 向かうための旅だから 哀しみに気づかぬまま 微笑むときを永遠だと 思って  なぜ人は睦み合い かたく手をつなぎ合うの 本当は弱いから 幸せを求めるの?  満開の花の中 迷い込んでいく蝶は 薄墨の風に抱かれ 花びらとなって 土へと埋もれる  なぜ人は出逢いから 運命を選び取るの 慄える淡い羽を 握り潰すみたいに  生きることがただ死に 向かうための旅ならば ふたりが生きる行方が ひとつの死になることを 願うだけ
纏われし者らALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也心臓太陽牽合う火柱 閃き燦き目裂く錯乱 蘭芯爛熟来世の戦争 早春蒼白創痍の引訣  血管月虹光差の言葉 羽博き瞬き舞散満開 空界江海冠して懸谷 暗黒暁闇相見て愛信  わたしを造る暗闇と あなたを造る光と ふたりを包む極彩を この同じ時代のなか混ぜ合う  あなたが生きる現実と わたしが生きる幻想と ふたりを生かす地上とを この同じ時間のなか重ねる
欲望ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也煙る空 融ける雲 私の目に流れ込む 口移しで奪った恋 唾吐いて捨てようか  朱い月 淡い焔 蝋燭が映した影は 見知らぬ他人(ひと)の眠りにでも 食われちまったかもね  嫌らしいくらい 欲しい欲しいものは 手に入らない なお焦がれるために  ねえ苦しみの 皮を剥いだなら 見えると思った? 希望の骨の欠片  緊縛の結び目は 安手品の様に緩く 辛いのなら逃げたいなら あなたはどこでも行ける  イカレそうなほど 逢いたい逢いたいなんて 一生にどんだけ 思えるものかしら  消えるよりも 憎まれ憎まれよう 綺麗な花より 腐った花を抱こう  ああ本当に 欲しい欲しい人は 手に入らない なお焦がれるために  ねえ苦しみの 皮を剥いだなら 見えると思った? 希望の骨の欠片 絶望の夢の欠片
暴夜layla幻談ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也千もの風吹く胸を 抱えて参られた お労しいあなたの望み 何でも叶えましょう  Alf Layla wa Layla 夜伽の語り 小夜啼きの喘ぎ 奇態の裸体  その膚に纏わん 触れる吐息は繻子 口脣は緋の天鵞絨 わが名は“恋”  心も躯も蕩かす私に 溺れきらぬ者はない 命の炎は快楽に燃すもの 甘露に痺れてああ恍惚と その精尽き果てるまで  それでも優れぬお顔 胸中(こころ)の洞窟 届かぬ苦痛の疼き 塞いで進ぜましょう  Iftah Ya Simsim 呪文を唱え 開けよ扉 輝く帳  畏れずに踏み出す 爪先には珊瑚 横たわる褥は翡翠 わが名は“富”  金銀財宝目映い私は 目が眩まぬ者はない 王者も額づくこの綺羅めきは この世の何よりああ美しや 金で奪えぬ物はなし  Alf Layla wa Layla まだ晴れぬならば 抱かれるがいいだろう 禁断の腕  眼蓋閉じ見つめよ 黒馬の鬣 降り立つ漆黒の翼 わが名は“闇”  すべてを抱き取る私の深さに 抗える者などない 虚無へと注げば愛の美酒となり 蒼冷めた頬に薔薇の血が差す  ABRACADABRA 私はいつでも あなたに寄り添った影 夢など魔となる悪さえ美となる この世の懈怠を犯すものなり  さあさ魂をこちらに
六道輪廻サバイバルALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也この肉体朽ち果てて 蟲棲む土となっても 追憶の粒子たち 卵となり蝶となる また死んでまた生まれ 君と出逢えるだろうか 違わずに交じる指 火を点せ曲がり角 六道ヶ辻  地獄谷堕ちて悪行の数 饑えど渇けど減らず餓鬼の河 畜生這う行方に外道みち 猛者ども夢亡き修羅阿修羅  浸す闇のsurvivalism 月光観音が導く  苦艱彩り一世の極色 童子昇天羽衣の五衰  脳内からamphetamine 動脈へと紡ぐ極楽  この世でもあの世でも 閉ざされた“現在”のように 手探りで前を向く ぼくらは独りのまま また生きてまた死んで 何処へと続くのだろう 巡り合う渡り合う 迷い途 鬼ばかり 六道輪廻  いまのうちに出来るだけ その手を強く握っていよう  光と影今生過去未来 皇子と巫女前世現世来世  戀うる限り無きnirvana 悟るべきものは幻想か  この五臓 流れ果て 蓮(はな)咲く水となっても 霊魂の抜け殻は 雨となり空(くう)となる また生まれまた死んで 君と出逢えるだろうか  逝き違う擦れ違う うつそみは転げ墜ち 六道ヶ坂  いまのうちに出来るだけ 君をもっとずっと抱いていよう  この世でもあの世でも 閉ざされた“現在”のように 手探りで前を向く ぼくらは独りのまま また生きてまた死んで いつまで続くのだろう 巡り合う渡り合う 迷い途 鬼ばかり 六道輪廻  この肉体朽ち果てて 蟲棲む土となっても 追憶の粒子たち 卵となり蝶となる また死んでまた生まれ 君と出逢えるだろうか 違わずに交じる指 火を点せ曲がり角 六道ヶ辻  この瞬間に適うだけ 君を強く抱きしめていよう
若い死者からのレクイエムALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也蒼い皮膚の上に滲む 赤い流星のような血を見て 君は何を想う その心にある 目には出来ぬ疵口の さらに深い痛みと 幻の恐怖  あまい麻酔をあげる もう誰もいない夜 そっと囁くように 声を絞って したたる一滴 今から眠れる 君の闇の中へ  光の出口を ねえ 見つけて 欲しいから  もしも世界に醜さが なかったら人は幸福だろうか 影の底で 悶え苦しんで 耐え難き寂しさとを 越えてこそ知っていく 透明な感情  そんな 命をあげる これでもう手放せる とても少ないけれど ぼくが覚えた 笑顔の数も これから目覚める 君の明日の日々へ  君に 死んじゃう前に 出逢えていたらよかった どんな孤独もきっと 払ってくれた あたたかな手を こんな強い温もりを 持ってるから  やさしい麻酔をあげる もう誰もいない夜 そっと囁くように 声を絞って したたる一滴 今から眠れる 君の闇の中へ  光の出口で ぼくも 消えて 逝けるから
逢魔ヶ恋ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也貴方を愛したこの口脣が 零しつづけた言葉の欠片 冷たい耳はその心まで 届けることさえ出来ないの?  夜の漣 揺れる木葉に 浮かべた血の文字したためれば 真赤な小さな愛おしい実を 孕んで育てていけますか  天が闇に抱かれる逢魔ヶ刻 ふたりは出逢った 黄金の雲を裂き 稲妻は高らかに  天鵞絨の帳のなか包まれた 物語は幕を開けて 終わりのない御伽話はないこと 知っているけど  誰にも聞かせることなく この胸にだけ刻んでください  明日の夢など忌まわしいだけ 留まる場処はただ今でいい 逢えぬ貴方は死びとも同じ 触れ得る時だけ真実でしょ?  天が地上に傾く逢魔ヶ刻 ふたりは生まれた 黒い星の冠 絹の髪散らばって  堕ちるところまで堕ちた恋人達が 受ける愛の責め苦に すべてを焦がして朽ち果てることも 厭わないけれど  確かにふたり生きた証 重ねる身に残してください  天が闇に抱かれて崩れる刻 わたしは葬る 砕けた月の鏡 記憶を繋ぎ合わせ  天鵞絨の帳のなかに帰った 物語に鍵をかけて 忘れられる御伽話はないこと 知っているから  誰にも聞かせることなく この胸にだけ 刻んでいくだけ
王的血族ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也この躰に受け継がれし 血が綴った 系譜の枝を遡って 貴方に会おう  聳える城壁 玉座の間に立つ 孤高の裳を引き摺る 横顔 懐かし誇らし遠き祖先(ちちぎみ)よ 迷える私を導きたまえ  記憶の破片が ああ胸を突き刺さん  選ばれしは断絶か 血の常しえか 描かれざる道をのぼって 君を探そう  灰色の空に刺さる摩天楼 未来よ そのとき光は在るか 愛おし貴し遠き子孫(おとうと)よ この孤独に愛を注ぎたまえ  予言は夢を 伝い歌を奏でん  わたしはひとつの王国そのもの すべてがこの中で眠り目覚めて 流れ 続く  真実が何か見失う夜も 行き場を無くして叫ぶ夜明けも 懐かし誇らし遙か父君よ 私は貴方を超えてここに居る  戦い傷つき翼もがれても 奈落の底に突き落とされても 愛おし貴し遙か弟よ 私は君のために今生きる  こころは偉大な王族そのもの すべてがこの中で眠り目覚めて 満ちて 続く
コトダマALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也見つめてるものの 本当の姿 目を閉じたあとに見せるため また今日も時は 引き裂かれそうな 孤独だけ紡ぐだろう  闇に咲く白蓮 忘れ得ぬ人々 それでも追憶は 未来から訪う  吐息に変わる言葉たちは 羽化する魂の翼よ 舞い散るでしょうか  迷って乱れて あなたへと刻みたい この文字が  伝えたいことの 真実の欠片 それさえもうまく届かない 指先に滲む血で認めたら こころまで零せますか  生きるわれらに 残された一言が サヨナラだとしても  眸に宿るのは 消えそうな夕星 見詰め合えたらいい そこに夜を点そう  生まれる前の言葉たちが ふたりの隙間に横たわる 聴こえるでしょうか  歌が歌が その耳にだけ捧げたい この声が  信じられるほど 確かな何かが この世にどれだけあると云う 愛と夢とか 曖昧なものに 縋り付きたいのは何故  ああでも今は 残されたぬくもりを 抱き留められるなら  見つめてるものの 本当の姿 目を閉じたあとに見せるため また明日も時は 引き裂かれそうな 孤独だけ紡ぐだろう  伝えたいことは からだの奥底 あまりに沈んで届かない 指先に浮かぶ血で認めたら こころまで送れますか  生きるわれらが 最後に育てるのが サヨナラばかりだとしても
コヒブミALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也どんなにあなたが探したって 見つかるわけない わたしが持つのは黒い羽  天使たちの亡骸 抱いてそして誰もが 泣けばいい  愚かに愛など求めるなら 沈黙の中に 心をおもねるべきだろう  生きるための幻想 死するゆえの純粋 混じり合う  ああわたしは知っている 終末の行方さえ 闇の涙で書いた 死後文の切れ端に  最後にもっとも 大切なものは何か  少女たちの亡骸 見詰めそして誰もが 悟ればいい  もうあなたは知っている 運命の行方さえ 薔薇の血で認めた 恋文の一節に  最後にもっとも 美しいものは何か
わが臈たし悪の華GOLD LYLICALI PROJECTGOLD LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也濁世は鬼 正義は何ぞと 問うまえに抗えよ悪徳の華 偽善の夢視し目には目を差し 生も邪も分かたれることなし  光は絶え胎児のように 君は眠る闇の子宮 孤独こそ愛おしい 唯一の味方となるだろう  ひとりひとり血汐にまみれ この時代に生まれ落ちた 選ばれし皇子らよ 戦いこそ祝筵  ああ我は麗し 全智 愛の母 君を産む この乳に育みしものは 地獄の同胞  黙示の印 真理は何ぞと 知りもせず埋もれし隠匿の種 諸刃の剣抜く刃には刃を向け 守るべきものだけを信じて 有るがままに君は君を放て  断末魔の叫びを浴びて 爛熟せしこの世界に 呑み込まれ意を殺がれ ただ生きる屍の群れ  それは君が踏みしだくもの 哀れむことは易けれど 救われず掬われる 裏切りの人の道  ああ我は臈たし 美徳 母の愛 君を喰む この腹に孕み続けるは 異形の翼か  獄司の錠 真実は在りや 探せども果てもなし混沌の檻 審判の矢射る手には手を触れ 虚と実が折れ曲がり交わる 夜明けるまで君は君に淫す  盛れよ咲けよ 散り急ぐことなかれ  黙示の印 真理は何ぞと 知りもせず埋もれし陰徳の種 諸刃の剣 抜く刃には刃を向け 守るべきものだけを信じよ  濁世は鬼 正義は何処と 問うよりも咲き誇れ悪徳の華 偽善の夢視し目には目を差し 生も死も境界はあるまじ 最期の刻 君は君に殉じ すべてを抱き 悟らん
小さき者への贖罪の為のソナタALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也もし君が立つ 足下が崖なら 飛び降りるべきは 私の方で  翼などもう 疾うに失くしたから 天へと昇れる術を 持たないだけで  だけど羽よりも そして誰よりも いまの君をそっと抱ける 腕を持っている  苦しみを怺え 悲しみを越えて それでも頽れたなら 地上で砕けた 星のように燃える 行き場なき希望の  帰る空を 何度でも捧げよう  君が覗いた闇の 深い底を 目に映す者は 私だけでいい  だからこうして 夜に歌いかける すべてを呑み込む 虚無が目覚めぬように  どんな言葉なら そして祈りなら その心の奥に触れる 響きとなるだろう  愚かさを知って 愛しさを分かち 過ちに躓けど 許される明日を 願って立ち進む 穢れなき戦いの  どうして君を 独りにできるだろう  生きてきた意味を 生きてゆく理由を 命の血へと流れる 遠き人々の 想いが綴るのを いつの日か読み取らん  愛よりも深く 罪よりも重く 積み重なってゆく時 もう誰も何も 君を引き裂けない 世界照らす輝きを  私たちは 静かにそばにいる
