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  • レトロリロン
    人生はやり直せるのだろうか?
    人生はやり直せるのだろうか?

    レトロリロン

    人生はやり直せるのだろうか?

     2023年4月19日に“レトロリロン”が1st EP『インナーダイアログ』をリリースしました。既発曲3曲+新曲3曲を収録した今作。インナー(内側)+ダイアログ(対話) という単語をつなげて“自分自身との対話”という意味になっており、このEPが自分自身と対話するきっかけになってほしいという思いが込められている作品です。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“レトロリロン”の涼音による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 Restart? 」にまつわるお話。選択の連続である人生のなか、“選択の失敗”が怖くて、待つだけの自分になってしまっているあなたへ。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 ―人生はやり直せるのだろうか?―   生きていくということは様々な選択の連続だ。 あの時こうしておけばと思うことがほとんどの中、何をもって正解なのだろうか。   既に過ぎ去ってしまった結果を変えることはもう出来ない。 であれば、先々の選択を慎重にするしかないのか。 しかし、そう思って気を付けていたとしても僕らは失敗をし続けてしまうのだ。 もはやそこに意味があるのかもしれない。 意味を見出したいとさえ思ってしまう。     例に漏れず、僕はよく選択を間違える。 些細なことから大きなことまで様々だが、選択を間違えるたびに頭をよぎる言葉がある。 それは“もうやり直せない”という言葉だ。 この言葉を何度も頭の中で反芻(はんすう)する。   気づけば僕は選択による失敗を恐れて、チャンスが来るのを待ちぼうける日々を送っていた。 しかし、そのチャンスとやらはいくら待ってもやってこない。 チャンスは自ら掴みに行かない限りは生まれないことに気づいてしまった。 その時から僕は“いつか”を待つことをやめた。     結局のところ、結果が出るまでは、失敗だったかどうかの判断などつかないのだ。   僕たちは、失敗したことばかりを数えてしまうけれど、知らないところでたくさん良い選択をしている。凄まじい速度で判断を迫られる現代で、正解を弾き出すことは極めて難しいが、自分自身の納得が最も大切なのかもしれない。     人生はいつでもやり直すことが出来る、という言葉をよく耳にするが僕はそんなことはないと思っている。今までの全てがこれからに繋がっている。だからこそいつでもスタートは切れるのだ。   これまでの失敗をただの失敗にしない為に、これからも選択し続けることを僕は辞めない。   <レトロリロン・涼音> ◆紹介曲「 Restart? 」 作詞:涼音 作曲:涼音   ◆1st EP『インナーダイアログ』 2023年4月19日発売   <収録曲> 1.カウントダウン・ラグ 2.Restart? 3.Document  4.Don’t stop 5.きれいなもの 6.深夜6時  

    2023/05/05

  • THE BEAT GARDEN
    言葉が降ってくるなどという才能が僕にはない。残念!
    言葉が降ってくるなどという才能が僕にはない。残念!

    THE BEAT GARDEN

    言葉が降ってくるなどという才能が僕にはない。残念!

