友部正人作曲の歌詞一覧リスト 16曲中 1-16曲を表示
| 曲名 | 歌手名 | 作詞者名 | 作曲者名 | 編曲者名 | 歌い出し |
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| グッドモーニングブルース友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | いやなことがふりかかりそう おれは気ままにやっていたいのに いやなことがふりかかりそう 空はあんなに明るいのに 誰もが知らん顔をし始めている あんたはやばいことをしているみたいだよ 誰もが知らん顔をし始めている 命を金庫にしまっておくのが一番さ 野蛮な奴等がまともに見えてくる ほかに誰もしゃべったりしなければ 野蛮な奴等がまともに見えてくる ルールは平気でねじまげられる 国に預金したあんたの自由を 今こそ全額引き出そう 国に預金したあんたの自由を 今こそ全部使ってしまおう 歴史はヒットラーを地面に埋めた だけど殺しはしなかった 歴史はヒットラーを地面に埋めた だけど眠らせただけだった 重量違反のモスキートたちが あんたの生き血をすすってる 重量違反のモスキートたちが リングの外まで追いかけてくる いやな君が代無理やり歌わせる 心がうすら寒くなる いやな日の丸無理やり揚げさせる 心が貧しくなっていく 差別用語でお金をもうけよう レコード会社をおどしに行こう その手はくわぬとレコード会社 ミュージシャンの口ふさぐ おれは現実を歌いたいのに 出てくるのは悪魔やペテン師ばかり こっそりあんたのところにやってきて 契約を結ぼうとする 南に向かう列車の中で おれは夜明けとすれちがう ミッドナイトスペシャルに飛び乗って グッドモーニングブルースを歌ってる | |
| まちは裸ですわりこんでいるYO-KING | YO-KING | 友部正人 | 友部正人 | 街ははだかですわり込んでいる 夢を見ようにもあてがない 最後の幸せをポケットに 君は旅立とうとしている 悲しい夜にはなぜか 誰もがきれいに見えるもの やぶれ舟が僕のすき間に 入り込んで Hold onてささやいている とてもはれた日の午後 僕は一人喫茶店の二階 君がおき忘れていったやさしさを テーブルの上でならべかえてみる 夕暮の町は高校生でいっぱい でも君の若さにはもう出口はないよ だから夜はこんなに殺気立っている 今度は台風さえもさけて通るらしい あめ玉をくわえた老人が一人 縁側で今日も日なたぼっこ 夕暮のまんいんバスの中に もう見あきた悲しげな顔ひとつふたつ お日様ももう 先が長くないみたい 肩はこんなにも あかさびだらけ 僕もそろそろ 腰をあげようか ビスケットの匂いのする フランスまで | |
| もしもしLOU | LOU | 友部正人 | 友部正人 | もしもし大工さん ぼくの窓わくをとりはずして下さいな 屋根がくずれ落ちてもかまわないから 柱ももういらないのです トンカチトントン始めて下さいな この猫背に釘を打つのです 足元ばかり見て暮らしていたら ほら何もしゃべれなくなってしまいましたよ とめ金をはずしたら何が出る 出るよ出るよふところから 色気やあくびばかりが ほらぼくだけの季節がかけっこしている 君は酔っぱらって町をひとまわり 表通りには着飾った女たち 裏では悲しげな男たちが肩寄せあう 破れたカーテンが風にふかれて 誰かさんの秘密がこぼれ落ちた 真夏の日ざしは肩を焼き 水の流れは足を凍らす やせたのどがつぶやいている 今夜幸せなのはどこの誰さんだい もしもし大工さんぼくの 窓わくをとりはずして下さいな | |
| 一本道友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | ふと後をふり返ると そこには夕焼けがありました 本当に何年ぶりのこと そこには夕焼けがありました あれからどの位たったのか あれからどの位たったのか ひとつ足を踏み出すごとに 影は後に伸びていきます 悲しい毒ははるかな海を染め 今日も一日が終ろうとしています しんせい一箱分の一日を 指でひねってごみ箱の中 僕は今 阿佐ヶ谷の駅に立ち 電車を待っているところ 何もなかった事にしましょうと 今日も日が暮れました あヽ中央線よ空を飛んで あの娘の胸に突き刺され どこへ行くのかこの一本道 西も東もわからない 行けども行けども見知らぬ街で これが東京というものかしら たずねてみても誰も答えちゃくれない だから僕ももう聞かないよ お銚子のすき間からのぞいてみると そこには幸せがありました 幸せはホッペタを寄せあって 二人お酒をのんでました その時月が話しかけます もうすぐ夜が明けますよ | |