薨(こう)ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也ヤガテ君ガ瞼瞑ジテ 二度ト開カヌソノトキ  ワレハタダ呼ビカケル 口ニデキヌ其ノ名ヲ 天上ニ響クダラウ 最後ノ唄トナツテ  君ガ為ニ袖ハ濡レル 幾日幾代永劫  ワレハタダ想ヒ出ス 誰モ描ケヌ景色 タダ独リ生キルダラウ 一枚ノ画ノナカデ  生マレ変ワルタビ 君ニ命ヲ捧グ  衰竜ノ龍ヨ舞ヒ立チ昇レ 金色ノ鱗空ニ輝ケ ワガ腕ハ雲トナリ陽トナリ ヤウヤク君ヲ君ヲイマ抱ケリ  ワレハタダ繰リ返ス 口ニデキヌ其ノ名ヲ 天上ニ響クダラウ 最後ノ唄トナツテ
雪華懺悔心中ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也一片一文灰散る如く 薄霞 時は降り積もる 毀れる躰はああ何処で 朽ちゆくのでしょう  蠢く私の不浄の指は 毒の絲吐いて女郎蜘蛛 縛られた過去の亡霊と 人肌を縊る  綺麗事ほどお笑い種の 表を越えて渡りませ 本当は 悪いお人で あらしゃりますか  愚か恋しや 痴人の愛の 果て無き情け縺れ 堕ちては外道 縋れど地獄 のぼる気も失せ蜘蛛の糸  如夜叉燃しませ 戀の恨道 引き返せぬのならば 覚悟の腹はいざ 抜く鞘ひらひら段平翳して  刺青の薫り墨染めの桜 漆の闇へと隠しつつ はるかに 愛する痛みなら 膿み尽くしたでしょう  見上げる宵には裸木の骨 生きれど女は月髑髏 白珠の下腹満ちるたび 生まれ出づる死よ  朝日を知らぬ赤子のように 血肉包まれ眠りませ 本当に 可哀いお人で あらしゃりますね  いのち愛しや 賽の河原の 石積み遊び憫れ 通るは百鬼 罅ぜる鬼灯 転ぶ間もなく針の山  女夜叉抱きませ 懺悔野ざらし 二度と帰らせまいと 占う吉凶は 剥ぐ爪はらはら花弁数えて  怖いお人で あらしゃりますか  いのち惜しかろ 飲み乾す咽に 爛れる情の苦し 秘すれば仏 焼かれて般若 崩れゆくほど麗しや  女夜叉抱きませ 夢の通い路 二度と戻れぬように 踏み出した足首 舞う雪はらはら六花に埋もれて  愚か恋しや 痴人の愛の 果て無き情け縺れ 堕ちては外道 縋れど地獄 のぼる気も失せ蜘蛛の糸  如夜叉燃しませ 戀の恨道 引き返せぬのならば 覚悟の腹はいざ 抜く鞘ひらひら段平翳して
曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
禁書ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也夜毎にわたしの洋墨(インク)は垂れる 人生を綴る羊皮紙の上に それなり甘美な筋書き  それでも書棚に積み上げられた 古今東西本の中 あなたの小説ひとつに 及ばない  活字貪り生きられればいい 扉開けるように次の表紙を また開く  現など捨てて行く ここは崇拝図書館(bibliotheqou) 神々しく気の触れたその右手のペン先が わたしの脳に物語を認めてく官能 ああどうか躰を裂き 直に美しい妄想 注いでください 失神するまで  叡智は閃光と暗澹湛え 熟成されながら言葉に宿る 悪魔と天上の爛酔  他に何もわたしはいらない あなたの世界へと飛べる 想像力あれば  命かけ読み耽る ここは終身図書館 見目麗しく並び語られる文字は音楽 瞼も胸も捲られてく目眩く幻覚 もうどうかこの魂 潰れるくらい凄絶な たった一度きりの結末をください  奇なる事実より奇な ここは禁断図書館 わたしが死んだ後は青褪めた皮膚を剥ぎとり 鞣して縫い合わせて装丁に飾ってほしい 時の黴纏いつつ 世界に唯一の私家版 誰かが手に取るまで息を潜める  わたしこそがあなたの描いた妄想
血の断章ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也鳩の血のいろ 似合う雪の首 接吻(ベエゼ)より甘い あなたの牙の痕  少女のときから 待ち続けていた 小さな悪夢 つなぎつむぎあわせながら  棘を手折る優雅な指で わたし弔われて眠り 月の柩で目覚めた ただあなたを愛するため  人はこころを 胸の奥隠すけど 宝石匣で わたしは育てるの  永すぎる魔冬 哀しみ抱えた あなたの腕に 放たれ輝けるように  誰も願う 永遠の愛は 初めからここにしかない だから貴いと知るほど ただあなただけ崇める  愛おしい お父様 わたしを 抱いて  蕾散らす懺悔の爪に わたし抉り取られ睡り 薔薇の柩で叶わぬ ただ馨しい死を夢む  無垢なる無為なる 真紅の真白き花嫁  さよなら遠い刻
眠れる豹ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也口脣でたどれば 青い草の匂い 君の汗は秘やかなる 密林の奥に隠って  私のこころを 果てない先へ 誘いつづける  寄せる眉 立てる爪 いま君が求める夢を 狩りに行こう 生け捕ろう 二度と逃げられないように いつだってここに待つ 女のように  きっと遠い昔に 君は一匹の豹 しなやかな肩 絹の肌 やさしい傷を付ける牙  私のからだは その記憶を 懐かしくなぞる  立てぬ声 鳴かぬ喉 君を閉じ込めてる檻を 開けに行こう 解き放とう 愛してると言う代わりに その耳に風の歌 そっと注ぎこむ  満ちる空 明ける夜 ずっと君が視ていた悪夢 狩りに行こう 仕留めよう 二度と苦しめられぬよう  立てぬ声 鳴かぬ喉 君を閉じ込めてた檻を 開けに行こう 解き放とう 愛してると言う代わりに 抱きしめた この腕を そっと広げよう
ヘテロ失楽園ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也水鏡 映る少女 手を伸ばし抱けないけど 水面に触れ 沈んで揺れる長い巻き毛は 藻のように絡まり合う 私たちの意志  わかってる 出逢えること 紅蛾の翅毟る場処で 互いを曝け出すための  擦れ違う 薄荷の少年 振り向いてもまだ届かない いまは白いシャツの喉元 薊の花の痣もなく滑り落ちる 太陽の粒子  知っている 惹かれ合うのは 白昼の蜥蜴潜って ひとつに繋がる精神(たましい)  人々は何故 アダムとイヴでいられるんだろう 楽園なんかすぐに消えたのに 私は私と同じ貴女だから愛する 美しいと言える 真実の言葉を 吐き出すこともできる  唇を抑えながら 生きてきたけど一人で 月の森で授かったのは 濁ることのない 血の混じりなど持たない 雫の滴り  待っていた 迎え合うこと 生まれる前の分身を ぴたりと重なる肉体  始まりは何故 アダムとイヴの神話なんだろう 愚かな罪を語るだけなのに 僕は誰より僕に融け込む君に恋する なにひとつ無駄な未来など もうこの世界に必要ない  男と女 永劫阿修羅 理解し合えることのない種族 その愛はただ醜く栄え この地上に生み落とされる穢れ  アダムとイヴでいられないだろう 楽園なんか最初からないのに 私は私と同じ貴女だから愛する (僕は誰より僕に融け込む君に恋する) なにひとつ無意味な未来など もうこの世界には産まれない
黙示録前戯ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也白濁の闇を裂き 極彩に濡れる私の傷を 抉るとき君の指は ぬくもりの冷たさを知るだろう  泥のなかに咲いた花を 踏む足跡にさえも 縋りつきたいくらい 寂しい心 わかる?  太陽の揺籠は 私たちの目を眩ませつづけ 破れそうな月光(つき)の皮膜(まく)に 籠もることを安らぎとしたけど  火炙りの炎が常に 皮膚の上で踊っている 生まれただけで罪を負ったように  さあ唾を吐いて罵るがいいわ 汚された顔でさえ 微笑むこの私を 愚かだと云って嗤って欲しいの 畏れなど何もない メシアの王のように  溺れてゆく手首を掴んで 唱えて 悔い改めよと  皹割れた鏡ほど 多くの燦めき鏤め纏う 真実の醜さは もう暴かれる前にわかってる  なのに恋というものだけは 真っ直ぐ届けたいと願うけど 純粋なのは奈落向かう方よ  さあ声を出して絶叫すればいいわ その瞬間に世界が 終わってくかのように 綺麗だと云って最後だと伝えて 崩れ落ちる私を 君の肉体(み)で葬って  ふたりの死に舞い散る 天使の翼の灰いろの骨  さあ唾を吐いて罵るがいいわ 汚された顔でさえ 微笑むこの私を さあ声を上げて絶叫すればいいわ この瞬間に世界が 再生されてくように  沈んでゆく足首掴んで 教えて 光を見よと
神風ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也いざ進まん 時を越えて 日出づる国 生まれし者らよ 知らざれざる 想い遙か 響く先人の声  かつて黒馬に跨り 駆け回った神の野山も 現世(いま)は繁栄の都 再び君は戦う戦士  守るのは小さな城で また今日も疲れ果てて眠れば 射干玉の夜は静かに 輝きながら君を包む  人知れず零した涙 やがて清らな川となり 来る日を育む糧とならん  いざ進まん 運命を抱き 日出づる処 目覚めし者らよ 行く手阻む 敵があれど 雲間を裂く雷  その身体に 流れるのは大和の血 嗚呼 千代に八千代に いつまでも  ありふれた愛の歌が 伝えるのは虚ろな正義で 胸の鞘へとし隠した 白刃の煌めき無きものとす  護られるべきは君で 道なき道砕いて渡るとき 背中を押す一陣の 風の強さに身を任さん  花と散った遠き友が 万世の桜華を咲かす 身捨つるほどの未來のためと  いざ羽撃け 若き鷹の 翼はまだ 空の藍染まる 彼方消えた 星の行方 追って天届くまで  その心に 宿りしは大和の夢 ただ不撓不屈で 生きるべし  誰の神の子では非ず けれども尊き 人の子  いざ進まん 時を越えて 日出づる国 生まれし者らよ 知らざれざる 想い満ちて 響く神風の声  いざ羽撃け 若き鷹の 翼はまだ 空の藍染まる 彼方消えた 星の行方 追って天届くまで  その身体に 巡れるのは大和の血 君 千代に八千代に いつまでも
亡骸の女ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也どこまでも続く園 繚乱噎せる花の蜜 わたしは蝶と生まれ 余すことなく 甘受する幸福の 一瞬が永遠だった  気づけば床に倒れ 白い天井を見てた 溺れてく人のように 手を伸ばして口を開け  この声を失くすだろう あなたの名前をもう呼べない 幻は鮮らかに 指にいまも触れるのに  聳え建つは楼閣 酔郷巡って回廊 わたしは巫女と生まれ 億の夢を授かり舞う 悦びの戯欷は 償いだった  見えない砂が落ちる 崩れるすべての時 埋もれる人のように 諦めて目蓋を閉じ  ああ言葉も葬られ あなたの名前ももう知らない 幻は跡形もなく 瞳には虚ばかり  気づけば床に倒れ 白い天井を見てた 溺れてく人のように 手を伸ばして口を開け  この声を失くすだろう あなたの名前をもう呼べない 幻を恋いながら 亡骸のまま生きようか  朽ちもせず焼かれもせず 醜くも美しい わたし
鬼帝の剣ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也この胸に抱くのは正義  朱く熱く燃える わが太陽 この世の何処かで 凍りつき眠る真実 見つけ出すこの手 愛と哀しみに どれだけ触れるのか 僕は僕であるため 闇を融かしてゆく  まだ見ぬ世界への 扉をくぐるとき 翼が傷つくのなら この心を 鋼に変え  交差する光よ 落ちる影は 未来の先を 輝かせるだろう  果てしのない宇宙の隅 ひとつひとつ孤独の星に 生きる僕ら 繋がり合う 地球越えるLINE(はし)となるように  昏く潜み浮く青天の月 嘲り翳ろう 夢の雫がこぼれても 差し伸べたこの手 受け取るぬくもり そこに在る微笑み 君が君でいるため 命を添わせよう  魂(こころ)の奥に棲む 鬼は片眼を開け 深まる時を見つめる 何が悪で何が善か  誰かを守る為 怒りを持ち 涙を流し 己に熔けゆく  尽きぬものは希望と欲 ひとりひとり刹那の罠に 迷う僕ら 争い合う それが正しい歴史となるのか  遠く近く聳ゆる わが大地 頽れ踏みしめ すべてを還す土の上 包み込む腕の 優しさの記憶 何度でも目覚める 人が人であるため 道は続くだろう  この胸に抱くのは剣  朱く熱く燃える わが太陽 この世の何処かで 凍りつき眠る真実 見つけ出すこの手 愛と憎しみに どれだけ触れようと 僕は僕でありたい  昏く潜み浮く青天の月 嘲り翳ろう 夢の雫がこぼれても 差し伸べたこの手 受け取るぬくもり そこに在る微笑み 君が君でいるため 命を添わせよう  そして僕を 護る 勝利
勇侠青春謳PLATINA LYLICALI PROJECTPLATINA LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也行けどもけものみち 獅子よ虎よと吠え 茜射す空の 彼方にまほろば 幽囚の孤獨に 彷徨う青春は 弱さと怒りが姿無き敵ですか 父よ 未だ我は 己を知りがたし  先立つ兄らの 見えない背中を追えば 迷いの一夜に明星は誘う  死して終わらぬ 夢を焦がれども 確かな君こそ我が命  烈風の荒野で 蝶よ花よと生き とこしえの春に 咲き添うまぼろし 混濁の純潔 この身は汚れても 心の錦を信じていてください 母よ けして我は 涙を見せねども 足下の草に露は消えもせで  生まれた意義なら やがて知る時が来よう このいま せめての義旗 血汐に浸し  ただ君を愛し 胸に刻んだ 刺青(しせい)のような傷を抱いて  行けどもけものみち 獅子よ虎よと吠え 茜射す空の 彼方にまほろば 勇侠の士となり 戦う青春は 仄蒼きほどに愚かなものでしょうか 父よ 未だ我は 愛ひとつ護れず 仮初めのこの世の真はいづこ  烈風の荒野で 蝶よ花よと生き とこしえの春に 舞い散るまぼろし 混濁の純潔 この身は汚れても 心の錦を信じていてください 母よ いつか我を 授かりし誉れと  生けどもけものみち 獅子よ虎よと吠え 茜射す空の 彼方はまほろば 高潔の志のもと 戦う青春は 果敢なき時代(とき)ゆえ美しきものとあれ 父よ いつか我は 己に打ち克たん 尊びのこの世の誠はそこに
