リリィ、さよなら。

初めてそのテーマを見つめるきっかけになった曲なのだ。

 2019年8月7日に“リリィ、さよなら。”がニューアルバム『最終話までそばにいて』をリリースしました。彼がこのアルバムのコンセプトに据えたのは【花】です。収録楽曲の1曲1曲を花になぞらえ、楽曲を聴き終えたあと、ブックレットの最後に添えた花言葉を読むと、その曲の歌詞が色彩を放つ仕掛けになっているんだとか!

 切ない歌詞と綺麗なメロディで聴く人の涙を誘う、彼ならではの世界を堪能できる楽曲はもちろん。これまでとガラっと変わった一面を魅せる楽曲も加わった全7曲が収録されております。さて、今日のうたコラムではそんなアルバムについての歌詞エッセイを、リリィ、さよなら。本人が執筆!4週に分けて記事をお届けしてきました。今回はプロローグアルバムセルフライナーノーツ【第1章】【第2章】、に続く【最終章】をご堪能ください…!

『最終話までそばにいて』
~セルフライナーノーツ【最終章】~


【M6.Clover

 この曲は、リリィの中では珍しく「旅立ち」や「仲間」への熱い想いを歌った曲である。そもそも自発的に書こうとしたものではない。人からのリクエストで生まれた。

 大学一年生の時に入ったサークルに憧れの先輩がいた。美しく、聡明で、先輩後輩男女問わず慕われ、僕のような人間にも明るく接してくれるとても素晴らしい人だった。19~20そこらの、いつも集まりの隅っこにいるような内気男子の僕には眩しすぎる先輩であった。ある日、たまたま先輩と帰りの電車が同じで、初めてゆっくり話をした際、先輩が卒業する時に歌を作ってほしいとのお願いがあった。

即決。

 実に単純である。憧れの先輩からの卒業最後のお願いとなれば二つ返事である。もうそこから帰宅して、その日のうちに出来たのがこの歌だ。しかし決してラブソングではない、まあラブソングでもいい。どっちでもいい。自由に聴いてほしい。憧れの先輩を通して、それまで誰かの「卒業」や「旅立ち」に何も感じなかった僕が、初めてそのテーマを見つめるきっかけになった曲なのだ。

 大切な人たちとのかけがえのない青春の物語が終わり、またそれぞれ歩き出す。生きていく上で当たり前のことだが、それだけじゃ割り切れない熱い気持ちを、これでもかと詰め込んだつもりだ。

大切にするよ 君と過ごした名もない日々
大切にするよ 君の隣で見た景色を
僕らだけの秘密さ


 ここに青春が象徴されている気がするのだ。人から見たら取るに足らない時間、笑い、涙、衝突、怒り。その全てがどれほど価値のあるものか、それは「僕ら」だけが知っていればいいのだ。名前なんかなくていい。だけど確かに胸の中にずっと宝物のようにしまって生きていく。それが青春である。究極の内輪ネタである。それでいい。

 聴いてくれる人の大事な人に贈ってほしい花束のような曲になった。この曲から今回のアルバム作りが始まったのだ。ちなみに余談も余談だが、なぜタイトルがクローバーかと言うと、前述の憧れの先輩と僕が過ごした学校の校章が“ペンマーク”というクローバーの形にそっくりなものだったからである。ペンは剣よりも強し。そう、青春とはやはり内輪ネタなのだ。

楽曲の花…「Clover」
花言葉…「約束」


【M7.モラトリアム

熱が出たからこんな夢で
目が覚めてしまったのかな
懐かしい君に手を引かれて
名前を呼んだ瞬間 朝が来た


 まさに去年の冬、熱にうなされていた朝の出来事である。体調が悪い時は、とかく変な夢、怖い夢、悲しい夢を見やすい。少なくとも僕はそうだ。この日はもうずっと昔に好きだった人の夢であった。

 僕に恋を教えてくれた人だった。優しくて、冷静で、だけど音楽を愛するパッションを持った素敵な人だった。好きで好きで仕方なかった。しかし自分の幼さゆえの失敗ばかりで最後は愛想をつかされてしまった。

 不思議だった。もう何年も前の話で、忘れられたと思っていたのに。僕は夢の中で、相変わらずその人が好きで好きで仕方ないほどに恋をしていたのである。「人って一度愛してしまったら、簡単には忘れられないんだな。」と、そのとき自分でもよくわからない気持ちのまま、ぼんやりと朝方に思ったのだ。そして生まれた歌がこの曲である。

 子供でも大人でもない、そんな不安定な時期の若者のありのままを書きたかった。聴き手にも、たまには昔の恋でも思い出しながら聴いてほしい。そんな少しビターで甘い一曲である。

楽曲の花…「サクラソウ」
花言葉「初恋」


【最後に…】


 今回この企画をいただいて、初めてセルフライナーノーツというものを全曲分、真剣に書かせていただいたのだが、本当に貴重な経験となった。アルバムというものは、制作期間中はバタバタなので、意外と自分の楽曲を落ち着いて見返す時間がないものである。僕はそうだ。

 歌は、聴き手が自由に想いを重ねて聴くことが一番だと思っているので、これはセルフライナーノーツでもあり、僕という人間ひとりの個人的感想でもある。タイトルに『最終話までそばにいて』と名付けたアルバムだが、その言葉通り、少しでもこれを読んでいただいたあなたの人生のお供にしていただければ、作者としては僥倖である。

最後に一つ言わせてほしい

「本当にめっちゃいい曲詰まったアルバムだから聴いて!お願い!マジで!!!(大声)」

以上。
それではこれにて連載はお終い。
長文、乱文に付き合ってくれてありがとう。
またお会いしましょう。

<リリィ、さよなら。 ヒロキ>

◆ニューアルバム『最終話までそばにいて』
2019年8月7日リリース
POCS-1816 ¥1800+税

<収録曲>
1.その手にふれたあの日から
2.甘い生活
3.Lovin’you?
4.Your best friend
5.コールドスリープ
6.Clover
7.モラトリアム
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