| 大阪へやって来た友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ それはほんのささいなことで 僕は酔っぱらっていたのかも知れないんだけど 僕がやって来た夜 御堂筋はレース場で 心斎橋はこの世の人だまり その中を真夜中にうろつく僕には今 何の地位も将来も約束されてはいない 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ スポーツ新聞はいつも阪神のことばかりかきたてている おおげさな競馬の報道は貧乏人をくいものにするし うたいたかったけどそんな場所もなくて 僕はいつも求人広告を持ち歩いたんだ でも行ってみるといつもだまされてしまう 尼ガ崎の鉄工所へ行った時なんか たった千円しかくれないし その上命の保障もないんだ 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ 友だちもいつか名前だけになってしまうことを知っている いつのまにか手をとり合うだけのエゴイズムと すり変わってしまうんだ 長髪を風になびかせる自称ヒッピーたちでさえ 新しいコートがなかなか肌になじまないこと知っている ものすごくたくさんの広告がいろんなスタイルを要求するけど でも家をでることだけが自由じゃないと思うんだ あれはいけない これがいいのさ でももう結構 僕は誰が素敵な奴かを知っている 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ 何もかも関係なくなればいいと思うことがある とても眠たい朝 僕は大阪駅に立たずんでいたんだ そうさ 誰もがあせりすぎているんだ 走って行く人 ころぶ人 くつを忘れた人 かかとがかけてしまって歩けない人 朝から晩までラッシュアワーだ まるで恋をする勇気もないまま 僕もあんたもうらみ合いをくり返している 夜にはひま人が金と麻薬を持ち歩く もし君が宿なしなら夜中にうろつかない方がいいよ ましてやポケットに百円ももってないなら へたするとやくざとおまわりの思いのままになってしまうよ 誰かが言ってたっけ? お前は気楽に暮らしてていいって じょうだんじゃないや 何が気楽なもんか いつまでたったって落ちつくあてもなく まるでいくじがないまま まだフラフラしている 一年中わびしくてやりきれない町 それが大阪 でもそれがいいのかもしれないなと思う時がある クリスマスにあの娘に赤ちゃんが生まれるんだって とても小さな女の子でみんなでかけたんだ 顔のぞきこんで 男か女か 今じゃその娘タバコもラリることもやめたんだ みんなでおいわいしてあげたいんだけど その娘大阪の女の子なんだよ 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ | |
| 一本道ガガガSP | ガガガSP | 友部正人 | 友部正人 | ふと後ろを振り返ると、そこには夕焼けがありました。 本当に何年ぶりの事、そこには夕焼けがありました。 あれからどの位たったのか、あれからどの位たったのか。 ひとつ足を踏み出すごとに、影は後ろに伸びていきます。 悲しい毒は、はるかな海を染め、今日も一日が終わろうとしています。 しんせい一箱分の一日を、指でひねってごみ箱の中。 あぁ中央線よ空を飛んで、あの娘の胸に突き刺され。 | |
| もう春だね友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | せんたくものがヒラヒラ くすぐったいよ身をよじらせて 風さんウフフと口を押えて よかったよかったとからみ合ってる とても晴れた月曜日 バスで動物園まで もう春だね 長かった冬の荷物をおろし イチョウの木も着物をぬいだ わたしはわたしで良かったわ ぼくもぼくで良かったよ とても晴れた月曜日 バスで動物園まで もう春だね ぼくは今でもおぼえてるよ 冷たい雨の降る京都の春 君はひとりじゃいられなかったし ぼくもふたりじゃいられなくて あれからもう2年 もうずっと前の話かもね 太陽の光で顔を洗うと ぼくの中でおはじきがはじけた よいこらしょと背伸びをしたら ビー玉ころころころげ出した とても晴れた月曜日 バスで動物園まで もう春だね | |