アラ皮ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也昔々 栄えし国の 王子がひとり狩りへと出た 禁忌の森に入り 崖に足を取られて 気が付けば月も落ちぬ夜  そのとき眩暈のなか 近づくのは金色の姿 気高く聳えた角 一頭の神々しい牡鹿 不思議な光に向け 若者は我を失くしたように 弓を構えて 狙いを定めて 撓む弦に鋼の矢  命など惜しまぬと 鹿は銀いろの声で云う だがこの森守るわたしが 死ねばすべては茨となり おまえの都も滅びるだろう  心臓を突き 金の首と剥いだ皮 勇んで城に運ばれる  幾年か経ち王子は王に 戦破れ国は衰え 茨伝う城壁 嘆き交わす人々 愛も幸も遠去かりゆく  やがては喰うものまで 底を尽き飢えと渇きのなか 森へと訪えども朽ちた木々 芽のひとつもなく 泉も涸れ 獣の影さえなくただ風が通り 疲れ頽れ ふと目を上げれば 黄金の幼き牡鹿  あなたは父の仇 いつかと同じ声が響く でも屍と化した国を 再び甦らせるのは あなたをおいては誰もいない 永遠の わたしのこの血肉で 国人を救えるだろう  命は捧げましょう 鹿は銀いろの声で鳴く 王は涙をこぼしながら やわらかな胸へと矢を射る あの日の過ちを心から懺悔して 悔い改めた王は禁色の光と生きる  死ぬまで二頭のアラ皮 纏いつづけながら
桂冠詩人ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也わが心を夜毎 冷たい月の 光に凍らせて 粉々に砕けば  燦爛と燃え 破片は胸を刺さん これが愛する痛みと  白亜の神殿に 刻まれた幾万の詩 過去からの営み なぞる如く生きては ただ歌を紡ぐ 狂おしき宿命  なおも馨しく 苦しみ伝う血  わが涙を注ぐ 静かな海に 水面の輝きに 抱かれて沈むなら  深淵に落ち 蒼い真珠とならん 偽りなき恋ならば  想いの海原を 言葉は帆船(ふね)になって どこまでも旅する 辿り着く岸辺は この世にはないのに 波は永久に寄せる  頭上に戴く 泡沫の花よ  天へと捧げん 空に書き風に詩い 最後の一節まで 月桂の葉匂う 美し供物となれ この命を添えて  すべて時の砂 埋もれたあとも
吾君想う故に吾在り生き霊となりてALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也瞼を抉ろうと 見えるのは同じもの  まっすぐ立ってますか 現し世の その わたし  眠るあなたをまた 見下ろしてるの  月を背に影も曳かず たゆたう幻のように 腕もなく足もなく なお指もなく  それでもわたし あなたに触れているでしょ 全身全霊  在るのが恨みなら 爪も毒 染めるのに  左の胸の下 溜まる愛 その血だけ  消えた恋を 捉えていられるほど  記憶は意味を持たない 人が生きる場所は何処 今はここでも行方は もうどこにもなく  こうしてわたし あなたのそばを巡って 流水落下  月を背に影も曳かず たゆたう幻のように 涙もなく熱もなく なお息もなく  それでもわたし あなたに触れているのよ 全身全霊
堕ちて候ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也桜の花は 狂い咲き 桜の花は 狂い咲き 春告鳥は 狂い啼き  乱れ髪ゆらり 夢一夜散りぬるを  桜の花は 狂い咲き 狂い咲き 年中寝んごろ 恋ぐるい 夜風の間に間の無情なさ  赤き帯だらり 参りゃんせ 堕ちりゃんせ 手折る枝はらり 恋し人 帰しゃせぬ  紅蓮の闇は 甘く深く 持ちつ持たれつ 堕ちて候  桜の花は 狂い咲き  花緒切れからり 通りゃんせ 堕ちりゃんせ 簪がきらり 恋し人 帰しゃせぬ 赤き帯だらり 参りゃんせ 堕ちりゃんせ 熱き胸ほろり 参りゃんせ 堕ちりゃんせ
木洩れ陽のワルツALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也子供たち 回すよ ストリート・オルガン 公園のパントマイムに 人が集まる  道化師が 差し出す 目に見えない 花が だんだんと 色づき 風に香るよ  おしゃべりは 止めにして 今は 耳をすましましょ  Accordez-moi このまま 木洩れ陽舞う花園で Embrassez-moi 踊ろう 猫たちも誘い出し  肩肘を張っても 溜め息で壊れる そんな日は おいでよ 夢を拾いに  ほほ笑みをもう少し ほらね 呼びもどしたなら  Accordez-moi 誰もが 木洩れ陽舞う街角で Embrassez-moi 恋する 鳥たちもささやくよ  Accordez-moi あなたと 木洩れ陽舞う劇場で Embrassez-moi 会えそう 噴水の貴賓席
マダム・ノワール−Madame NoirALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也殻のように重たい 青い制服を脱ぎ捨て アノヒトの窓辺に 飛んで行きたいと思う  触れれば血の滲むような 純潔に縛られた 少女達  煌めく地上では 愛さえも機械仕掛け 決められた時間で 消滅する遊戯(ゲーム)なの  メトロの終着駅から 夜の国へと 切符をすりかえて  マダム・ノワール その胸に 幾夜も抱かれて わたしたちは真実を 見いだす魔術を ああ 教わる  仮面の王者に 君臨する男達 麻痺した心を 燃える愛で救いましょう  自分探し未来都市を 炎のサーカスに変えて 踊るのよ  マダム・ノワール 闇夜から 光を見た時 神話の昔(かこ)生き絶えた 天使の羽ばたき ほら 聞こえる  マダム・ノワール その指に 髪を撫でられて わたしたちは明日を待つ 儚い命と知っても  マダム・ノワール 世紀末最後の答えは 瞳とじて見るよりも  目をあけ 見る夢 美し ああ 麗し
星降る夜の天文学ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也腕を伸ばせば 宇宙のベッドの上 吐息の星が 砂金みたいに流れ ふたりの間で 音をたてる  天の河越えて 迷子になる あなたの瞳は 恋しい地球  せつなく遠く近く 目と目が合う 隕石の加速度で あなたに落ちるわ  雲を引き裂き 背中で爪が割れる 天も地もない シーツの天文台 乙女座を満たす 恒星(ひかり)の剣  あまい銀河の 波を昇り 彗星に乗って あなたを回る  死ぬほど熱く深く 融けてゆくわ 太陽に吸い込まれ 炎になるまで  せつなく遠く近く 目と目が合う 一億光年の旅 あなたと行きたい  死ぬほど熱く深く 融けてゆくわ 太陽に吸い込まれ 炎になるまで
小夜啼鳥(ナイチンゲール)ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也あなたから 愛をついばむほど 哀しい夢 さえずる小鳥 私は  知らない名前を あなたが呼んだの 私 眠るふりして 窓を見る  その腕が 夜ごと私の籠 空はもう 広すぎて飛べやしない  あなたは冷たい 茨の棘なの いつも私を抱いて 微笑うだけ
Virtual FantasyALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也月の光を顕微鏡で 覗くように 目に見えぬものを 愛しなさい  羽音はミクロの衣擦れ 心澄まし 大気の調べを 聞きなさい  終わらぬ物語(ストーリー) めくるように キラキラ醒めないで 生きて行くのよ  未来はヴァーチュアル・ファンタジー あなたの影(シャドウ)の中にある  幾何学模様 ロマンティック  愛のしずく試験管で 飽和させ 不毛の日々へと 注ぎなさい  きらめく宇宙(コスモス)は 万華鏡なの クルクル目眩く 破壊のモザイク  リアルな画面はいつでも あなたの指の先にある  化学雪(ケミカルスノウ) ノスタルジック 流行病(ハヤリヤマイ)ノ ロマンティック  未来はヴァーチュアル・ファンタジー あなたの影の中にある  未来はヴァーチュアル・ファンタジー あなたの影の中にある
冬物語ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也冬の道に咲いた花 ふたり 歩いた頃は 気づかずに通り過ぎて いたでしょう  Why are you leaving? 呼び止めてくれる人もなく What will I live for? 抱きしめる 遠きやさしさよ 木枯らしが 少しずつあなたの夢を うばってゆくの  あの日 落ち葉踏みながら 靴のほこり 気にして 別れの言葉も あなた 少なげで  Why are you leaving? 問いかけることさえ出来ずに What will I live for? 街は雪 時が止まるよう その腕を はぐれたままでは どこにも 帰れないのよ  今はそっと眠っている 春が目覚めたら 私 あなたの幸せを きっと願えるから  Why are you leaving? あの頃につづく道はなく What will I live for? 抱きしめる 遠き愛しさよ いつまでも 私の心はあなたを探しているの  Why are you leaving? 追いかけることさえ出来ずに What will I live for? 雪の中 愛は埋もれても ふたりには 忘れなきゃならない事は何もないはず
雨のソナタ ~La Pluie~ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也溜息ひとつ ついて 瞳をそらすのね 私の胸に残る 想いをあなたは散らす  ひらいた窓の 雨音にまぎれ いつかの Pianoが 唄っている  ああ 抱きしめてくれた日の 陽炎が ああ ふたりの季節 流してく涙になる ただひとつの 言葉も 留められずに  冷たい風のなかも あなたの影に 寄りそって歩いてた やさしさに慣れすぎてる  雨が止む前に 部屋を出ていって 消えてく靴音 追えないよう  ああ さよならが言えなくて 今はただ もう 色褪せて落ちるのを 待つだけなの あなたの香り そっと 雫に流して  ああ 抱きしめてくれた日の ピアニッシモ ねえ 忘れない 忘れないで 胸の奥に あなたが好き それだけで 生きていたのよ それだけで 生きてきたのに
この國の向こうにALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也もしも愛しい者が 傷つけられ 砕けた星のように 瞳を伏せたとしたら  僕はすべてを捨て ただこの手に 涙で研いだ刀 握り続けるだろう  どこかの国が 今日も争い 悪夢より鮮やかな 哀しみの影を 垣間見せる  愛することと憎しみと どちらが強いのだろう 人はいつかそのふたつを 心のなか抱える  でも僕たちはまだ この狭い世界に生きるしかできない  もし見知らぬ者が 助けを乞い 何も持たぬ指を 差し伸べていたなら  僕は膝をつく ただその手を 取ることしかできず 途方にくれても  どこの国でも 違う言葉で 繰り返し唱えるのは 同じ祈りと わかっている  真(まこと)は光と影との どちらに潜むのだろう 人は誰も表と裏 合わせながら過ごして  なぜ僕たちはまだ あの青い空しか見ることができない  愛することと憎しみと どちらが深いのだろう 人はいつかそのふたつを 心のなか抱える  なぜ僕たちはまだ この狭い世界変えることができない  憎むことと許すことは どちらが勝るのだろう この弱い心はその重みに 耐えられるのか  だけど僕はひとりでも 広い世界に踏み出して 行きたい 行くだろう
世紀末ゲネシスALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也怒りよ 遙か天を裂き走る稲妻の切尖  哀しみ 幾万年前絶えた星の灯の下で  この世界が 生まれたとき 包んだのは 闇と光 どちらだったろう  人はひとり 産まれてくる 暗がりだけ 見つめながら  生きる事が 死に向かうのだとしても  希望よ 白む空にまた昇る黄金の太陽  愛しさ 澄んだ水面へと映る偽りのない姿  喜び 伸ばす手に触れて咲いた葩弁のぬくもり  淋しさ 蒼い夜に浮き墜ちる月の雫の中に  闇へと舞い散れ 光に埋もれよ  この世界が 終わる瞬間(とき)を 抱きとるのは 光か闇 どちらだろうか  どこに消え 逝くとしても  戦い 立ち向かう盾と響く鋼の剣の音  絶望 風が凍りつく荒野跡形もない息吹  怒りよ 遙か天を裂き走る稲妻の切尖  哀しみ 幾万年前絶えた星の灯の下で  闇から舞うのは輝く翼で 光が生むのは美しい無数の影  われわれが 歩む地を 彩るもの