     2023年6月14日に“THE BEAT GARDEN”がフルアルバム『Bell』をリリース! 前作『余光』から約2年ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバムとなる今作。大ヒットを記録したドラマ『六本木クラス』挿入歌「Start Over」をはじめ、初CD化となるデジタルシングル曲(「ROMANCE」「それなのにねぇなんで?」「初めて恋をするように」)に加え、新曲5曲を含む全9曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“THE BEAT GARDEN”のUによる歌詞エッセイを3ヶ月連続でお届け! 今回はその第1弾です。綴っていただいたのは、「歌詞を書く」ことにまつわるお話。言葉が降ってくることなんてない。でも、だからこそいっそう大切で愛おしい歌詞への想いを明かしてくださいました。 まずはじめに 何かの縁でここへ来てくれて ありがとうございます   いいね一つにしても 正直減るものではないけれど、   目に入るもの全てに押すかと言ったら 僕も全然そうじゃないから。   きっと URLをクリックしたり   こんな風に“文章を読む”なんていうのは 時間だったり色んなものを割いて   僕に渡してくれてるのだと思うので 心から嬉しいです。     為になることはないかもしれませんが!   良かったらなんとか根性で 読み切ってもらえたらとてもとても幸いです。   ―――   「言葉が降ってくる などという才能が僕にはない。残念!」     寝ている間に一曲出来てて。とか   ぼーっと待っていたら突然目の前に現れて   聞いたこともない言い回しが浮かんで。   なんてことも残念ながら経験がない。     そんな僕がモタモタしてる間に   時代を掴んだミュージシャンの新曲達が   颯爽と口笛を吹いて 僕の横を通り過ぎていく。     一方、 追い抜かれて置いていかれても   冬に雑巾を絞るみたいに ぎゅっと痛いけど何とか 一言こぼれ落ちる   みたいな自分がいやになる。     彼らの 出演番組とか観たくないし 歌詞とか読みたくないけど ちゃんとめっちゃ気になるし     本当は 耳にタコができるほど 曲聴いてほしいし   タコがダメならイカになって スルメイカみたいに噛めば噛むほど 良い!Uくんすごい!ってなりたい。     でもやっぱり カリスマみたいに書けなくて   それでも 自分だから見つけられた言葉は やっぱり可愛くて。     そんな手間ひまかけて育てた愛着は 長持ちして ずっとかわいい。   だからいいんだ。 時代の最先端に立てなくても 君の大好きの最先端に立っていられるなら かまわないぜ           ダサいー。   ―――   アルバムがでます 6月14日です   何の日か調べてみたら 手羽先記念日でした 手羽先には特に思い入れは無いです (美味しいよね!)     『Bell』というアルバムです。     約半年間、毎日カフェへ行き   一つのカフェに行きすぎると   あの人 一体毎日何をボーッとしてるの?と   視線が徐々に痛くなるので   いい具合に店舗を散らしながら   歌詞を書いていました。     歌詞を書くのは   青春時代みたいだなって言おうと思ったけど   “青春時代”ってなんぞ? まいいか     あのー、初恋とかそのあたりの感じ。   あの子との話し方 自然な手の繋ぎ方   これ送って大丈夫かな?の夕方 毎日おはよって送れる!の嬉しい朝   でも返って来なくて愕然とする夜。     なんで急に冷めた?の冬   もう二度と恋なんてしない!の夏   のあの感じを頭の中で繰り返す。       眠れなくなって 寝不足で 鼻の下にニキビができて   そんな時に限って 君は話しかけてくる。     あの日々に 歌詞を書く感覚は似てるかもしれない。     でもね? あれは、 二人でやるから。いいのよ。       若かりし青い春を 一人で夜中まで毎日続けるおじさんは ハゲちゃうよ?   おれ   ね?   ――   メロディを聞いて そこに出会える言葉を うーっと考えてると おでこの真ん中が重たい。     僕の気持ちに僕が質問をして、 僕が解答するわけだから   全部ベストアンサーだし 誰かにとっては全部間違ってる。     他の天才達はこんな感じで書くのだろうと   月を見上げにベランダへ出たら 寒くて秒で部屋に戻る。     よし。 チャリ漕いで書こう。と思ったら   下り坂の途中で 小さい虫の大群に襲われる。   2時間後に その黒い虫が目の端っこからカムバック。     “星の数ほどある人と虫の中で 眼球に飛び込んだ君から目が離せないよ”     みたいな歌詞を歌える曲などない。   ってか二度と会いたくない。     話は逸れましたが、 きっと   春と夏の分かれ目みたいに 薄味と濃い味の境目みたいに   ぜったいこうだ! なんてものもないし   人それぞれ 違う目盛りがあるのが音楽だし歌詞だと思う。     正解を決めるものでも 探すものでもない。     どんなに切なくて苦しい曲だって   わたしに比べたら あなたの悲しみなんて 決して悲しみじゃないんだと 言われてしまえば   その歌詞では もうその人に関われないわけだし   思ってもいないところで 思ってた以上にブッ刺さってくれたりする。   だから。   誰かの目や耳に あの虫のように 奇跡的に飛び込めて   放り出されずに 大事にしてもらえるなんて   それは泣けるほど 嬉しいこと。     です。     虫より。   ―――     歌ネットさん。 コラムを依頼して下さってほんとにありがとうございます。   言葉が降ってくる などという才能がない僕でも   曲を書いたり ライブで歌ったりすることで   時々、誰かの人生に寄り添える瞬間があって   このコラムもそう。   あ、俺も書けるかも!とか 私この人よりいける。。とか 何かの一歩になってくれたりしたら すっごく嬉しい   さらに THE BEAT GARDENにも 興味を持ってくれたりなんてした時には 飛び上がります。     つらつらと自由に書かせてもらいましたが     次回の6月のコラムでは 「恋」をテーマに 多分、書かせていただきます。   長かったよね。 文。   ごめんね。   読んでくれてありがとうございます。   また 歌ネットさんで、ライブで、会いましょう   THE BEAT GARDENのUでした!   <THE BEAT GARDEN・U> ◆4th FULL ALBUM『BELL』 2023年6月14日発売   <収録曲> 1.Start Over 2.心音 3.あかり 4.初めて恋をするように 5.夏の三角関係 6.High Again 7.それなのにねぇなんで? 8.ROMANCE 9.ラブレター  