| 乾杯友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | いまだにクリスマスのような新宿の夜 一日中誰かさんの小便の音でも聞かされているようなやりきれない毎日 北風は狼の尻尾をはやし ああそれそれとぼくのあごをえぐる 誰かが気まぐれにこうもり傘を開いたように 夜は突然やって来て 君はスカートをまくったり靴下をずらしたり 「おお、せつなやポッポー、500円分の切符をくだせえ」 電気屋の前に30人ぐらいの人だかり 割り込んでぼくもその中に 「連合赤軍5人逮捕、秦子さんは無事救出されました」 金メダルでもとったかのようなアナウンサー かわいそうにと誰かが言い 殺してしまえとまた誰か やり場のなかったヒューマニズムが今やっと 電気屋の店先で花開く 一杯飲もうかと思っていつもの焼きとり屋に するとそこでもまた‥‥ 店の人たちニュースに気をとられて注文も取りにこない お人好しの酔っぱらい こういうときにかぎってしらふだ ついさっき駅で腹を押さえて倒れていた 労務者にはさわろうともしなかったくせに 秦子さんにだけはさわりたいらしい ニュースが長かった2月28日を締めくくろうとしている 死んだ警官がかわいそうです 犯人は人間じゃありませんって でもぼく思うんだ、やつら ニュース解説者みたいにやたら情にもろくなくてよかったって どうして言えるんだ、やつらが狂暴だって 新聞はうす汚い涙を高く積み上げ 今や正義の立役者 見出しだけでもっている週刊誌 もっとでかい活字はないものかと頭をかかえてる 整列した機動隊員、胸に花を飾り 猥褻な賛美歌を口ずさむ 裁判官は両足を椅子にまたがせ 今夜も法律の避妊手術 巻き返しをねらう評論家たち 明日の朝が勝負だと、どこもかしこも電話は鳴りっぱなし 結局その日の終わり、取り残されたのはいつものぼくたちだ 乾杯!取り残されたぼくたち 乾杯!忘れてしまうしかないその日の終わりに 乾杯!身元引受人のないぼくの悲しみに 乾杯!今度会ったときにはもっともっと狂暴でありますように 夜が深みにはまりこみ、罵声だけが生きのびている おでことおでこをこづきあって飲んべえさんたち にぎやかに議論に花を咲かせている ぼくはひとりすまし顔 コップに映ったその顔がまるで仕事にでも来たみたいなので がっかりしてしまう 誰かさんが誰かさんの鼻を切り落とす 鼻は床の上でハナシイと言って泣く 誰かさんが誰かさんの耳を切り落とす 耳はテーブルの上でミミシイと言って泣く 誰かさんが誰かさんの口を切り落とす 口は他人の靴の上でクチオシイと言って泣く ぼくは戸を横に開けて表へ出たんだ するとそこには鼻も耳も口もないきれいな人間たちが 右手にはし、左手に茶碗を持って 新宿駅に向かって行進しているのを見た 「おお、せつなやポッポー、500円分の切符をくだせえ」 | |
| 密漁の夜三上寛 | 三上寛 | 友部正人 | 友部正人 | 君は窓の中 いつのまにか コックリ コックリ 眠ってしまったみたい ぼくは窓の外 降りしきる雪の中 ひとりかけようと ズボンをぬいている ここ吹き嵐れるオホーツクの海を前にして ぼくはとばされた一枚の紙きれだよ そこに書かれた一行の書きおき やがて月がでて サロマ湖のほとり 眠り白鳥もおきて歌い出す 月は空高く サロマ湖の上 陸の小舟も今夜旅に出る ほら空にはハマナスの花が咲きみだれ 気がついてみるとぼくはもう もう誰も信じちゃ いないみたい 犬が吠えるよ 煙草屋の屋根の上 オホーツクがいまにもあふれそうだし 漁師たちはトラックにまたがり 花咲く町のキャバレーへ ぼくは君と二人 ふとんの中 風は湖をわたり 遠くの窓あかり 小さな欲望のほのおがゆれるよ 密漁の夜の 漁師たちは サロマ湖のほとり 大木のようなサケに 抱かれて眠る 密漁の夜 漁師たちは ストーブをかこみ 果てのない ほら話しに 顔を赤らめる | |