上海繚乱ロマンチカALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也立てば芍薬 座れば牡丹 歩くなら揺れる虞美人草(コクリコ) 踊るのは金の蓮の上 莟めく小さな足  菊花の綸子 捲れば蜥蜴が 腿に這う想い煩い 葉に露の涸れる間もなくて 招く風 夜来香  奇なるものです 出逢いも別れも たとえ一夜でも あなたの名前を聞かせて下さい  喋喋喃喃 恋の愉しみは 秘めやかに咲く花の 命ほど短いもの 愛愛燦燦 燃え尽きるように たった今を生きればいいだけ 他に何もない 希むべきものは  ここは魔都 上海の暮れ泥む宵闇  隠す背には蜷局巻いて舞う 龍神か 爪でなぞれば 艶やかな膚の上 微か嗅ぎ取るは血のにおい  野暮な拳銃(ピストル) 枕に仕舞えば 掌に 燻らす煙管 何もかも朧霞む頃 行き交うは百鬼夜行  奇なるものです 出逢いは運命 あなたが殺めた お人の名前はお忘れでしょうか  轟轟哀哀 愛の悲しみを その胸は抱えたことなど ありはせぬでしょうね 戀戀爛爛 一瞬たりとも 消えたことのない怨讐を 果たすこの刻に ふるえる指先  あとは魔夢(ゆめ)上海の 闇に紛れるだけなのに  喋喋喃喃 恋の思い出は 散り急ぎ咲く花の 命ほど儚すぎて 愛愛燦燦 仇のあなたは なぜ恋しい男(おひと)に似ている 懐かしい声で わたしを呼ぶのか  満ちる魔都上海の 匂い立つ花闇
Animals on the EarthALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也サバンナを彷徨う私はライオン 風を切って夕日へと駆ける それとも雪の崖昇るカモシカ 群れと共に眠れる月の欠片よ  初めて見るのになぜか懐かしい そんな景色がいくつもあって なんて不思議な気持ちになるんだろう  生まれてくる前 どこにいたのか 遙かな記憶は 何を導く  ひとりではないと 気づいたらここに いま生きる意味知りたい  海原に抱かれる私はイルカ 波と歌い戯れて泳ぐ あるいは氷の道行く白クマ 水平線を越えてくる春を待つ  理由もないのになぜか涙が こぼれる夜の孤独のなかに なんて優しい気持ちが滲むんだろう  生まれ変わるたび どこへと向かう 紡いだ記憶を なくさぬように  大きな力を 呼び起こせるのは 誰にでもある奇跡  雨の草を渡る私は蟻で 輝く空の恵みを受ける 太陽に近づくときには鷲で 自由に舞う翼が心そのもの  まぶたをとじれば広がってゆく どこまでも海と森と大地 そしてこの地球という星を包む青  億万の夢見る小さな胎児 光を求めて腕を伸ばす やがて二本の足は土を踏んで いまこうして生きてる私は人間  すべての生命は自然のなかに あるがままに生き生かされている なんて暖かな気持ちがあるんだろう  世界の夢は 地球が見る夢
極色一代女ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也棘のないバラの束 くださるなら毒草園の 花ひとつこの胸に 植えさせてちょうだい  暮らすのは贅を凝らした 独房で鍵もないのに 窓の虹追いかけて まっさかさま  明日の保障は どこにもなくて 愛し合うほかにアナタ 何があるかしら  召しませポイズン 解毒のファッキン 下手すりゃ心中 仏に散華いっそ懺悔? 先へ通してください  好んで好色 過ぎたら恐怖症 されど妄想 酔いどれ限界堕ちて候 ユメも朝までデカダンス  これがセ・ラ・ヴィ  黒幕の腹黒エロ お偉いさん踏ん反りかえって 何様の成り上がり 小市民など嗤え  人はみな平等なんて お伽噺さえ説かないわ 関所には鬼ばかり 心付けを  矛盾だらけで 収まってるのに 殺し合うしかないって 歴史は語るわ  股にはピストル 外してシューティング たかが人生 博奕のエンジェル ここで拍手 返り血はストロベリィ  腹切りロマン 盾にはロッキン さらば青春 春にはチェリー 種からまた やりな直せるまでディスタンス  これもセ・ラ・ヴィ  召しませポイズン 解毒のファッキン 下手すりゃ心中 仏に散華いっそ懺悔? 先へ通してください  好んで好色 過ぎたら恐怖症 されど妄想 酔いどれ限界堕ちて候 ユメも朝までデカダンス  これがセ・ラ・ヴィ みんなセ・ラ・ヴィ 何にも残さず キレイに死ぬだけ
阿芙蓉寝台ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也水銀を混ぜた薄紅の美酒を そうと知りながら飲み乾しては 溶かしこむ 戀よ  この身が纏えぬ白繻子の衣を 微醺の躰を巡り終えた 血糊で染めれば  甘き死を粧って あなたが抱く 私こそが罌粟の華  足も腕ももぎ取られた 囚われの女のように 想いだけが留まっている 胸を裂けばこの鼓動を 捧げて饗せますか  擦り切れた絹の阿片寝台に 臥せれば百年も昔の 黄昏が広がる  永い刻をただ出逢う為だけに 生きたと申し上げましょう あなた終わりなどないと  永遠の忘却は 恐れより痛みより 耐え難いもの  頸も骨も切り刻まれ 人形の一塊となる わが心は烟と散り 物を言わぬ脣から 吐き出される紫  吸えよ深くこの私を さあ咽に皮膚に肉に 爛れながら気づくがいい 限りないほどの恍惚 真の愛の化身を  私を視る眼を剔ろう ああ愛しき罪人よ 闇の底で共にあらん 裂いた胸の心臓を 重ねて饗し合おう
お毒味LADYALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也麝香 纏うl'amour 調合一壜  無菌室閉じこもって 群衆恐怖症(デモフォビア) 可愛い坊やお人形で 死体愛好症(ネクロフィリア)  龍涎香 垂らそうla mort 薫る屍体  妄想に眼帯巻き 死恐怖症(タナトフォビア) 髑髏喉渇いて 血液嗜好症(ヘマトフィリア)  刺して刺して針を深く そうよまだ柔らかいうちに 吸って吸って甘い君を 手遅れにならないうちに  満身創痍で飾ってゆくほど ああ心には血清  乳香 焚こうla vie 微々たるふたり  青春は不運自慢 孤独恐怖症(モノフォビア) 哲学者気取ってみて 暗闇嗜好症(スコトフィリア)  食んで食んで歯を立てずに こんなまだ温かいうちに 吐いて吐いて苦い君を 致死量にならないうちに  危険区域にも向かって行くほど ああ人生は本能  燃えて燃えて燃え尽きても 素のままじゃ心許ない 盛って盛って甘いわたし 手加減なんて知らないから  美しいとこがこの世に あるのなら連れてって  食んで食んで歯を立てずに ずっとまだ温かいうちに 呑んで呑んで苦い君を 致死量にならないように  禁じられるほど向かって行きたい ああ人生は煩悩
処女懐胎、あるいは白骨塔より少女達は飛翔するALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也空へと続く糸杉よりも 暗い土の中の わたし達の方が 天を知っている  割れて墜ちる破片 血で受け止めながら  蜜蝋の肌溶かし薫らせ 玻璃の骨砕いて この身で包むものは 腐敗せぬ魂  遙かな古代(むかし)でも 在らざる未來でも ずっと  失くしたのは青い翼 太陽の民に愛された証の 此処にいると伝えたくも 届けたいのは誰  見目麗しくそして醜く 生まれついたけれど わたし達はけして 神の子でなく  毒蛾の鱗粉に 送られる葬列  光の筋を導くものは 信仰か幻戯か 瞼の世界こそ 崩壊せん現実  果ての泥濘から 息を返すはあと少し  授かるのは黒い翼 天使と悪魔抱擁の印の もうひとつの鼓動はいま 細い肢体を破る  目を閉じて目を開けて 夜明けより闇夜より 破瓜なくて解体と懐胎の 死と再生  生まれるのは白い翼 抱きしめるのが 叶うというのなら 其処に行くと伝えられる 待っているのは何  羽撃くだけ 舞い上がるのは こんなにも容易い  もっと高く もう許されぬ落下
PoisonerALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也黒革の匂いに染む わが指に接吻乞う口脣よ 君にだけ外す手套  根源の私の根は 閨に咲くマンドルゴラ その哭こそ 聖なる黎明侵すものなり  さあ言葉に毒を盛ろうひとおもいに その世界を殺してあげる君の代わりに 野望ごと壜の中手を汚さず 恋の唾液注ぎ 愛の痛み捧げ 目には目を歯には歯を 毒を喰らわば皿まで お手に手をさあ拝借 喝采トクシコロジー  煮え滾る憎悪の様 醜くば粗悪の味わが舌が 欲するものは冷徹なる美味  脳髄で睦む悪夢 極色のサラマンドラ その鉤爪(つめ)で 怠惰の思想を堕胎せよ  さあ心に毒を飼おう苦しくとも この時代を狂わせよう息絶えぬように 右を向け前を向け反しながら 独裁者の汗と 奴隷の血を交ぜて 罪は罪罰はなし 死を制すならば生を 悪運祈りませんか 陰徳トクシコロジー  さあ言葉に毒を盛ろう満ちゆくまで この世界に歌ってあげる君の調べを 果てもなく迷いなく浸り込んで 愛人より甘く 廃人より深く 意には意を刃には刃を 毒を喰らわば皿まで お手に手をさあ拝借 喝采トクシコロジー
寶島ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也窓を燃やす 夕日の朱は胸に つつんで心臓 かがやく紅玉  航路は果てしない夢のように どこまでも続き 酔いに戻す  西へ東へ 北へ南へ  長い日々をひとり生きて  探すのはこの指に 掴めないもの  床を濡らす 月光の青は皮膚に うごめく斑猫 わずらう貴腐病  希望と絶望織りなす地図 水晶砕いた破片の先  空へ山河へ 海へ荒野へ  長い日々をひとり歩き  探すのはこの足が 踏み込めぬ場所
曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
堕天國宣戦ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也留まる者 愚かなりし  はらりひらり指に触れた 黒い翼の 一片  君がひとつの物語なら まだいくらでも書き換えられる 血のインクは乾かない  誰も知らない本当の僕ら 荒れた世界 変えるのは  追い求めたのは ちっぽけな幸福 なんかじゃない  戦え 轟く鼓動を合図に 意のまま進めば 行く先 果てない  抗え のたうち幾度と破れど 刻もう 纏った傷跡に夢を 埋もれそうな今日の記憶 繋げるために 明日へ  僕らは神の造り賜うた 失敗作のただ美しい 弱さを抱く人形か  だけど心は 天も奈落も 超えて胸に たどり着く  満ち足りるのは いつか目を閉ざす時だけでいい  戦え 交わる叫びは宣誓 合わせる力は 愛より尊い  奪わん 最後の止めを刺す剣 掲げよう すべてを突き抜く切尖 そこに集い充ちる光 育まれゆく 希望を  悟らん 轟く鼓動が教える 生きるということ 命というもの  闘え のたうち幾度と破れど 信じて 未知なる己の強さを 刻もう 纏った傷跡に夢を!  護らん 最後の止めを刺す剣 奪わん 最後にこの手が持つもの 掲げよう すべてを突き抜く切尖 そして集い充ちる光 身体に浴びて はらり ひらり指はやがて 白い翼の 一片  訪なうもの 静かなりし
輪廻闇妖散華ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也風が散らばる 雲が裂かれる 月は欠けもせず 神獣鏡 宿す闇  君謡う声音へと 女人が舞い降りて 羽衣脱ぎ捨てて沐浴す 滴弾くは白尾 花を食らうは牙 妖の影 日蓋に映らんか  私はいつも此処に 此処にいる 君のすぐ前に どんなモノに姿を 変えたとて 君のすぐそばに  この世とあの世を行き交う吾等に 安息の地はなくも  刻が重なる 空(くう)が罅入る 城に灯なく 天守閣 棲まう夜  君が吹く笛の音に 鬼が来たりて哭く 草陰に満つる黒い涙 怪異なる容(かんばせ)に 夢の香の名残を 覚えるだろう その手は触れもせず  私はいつも此処に 此処にいる 君のすぐ前に どんなモノに姿を 変えたとて 君のすぐそばに  私はいつも此処で 此処で死す 君の目の前で たとえいくど命を 得たとても 君のそばで死す  この世とあの世を行き交う吾等に 安棲の地はなくも
百合の日々は追憶の中に潜み薫るALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也雪花石膏の背骨を軋ませ歩くこの現世は なぜこんなにも醜く穢れに満ちているのでしょうか わたしは今日もひとり 脇目ふらず 繻子の沓 泥塗れようが ただ歩いていたいのに  声をかけるのは誰 肩を掴むのは何 厭わしい者らに湛えた 微笑は蒼白の蝶 日常に舞う死  今はどこにいるの わたしの愛しい 妹たち お姉さま 頽れる夜に問う  かつて麗しの森 同じひとつの茎に 連なり咲いたわたしたちは ああ美しい白百合 月光の愛人  忘れぬ 薫りを 風間に 放って  しずかに声 合わせましょう 烟る靄は 震える 共に謳い 夢を交わし 甘い眠り 分けあい たとえ時を隔てたとて つながる 指先 銀の糸  ひろげた胸 重ねましょう 濡れそぼって 零れて 金華の珠 月花の種 また互いを身ごもる けして人が持てなかった 愛という美学は ここに在る  鳩血紅色の心臓潤ませ視るこの現実は なぜこんなにも乾いた哀しみが溢れるのでしょうか わたしたちはひとりも 朽ちはしない 白百合の記憶を抱いて ただ歩いていくでしょう 息絶えぬように