    2023/05/04

  • nolala
    ごめん、ありがとう。
    ごめん、ありがとう。

    nolala

    ごめん、ありがとう。

     2023年5月3日に“nolala”が1st Full Album『i my me mine』をリリース。今作には、すでに配信リリースされている「明日が最後でもいいと思えるように」を始め、全12曲を収録。収録曲の中には1st mini Album『harmony』に収録されている「ハルカゼ」を新たにリアレンジされたものも収録されており、さまざまなnolalaを楽しめる一枚となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“nolala”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾。執筆を担当したのは、メンバーの千陽( Gt.&Vo.)です。綴っていただいたのは、今作の収録曲 「ごめん、ありがとう。」にまつわるお話。6年かけてやっと完成したこの曲。時間をかけても隅々まで納得できる曲にしたかった理由は…。あなたにとっての大切なひとを思い浮かべながら、歌詞とエッセイを受け取ってください。 「大切な人をちゃんと大切にしよう」 と思った。   それだけのこと?   そう、それだけのこと。   そんなことさえもできていなかった。 当たり前になっていた。 大切な人が側に居ること。     保証された明日なんてない。 誰にでも起こりうること。 「明日は我が身」 きっと誰もが理解していて理解できていない。   「まさか自分が」 「まさか自分の大切な人が」   そう思うことさえないほど 「死」という言葉が程遠いと 誰もが思っているのだろう。   私もそうだったから。   ―――――   代わり映えのない日々だった。 好きな先輩を見るために髪を整え学校へ行く。 退屈な授業。 空を眺めていると時間が過ぎるのが早かった。   学校終わりは塾かバイトかバンド。 それを辿る日々。   特に夢はなかった。卒業後の進路も未定。   なんとなく卒業して大学に行って どこかで働くんだろうな   なんとなくでできた未来 なんとでもなると思っていた未来     ある日家に帰ると その未来は真っ黒になった。   世界が変わった気がした。 同じ街に居るのにまるで別の世界のような       もうこの場所にあの人はいない         「まさか自分が」 「まさか自分の大切な人が」   やっと理解した「誰にでも起こりうること」   遅かった。もう戻らない。どうすることもできない。     振り返っても後悔ばかりだ。   もっと優しくすればよかった 「ありがとう」って伝えればよかった たくさん話をすればよかった   居なくなってしまったら 何もしてあげられないよ 伝えられないよ 当たり前に私の未来に存在してくれると そう思ってしまって   当たり前なんてないのに 今なら分かるのに 今分かっても遅いのに   もう同じ後悔を重ねないように 今居る大切な人たちをちゃんと大切にする。     あなたが教えてくれたこと 忘れないよ       ごめん、そして最大限のありがとう。   私の大切な人   ―――――   誰にでも起こりうること。 それを分かっていてほしい。   私が身をもって経験したこと。 同じ後悔を誰にも経験してほしくない。   そう思って作った曲   どこも妥協したくなくて 時間をかけてでも隅々まで納得できる曲にしたかった。   そして6年かけてやっと完成しました。   大切な人が居るすべての人に届きますように   <千陽> ◆紹介曲「ごめん、ありがとう。」 ◆1st Full Album『i my me mine』 2023年5月3日発売 NCJD-10009 ¥3,000(税込)   <収録曲> 1.明日が最後でもいいと思えるように 2.marrie 3.煙草と珈琲 4.恋、はじめ、誓約書 5.ハルカゼ(Album ver.) 6.ピアス 7.細愛 8.メイプル渡辺201 9.しあわせの跡味 10.アイユエ 11.ごめん、ありがとう。 12.6畳1Kとジャズマスター

