あれ?ハッピーエンドなんて存在しないんじゃない?

 2021年10月20日に“リリィ、さよなら。”が新曲「ハッピーノーエンディング」を配信リリース!完全新曲としては約2年ぶりのこの楽曲は、2015年にリリースした「フラッシュバック」のアンサーソングとなっております。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“リリィ、さよなら。”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「ハッピーノーエンディング」のタイトルや歌詞に込めた想い。そして「フラッシュバック」との大切な繋がりも明かしてくださいました。是非、改めて「フラッシュバック」の歌詞も併せてお楽しみください。

~歌詞エッセイ:「ハッピーノーエンディング」~

ごきげんよう。初めまして。シンガーソングライター・リリィさよなら。のVo.ひろきです。今回は新曲『ハッピーノーエンディング』の歌詞について、作者としてありのままの想いを書かせていただきます。

まず、この『ハッピーノーエンディング』という曲名。変わった名前だな、何のことかよく分からないな、と思われる方が大多数だと思います。そうです、何故なら僕が考えた造語だからです。

世の中で言うと『ハッピーエンド』『ハッピーエンディング』は、ポピュラーで耳馴染みのある言葉ですよね。私自身『ハッピーエンド』と言う言葉も、ハッピーエンドの作品も大好きで、過去に『ハッピーエンドで会いましょう』と言うタイトルのアルバムを出したことがあるくらいです。

では、この『ハッピーノーエンディング』と言うタイトルは何なのか? 私は『ハッピーノーエンディング』と言う単語に『ハッピーエンド』よりもっと上位互換的な幸せと言う意味合いを込めました。

その言葉はこの曲の制作背景から生まれました。私が過去にリリースした『フラッシュバック』と言う楽曲があります。そのアンサーソングを作りたいと思って生まれた曲が『ハッピーノーエンディング』なのです。

前身となる『フラッシュバック』は、世界で一番大事な相手を上手く大事に出来ないまま「ああ、もう二度と帰ってこないんだ」と思った朝に、薄暗い部屋で泣きながらキーボードを弾いて想いのままに作った、とても思い入れのある楽曲で。様々な形で共感してくださる方がいて、多くの人との出会いのきっかけになった「別れの歌」です。

『フラッシュバック』と言う曲では、最後の最後まで二人は巡り会うことはありません。主人公の「僕」は最後まで再会を願いながらも

どこかの交差点でまた偶然みたいに
「初めまして!」って僕は手を差し出すから
君は何も言わずに子供っぽい笑顔で
あの頃みたいにもう一度優しく握り返して、


と切ない歌詞で物語は終わってしまいます。はい。バッドエンドです。心が痛いです。

「初めまして!」が2回も来ないこと、叶わないことなんて頭で分かっていても、それでも想わずにはいられないのです。

ただ作者の私はやはり『ハッピーエンド』が好きなので、ここで希望を残しました。

もう一度優しく握り返して、

と言う最後の歌詞の「、」です。物語がいつかまた続く祈りを込めての「。」じゃなくて「、」です。

そしてアンサーソングは「絶対にハッピーエンドにしたい。」と意気込んで作り始めました。

しかし、『ハッピーエンド』って何なんだろうと考えているうちに

あれ?ハッピーエンドなんて存在しないんじゃない? 小説や映画は「いつまでもいつまでも二人は幸せに暮らしました」「めでたしめでたし」で終わっても、現実世界の二人にはその後も続く生活があって。物語があって。途切れることはあっても幸せは続いていくと思ったんです。結ばれて『ハッピーエンド』となった二人のその後こそが、本当の『ハッピーエンド』だと思ったんです。

だから本当の幸せ(=ハッピーエンドなんて来ない)と言う意味で、『ハッピーノーエンディング』と名付けました。

ふう。解説がとても長くなってしまいましたね。
もう少しお付き合いしていただけますか?

『ハッピーノーエンディング』の歌詞は、前身の作品『フラッシュバック』で結ばれなかった二人が何度も何度も輪廻転生、あるいはパラレルワールドを経て、ようやく結ばれる世界線にたどり着くと言う、少しファンタジーな内容になっております。

ねぇ 聞いて ちょっと聞いて
昔から僕は 不思議な夢見て泣いて起きる日がある

いつだって誰かを探している夢
その度 運命に引き裂かれ


出だしからいきなりファンタジーです。主人公の「僕」は何か「君」と出会えたことに、根拠のない運命を感じているような。ここから物語はどんどん展開し、最後二人は晴れて結ばれるのですが

めでたしめでたしで終わらないで
もう二度と離さない
-お話はつづくつづく-


と言う歌詞でラストサビは終わります。

そう。「もう二度と離さない」なんですね。二人は初めて結ばれたはずなのに。ここで二人の深い縁を表現しています。

そして、この最後のサビの後にはもう一度、全く新しい歌詞とメロディーが来ます。その部分が『フラッシュバック』と今作『ハッピーノーエンディング』の物語を繋ぐ、最大の答えになっています。

「、」で終わった『フラッシュバック』と違い
今作はちゃんと「。」で終わりますよ。

これが今の私に書ける最大の幸福の形であり、『ハッピーエンド』の最適解であると感じています。

歌詞にもメロディーにもMVにも
この2曲を繋ぐ沢山の仕掛けがあります。
ぜひ歌詞を見ながら楽曲を聴いて

真の『ハッピーエンド』と、その結末を見届けてください。

ではでは、大変長くなってしまいましたが
またお会いしましょう。
リリィさよなら。のひろきでした。

<リリィ、さよなら。>

◆紹介曲「ハッピーノーエンディング
作詞:滉紀
作曲:滉紀

◆紹介曲「フラッシュバック
作詞:ヒロキ
作曲:ヒロキ