だから私は恋が好きだ。

 2021年2月10日に“井上苑子”がニューミニアルバム『PANっと音がした』をリリース!23歳になる彼女が作り上げたのは、女の子の可愛いを詰め込んだおもちゃばこのような一作。井上苑子が感じた音、リズム、空気感を色の世界基準である【PANTONE】を介して表現することに挑戦 ! 再出発の合図で進んでゆく井上苑子の音楽をご堪能あれ…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“井上苑子”による歌詞エッセイを3ヵ月連続でお届けいたします。今回はその最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「恋におめかし」に通ずるお話。子供の頃の記憶に立ち返りながら、自身が大きな幸せを感じること、苦しさから抜け出す方法、そして恋愛についての素直な気持ちを明かしてくださいました。歌詞と併せて是非、このエッセイを受け取ってください…!

~歌詞エッセイ最終回:『PANっと音がした』~

このコラムを書くにあたって、子供の頃のことから思い返してみた。そういえば、数年前までは年号が変わるということを想像していなかった。平成9年に生まれて23年経ったが、これまで十分に幸せで、なんの不自由もなく過ごせてきた。それは、親や出会った方々のおかげであり、私は様々な経験が出来て、強くなって、今こうやって立てているのだと思う。

そんな私が大きな幸せを感じるときは、恋愛だけじゃなく、人と人との関係で愛を受け取ったり、誰かに贈ったりできたときだ。何に幸福を覚えるかは人それぞれで、正解なんてない。だからこそ悩んだり、苦しんだりするのだろう。人に愛を贈ることは、自分のエゴでしかなかったりする。そのことで悩んだこともある。でも、私は自分の気持ちを言葉にしたくなってしまう人間だ。優しく、愛をもって言葉にしたら、とっても素晴らしいことが起こるかもしれない。そう思って、伝えることにしている。

子供の頃から、誰かと比べてしまって、劣等感に苛まれ息苦しくなるときがある。最近はそんな苦しいこともなくなってきたのだが、なくなってきた理由はきっと、自分でそれを理解し、“そんな自分でも大丈夫。自分だから出来ることがある”と割り切って、仕事ややりたいことに打ち込めているからだろう。

自分を理解することが、楽になれる方法である気がする。みんながみんなに当てはまるわけではないが、私はそうだった。劣等感を抱くなら、抱いていることにまず気づいて、認めていたほうがいい。自分のことを客観視できる人間でいられると、苦しくなったとき、自分を俯瞰して見ることができる。そうすると、自然と楽になれた。

仕事のことや人間関係は
そういう風に考えられていたのだが
恋愛になると、まるでそうもいかない。
怖い。
恋愛って複雑だ。

でも、恋愛でしか補えない感情や感覚がある。優しくなれるし、言葉や行動に愛を持てる。自分が知らなかった自分を知ることができる。繊細で綺麗で、醜くもあり、汚い。溺れれば溺れるほど、一生懸命になって、命も懸けられるほど。それぐらい恋愛は人を動かしてしまう。

恋は、人の数だけパターンがあって
今回ミニアルバムで描いた女の子の恋は
たまたま出会った人に
心を奪われたところから始まった。

恋の穴にどんどん落ちていくと、周りが見えなくなって冷静ではいられなくなる。そんな状況だと、身近な人が、おかしくなっていることを伝えて、いつも通りに過ごしてほしいと言いたくなるが、その穴の中にいる張本人には何を伝えても、アドバイスなどしても、無駄なのだ。


今回の曲でいうと3曲目の「恋におめかし」は、自分を取り戻すための曲。恋に恋していても、たまに自分らしさを取り戻したくなるものだ。

4曲目からはまた恋愛モードになって、上がったり下がったり。恋愛で波がないことなんて滅多にない。どんな穏やかな人たちのところにも、一度は大波がきたりする。残酷さもあるが、全ては経験になり、強くなれる。

だから私は恋が好きだ。

そんな私が書いた今回の6曲の恋物語は、まだまだ青くて淡いものばかりなので、この先の物語もいつかは描いて、私なりに言葉にしてみたい。

<井上苑子>

◆紹介曲「恋におめかし
作詞:井上苑子
作曲:さとうもか

◆ミニアルバム『PANっと音がした』
2021年2月10日発売
初回限定盤 TRAK-0171/172 ¥2,600(税込)
通常盤 TRAK-0173 ¥2,000(税込)

<収録曲>
01. おとぎ話って言わないで
02. ダーリンって呼べない
03. 恋におめかし
04. ロマンス
05. epilogue
06. ほんと