    2023/05/02

  • 琴音
    本曲制作にまつわるパンドラの箱を開けてしまおうと思います。
    本曲制作にまつわるパンドラの箱を開けてしまおうと思います。

    琴音

    本曲制作にまつわるパンドラの箱を開けてしまおうと思います。

     2023年4月19日に“琴音”がEP盤『君にEP』をリリースしました。前作ミニアルバム『君は生きてますか』以来約1年7か月ぶりとなるこのEPには、「君に」のほかに未発表の新曲2曲、今年1月に公開されたアニメ映画『金の国 水の国』の劇中歌として話題になった「Brand New World」「優しい予感」「Love Birds」3曲の全6曲が収録されます。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“琴音”による歌詞エッセイをお届け。今回は【後編】です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 ライト 」にまつわるお話です。EP唯一の自作曲。これまで話してこなかったという、この曲の秘密を明かしてくださいました。さらに今回も音声版がございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。 皆さんいかがお過ごしでしょうか。 4月19日『君にEP』リリースにつき、第2弾を書かせていただく運びとなりました。 以前、1stアルバム『キョウソウカ』リリースの際は3つ書かせていただいているのですが、先日久しぶりに見返し、ほのかに香るあどけなさと今も変わらぬ前段のくだらない小話にしみじみしました。 ということで、今日も今日とて書いてまいります。 琴音です。     さて、今回の題材となるのはEP唯一の自作曲「ライト」です。   本曲以外の提供曲5曲もそれはそれで大変思い出深いのですが、自作となると制作段階でのドラマは一層沢山うまれるものです。   とはいえ今回も第2弾を書かせていただけるとは思っておらず、この曲の制作話は取材などで洗いざらい話してしまったと頭を抱えておりました。   ですが、実はまだどこにも話していない秘密中の秘密がひとつあったのです。   今回はこの場をお借りし、本曲制作にまつわるパンドラの箱を開けてしまおうと思います。     昨年に全6曲構成に決まり走り出したEP制作。   しかしこの曲自体が完成したのは今年の3月初旬です。   つまり、EPの中では1番最後に完成した出来たてホヤホヤの曲になります。   当時、映画『金の国 水の国』劇中歌の3曲はとうに出来上がり、「君に」や「波と海」も徐々に仕上がっていく中、残り1曲の所在はなかなか決まらずにいました。   そしてやはり最後の曲は自作でやるべきと決まった時には、実質1ヶ月程の日数で0から全てを完成させなくてはならない状態でした。   そもそも何かと工程の多い制作です。   このようなギリギリな状況で本当に完成させられるのか、私自身にも一抹の不安がありました。   現になかなかタイトなスケジュールではありましたが、幾つかデモを作り選定をし、「ライト」プロデューサーの若菜拓馬さんの助言や編曲をいただきと、思いのほか作曲は順調に進んでいました。   ですが、一難去ってまた一難。本当に苦しむことになるのはその先の作詞作業だったのです。   というのも、私の歌詞は内省的な内容が多く、拘るほど時間がかかりがちです。   短期間で納得できる歌詞を書くには今までのやり方ではだめなのだろうと思いつつ、ならばどうすればいいのかと困惑していました。   自作曲完成のための重要な局面、時間も迫る中で折れるわけにもいきません。   とにかく打開策を見出さなくてはと思い悩んでおりました。   そんな折、ふとタイミング良く、とあるブログに出会ったのです。   初めて見た方のものでしたが、作詞方法の一案としてテーマを2つ決めるというやり方が紹介されていました。   例えば恋愛モノの歌詞を書く、という大枠のテーマだけではなくその中にもう1つ、「雨」や「カプチーノ」など具体的なテーマを決めておくと歌詞が書きやすくなるという内容でした。   それを読んだとき、確かに考えてみればそういう曲は多いのかもしれない、と言語化されることで気がつきました。   ここまで書いてみて、そんな大事な時にネットに助けを求めるなよと自分でも呆れますが、出会ってしまったのですから仕方がありません。   実際これを機に、今までの内省に潜っていく作詞方法とは違う新しいやり方も試してみようと思い立っていきます。   当時、作曲から作詞に移っていく際に出ていた「ささやかな幸せ」という大枠テーマのもと、ブログ通りもう一つのテーマを考えてみました。   そこで思いついたのが、本曲の題名にもなっている「ライト」です。   日々を過ごしていく中、灯りという存在は当たり前のように、ひっそりと色々な場面を彩っています。   灯りのなかで生まれる取り留めのない毎日、そんな小さな幸せが続いていく様子を書いてみたいと思いました。   結果、新しい試みをやってみた感想としては、何となく作詞家さんみたいだなと感じました。   確かに明確なテーマが決まっていると関連することは思い出しやすいですし、実体験として経験がなくとも誰かから聞いたり想像でお話を作ってしまったり、他の既成曲からヒントを得たりと色々な策がとれます。   ここだけの話、本当に作詞期間中はあらゆるプレイリストが恋愛曲や家族曲で埋まっていました。   実体験を派生させて書いた部分もあれば、一方で自分では感じたこともないことを書いた部分もあり、言ってみれば自分なのにどこか自分じゃない、でも自分の歌詞という奇妙なものができた感覚です。   自分が思っていないことを書くなんて初めてで新鮮でしたが、それが自分の書きたいことと喧嘩していないというのがなにより驚きでした。   普遍の中に自分のこだわりや工夫を詰め込む感覚。   何とも言い表しにくいですが、ともかく一段成長できた気分です。   今回この話を書く上で、お世話になった例のブログをもう一度読みたいと探したのですが、残念ながら見つけられませんでした。   どこのどなた様かも存じませんが、自分の窮地を助け成長させてくださったこと、大変感謝しております。   正直たまたま見たものに影響されてやってみたなんて、何だか恥ずかしいような情けないようなで無かったことにしたかったのですが、まあ私に嘘は似合わないということで書いてみました。   これからも色々な刺激に出会って成長していきたいなと思うこの頃です。     っはい!! いかがでしたでしょうか。 今回はこの辺で終わります。 またどこかでお会いしましょう。 ご清覧ありがとうございました!   <琴音> ◆紹介曲「 ライト 」 作詞:琴音 作曲:琴音・若菜拓馬  ◆『君にEP』 2023年4月19日発売 配信サービス一覧: https://jvcmusic.lnk.to/kimini_ep   <収録曲> 1. 君に 2. ライト 3. 波と海 4. 優しい予感 5. Brand New World 6. Love Birds