| 愛について矢野顕子 | 矢野顕子 | 友部正人 | 友部正人 | 矢野顕子 | 壁に二つの影が映っている 子と母の二つの影が映っている 二人は自転車をこいで 今、家へ帰るところ 子は母に話しながら 母は子にうなずきながら 子に父はいなく 母に夫はいない 父も夫もいない夜道を 二人はゴムまりのようにはずんでいく ぼくには愛が二つの ゴムまりになったように見える 父のいない子は 愛について考えつづける 夫のいない母も 愛について考えつづける 愛について考えることで 二人は結ばれている 道ばたである日 星のように遠いはずの男とすれ違う 愛のことを考えながら 子と母と、男は道端ですれ違う 星のように遠い場所から その夜、男は子と母に電話をかける 愛のことを考えながら 子と母は生きていく 愛のことを考えながら 男もまた生きていく 遠く離れた場所にいて どちらも愛について考えている つかまえた、と壁に映った子の影が言う つかまえた、と壁に映った母の影が言う 子と母は自転車をこいで 家へ帰って行く つかまえた、とつぶやく二つの影を 道ばたの壁の上に残して |
| ゆうれいなんていかしてる友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 渋谷でバスを待ってたら 死亡告知欄にならんでるような気がしてさ ふと足もとを見たら足がない 免税店で買ったサングラス 外国旅行みたいにいかしてる ゆうれいなんていかしてる ゆうれいが道に迷ってる 渋谷でニューヨークを探してる ぼくには君が見えるのに 君にはぼくが見えなくて 生きてる人にばかり発見される ゆうれいなんていかしてる エンパイアステイトビルのてっぺんから 宙づりになって風に吹かれてる 生きていたときには見えなかった隔たりが 今ぼくと君にはある でも君の瞳の中にはぼくがいる ゆうれいなんていかしてる ぼくに起こった出来事を みんなはぼくに聞きたがる ぼくがどんなふうに殺されたか 本当のことを知りたがる 土台がないからもう組み立てられない ゆうれいみたいな事件だね 12人の陪審員たちが 街路樹みたいに並んでる いつか1年が10年になり ぼくがここにいなくても この街はここにあるだろう ゆうれいなんていかしてる 夜の匂いはちがっても 地球の朝はかわらない あれからぼくはどこにでもいて 生きてるってことに恋してる 夜には君の街にいて 欅のふりをしてる ゆうれいなんていかしてる | |
| 夜よ、明けるな友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | だが 君は帰って来ない 夜道をぼくは帰ってきたのに 君の窓明かりは消えたままさ 月はあんなに明るいのに 町は居留守を使ってる 呼んでも君は答えない 疑問は頭から抜け出して 路上でぼくの影になる 翼もないのに飛ぶこと覚え 夜の物干し台にたたずんでいる 命がけで飛ぶつもりなら 夜よ 明けるな 君のために 女たちが笑ってる 胸をはだけた夏の夜 ぼくは静かにたたずんでいる 君がどこにもいないので ぼくが持ってる一番高価なものを 君の笑顔と取りかえたい 日々はぼくの大好きな君の笑顔を 波の彼方に置き忘れたようなのだ だが やがて朝が来る 君が飛ばなかったことを知り 夜の列車には乗らなかったことを知り ぼくの汽笛はこう繰り返す 悲しみを石に変えてくれ 海の底に沈めたいから 海の底で揺れる美しい藻は いいかげんな言葉をまだ知らない 翼もないのに飛ぶこと覚え 夜の物干し台にたたずんでいる 命がけで飛ぶつもりなら 夜よ 明けるな 君のために 夜よ 明けるな 君のために | |
| 朝は詩人友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 風は長い着物を着て 朝の通りをめざめさせる ぼくは朝と手をつなぎ 夜まで眠ることにした 雨はおくれてやって来て 村の祭りを中断させた オートハープを抱えた少女が 駅で電車を待っている 君が歌うその歌は 世界中の街角で朝になる 君が歌うその歌の 波紋をぼくはながめてる 日ざしは午後の砂浜に 旅行者のように立っている 白い手すりのあるベランダで 夏は鏡をのぞいてる おりかさなったままの静けさで 大地は朝を待っている 夜明けの景色につながれて 子馬は水を飲んでいる 君が歌うその歌は 世界中の街角で朝になる 君が歌うその歌の 波紋をぼくはながめてる 朝は音もなくやって来て 戸口にメモを残していく たくさんのメモの木漏れ日が 風が吹くたびゆれている 君が歌うその歌は 世界中の街角で朝になる 君が歌うその歌の 波紋をぼくはながめてる | |