エルフの娘は地上に降りALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也お前が好きな花が 月の庭咲いた 迎えの蝙蝠馬車に 乗っておくれ  お父様 働いて過ぎゆく一日 疲れきった頬に似合うドレスはない  水晶の指を 傷だらけにして 魔法も失くしたか 哀れなる娘よ  決めたのはこの私 誰の言葉も聞かず 一度の恋の為に あのひとを追ってきた  醜い人間らの 棲む場処に何がある  貧しくも胸に包まれた 心というものはとても暖かい  お前が欲しがっていた彗星のローブを 夜会のために作った さあ着ておくれ  煌めく宮殿も 雪の冠も 恋人の綺麗な 瞳ほど輝かない  愚かなるわが王女 我々の仕来りを 破るわけにはゆかぬ おまえはもう戻れない  では背に隠した翅 どうぞもいでください  陽の光舞う空を忘れ 獣の様に這って生きるというのか  許されはしないでしょう 美しいすべてを捨て 最初で最後の恋 あのひとだけ信じた  それでも時の狭間 どうしようもないほどに 今は遠い日々を想い出す 涙というものは痛くて哀しい
私の心は語る薔薇の御胸を葩の御身をALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也目蓋を閉じれば 私のからだは 真珠の芽を持つ 一本の茎  しずかに翡翠の 血は流れ巡り 絡み合う蔦となって 伸びてゆく  馨しい夜に 育った蕾は 明日の朝には 綻ぶでしょう  ひとつまたひとつ 大輪の花は 世界を春に変える  さあ乙女よ 手折って その髪に 飾りなさい そして愛しい人の元へ 知っているの誰よりも 恋の切なさ だからこんな美しく 私は咲くの 月光に抱かれて  葩びらが宿す 雫は大地への 贈り物なの  すべてが息づく 森も野も風も 深い薫りを纏い お城では舞踏会 王子の手で 実りましょう その真実の愛のために  知っているの何よりも 恋の悦び ただ一夜の命でも 甘やかに散る  さあ私も 目覚める 太陽の腕の中 おとぎの夢 聞いてくださる?  感じている今もまだ 恋の切なさ だから最後の時まで 綺麗に咲いて  もう忘れていいのでしょう
恋の翼は真珠色の骨を持ちALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也ふたたび生を受け 別の日を生きれるよう 心ばかりが宙を舞って 横たえる肉体は ただひとつの想いに 押し殺されて 絹の褥も土  もしわたしの両の耳が 重なり合う薔薇ならば 夜の中に吸い込まれる 己の泣き声たちを 音楽のように聴いては 切なさの欠片でさえ 愛おしんで掬い取って ただひとつの美しい 歌を編んで散ってゆくのに  恋を知らぬ頃は 孤独さえ友のように 寄り添って夢に戯れた 小鳥の羽ばたきも 今はただ恨めしい 待つ身の骨は 想い放てぬ鳥籠(おり)  蒼褪めたわたしの舌が ちいさな翼だったら どんな叫びも掠れずに 空の果て昇れるのに あの教会の屋根にさえ 届かない祈りばかり 光浴びることも出来ぬ 許されぬ子らとなって 生まれても闇に積もるだけ  ここは狭くて 暗くて広い 貴方の姿 どこにあるのか わからなくなりそう  もしわたしの双つの瞳が 漂う湖ならば こうして見つめる貴方を どこにも行かせぬように 乾かぬ涙に張られた やさしい水面を割って 引きずり込み溺れさせて 貝の中閉じ込めたい  虹と共に わたしの永遠に
月光オペラの天鵞絨の緞帳は上がりALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也闇のマントをお脱ぎあそばせ 今宵は月光劇場の幕が開く お代はほんのひとひら その心  バルコニーで舞う扇の翼 魔王も天使も天井画がら墜ち ルーベンスの空の下で ゴシックにオペラを  弦と歌を奏でましょう 吐息と言葉を重ね あなたの恋を音符で 包んでは放り込むリラの唇 羽化する甘い蝶々 口移しで歌うわ  喝采浴びて私はDiva 帽子に結んだリボンを蝙蝠に 桃兎は異次元へ 妖しいサーカス  何をご覧にいれましょう 客人は言う 恐怖を!と 退屈の檻を放ち 撓る鞭振り上げ猛獣使い 誰にも飼い慣らせる この世のすべて  人生のような 舞台は悲喜劇  どんな役も演じましょう 星の転がる科白で みんながお腹を抱え 泣くくらい笑える幸福を  お望みのカーテンコール あなたに囁く 愛をと 見たものは一人もない 麗しい姿を着飾りたいの  それには薔薇の束と やさしい腕が必要
腕 kainaALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也膝がくずおれる 地に着いた掌 汗と血は 青い砂に染み入る  空と海と 昼と夜の 間を生き 倒れるその身 でも世界は君に積もる 助けなど来ぬことは もう知っていよう  目に見えぬものたちが 行く手を阻んでも 君が居るのは岩間の牢獄じゃない いくらでも変えられる その道の彼方を 私は待とう 光輝く君だけを  一人だと思うときほど 側にあるは影  真の暗闇を けして与えぬように 閉じた瞼には 揺れる残像  風と波と 過去と未来 浮かび沈み 留まらぬ心 まだ世界は果てを持たず 夢を抱く翼には 触れる星遠く  己を護れるのは 己の他にない 君が纏うは鋼の甲冑じゃない 何度でも起き上がれ 痛み伴うなら 私が聴こう 胸裂けるほどの咆哮も  涙では洗い流せぬだろう 何一つ  目に見えぬものたちに 覆い尽くされても 墜ちてゆくのは土底の柩じゃない いくらでも変えられる その道の行方は 待ち続けよう 光輝くそのときを  そう 君が死ぬのは 私の腕の中だから
亂世エロイカALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也死ニ急ゲ 生キルナラ 魂ガ司ル 君ガ胸 戦場  荒ぶる神の抱擁を 受けしその身には 鬼が棲まうか蛇が棲まうか 舞い墜ちる崖の底で 尊ぶ命は天に有り 君よ満ちるまで 弱さ 怒り 強さ 痛み ありとあらゆるもの そのすべてを呑み込め  眼蓋を抉じ開け 再び出逢おうが もう同じ夢には 酔えるはずもないだろう? 幾度葬れば気が済もう 累々たる屍を踏み  繋がっているなど 愚かしい錯覚 言葉は嘘をつき 手は汗に解ける 独りでいるほど 漆黒の闇は濁らずに美しや 何を信じずも生きられる うわべの優しさより 剣を見せろ  荒ぶる神の咆哮を 追うその脣 真十鏡磨げど心には 未だ愛の姿なくば 切望するは真実 君が握るまで 正も 悪も 清ら 猥ら 定まりきらぬもの そのすべてを収めよ  足を取る茂み 石に躓けど 君が通った後に 出来るが獣路 ひとりで抱くのは星が散る 剥がれた夜の欠片だろう 誰を待たずとも未来は来る 無意味な寂しさという 盾を外せ  破壊の神の吐息から 人は生まれ落ち 持つは般若か修羅の貌か まだ見えぬ己の影 絶望あれども刹那 君は変わりゆく 奪い 纏う 祈れ 呪え 生きる日々は乱世 受けて立つこそ運命  生キ急ゲ 死ヌタメニ 魂ノ貴サヨ 君ガ胸ハ天守  荒ぶる神の 抱擁を 受けしその身には 鬼が棲まうか蛇が棲まうか 舞い墜ちる崖の底で 尊ぶ命は天に有り 君よ満ちるまで  荒ぶる神の咆哮を 追えその肉体で 弱さ 怒り 強さ 痛み ありとあらゆるもの そのすべてを呑み込め
灰桜ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也千切って幾千 わが心を はらはら舞わせる 桜の花びら  差せども薄紅 積もれば薄墨  砕いて幾萬 この肉体を ぱらぱら零れる 春の夜の霰  凍えた痛みは 裂けて痣となる  どうぞおひとりで お出掛けくださいませ 宵闇にけして 振り向くことなきよう  烟って幾筋 わが命よ はらはら舞い飛ぶ 桜の花びら  天に届くまで 寄り添っておくれ  蛇の目傘閉じて 歩いていてください その肩の先に ひとひら留まるまで  どうかおひとりで お出掛けくださいませ 夜風の随(まにま)に呼びます 貴方の名を  蛇の目傘閉じて 歩いていてください その肩にそっと ひとひら融け入るまで
刀と鞘ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也巡り逢ったが 運の尽き  ハラリ 零れ落ちる 言葉 連ねたとて 誰もわたしに在る真 触れも出来んじゃろ  サクラ 舞うが如く 今生とはおさらば されど親に貰った この身が可愛い  命より重い ベベ纏い微笑う  傷は絶えぬ喧嘩上等 覚悟しいや  抜いては戻す 刀と鞘 断ち斬るは修羅 その裂け目に 堕ちた夢の 腑は無惨ぞ  相まみえて 滾らせる血を 分け合えるなら 愛し其方 止めを 刺してくんなまし 花の盛りが惜しいかえ  バサラ 男衆よ 肩に獅子を隠し 殺気立つ眼(まなこ)でわたし 射貫きゃよかろうが  いざや 迎え伐たん 女冥利に尽き 咲けど散れど互いに 根無しの草ぞ  人の世の厚い 情けなど無用  天上天下唯我独尊 なめたらいかんぜよ  突いては穿つ 身体の芯 毀(こぼ)れる刃 その虚空と 痛みの中だけに 心は生き  組んず解れつ 返す息は 緋の色を曵き 強いお人 魔道に 果てはありんすか 二人(ににん)地獄は浄土かえ  此処で逢ったが 百年目 あい おさらばえ  抜いては戻す 刀と鞘 断ち斬るは修羅 なおも向かう 場処は常に 一寸先の闇ぞ  相まみえて 滾らせる血を 分け合えたなら 愛し其方 一緒に いってくんなまし 花の最期は見事ぞえ
雪ノ女ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也粉雪を凍らせようか 地に舞う前に 吐く息ひとつで  つららと見紛う 氷の匕首  雲が裂けるたびに 月も刃を見せよう  憎しみの為に 出逢う定めも また愛し 故に 藍より青く 想いを遂げるその日には 静かに空は澄みゆき 溶けるだろう  向き合う心は所詮 氷の鏡 亀裂を留めて  もはやその姿 映しはせぬまま  血の通った首に ただ焦がれ続けた  刺し違えるなら 交わした契り なお近し肌に 愛より深く 怨みを埋めてゆけども 冷たい涙に戻り 跡形無く  憎しみの為に 出逢う定めも また愛し 故に 藍より青く 想いを遂げるその日には 遙かに空は澄みゆき 雪崩るだろう
平和の因子ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也美し国には 深く埋もれて眠る 哀しみ  清き水受け 生まれ変わらん 小さき芽となり  何故ならわたしたちは命 このいま願うことが 平和の因子  山も大地も 街も営む日々も 未だ在り  そうしてわたしたちは心 いまこそ生きることが 平和の因子
東方憧憬未見聞録ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也理想の国はどこにある 日の出づる場処その果てに 静かに遙かに夢出づる  みんな探している 涙ひとつ落ちることない国 うるおう大地 そよぐは金の稲 極楽鳥の歌を聴いて 香焚き染めた絹震わせながら 梨花の髪に風は舞って いち日が過ぎゆく あしたも同じ  七つの海を行けど けして追いつかない 逃げる蜃気楼  すべてが輝ける黄金の 都に棲むは優し人々 誰もが欲しがった幸福は ぜんぶその島に 生まれていったから 競うように船は行く われ先にと  みんな暮らしたい 争いなど起こることない国 よりそう太陽 みのるは金の実 奔馬は駆ける山河巡り 童たちは遊ぶ御伽のなかに 谷の底まで桃源郷 永遠は過ぎよう 真綿のごとく  東の空の彼方 それはまぼろしの楽園 ZIPANGU  原野は夢を見た 金色の 栄えし港 着くは帆船 異国の息吹浴び その島は 溢れる野望を 受け取ってしまった 足早に時は急き 色褪せる  理想の国はどこもない 悲しみの涙がないと よろこびの花は開けない  すべてが輝いた黄金の 眠る都の照り射す瓦礫 誰もが欲しがった幸福は ぜんぶその下に 埋もれたというから 地図もなく船は出る 今日もまた
鹿鳴館ブギウギALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也斎藤聡この手をさあ お取りあそばせ 共に滑り込む カドリールは 黎明(よあけ)が来ても 終わることない  次々変わるお相手 目が廻りそうだわクラクラ 心移り幾度まで許されて?  祭り事は 夜毎に練られる 深窓の懈怠の長椅子で  咲かせよ 大輪の菊を 民(ひと)の妬みを身に浴び 破滅を恐れるほど命短し  続けましょ ワルツは笑劇(ファルス) お国育ちが顕著で 舶来のお衣裳の皆様せめて  ご自分の御足で 踊りなさいませ  円卓には 赤葡萄酒と禁断の果実 誰も思う 明日のことなど どうでもよいわ  こんなふうに優美な刻が 過ぎてくのなら安泰 すべてはわたくしたちだけの為に  政略も謀反も茶番劇 犬にでも 食わせてしまいましょ  あふれる 一輪に花弁 多情の相に身は浮き 止ん事無き生まれゆえ幸は軽し  仮面なしでもマスカレイド 本音どこに隠しても 見え透いた世辞上手 あなたはどうぞ  ご自身の御言葉で 口説きあそばして  咲かせよ 大輪の菊を 民の憎しみ身に受け 華麗なる一族の命麗し  続けましょ ワルツは笑劇 お国訛りが顕著で 舶来の礼服の皆様せめて  ご自分の御足で お立ちなさいまし