    2023/05/01

  • 新山詩織
    何者
    何者

    新山詩織

    何者

     聞くひとの心を捉えて離さない、染み入る歌声と歌詞が多くのリスナーを惹きつけるシンガーソングライター・新山詩織。そんな彼女が2023年4月17日にメジャーデビュー10周年を迎えました! そして来たる7月5日には10周年記念アルバム『何者 ~十年十色~』のリリースが決定!    さて、今日のうたコラムでは、メモリアルイヤーを記念して“新山詩織”による歌詞エッセイを1年を通じ、12ヶ月連続でお届け!その第5弾です。綴っていただいたのは、アルバム『何者 ~十年十色~』のテーマに通ずるお話。自分は“何者”なのか。その問いに向き合ってみて、わかったことは…。 自分は果たして、何者なんだろうか。   もちろん新山詩織である でも、しおり、でもある   もしかしたら他の別人がいたりして...?   ただ意識はしていないだけで 日常のなかにはいろんな自分が潜んでる   でも   グズったり ヘラヘラしたり イライラしたり だらしなかったり 寂しかったり 緊張したり   いつも分かりやすく見えるのは マイナスな部分ばっかり   受け止めきれなくなって いっぱいになって どうしようもなくなって   負のループ。   結局、年齢も、過ぎた年月も関係ない その時の自分をどう立て直していくか 変えていくかなんだと、分かった。   誰かに身を委ねたり、甘えたり 助けを求めたり   そんな感情も全部、自然なことだから 自分で自分を無理に振り払わなくていい   大丈夫、大丈夫だから。行っちゃおうよ。     そんな想いをギュッと詰め込んだ新たなアルバム 『何者~十年十色~』7月5日にリリースします!   <詩織> ◆10周年記念アルバム『何者 ~十年十色~』 2023年7月5日リリース

    2023/04/28

  • コレサワ
    夕方のファミレス。
    夕方のファミレス。

    コレサワ

    夕方のファミレス。

     2023年4月5日に“コレサワ”がミニアルバム『かわいくしながら待ってるね』をリリースしました。2月2日の猫の日に配信リリースした「にゃんにゃんにゃん」や、インディーズ時代にライブで披露されていた楽曲で初の音源化となる「真っ赤な爪と牛乳」の他、“ペーパードライバーの彼氏”を応援する楽曲や、コレサワの人生観を歌った楽曲等、魅力がたっぷり詰まった全7曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“コレサワ”による歌詞エッセイをお届け。深夜とは違う、夕方のファミレスの光景を眺めながら思い出したことは…。今作『かわいくしながら待ってるね』の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください…! 夕方、家で仕事するのに飽きてファミレスに来てみました。でも私の知ってるファミレスじゃない。私は深夜のファミレスしか知らない。PCを広げて作業しているお兄さんや、勉強中の人、地元のヤンキー、会話のないカップルたちが過ごしている深夜のファミレスしか知らない。   夕方はこんなに賑やかなの?! 子供達が駆け回り、小さい女の子が両手に二つ、溢れそうなコップを抱えてドリンクバーから席へ移動している。可愛い。ロボットが料理を運んでくる時の音楽、いつもなら恥ずかしいくらい店内に響き渡るけど、今はちょうどいい。むしろ小さいと感じる。そんな華やかなファミレスからお送りしています。   どうして顔を隠しているの? と聞かれる度に「すきぴとデートしたいから」と答えているけど、それはよそ行きの回答で、本音はこういうなんてことない夕方のファミレスに溶け込みたくて隠してたんだってことを思い出した。   隣のテーブルの女子高生はコレサワを聞いたことがあるのかな? もしファミレスでポテトのケチャップを2回くらいおかわりしている人がいたら、それが私です笑。   4月5日にミニアルバム『かわいくしながら待ってるね』をリリースしました。どの曲の主人公も愛おしい作品です。今回はCDを作ってないです。でも歌詞はちゃんと読んで楽しんでもらいたいので、ツアーグッズで歌詞ブックを販売することにしました。全曲のライナーノーツも読めるので、いつもの歌詞カードより読み応えがあると思います。まだ聞いてないなら、是非聞いてほしいな。   2年ぶりに全国ツアーも決まりました。タイトルは“らぶ、出張ツアー”です! 全国出張だーーっ。各地の美味しいものを食べるためにダイエットしたい。20ヶ所も回れることが嬉しいです。いつも来てもらってばっかりだったからね。近くまで行くので、よかったら遊びに来てください!待ってるねっ。   そろそろポテトが胃にもたれかかってきたので、甘いものでスッキリしたいと思います。それではまた!   <コレサワ> ◆New Mini Album『かわいくしながら待ってるね』 2023年4月5日配信 配信リンク: https://lnk.to/Ill_BeCute_WhenYouSeeMe <収録曲> 1. 真っ赤な爪と牛乳 2. 最後の行ってきます    3. ペーパードライバー 4. にゃんにゃんにゃん    5. さよなら恋人 6. 君が帰った後には       7.  ♡ 人生 ♡ ◆ LIVE コレサワ LIVE TOUR 2023 らぶ、出張ツアー   【岩手】 5/3(水)  盛岡CHANGE WAVE   OPEN/ START  16:30 / 17:00  (問)GIP 0570-01-9999(24時間自動音声案内) https://www.gip-web.co.jp/t/info 【宮城】 5/4(木)  仙台Darwin    OPEN/ START  16:30 / 17:00  (問)GIP 0570-01-9999(24時間自動音声案内) https://www.gip-web.co.jp/t/info 【兵庫】 5/13(土) 神戸VARIT.     OPEN/ START  16:30 / 17:00   (問)清水音泉 06-6357-3666(平日12:00?17:00) info@shimizuonsen.com 【岡山】 5/20(土) 岡山MO:GLA    OPEN/ START  16:30 / 17:00    (問)キャンディープロモーション岡山  086-221-8151(平日11:00~18:30) 【広島】 5/21(日) 広島Live space Reed    OPEN/ START  16:30 / 17:00   (問)キャンディ?プロモーション広島 082?249?8334(平日11:00?18:30) 【静岡】 5/28(日) LiveHouse浜松窓枠     OPEN/ START  16:30 / 17:00   (問)サンデーフォークプロモーション静岡 054-284-9999 (月~土12:00~18:00) 【宮崎】 6/4(日)  宮崎FLOOR      OPEN/ START  16:30 / 17:00   (問)GAKUONユニティ・フェイス 0985-20-7111 (平日 11:00~18:00)            【熊本】 6/10(土) 熊本ぺいあのPLUS   OPEN/ START  16:30 / 17:00   (問)キョードー西日本 0570-09-2424(月?土11:00?15:00) 【福岡】 6/11(日) 福岡ROOMS   OPEN/ START  16:30 / 17:00   (問)キョードー西日本 0570-09-2424(月?土11:00?15:00) 【京都】 6/17(土) KYOTO MUSE      OPEN/ START  16:30 / 17:00   (問)清水音泉 06-6357-3666(平日12:00?17:00) info@shimizuonsen.com 【新潟】 6/25(日) 新潟ジョイアミーア     OPEN/ START  16:30 / 17:00   (問)新潟ジョイアミーア 025-224-2588 【愛媛】 7/1(土)   松山キティホール       OPEN/ START  16:30 / 17:00     (問)デューク高松 087-822-2520(平日 11:00~18:00) 【香川】 7/2(日)  高松DiME        OPEN/ START  16:30 / 17:00    (問)デューク高松 087-822-2520(平日 11:00~18:00)                 【山梨】 7/8(土)  甲府KAZOO HALL    OPEN/ START  16:30 / 17:00   (問)DISK GARAGE 050-5533-0888(平日 12:00~19:00)        【栃木】 7/9(日)  HEAVEN'S ROCK Utsunomiya(VJ-2)   OPEN/ START  16:30 / 17:00  (問)DISK GARAGE 050-5533-0888(平日 12:00~19:00) 【石川】 7/16(日) 金沢EIGHT HALL  OPEN/ START  16:30 / 17:00    (問)金沢EIGHT HALL 076-223-1577 【愛知】 7/17(月) 名古屋ボトムライン  OPEN/ START  16:30 / 17:00  (問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100(12:00~18:00) 【北海道】 7/23(日) 札幌 cube garden  OPEN/ START  16:30 / 17:00    (問)WESS  info@wess.co.jp   【大阪】 7/28(金) 心斎橋BIGCAT       OPEN/ START  17:15 / 18:00  (問)清水音泉 06-6357-3666(平日12:00?17:00) info@shimizuonsen.com 【東京】 8/4(金)  Zepp Haneda  OPEN/ START  17:00 / 18:00  (問)DISK GARAGE 050-5533-0888(平日 12:00~19:00)              東京公演以外全会場弾語り公演、東京公演のみバンド編成公演   チケット代:¥5,500税込(別途ドリンク代必要) チケット代(学生):4,500円税込(別途ドリンク代必要) 購入制限:2枚 券種(東京以外):全自由席 ※チケット整理番号順での入場になります。 券種(東京のみ):全席指定 ※東京公演(バンド編成)、他地区(弾き語り)となります。 入場制限:未就学児童入場不可 入場制限:学生割引チケットに関しては高校生以下のみ入場可能(入場時要学生証提示/※販売数制限あり)   一般発売日:4月8日(土)10:00   企画:RECO RECORDS 制作:ハンズオン・エンタテインメント

