10代向けのTOKYO FMの番組『SCHOOL OF LOCK!』では、11月27日の放送でその模様を特集。参加した10代の『“良い歌詞”と“悪い歌詞”』についての意見には「自分の言いたいことが半分、相手が受け取ることが半分で、想像ができるような歌詞がいい」「良い歌詞は、感性に届く歌詞、心に届く歌詞」などがあったようです。詳しくはこちら。
さて、歌ネットの人気コーナー『言葉の達人~伝えるための作詞術~』でも、これまで多くの“言葉の達人”たちが『自分が思う「良い歌詞」とは?』という質問に答えているんです。今日のうたコラムではその回答を【前編】と【後編】に分け、一挙ご紹介!短文の方、長文の方、それぞれの“歌詞観”を楽しんでみてください。本日は後編をお届け!
<有森聡美>
何気に聞いても心に触れるもの、深く聞くともっと色んなメッセージが隠されているような作品。歌った時により生きる歌詞。
<川村結花>
その世界へ連れて行かれてしまうもの。トリップさせてくれるもの。自分にそんな経験がなくてもあるような気になったり、経験のあることは痛いくらい共感できるもの。
<小倉しんこう>
色々な「良い」があるので難しいですが、一番好きなのは素直で奥行きがある歌詞です。聴く側の心境の角度によって「切なく」見えたり「幸せ」が見えたり。どんな時も聴き手の心の形に合わせてくれるような。
<槇原敬之>
時と経験を重ねるほどに、真意が解き明かされていくような歌詞って素敵ですよね。こういうと、若い人の書く歌詞にはそれが無いように思われがちですが、そうでもないんですよ(笑)。書くべき人が書くなら、年齢は関係ないんですよね。
<Sally#Cinnamon(Heavenstamp)>
無駄がなく、足りないものがない歌詞。いしわたり淳治さん作詞の「神様のいうとおり」の<あの娘 はすっぱ 恋泥棒 わたし けなげ いいひと>という、少ない言葉でどんなことが起こったか、どんな人物像か想像が膨らむ歌詞に感銘を受けました。
<中嶋ユキノ>
世代を超えて、時代を超えて、愛され歌い継がれていく歌詞。人生の何かのきっかけになったり、励まされたり、背中を押されたり、共感できたりする歌詞だと思います。ただ、歌詞というのは「良い」「悪い」「◯」「×」ではないと思うし、まさに「人それぞれ」誰からも良いと言ってもらえないからといって「良くない歌詞」とは限らないとも思っています。
<さだまさし>
短くて季節感があり、心の働きや人としての心情が聞こえ、感動さえ伝わるものです。俳人、石橋秀野の絶唱『蝉時雨児は担走車に追ひつけず』など凄いですね。なんとこれは自分が吐血してストレッチャーで運ばれる最中に書かれたもので、母に追いすがる幼い娘の不安や表情や蝉時雨の音まで聞こえてきます。これが遺作になりました。俳句は最高の文学だ、と言う言葉に同意します。
<杉山勝彦>
聴く人のことを考えてあって伝わってくる、伝え方の温度がふさわしい歌詞ですね。歌い手や楽器の演奏も含めて、言葉の持つ温度感が、その音楽にマッチしている歌詞はすごく好きです。ドラマ主題歌であれば、ドラマの世界観を壊さない歌詞がふさわしいと思いますし、アーティスト単体のアルバムに入っている曲であれば、そのアーティストの独自性が存分に発揮されている歌詞が良いと思います。それぞれの場所において、表現を書き分けられている歌詞は良いと思います。
<志倉千代丸>
つきなみですが、やっぱり「長く愛されるもの」なんだと思います。長く愛されるという事は、より多くの人と心の波長が合うという事ですよね?ピンポイントな層を狙いがちな僕にとって、永遠のテーマでもあり、チャンスがあれば僕も出来る限りチャレンジしていきたいと思っていますが、恐らく明確な答えは無いんだと思います。音楽は、自分の為に作るものではなく、誰かの為に作るもの。思考が停止するまで、この難解なテーマに取り組んで行きたいと思います。肩の力を抜いて。
答えを受け取った上で、それぞれの達人の手掛けた歌詞を深く読み入ってみると、より腑に落ちるものがあるかと思います。2019年もいよいよ終わりを迎えようとしておりますが、歌詞愛好家の方、作詞家を目指している方、来年も是非『言葉の達人~伝えるための作詞術~』をご堪能くださいませ…!