帝都乙女決死隊ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也いざ進め 花散らし われらは 乙女戦士 立ち向かう 夕日より 紅燃ゆ この頬を見よ  先立つ不幸を お許しください 手を付く畳は 青く薫り 我を培った 大和の魂 先祖の遺影に 最後の敬礼を  誰を護る何時(いつ)を守る 人は天命に 戦い続けるのだ 悪の為でなく  いざ翔ばん 白鳥よ 私は 乙女剣士 羽ばたける 翼こそ 捕らわれない 唯一の自由  女と生まれ 優しきを知り 愛を生む身なれど  このまま何もせずに 老いるは死ぬより辛いのです  乳呑み子に飲ます 乳はこの血潮 戻らずも母は お前の中 祖国背負い立つ 強い子に育て 螢になり星になり 見守らん  すべて捨てるわけではない 巡りゆく命 明日に在る平和が 無駄にならぬよう  いざ進め 帝都行く 私は乙女兵士 舞い落ちる 雪よりも まだ真白く 輝く胸  ああ君に会い 頂いた日々 美しき思い出  それでもこれが定め 留まることはできないのです  いざ進め 花散らし われらは 乙女戦士 立ち向かう 夕日より 紅燃ゆ この頬見よ  いざ翔ばん 白鳥よ 私は 乙女剣士 羽ばたける 翼こそ 捕らわれない 唯一の自由  女に生まれ 喜びを知り 愛を産む身なれば  このまま微笑のまま 赴くことができるのです
SENGOKU GIRLALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也行ケド戻レドサア通リヤンセ 巡リ巡ツテモ蟻地獄  白衣ノ曝ニ滲ンダ血ノ地図 タドツテアナタノ弱味ニ付ケ込ミタイ  ウロコノ鎧ヲ百片剥ガシテ 緑青ノ花デ散華シテ参ロウ  恋ニ忠義ヲ誓イ 裏切リニハ切腹 昇リツメテ下剋上 ワタシハモウ断絶 悲劇メイテ姫君乱心  逃ゲ込ム廊下ニ影曳ク血天井 ココナラ同ジ悪夢ガ滴ルワ  愛トハ戦デ勝ツテモ負ケテモ フタリハ独リト独リデシカナイノ  恋ノ制裁受ケテ 苦シミニハ介錯 寝テモ覚メテモ乱世 アナタハモウ失脚 紅蓮ハナツ黒天守閣  イツペン死ンデクダサル  愛トハ戦デ 生キテモ死ンデモ ドンナニ刺シテモ コンナニ突イテモ 虫ノ息デモマダ責メタリナイデシヨ  恋ノ合ワセ銅鏡ガ 映シダスハ神獣 持チツ持タレツ浄土 アナタトナラ心中 晴レテ冥土ヘ夫婦道中  モイツペン死ンデクダサル  逝ケド戻レドマダ通リヤンセ 巡リ巡ツテモ蟻地獄
巴里と画家と女ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也平野義久陽のあふれるアトリエで 絵筆を取る 今日もまた 一日中何もかも忘れて ただひとり  モンラパン 窓辺に 君が飾った雛芥子が揺れて 美しい街並み 見下ろす夕暮れを僕は愛する  仲間と集うカフェ 喧噪と笑い声に満たされる なのになぜ思い出すのか 捨てた故郷(まち)を  逃げるように 背を向けた いまは遠い 異国の地 もうここでしか 描くことができない  目を閉じれば 見えるんだ 罪などない 人たちが 僕の名を呼びつづけているずっと 君のように  モナムール あなたの 夜空色した瞳が好きなの 静かなノワール 暗いカンヴァスに星が灯るわ  本当に描きたい風景は 心の奥に眠る あなたもきっと わかっているはずでしょう  悲しみなど そこにない 過ぎたものの 優しさが 光混ぜた絵の具の 色になる  ああわたしは旅をする 見たことない異国の地 少年のあなたが遊んでいる ほほえんで  哀しみはもう そこにない 過ぎた日々の 懐かしさ どこにいても 僕を包んでいる  ねえわたしを 連れてって もし許してくれるなら そっと芽生えたこの命を抱き 愛しい人の国(ふるさと)へ
平成日本残酷物語ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也蓮の花のような手と手合わせて 印す傷を卍に重ねる 重み なんてものは こうして感じるのさ  墨画の日々へと零したい色 誰かが持つ甘い蜜の無色 本当に欲しいものなんて そんなもんさ  幾代の乱世を 超えた血の果て 生まれてしまった 万死の 一生  どこまでも侵略してやろう 攻め入ろうおまえに 緩慢な拷問で 牙を抜かれちまうよりも先に  昭和の詩人は唄ったろう 君死にたもうなかれ そんな綺麗な 涙なんて受け取れない  銃口を天に向け無意味を計る 飛ばぬ鷹の羽の空しさで 青い空を汚してゆくのが青春  されたくないのだ 家畜のように 愚か を記す民 群の一人には  いくらでも略奪してやろう ものにするおまえを 泥濘の寝台で 優しく去勢されちまう前に  かつて漢らは言っただろう さあ撃ちてし止まんと でも僕たちは 何を敵にすりゃいいんだろ  どこまでも侵略してやろう 討ち入ろう 時代 に 監獄の自由に 目眩ましされちまわないために  昭和の作家は書いただろう 復讐するは我と だけど怒りを 持つのは神じゃなく己 持つのは神じゃない僕さ
髑髏ヶ城の巫女達は永遠に現世の夢を見るALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也遙か昔 わたしたちが 緋色の翼に抱かれていた 其の記憶  繭に動く蚕のように 紡ぐ白日夢 絹の千早に包み  それは未來 祈り以て 暗黒も裂けるほどの 麗しき光景  闇の中か 光なのか 滅亡の影を導く 蹄の音は鳴り  転生せよ 民族の血 山を砕く 河のごとく まだ間に合うだろう 終焉の宴には  日の出づる処に こうしてまた生まれ 翔ぶ術を失くしても魂(こころ)は 尊き時へと舞い戻る 此処で知る生きることの神秘 其の共鳴  畏れなき明日の世など 在りはせぬと  天が穿つ 銀の奈落 月宮殿から届く 交情の矢文  独りでなく一つでない なぜそれを忘れ 孤獨ばかり彩る都  穢れ受けぬ胸に沈む 誰を想う痛みの刀(けん) 捧げることだけが この巫女の軍(いくさ)なり  日の沈む処に 生贄を埋めよう 白い指 朱い骨繋いで 羽撃く代わりにわたしたちを 共に持つ命の強かさ 其の儚さ  哀しみを塞ぐことが できなくとも  日の出づる処に こうしてまた死して 来る夢に帰っては見果てぬ 愛しい時へと舞い上がる 幾度見る生きることの豊饒 其の源  月を背に 聳え建つは髑髏ヶ城 畏れなき 人の世など在りはしない
絶國TEMPESTALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也轟け 雲を裂いて 耀け 嘆きのテンペスト この世をただ照らすのは 雷神撃つ光の矢 闇は頽れて重なり合う  月を犯しながら 幾万の夜が過ぎ 王の裳裾はわれを抱かん 人が生まれながら 抱えた罪は十 勾玉に繋げこの首飾る  われは視よう 来る未來(とき)を 水晶の眼癈(し)いても  舞い散れ 死せる星辰(ほし)よ こぼれる 嵐ケ丘に 吹きすさぶ風を超えて わが魂(こころ)を運びたまえ  轟け 空を裂いて 乱れよ 怒りのテンペスト 地上をはや嘗めるのは 鬼神が曳く焔影 滅亡の緋い陽炎立ち  胸を卍に切り 薔薇の根を植えん たれを戀うると望むのなら 棘に絡められ 手も足も磔く なおも生きんと血潮巡るごと  われは眠る 来る夢に いつか君に逢わんと  さざめく 銀の雨よ この身を 嵐ケ淵へ 砕かれる波の間に間 わが叫びを沈めたまえ  轟け 穹窿突き 輝け 祈りのテンペスト 地上満つる清らかに 龍神吐く流涎の 天を映して水鏡揺れ  舞い飛べ 生きる星辰よ こぼれる 嵐ケ丘に 吹きすさぶ風を超えて わが魂を運びたまえ  轟け 雲を裂いて 耀け 嘆きのテンペスト この世をいま照らすのは 雷神撃つ光の矢 闇は美しく雪崩るだろう
革命の血脈ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也祖国の墓土(つち)へと眠る わが血の絆と力 現世こそ君へと繋ぐ 亡き日の剣を以て  誇り持たぬ者が 治める地には 隷従の跫音 聞こえるだけだろう  どうして 道なき道さえ確かに進んで来たのに あれほど勇ましい時代を越えて  高らかに謳わん いま革命を 恐れさえ眩むという 滅亡の 炎より激しく  志貫かんと 先人の教え抱き 現代こそ君へと伝う 亡き人の声音以て  驕り満ちる者の その肉叢に 憂国の幟は 千切れ張り付くだろう  どれだけ 躓き倒れて穢れて傷負い散っても それでも真直ぐ生きて行く為  立ち上がれ向かわん さあ再生へ 瓦礫にも沈める 種芽吹かせて ああまだ明日は降る  自由を愛する真紅い蝶 胸を破り羽ばたけ  いくども 戦い争い奪って敗れて堕ちても 繰り返される愚かと貴さ  高らかに謳わん いま革命を 恐れさえ眩むという 滅亡の 光より美しく
逢魔蛾城の伯爵ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也天に微睡む神の指から 物語をしたためる藍墨(インク) 空に零れて広がる金青(ブルー)  固く錆び付いた門扉が開いて いまが 逢魔ケ刻  一斉に舞う菫蛾緑蝶 鱗粉は七色の霧雨 恐れず濡れた外套(マント)を脱いで  さあようこそ 迷い込まれたオトメ われが城の主  蒼の絨毯一歩進めば 紅粉青蛾の侍女が その手を握り 宴に誘う 奥の大広間には 大勢の華やぐ人  時が 戻る  夕月豪華な仮面舞踏会 村人罪人魔女も王も踊る  遠い昔の 幻影などではない  乙女よ あなたが わたしの目覚めさせた その胸にある純粋で  なんと懐かしい 紫いろの瞳なのだろう  知っておられようか 人は死に その魂(プシケ)は 蝶に変わり 愛した場所 離れられないまま 舞うのだ  永い間 忘れていた 喜びと そして悲しみ  ああ何より わが城より 守りたかった美しい妻  わたしを見つめる その瞳は あの日のもの  どうか行かないでおくれ  永遠の先 逢魔ケ刻が 闇に沈むまで
パピヨン輪廻ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也はるかな命の始まりが 翡翠の蛹であったなら ひかりの中 目覚めたでしょう 美しい姿ひろげ  心魂(こころ)は今も その時のまま  はじめて来たのに懐かしい はじめて見るのに愛おしい すべてが意味を持ち導く 不思議な記憶の先へ  尽きず何度も 生まれ変わり 今ここにいる  見知らぬ国の夢 戦いの時代も まるで終わりのない物語 綴るみたい  たくさんのワタシが わたしにつながって 同じように感じ泣き笑い 奏で合う歌声  季節は巡って花が咲く 歴史は決まって繰り返す 眠りはまた目覚めるために 羽の中へ包まれる  みんな選ばれ この大事な今を 生きてる  海に棲んだ娘 牢の中の王子 穏やかに 波乱に 満ちていた遠い童話  たくさんのアナタが あなたにつながって どんなに孤独かかえても 目を閉じれば 思い出す  胸を焦がした恋 運命(さだめ)を抱いた愛 まるで終わりのない物語 続くように  そしていつかわたし あなたにたどりつく 前にどこかで逢ったかしらと 言うから気が付いて
修羅と蝶ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也狂える嵐 既に遠く去りて 私の中で眠り睡る修羅  糸に巻かれてたたまれる 千々に裂かれた翅だろうと  血を流した 涙の代わりに 何故それを愛と 名付けようと思うのだろう  病葉にも似た この掌 触れる冥い土 泥濘む皮膚 埋めて探さん 沈める 蛹を  時には赤に 青い黄色に染み 私は知らぬ姿を持つ修羅  溶ける光を焦がれては 心を離れ立ち昇る  棘で記せ 言葉よりも深く ただこれが恋と 穢れたとて消えぬように  色無き葩 固く抱く蕾 開き散ることを 阻む如く  茎ごと手折らん 蠢 蛹を  そして蝶は 一斉にと舞う 何故いまが春と お前たちにわかるのだろう  未だ息を運ぶ この胸を 破って最後の ひとひら飛べ  血を流した 涙の代わりに なおいまも愛と 名付けたいと思うのなら  抱きしめよう 過ぎた苦しみも 愛しさが孵す化身として  毀れる抜け殻 羽化した蛹は  私を縫い閉じ
天体瑠璃星万華鏡ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也コバルト色の空へ 翼広げて 飛んでみたいと願う 太古より人類(ひと)は  竜のように強く 鳥のように優雅に どこまでも自由に 軽々と遙か高みへ  だけど私が飛べるなら ひそやかな蝶がいい 花の香りに誘われて 風に舞う瑠璃楊羽 大切な蜜運び また次の花へと舞う  誰もが遠い目をして 見果てぬ夢を語るわ 折れた羽 繕うことなら できるけど 心が傷ついたら すぐ近くにある 美しいものを見つめて  藍の雲間 瞬く あの星々へ 行ってみたいと思う いつの世も人類は  望み 希望 欲望 時に闇を抱える 深い胸の中は 夜空より輝けるのに  ずっと私はここに棲む どこよりも青い星 入り江の町の片隅で 瑠璃ひかる海原(うみ)眺め 愛しさに出会うのを ただ信じ待ちつづける  誰もが俯きながら 囁く未来のはなし 繙かれた神話の おしまいが来ても 恐れたりはしないわ この地に生まれて いまを生きてきたのだから  誰もが青い目をして 見果てぬ夢追いかける 折れた羽 繕うことなら できるから 心が凍えたとき すぐ隣にいる人の ぬくもりを抱きしめて
