西片梨帆

「黒いエレキ」ができるまで。

 2020年9月23日に“西片梨帆”が最新ミニアルバム『彼女がいなければ孤独だった』をリリースしました。彼女は、透明感のある声と、女性の恋愛心情の機微を表現する歌詞で同世代女性の共感を呼んでいるシンガーソングライター。今作でメジャーデビューを果たす。今後、年内は全国でのライブ展開を計画、年明けには待望のフルアルバムリリースも予定しているとのことなので、まずは是非、このミニアルバムをご堪能あれ…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“西片梨帆”による歌詞エッセイを【前編】と【後編】でお届け!今回はその【前編】です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「黒いエレキ」についてのお話。まわりと“同じでいること”を気にし過ぎてしまって苦しい気持ちを抱いているあなたへ。是非、歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。

~歌詞エッセイ【前編】:「黒いエレキ」ができるまで。~

この曲は、17歳のときに書きました。

当時の私は、高校に通いながら、

放課後の掃除当番を抜け出して、

急いで電車に乗り、ギターを背負って、

東京のライブハウスに行く日々を送っていた。

学校では、「同じでいること」を

執拗に求められる気がして、無理をしてた。



私の学校では、お昼休みに、

机をくっつけてグループになり、

ご飯を食べていたのだけど、

中には教室でひとり、ご飯を食べている人もいた。

<グループの誰かが私を嫌えば、

いつでもここからいなくなるんだろうなあ>と

そんなことを考えていたら

だんだん教室にいることが耐えられなくなって、

高校の残り半分は、

図書室でひとりご飯を食べていた。



窓際。中庭の緑と光が綺麗に見える席。

お昼休みに放送委員が流す陽気な音楽も

「楽しんでね、絶対」と

言われている気持ちになって、怖かった。

イヤフォンをして、

自分が好きな音楽を噛み締めるように聞いていた。

別にそんな無理はしてない、

明るくも、暗くもない曲。



そんな私にとってライブハウスで歌う日々は、

学校では教えてもらえないことを言葉ではなく、

雰囲気や感覚的に教えてくれるものだった。

ライブハウスは、照明も暗いし、

何かを諦めたような雰囲気の人もいて、

たとえば、街を歩いていたら、

だめな人だと思われるかもしれないけれど、

そんな人が、ステージで歌う姿は

どんなものよりも美しかった。

誰かに自分の曲を聴いてもらいたいというよりも、

“ただ好きだから”というだけの、

半径30cmくらいの自分のための歌。

人に理解されなくても、

自分の信念を守ろうとする人。

「同じでいること」なんて

どうでもいい人。



むしろきっと、

そんなことなんて気にもしていない姿が、

当時の私にはとてもまぶしく、羨ましかった。

その時の情景を残そうと思って、

書いたのが「黒いエレキ」。

この曲は、恋愛の曲だと思われることが多いですが、

自分はそういう思いで書いた曲ではなくて…。

今まで「こんな人にはなりたくない」とばかり

思っていた私が、ライブハウスで初めて見つけた

「いつかこうなりたい」と思った大人への

憧れの曲です。

<西片梨帆>

◆紹介曲「黒いエレキ
作詞:西片梨帆
作曲:西片梨帆

◆最新ミニアルバム『彼女がいなければ孤独だった』
2020年9月23日発売
COCB-54301 ¥2,300+税

<収録曲>
01. 黒いエレキ
02. リリー
03. 片瀬
04. 嫉妬しろよ
05. 23:13
06. 元カノの成分

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