2025年10月1日に“井上苑子”が歌唱活動休止前ラストシングル「ナチュラル」をリリースしました。作詞作曲は、これまでに「ふたり」や「線香花火」など、数々の名曲を手がけてきたSUPER BEAVER・柳沢亮太が担当。8年ぶりの黄金タッグの復活による、井上苑子の“いま”をまっすぐに描き出すエモーショナルなロックソングとなっております。
さて、今日のうたではそんな“井上苑子”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「ナチュラル」にまつわるお話です。柳沢亮太に楽曲を依頼し、今作をリリースするまでの軌跡。そして今、伝えたい想いは…。ぜひ歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。
井上苑子です!
こうしてエッセイを書かせていただくのがとてもお久しぶりで嬉しいな~、、嬉しい嬉しい。
今回は10月1日にリリースの新曲のお話をさせてください。
8年ぶりにSUPER BEAVER・柳沢亮太さんに曲を提供していただきました。
タイトルは「ナチュラル」。
インディーズの頃に出したミニアルバム『線香花火』の表題曲「線香花火」と「青とオレンジ」を柳沢さんが作ってくださったときから、2017年リリースの「なみだ」までの間で井上苑子が歌う柳沢亮太さんの曲が6曲もあります。
これまでその6曲が大好きで、毎回大事に歌ってきました。
やなぎさんが作ってくださる曲は、私が経験していないことでも頭の中に情景が広がって。その世界の真ん中にいるように感じさせてくれる歌詞、芯が通っている物語、親しい友人と喋っているかのような温度感でスッと入ってきて、最後は胸が熱くなって自然と両手を空に向けてしまいたくなるようなポジティブなパワーを持つメロディ、、えっと、とにかく私は虜だということですね。。
今年は私がメジャーデビューをしてから10年という節目の年で、これまで以上に大事にしたい一年でした。
なので、新曲リリースは絶対にしたかったのですが、どんな曲にするかを考えたとき、一番に浮かだのは、これまでの私を作ってくれたやなぎさんの曲でした。
そして、無理を承知の上、とんでもなくドキドキしながら何度も何度も文章を書き直して、“曲を作っていただけませんか”と連絡させていただきました。
やなぎさんは快く引き受けてくださり、私が伝えたいこと、どんなことを曲にしていただきたいのかを包み隠さずお話しすると、数日でデモを送ってくださいました。
まずはとにかく大興奮で、目を瞑って曲を聴きました。
そりゃもう、これでもかというぐらい一音一音を染み渡らせて噛み締めましたよ。
その後、歌詞もしっかり読みながら聴き、電車の中だということも忘れて爆泣。。。笑
大阪の路上でがむしゃらにひたすらに歌っていたあの日から16年、夢だったメジャーデビューから10年経った今だから歌える曲です。
10年というのは、ただ数字だけ見たらそこまで大きなものではないかもしれないけど、私の中では今後の人生に影響を受けるくらい、悔しくて泣きたくなることや、人の優しさに触れ崩れ落ちそうなぐらいほっとすることもたくさんありました。
今作の歌詞に
<変わりたい 変われない で、変わらなかったのが「わたし」>
とあるように、選択肢は常にたくさんあったはずなのに、結局は自分の意思で選んできた道だったんだなぁと思います。
エゴかもしれませんが、こんな私の歌や生き方で、何かを感じてくれる人がいてくれると信じて続けていきたいです。
そんな、大好きで時に執着してしまう?ような音楽の世界で、ずっとかっこいい背中を見せてくれているやなぎさんから、まっすぐで自然体でいられる曲をいただけたことで、私はさらに強くなれると自信を持てました。
自分の話ばかりになってしまったけど、
きっと私と同じように、日々苦しんで悔しい気持ちでいる方もいらっしゃるかと思います。
でも、そんな気持ちになるほど、自分は投げ出さずにやってきたんだと、この曲を聴いてる時間は自分のことを誇りましょう。
ここだけの話、あなたは十分やっています。自分が十分やっているなんて大きな声で言えなかったりするよね。
でもこの時間だけは、そう思ってもらえたら。
私がいつでも力になりたいと思っていることを忘れないでね。