| 私の踊り子友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 私が歌いはじめると お前はいつもそこにいたね いつものあの赤いワンピース まるですそに火がついたみたいだよ 私のどんな静かな歌にも お前はあわせて体を揺する 私の歌が激しくなれば お前のテンポも早くなる いつのまにか私と暮らしてた うつむきかげんの異国の娘 踊るときの赤いワンピースは 私がまぼろしに着せた仮の衣装 あるとき娘が踊っていると 他の人たちも立ち上がり踊りだした 私にしか見えないはずのまぼろしを みんなで共有した夜だった 私のたいせつな踊り子よ もしも私がたった一人で 歌いながら遠くまで行こうとしたら この手をとって引き止めてくれ 北の町にある小さな店で お前にはじめてダンスを申しこむ 足の踏み場もない場所で はじめてお前の手をとった あんなに二人で一緒にいたのに 私の頭にはお前の顔がない かわりに二人でさまよった 深い森があるだけだ 壁の向こうの何万キロは 踏みとどまれば価値がある お前がいつまでもそこにいて 私の歌で踊ってくれたら 今宵お集まりのみなさまに 私の踊り子を紹介しましょう ジーナ・ロロブリジーダも真っ青の すらりとした異国の娘 私のたいせつな踊り子よ もしも私がたった一人で 歌いながら遠くまで行こうとしたら この手をとって引き止めてくれ あるとき私が歌っていたら お前は床に腰かけていた 今まで見覚えのなかったその顔が 見覚えのある顔になっていた あれからお前は踊らない あれからお前は踊らない 私とずっと一緒にいるけど あれからお前は踊らない 私のたいせつな踊り子よ もしも私がたった一人で 歌いながら遠くまで行こうとしたら この手をとって引き止めてくれ | |
| 夜は言葉友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | ぼくは夜の色を探してる 夜が二本足で立っている 町が灰色に見える時 あざやかな色が歌のようにわいてくる 夜はいつも真っ裸なので 色であそこをおおってる 太陽が集めた色彩を 夜は洗濯物のようにため込んでいる 夜は君じゃない 夜はぼくじゃない 夜は夜じゃない 夜は言葉さ どうやって伝えよう 灰色の煙を吐き出して 男たちが笑ってる コントラストが行きかう町で 男は無色で決めている 唇だけを赤くして 女は透明な色になる 肌が空気と分かれるところを 心はぼうっとながめてる 夜は君じゃない 夜はぼくじゃない 夜は夜じゃない 夜は言葉さ どうやって伝えよう 月に照らされた煙突は 何を燃やしているんだろう 小型トラックで集めた色を 夜は焼却炉に投げ入れる 朝になるとぼくの目からは 一切の色が失われ 町が灰色に見える時 あざやかな色が歌のようにわいてくる 夜は君じゃない 夜はぼくじゃない 夜は夜じゃない 夜は言葉さ どうやって伝えよう | |
| 銀の汽笛友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 暗くなった罰として 夜を牢屋に閉じ込めた 月が逃げださぬよう 鉄格子を三本窓にはめた 心を踊らした罰として 歌を牢屋に閉じ込めた 音が外にもれぬよう 鉄格子を三本窓にはめた よだれを誘った罰として 御馳走を牢屋に閉じ込めた 匂いが外にもれぬよう 鉄格子を三本窓にはめた 通りをぬらした罰として 雨を牢屋に閉じ込めた あふれて流れ出さぬよう 鉄格子を三本窓にはめた 冬を忘れた罰として 春を牢屋に閉じ込めた 花に虫がつかぬよう 鉄格子を三本窓にはめた 稲を枯らした罰として 太陽を牢屋に閉じ込めた 熱と光が逃げぬよう 鉄格子を三本窓にはめた 小鳥を逃がした罰として 空を牢屋に閉じ込めた 空が暮れてゆかぬよう 鉄格子を三本窓にはめた 人をもてあそんだ罰として 人生を牢屋に閉じ込めた 人生が冒険をはじめぬよう 鉄格子を三本窓にはめた この世に住みついた罰として 愛を牢屋に閉じ込めた 誰かに夢中にならぬよう 鉄格子を三本窓にはめた 人につきまとった罰として 孤独を牢屋に閉じ込めた 再び誰かに呼び戻されぬよう 鉄格子を三本窓にはめた 文字盤を走る長針のように 夜汽車はおれを素通りするだけ 何度もそうしようとしたけれど まだ捕まえたことのない自由のように 夜汽車が投げた銀の汽笛が 窓の鉄格子にひっかかってる たくさん集めると自由と交換できる 大売出しの日のクーポン券のように 鉄格子の中の王様は 自由を夢見た罰として 自分自身を捕まえて 永遠に鉄格子の外に閉じ込めた | |
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