    2023/04/27

  • 藤川千愛
    ちゃんとした人不適合者
    ちゃんとした人不適合者

    藤川千愛

    ちゃんとした人不適合者

     2023年4月12日に“藤川千愛”がミニアルバム『嬉しい声をほんのちょっと』をリリースしました。今作には、4月スタートのTVアニメ『マイホームヒーロー』オープニングテーマの「愛の歌」の他、全7曲が収録。初回限定盤には1月7日に行われたワンマンライブの映像が収録されたBlu-rayが付属され、12曲のライブ映像を堪能することができます。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“藤川千愛”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 ちゃんとした人不適合者 」にまつわるお話です。あなたも誰かに「ちゃんとして!」と言われたことはありませんか…? 『ピコん』 通路を挟んだ左前方の席から、聞き覚えのある確認音が鳴った。   この音は…間違いない。翌日の朝が早い夜に限って、見透かしたように中毒性を上げてくるパズルゲームに課金した時の確認音だ。私は心の中で『ファイナルアンサー』と唱えて、ゆっくりと顔を上げた。   <NO SAUNA NO LIFE>とプリントされたTシャツを着た男性の手に握られたスマートフォン、その画面には思ったとおり例のパズルゲームが表示されていた。ひとりクイズに勝利し、ほんのり上機嫌になった私は、男のテーブルに目をやった。   テーブルにはコーヒーとB5サイズのキャンパスノート、消せるタイプのボールペンが並べられていた…。『小説家!ファイナルアンサー』。調子に乗った私は、たまたま隣の席に座って、たまたま自分と同じパズルゲームにハマっているだけの男の職業を、安直にも小説家と推理し心の中で叫んだ。   原稿の〆切が迫っているこの小説家の男は、アイデアが浮かばずにほとほと困り果て、ならばと気分転換に喫茶店に来てみたものの、ついつい一回だけのつもりと始めたパズルゲームにハマって課金までしまったのだ。   『ファイナルアンサー』 私の妄想が正解かどうかなんて最早どうでもいい、平日の昼間に喫茶店でパズルゲームにハマり、Tシャツの文言に反してちっとも整っていない、このちゃんとしていない男に私は勝手に親近感を感じた。   かく言う私も来月に発表しなくていけない楽曲の締め切りに追われ、喫茶店に逃げ込んだ口だったのだ。   自慢じゃないが、私はちゃんとしていない。   思い返せば、子供のころから親に『ちゃんとしてや』と散々言われて育ち、大人になった今でもマネージャーに『ちゃんとしてください』と年中諭されている。そんなわけで、ちゃんとしなきゃ、ちゃんとしなきゃと日々思い、この世界に少々窮屈さを感じながら生きてきた。   しかしながら、ある日、『あれ?あれれ?ちゃんとしてるってなんなんさ!?』と至極、当たり前の疑問が生じた。   たまに取り出すアイロンの 温度はいつだって最強 焦がして溶かして気付く あたしホントちゃんとしてない   そもそも説明書の類を 読んだことない…その発想ない 生真面目な君はきっと呆れる  ベーコンならカリカリでいいのに   明日も早いとかいう君の その口をふさいであげようか 背徳感に勝るスパイス 君は知らない…教えてあげるよ   あたし感情で生きているから 論理的じゃないなんてむしろ誉め言葉 あたし感情に支配されてんの 冷静に!なんて反吐が出ちゃうよ あたしちゃんとしていないから きみに面倒かけちゃうかもよ あたしちゃんとした人不適合だから 毎日なんだか楽しくやってます   ちゃんとしろってなんなんさ そんなんあたし知らんがな ちゃんとした世界の水は あたしの肌によう合わんけ ちゃんとしろってなんなんさ そんなん知らんがな知らんがな 真夜中に食べるアイスクリーム ちゃんとしてなくて良かった良かった   あたし感情で生きているから あたし感情で生きているから   誰かの基準に合わせて、ちゃんとすることってそんなに大事なのかな、そんなんを無視して私ちゃんとしてないよって言葉にすることで、生き辛かった世界は薄れ、急に楽になれた。   だから、私にとって、『私ちゃんとしていない』は世界を広げてくれる魔法の言葉なのかも。   あたしちゃんとした人不適合だから毎日なんだか楽しくやってます。   <藤川千愛> ◆紹介曲「 ちゃんとした人不適合者 」 作詞:藤川千愛 作曲:近藤世真(Elements Garden) ◆ミニアルバム『嬉しい声をほんのちょっと』 2023年4月12日発売   <収録曲> 1. 愛の歌 2. 君の匂いは鎮静剤 3. リゲル 4. ちゃんとした人不適合者 5. 面倒な女 6. スローモーション 7. なにも忘れるわけじゃない  

    2023/04/26

  • 井上苑子
    過去があって、今がある。
    過去があって、今がある。

    井上苑子

    過去があって、今がある。

     2023年3月31日に“井上苑子”がEP『23.3.31』をリリースしました。2022年2月に単発ドラマとして放送された前作の見逃し配信では異例の200万回超えの再生数を記録した作品。「ABEMA」・「ABCテレビ」連動スペシャルドラマ『今夜、わたしはカラダで恋をする。』そのSeason2の第1話と第3話の主題歌の書き下ろしを担当し、2023年2月25日に先行配信したシングル「かさぶた」を含めた全4曲が収録されたEPとなっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“井上苑子”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作『23.3.31』にたどり着くまでの心の軌跡のお話です。自分の長所にも短所にも向き合って、もっと自分を知って。そうやって出来上がった今の井上苑子の言葉を、歌詞と併せて受け取ってください。 生活の一部を切り取った歌が好きで 誰もが想像できる歌詞が好き。 頭を捻って難しい言葉を並べても 私らしくなくて嘘になる。 そんな“らしさ”に すぐに評価をつける世の中には見向きもせず 今は自分の道をただまっすぐ歩いている途中。   私にはいくつかのトラウマがあって まだ青臭いニキビ面のころ言われた言葉がいちばん大きいものになった。 今思えばあの頃はとてつもなく敏感だったから、とにかく全部に反論をして“天邪鬼だね”って言われた(今も変わっていないところもあるけど)。 反論するときの言葉は多分、支離滅裂で説得力に欠ける言葉だったが、その行動だけで自分を守っていた。 私が放ったガタガタで切るにも切れないような刃は、磨きがかかって洗練された強烈な刃に変わって自分に返ってきて、それが今でも跡に残っている。 ブーメランってやつ。 自分の行いの結果である。   そもそもの性格的にはとてもポジティブなタイプなのにネガティブになってしまっていた思春期だったが、 その頃は根拠のない自信もあって、 自分なら大丈夫だと自己暗示したり、 人に頼ったりもして、なんとかやっていたし 楽しかったことも沢山あった。   だから、そのときのことを悔やんでいないし、 私がああでなければ、今がないから。 今周りにいる大切な人に出会えてないと思うと そのときの私を否定しないし、なんなら愛おしくさえ思う。   酷かったなぁと思う自分の細々とした性格に気づいた先で、どんな言葉や行動をとってみるか。 それが大事だと思った。   自分の長所ってなんだろう。 どうしたらそこを強みにして戦えるのか。 弱点ももちろん考えた。自分と向き合った。自分を知った。 そんなことを日々気にしていたら ポジティブな今の私が出来上がった。   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー   「23.3.31」は今の私を詰め込んでいます。 恋の曲ばかりですが、 考え方が変わると、もちろん書く曲も変わっていくと思います。 昔の自分を掘り起こして書いた箇所も、 今の自分と向き合って出てきた言葉もあります。 今は今の私。 過去があって、今がある。 きっとこの先、また新たに目標ができて、 “なりたい自分”に向かって変わっていくと思うので 「23.3.31」で 今の井上苑子を感じていただきたいです。 <井上苑子> ◆EP『23.3.31』 2023年3月31日発売 <収録曲> 1 かさぶた 2 陽だまり 3 シアワセ 4 となりあい  