秘密の花薗ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也あなたが失くした緑の鍵 ふたりの秘密の花薗へと 続く錆びた扉 最後に開けたのは 昨日のことか それとも遠い昔  葉末の腕がひらく 迎えるように 萌黄の蔦は伸びる 抱き取るために 蘭の薫りは 紗衣(ローブ) 菫の群れは 茵  双子の少女のように 片時も離れない どちらの背中にも見えた 美しい蝶の翅 光に透けていたわ  わたしが盗んだ大事な鍵 ふたりの季節を留めたくて  出口は鳥たちが 枝で隠したのに なぜ潜ったの あなたは泥だらけで  糸杉 幹が揺れる 微風乱し 茨の茎は軋む 問いかけようと 薔薇の憂いは 吐息 百合の雫は 涙  この世の花という花 ここで萎れてゆくわ どうか戻ってきて 時を止めたまま 待っている ずっとひとりぼっちで  それは誰も知らない 些細な事件 想い出を忘れない あなたのために  蝶々の骨で作った 小さな鍵を 送るわ  街中さまよっても 扉はどこにもない だけど失くさないで 二度と  埋められたわたしだけ 終わらぬ春を生きる
胎内ヒトガタ遊戯ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也手首足首 落として 曲がる腕膝 剥がして 頸と頭を 離して 月の転がる匣の中に 敷き詰める  閉ざさぬ眼球(ひとみ) 映したのは 僕にはけして見えぬ何か いつもと変わらず妬ましく その子を少し憎みました  ああ何故あなたは 僕にほんとの痛み 教えてくれなかったの 母さん  床に広がる真っ赤な海と おんなじように 涙の粒も熱いのですか  性はどっちに向かうの 雄も雌にも成りたくない 成れはしない  微笑み行き交う人たちは 僕にはけして知らぬ誰か また今日も人形を抱いて 気づけば壊しているのです  床に広がる真っ赤な海と おんなじように 涙の粒も熱いのですか  性はどっちに向かうの 雄も雌にも成りたくない 成れはしない  微笑み行き交う人たちは 僕にはけして知らぬ誰か また今日も人形を抱いて 気づけば壊しているのです  ああ何故あなたは 僕にひとつの愛も 授けてくれなかったの 母さん  胸に溜まった真っ赤な膿に 息を詰まらせ あなたのなかへ 戻してください
夜見のたそがれの、うつろなる蒼き瞳の。ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也指を組み踊りましょう 揃いの真白い服は 窓と同じ たそがれ色に染まっています  あれはダフネ薫る春 この“今”は永遠ではなく ふたり分かつ刻は来ると 悟り泣いたのは  ここが黄泉の国ならいい うつろなる蒼き互いの瞳に まだ知らぬ哀しみの代わり 滲ませたい 美しい闇  胸合わせ回りましょう 甘く馨し乙女の姿で  靴音は重なって 響くどこかにある 空の彼方  あなたはわたしの死 わたしはあなたの生 それはひとつの生を 死に続けるための  受け継いだものは何 出会えぬ父さまは誰 格子の外 華やぐ声が通り過ぎます  ここは黄泉の地下なのです うつろなる蒼き四っつの瞳は 夜ばかり見つめていたから 一目(ひとつ)に溶けてしまいそう  離れずに巡りましょう 次の世でまた 目覚める一緒に  始めからやり直す 光る朝靄 開かぬ瞼へ  あなたはわたしの目 わたしはあなたの目 それなのになぜ 同じ夢を視られないの  胸合わせ回りましょう 甘く馨し乙女の姿で  靴音は重なって 響くどこかにある 空の彼方  わたしはまだ少女 あなたはまだ人形 生も死も同じ舞台の上 グラン・ギニョール
凶夢伝染GOLD LYLICALI PROJECTGOLD LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也蒼キ朝(アシタ)過去ハ死セリ 君ハマタ孤独ヲ抱ク  夜ヲ覆ウ目蓋開ケ 凶キ影ヲ恐レルナカレ  仄くらき柩から 産み堕とされた人形のように 躰は赤く凍え 心は闇にあやされ育つ  君に僕が見えるかい つなぐ手の冷たさに 鮮血の爪立てる 眉寄せてごらんよ  壊し合おう 先に続く 謎に満ちる結末を  羽も脚ももがれたまま 虚空のなか朽ち果てるより  もうひとり僕がいて 誰かを痛いほど愛しているんだ  さぁどっちが 幻だろうね  劈く絶叫より おぞましきもの人の囁き 悪しき言霊ばかり 心操伝わってゆく  僕は君に触れていたい たとえみんな消えても 騙されてあげようか 綺麗に笑いなよ  交わし合おう 恋うるように いつか綴られる希望(ゆめ)を  血と涙に塗れたって 待ってるのは絶望じゃない  もうひとり君がいて 誰かを殺すほど傷付けていても  ねぇいったい 罪って何だろう  蒼キ朝過去ハ死セリ 僕ハマタ孤独ヲ知ル  夜ヲ覆ウ目蓋開ケ 凶キ影ヲ恐レルナカレ  壊し合おう 先に続く 謎に満ちる結末を  羽も脚ももがれたまま 虚空のなか朽ち果てるより  ああここに僕らはいる ほんとは痛いほど 生きていたいんだ  もぅとっくに答えは 分かってるね?
RED WALTZALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也蘭の華を愛でるように あなたの舌が 呼びつづけた私の 名前は 偽りだったの  暗躍する影に 心を売った女 どんな命も草花のように 散らす冷たい指を持つの  たったひとつ 怖いものがある この手を狂わせるは 恋 胸元 隠した毒 また一夜 躊躇わせ  何故あなたは 疑いもしない 優しい眼差しなの だめ これ以上見つめないで 抱きしめて ただふたり踊りましょう 私が黒い手套 静かに外すまで  汚れたこの街で 唯一美しい夜明け 輝くひかり受けて 生まれ変われたらいいのに  激動の時代は 人々の人生を 巻き込んでゆく 軋む歯車 止める事などできないのよ  もうひとつも 怖いものはない この手が揺らぐのなら恋 恋した それが証し 靴元へ 落ちる小壜(びん)  もし平和という世の中なら 幸せ 巡らせてく愛 愛するだけの為に 生きられた でも此処で踊りましょう けして終わることない 最後のワルツを  いまあなたが 私の手を取り 指へと 嵌めるものは 赤 真っ赤な 朝焼けと同じ色の指輪なの?  ああどうして 気づいていたでしょ 強くて いけない人 だめ これ以上動けないわ 抱きとめて あと少し この瞳が あなたを映したまま 静かに閉じるまで
天譴と超克ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也空を裂き走る閃光の矢は 天の放った慰みとなろう  瞬く瞼に 真実(ほんとう)の光景を 映さぬまま  交わされ流れる 哀れみと涙に 何が宿る  傷付いていない足 大地を駆けてゆく 差し伸べるための腕 まだ誰かへと届く  このみにくい世に生まれたことを いつか残れる誇りとするため 己は己であり 群れの中でも 迷うことなかれ君 流れに逆らえども  人類(ひと)が現れる遥かなる過去 死んだ星の光がいま墜ちる 海山森と風と 共に目覚めた 言葉も歌も持たぬ 原始(はじまり)の時のように 恐れなき静か 美しい世界の黎明  合唱のように 唱えられる愛の 薄ら寒さ  人は誤った 生き物ではないと 言い切れるのか  守られるための盾 それだけでは足りず 殺戮のための武器 両方抱えている  このみにくい世で出逢えたことを 未来に向けた祈りとするなら 我らは我らであり 孤独の果ても 忘ることなかれ君 明日は遠くにあれど  空を裂き走る閃光の矢が 天の放った怒りとなろうと 闇を持たぬ宇宙の その片隅で めくるめく滅亡は 終わりの時ではなく すべての最初(はじまり) 美しい世界の再来  このみにくい世に生まれたことを いつか残れる誇りとするため 己は己であり 群れの中でも 迷うことなかれ君 流れに逆らえども  人類(ひと)が現れる遥かなる過去 死んだ星の光がいま墜ちる 海山森と風と 共に目覚めた 言葉も歌も持たぬ 原始(はじまり)の時のように 恐れなき静か 美しい世界の黎明
真夏の憂愁夫人ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也バテンレースの日傘から 夏の影絵が 回り 落ち 白い首と 萌黄の帯に留まる  そっと振り返った母の いつも泣いてるような目は 僕を抜けて 知らない誰かを遠く 見つめていた  傾く 陽炎  眩暈に歪む 蝉時雨坂 手を引かれて のぼってゆく 追われるように 逃げだすように 汗ばむ掌が痛かった  離れないで  本当に愛してるのは僕 母と同じことを言うんだね 白い首の後れ毛 掻き上げながら微笑む女(ひと)  零れる 追憶 明かり灯らぬ 黄昏の部屋 僕はあの日を思い出す 少年となり 腕を伸ばした 捉まえたいものは もう疾うに 失くしたのに  眩暈に続く 蝉時雨坂 僕はひとり のぼってゆく 追いつくように 逃げないように  背を向けた貴女は 誰だろう  こっち 向いて 届くよ あと少し
逝ける王女の肖像画ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也わたしの短い生涯のうちで 何よりも光満ち深く輝いたのは ひとりの画家の 二つの星の瞳でした どれだけわたしはその光に 照らされたでしょう  薔薇色の絹を 着飾るわたしは 三才の早春  初めて出逢った 長い髪の画家は 手にくちづけた  泣きじゃくるたび あやすかのように 止まった絵筆 曲がる口髭  わたしは大人しく ひとり佇む 薄闇が降りるまで  五度目の冬は 銀色(ぎん)に包まれ 踏み出す再び 大きな絵の向こうへ  侍女らと共に ある日の午後が 幸福な永遠になる  夜空の紺色(ブルー)を 纏って澄ました 淑女の少女は 八つになって  それでも儚く狭い世界で その目だけが 広い宇宙  二年が行きて 赤い衣裳(ドレス)の前で 画家は死んだ  人は知るでしょう すべてのわたしを あなたの絵の 中だけに
野性双生児ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也赤い満月割る 高い絶壁の淵 墜ちる 私は誰 吠える狼の声  総毛立つ 身も心も  生きることを怯え 生まれ変わり損ねて すでに行き場はなく 檻の向こうはどっち  愛される 獲物のように  闇を飼うその爪で 骨までも組み敷かれ 歓喜を歌うまで  彼の名はHYDE 怒りより強く 私を捕らえて 与える 力を  一人には返れない なぜ声が上げられない こんな苦しいのに  撓る苔(しもと)の刺 舐める傷口苦く 熔ける血濡れた牙 絶望喰むは本能  赦されぬ 罪人のように  恐れなど失って 零される涙だけ 口にして生きよう  彼の名はJEKYLL 祈りより深く 私を包んで 教える 弱さを  二人には戻れない なぜ声が上げられない こんな悲しいのに  彼の名はHYDE 誰より美しい そして名をJEKYLL 何より愛おしい  どちらも私の 中に居る私 鍵のない檻の 鎖に繋がる  もう一人に返れない もうどこにも本当の 私はいない
La veriteALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也誰もがひとりじゃ生きられないと言う 誰かといつでもつながっていたいと言う  だけどほんとは違う 自分ごまかす術  テレビは伝える知らなくていいnews ラジオは聴かせる流されてゆくsongs  なにがそんな大事 抱えてるの たくさん  小さな嘘を君がつく 世界が少しひび割れる カラの卵の膜のように 乾いた音が聞こえたって  この瞬間も君が好き あり余ってる時間の中で 僕のただひとつの それが真実だから  他人を愛せない人ねと君は言う それなら自分を愛せてるの君は  いつも斜めばかり 前が見つからない  素直な僕など見せない 弱さで引き合ったなんて思わない 隠してる闇は けして光と交差しない  たぐり寄せるように触れる 愛しい場処を初めて知る 君のただ一度の いまを信じてみて  大きな嘘を誰かつく 世界は傾き揺れても 空は青いと子供は言い そうして回りつづけるんだ  この瞬間も君が好き まだ見ぬ風景の中さえ 僕のただ一度の いまが真実なんだ
真偽贋者遊覧会ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也夜の夢こそマコトは 嘘 夢見ることこそ 現  色を一つ差して引いて もう違いがわからない ここが何処かさえも曖昧な  屋根の下 床の上 見つからない人魚のよう 人が抱く幻想は 騙し合って作られた剥製 愛でようか 壊そうか 魔術師(ウィザード)の声で歌い 手品師(マジシャン)の手で持てなす 贋作師(フェイカー)の目で見つめて 詐欺師(ライアー)の舌で語る いっそどうぞ こころゆくまで 騙し絵(トロンプルイユ)を  仮面剥いだ貌が同じ もう誰だかわからない ありのままがいちばん恐ろしい 隠しても 曝しても 超現実主義(シュルレアリスム) 快楽 抽象表現主義(アンフォルメル)の憂鬱 絶対抽象絵画(シュプレマティスム) 禁欲 前衛芸術(アヴァンギャルド)の爆発 枠の中を 抜けて先まで 逆さ絵(トリックアート)で  魔術師(ウィザード)の声で嗤い 手品師(マジシャン)の手で盗んで 贋作師(フェイカー)の目で射ぬいて 詐欺師(ライアーの)舌で騙れ いっそどうぞ ココロひらいて ずっとみんな 姿持たない 歪像画(アナモルフォーズ)ね 歪ム 歪ム 回レ
蓮華幽恋ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也夜気を浸す 蓮の池に 月は傾れ 留まる  生まれてきて 今初めて 静寂という 無を知ったの  あなたの首で やさしく舞った この指は 心から生えて咲く花  溢れる水も 泥濘るむ泥も 混じり合い引き合って 光を渡す  けれどみんな 涸れてゆくのなら そこはふたりが 生きる場処では ないでしょう  わたしにはもう 石畳を踏む跫音さえない  聞こえるのは 笑うような 碧いつぼみ 開いた音  あなたの肩を 抱き掻き抱く この腕は 鞘のない生身の白刃  恋しい人よ その首の根に 刻み込む 傷の痕 蓮華の刺青  たとえ来る世 消えず残っても 思い出さずに 見つけてください わたしを  あなたの上に 頽れ燃える この骨は 埋もれて空を見ぬ茎  愛しい人よ 目覚める間 紅炎の夢を視る 散華の子宮  きっと来る世 出逢えたときには 思い出すでしょう  あなた次はその腕で 殺めてください わたしを
ALICE同罪イノセントALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也罪なき罪なの 赦してくださる わたしの罪名(なまえ) Innocence  ハートの女王も 手出しはできない 誰にも首を刎ねられない  蔦薔薇に囲まれた 庭の中で 絹の服 繻子の沓 暮らしてたの  ママは言う いつまでも綺麗なまま 何ひとつ汚さないで いい子でおいで  だけどある朝 裸足になった 湿った土を 踏んでみた 開かれてく森  道なき道へと 向かって行くのよ 恐れはときめきなの  知ってて陥ちるわ 兎の穴へと アリスの後を追いかけるの  少女は誰でも甘美な罰を 受けるために生きてる  天蓋の寝台に 下りるレエス 白い胸 抱きしめて 眠ってたの  パパは言う お願いだ 可愛いまま どこひとつ傷付けずに 大きくおなり  だけどある晩 裸になった 火照った肌を 刺してゆく 月の青い爪  影なき影へと 両手を伸ばすの 痛みが真実でしょ  鏡の国では すべてがあべこべ 泣いてばかりのもうひとりの 醜いわたしは 粉々に砕いて殺してあげるわ  罪なき罪なの 赦してくださる わたしの主文 Innocent  ジャックの騎士も 相手にならない 誰にも鎖つなげないわ  道なき道へと 向かって行くのよ 少しも怖くはない  知ってて落ちるわ 兎の穴へと アリスの後を追いかけるの  少女は誰でも無垢という 美しい悪を持ってる
贋作師ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也乳白のカンヴァスで 架空の花が浴びる 陽光は偽物かい?  遮断する瞼から 向こうが現実なら 闇の中の君は何  みんな思う ホントの自分は どこにいるのかって  曇ったその目を 抉じ開けてやろう 天賦の腕に祝された 逸品の贋作で  美よりも勝る真正などない 手を尽くされた幻惑と 凡庸な慰みと 罪深きはどっち  さあ見極めよ 君が本当の 君ならば  時を経た 汚れ 傷 熟練と狡猾で 人生さえ模造する  だれも願う この世の真実を悟りたい なんて  腐った耳へと 撃ち込んでやろう 麗しの声に包んだ 呪詛の言葉たちを  偽善に勝る悪こそが善と 地獄の沙汰は金次第 審判は下されず 神にも裁けない  さあ騙されよ いま純然な恍悦に  不随の魂を 震わせてやろう 権威をも翻させる 完璧な贋作で  美に背かれた真理などいらぬ 曝かれてゆく現象と 崩れる本質と 待ち受けるのはどっち  さあ凌駕せよ 君が本物(ほんとう)の 君となり
快恠奇奇ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也私は謳う快なる哉と 生きることを喝采采  道筋は消えゆくもの 戻りはしない進もう  実り有れば涸れる葩 苦汁呑めど潤う咽  石の上にも三千年 月も日も凍える溶ける  連なる珠のように過去現在未来 悠久の中心の今は未だ永遠なり  私は描く目に視えぬもの 誰知れず奇奇恠恠 いつかへ注がれる 希み焦がれて苦も楽も 人産みしものに果てはなし  水鏡染み入る空 泳ぐ雲に浸す足  千々に心は千里を駆け 風も気も流れる向かう  沈める指の間に溢れる時の砂 瞬間を積み上げ明日はまた明日を呼ぶ  私は超える聳え立つもの 辿る夢綺綺燦燦 いつかへ続くだろう 移り蠢き美も怪も ああ混じり合って境なし  我らは謳う快なる哉と 現(いま)に生まれ爽快快 いつかへ繋がれる 歌い讃えよ共にあれ さあ生きることに悔いはなし
乙女の贖いALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也その白い頬にひと刷けの 春 桃色の 灯り点せるなら  こんな私の一生分の 笑顔 微笑み ぜんぶあなたにあげるわ  ただそばにいるだけで 何にもできないの  もっと苦しみよ あなたの痛みより強く  人は大事な誰かのため 命を捨てる 覚悟だってできる  捧げられるなら何度でも 私は羽根を剥いで 散らしつづけるわ  でも指を 離せない 残ったぬくもりを  本当は さみしいの ひとりはなんて冷たいの  なぜ すがるのは 儚い祈り 消えそうな  どこへ届けたら この歌声は意味を持つ  ただそばにいるだけで 何にもできないの  そうよ 哀しみは 夢の空白より深く 広がるわ それでいいのよ あなたになれない私の罰
Fraulein RoseALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也あなたが 巻きますか? 背中のネジを  午前三時の薔薇茶(ローズティ) 月光が 溶ける 唄を忘れた金糸雀 声なく 歌う  蒼い庭の真上 双子星が瞬く みんなひとりぼっち いつか誰かと出逢うために  硝子の匣の中 乙女は生きる 囁くこの鼓動 奏でてゆくメロディ どうぞ耳を澄まして聴いていて でもまだ少し未完成  真紅のくちびる苺(ストロベリィ) 苦さを 消して 運命沈めた水晶 翠の 影絵  夜の黒い翼に 銀の燈灯せば 白い朝が生まれ 雪の華へと氷る涙  あなたが開けたから わたしの扉を 想いが放たれて 綻びゆくつぼみ 歓びよりも小さな棘が 教えるのよ これが恋と
私の薔薇を喰みなさいGOLD LYLICALI PROJECTGOLD LYLICALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也片倉三起也茨の茎を伸ばして撓めて 私に零して 雫のひとひら  終焉を知ってなお 咲き急ぐ莟のように 生身の心臓は 柩を這い出る  少女という証 紅繻子の骨が鳴く 奪いに訪なえ 堕罪の指よ  闇は月 棘は蜜 あやすもの 綴ざされた眼は蛹 羽化する夢を見て  光の萼を捲って探って やさしく包んで 瞬間の季節(とき)を  薇(らせん)の先へ昇って手繰って 初めて触れ合った 場処が開かれる 吐息の熱さで  私の薔薇を さぁ喰みなさい  違えぬ約束は 甘やかな血を分ける 腐植に沈める 美惑の舌で  翅根を脱ぐ 皮膚を剥ぐ 痛みなき 交じわりに意味はない 欲しいならば奥へ  荊の枝を絡めて解いて 私を散らして 滴にひとひら  心の縁を抉って潜って 大事に抱きしめて 留まることなど できないとしても  あなたの薔薇で あぁ眠らせて  生きてることを 知ったばかりでも  光の膜に溺れて眩んで 私は埋もれる 盛りの繁みに  薇の先へ昇って手繰って 最後に触れ合った 場処が溶けてゆく 涙の重さで  私の薔薇を さぁ喰みなさい
見ぬ友へALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也あの空を見上げて思うんだ ぼくらの棲む星の大きさを  たとえ塵のように小さくとも 誰もその中心に立っている  ぼくはいま ひとりぼっち 分かり合う 人もなく 語り合う 声もなく でもぼくは あたたかい  きみになら 伝えたい ここにある 虚しさを ささやかな よろこびを 見ぬ友よ 見ぬ友よ  きっと出会うことはないだろう 知らない言葉 見知らぬ瞳  でもいつか学ぶかもしれない きみの神様や国のことを  ぼくはただ ひとりぼっち かこわれて 守られて わけもなく 不幸でも 餓えもなく 恥もなく  きみのこと わかるかな そこにある 絶望を そのなかの よろこびを 見ぬ友の 見ぬ友の  憎み合うこともなく 殺し合うこともなく 巡り会おう 見ぬ友よ ぼくのまだ 見ぬ友よ  いつかこの星は 滅ぶかもしれない 世界が終わるとき すべてがようやく ひとつになるのだろう ぼくたちもみんなおなじに 消えてゆくんだ
南無地獄大菩薩ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也彼岸の曼珠沙華 境界隔てよ焔坂 足元掬うは 泥濘るむ泥か盛る花か  生きようとした 伸し掛かるほどに業重く 救われたいと 思うたびにこの身は沈む  蠢く一寸先より いま此処 逃げども行けども昇れど転がる 嗚呼われ地獄 燃える腕 の抱擁  場末の毒罌粟 滴る露は恋の腐臭 五臓に沁みるは 苦汁の血反吐か甘蜜か  愛そうとした 爛れてゆくまで欲深く 赦されようと すがるたびにこの身が果てる  無常の 闇こそ溢れる極彩 追えども行けども塗れて堕ちれば 嗚呼南無地獄 笑む菩薩の掌上  蠢く一寸先より いま此処 逃げども行けども昇れど転がる 嗚呼わが地獄 凍える舌の接吻  無常の 闇こそ溢れる極彩 追えども行けども塗れて堕ちれば 嗚呼南無地獄 笑む菩薩の掌上
黒百合隠密カゲキダンALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也こんな醜い世の中で 演じつづけようなどマゾヒズム こんな愚かしい世間を 渡り合ってみるのならサディスティック  みんなホントに信じてるの? 人は誰でも平等だなんて 左倣えのよい子たちは その他大勢ネズミ役で充分  さぁそろそろ マシな脚本 書いてくださらない?  カワイイだけが取り柄なんて 天然なのがビトクなんて 無能の主役にはうんざり 愛とか謳ったり  白雪姫の魔女のような 赤頭巾の狼のような お菓子の家の老婆のような 素敵なあなたがいい  華やかにどん底を!  中味アタマが大事だけど 見た目伴わなくっちゃダメだわ 磨き着飾り参りましょ ここは自分のためのステージよ  ねぇそもそも 誰も上手く 踊れるわけじゃない  サルより美人な女より ヤギより優しい男より くだらぬハッピーエンドより 愛憎悲喜劇を  バラ鞭打つ女王様のように 四つん這いの奴隷のように お花を喰むロリヰタのように 化けられる君がいい  陰惨に絶頂を!  終幕前は暗転のまま 終幕前は暗転のまま 黒百合薔薇の 見事なヤミの中  安手のお涙頂戴の 押しつけ感動物語 つまらぬ司会にもげんなり 善とか語ったり  明るい未来は絵空事 波瀾万丈は他人事 唯一無二のアタシたちが 作れば本物の 世界だわ  偽りのない舞台
少女と水蜜桃ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也幾つになったら少女と 呼ばれなくなるのでしょう 母さま わたしはもうとうに 大人になってしまったの  春の節 緋毛氈 敷いた部屋の  段飾り雛遊び ひそかな囁き しずかに人形たちの 目が見下ろす  庭の隅で莟の 桃の木が軋む 傾く屏風の中へ 吹く風にひとひら 舞って落ちる 紅い影  人生はいたづらですか 選べぬおみくじのよう 母さま 不幸なあなたと 同じでもいい子でいます  点す炎 仏さま 浮かぶ お顔  白い畳紙の上 散らばる黒髪 いつでも優しい指で 結われていた  果実に巣喰う虫の そのおぞましさを 憎み尽くそうとしても 胸だけに仕舞って 少女のままで 在るために  たとえ貴女 知っていて 黙っていても  段飾り雛遊び たおやかな微笑 わたしはあの人形に なりたかった  庭の隅で盛りの 青い枝に今 甘やかな蜜も持たず 固い果肉のまま 実って落ちる 桃ひとつ
朗読する女中と小さな令嬢ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也最後の朗読をしましょう お嬢さま いつものように暖炉の前 人形抱き 凭れ お聞きなさいませ  妖精 スミレ 冠 お城 きれいで気高い王女なら 茨の鎖に巻かれても かならずや ほどかれる  お屋敷 嵐 オオカミ 暴動 木の棒 打たれて叫ぶのは 火の粉に 焼かれて呻くのは 誰でしょう おいたわしい  夜毎お聞かせした 童話を お嬢さま いつまで憶えておられよう 私はもう今宵限り 忘れます  夜明けには黒い 馬車が迎えにくる あなたの一族 を乗せるために 止められない物語 歯車を回し
薔薇娼館ALI PROJECTALI PROJECT宝野アリカ片倉三起也濃紅へと沈む夕べに 土に撓まぬまま 少しずつ朽ちるのは  また一片の花弁 また一輪の薔薇 蒼ざめ浮き立つ かつての純白  まだ薫りは仄かに まだ記憶を留めて すべて甘やかに 忘れよと告げるように  いま私は妬ましい 花の季が  硝子を伝わる水滴眺め 凍えることのない 肌を抱く爪は棘  指先を触れもせず 囁きも交わさずに 遠離る影を 目を閉じ追っても  瞳から植えられて 胸の奥で何度も 開こうと藻掻く 一塊の赤い芽を  恋と呼んで 慈しめばいいのですか  まだ一片の花弁 まだ一輪の薔薇 外は騒ぐ風 通り過ぎる修羅  なお薫りは立ち篭め もうひとつあとひとつ この身の代わりに 散り果ててゆくがいい  溜息も零さずに 叫び声も上げずに ただひとりの名を 塗り込め差す紅  ここは蔦の蔓延る 熱の籠もる温室 咲きも枯れもせぬ わが薔薇だけの為の  誰かの手で織り込まれた 造花のような
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