    2023/04/25

  • パン野実々美
    私になるってなんだろう?
    私になるってなんだろう?

    パン野実々美

    私になるってなんだろう?

     2023年4月26日に“パン野実々美”が配信シングル「私になれ」をリリース!高校卒業後、アーティストとして新たな第一歩を踏み出す、2023年第一弾楽曲。10代ならではの青春の瑞々しさと熱量を秘めたバンドサウンドで、新たな挑戦を迎える自身とあなたの背中を押す楽曲に仕上がっております。共に数々のアーティストや作品を手掛ける人気ボカロ Pである“buzzG× ナノウ”の豪華タッグによる楽曲提供!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“パン野実々美”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「 私になれ 」にまつわるお話です。歌活動を始めてから、今にいたるまで軌跡と気持ちの変化を明かしてくださいました。今回は音声版もございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください…! 高校を卒業してから1ヶ月半くらいが経った。 卒業したことにまだまだ全然実感が湧かないし、今でも心は高校生のまま。 校則に縛られてた生活が終わり、制服を着ることもなくなって、ずっと憧れてた東京での一人暮らしを始めた。生まれて初めて環境が変わり、こんなにも外の世界は広いのかと実感した。   歌活動を始めたのは、コロナ禍でやることもなく手持ち無沙汰だった高校1年生の春休みだった。最初は暇つぶし程度に思っていたが、歌を聴いてくれる人が日に日に増え、だんだん活動に対して本気で向き合うようになっていった。 そんな日々を経て、卒業という大きな節目を控えた時期にスタートしたのがこの楽曲「私になれ」の制作だった。   私になるってなんだろう? 私がなりたい私ってなんだろう?   誰かと比べ続けて仕舞い込んだ 心からの歓び もう一度、あなたにあげる   という歌詞は、密かに抱いてた劣等感で、心から歌うことを楽しめてなかった活動初期の時から、ありのままの自分で良いんだって気づいて振り切ることが出来るようになった今への変化を表している。   あの頃の自分を超えるまで   という歌詞は、理想を夢みてばかりだった子供の頃の私とはお別れをして、その夢を追いかける私になりたいという想いが詰まっている。   小さい頃からずっと歌うことが好きだった。 将来の夢について聞かれると、なんの疑いもなく胸を張って「絶対歌手になる」と答えていた。 何も知らなかった子供の頃の私と今、初めて外の世界に出た私。   これから知ること、出会う人、見る光景、 すべてがこれからの私を作っているのだと日々感じる。   今はまだ、なりたい私を探す旅がはじまったばかりかもしれない。 でも、ここからが私の人生の本当のスタートだと思っている。 この楽曲と共に、新しい「パン野実々美」としての第1歩を踏み出していきたい。   <パン野実々美> ◆紹介曲「 私になれ 」 2023年4月26日リリース 作詞:buzzG 作曲:buzzG 編曲:ナノウ ◆配信サービス一覧 ※4/26(水)0:00~アクセス可能となります。 https://PannoMimimi.lnk.to/watashininare ◆MUSIC VIDEO ※4/26(水)21:00~プレミア公開 

    2023/04/24

  • 琴音
    実はつい最近まで聞かれると悩んでしまう質問がありました。
    実はつい最近まで聞かれると悩んでしまう質問がありました。

    琴音

    実はつい最近まで聞かれると悩んでしまう質問がありました。

     2023年4月19日に“琴音”がEP盤『君にEP』をリリースしました。前作ミニアルバム『君は生きてますか』以来約1年7か月ぶりとなるこのEPには、「君に」のほかに未発表の新曲2曲、今年1月に公開されたアニメ映画『金の国 水の国』の劇中歌として話題になった「Brand New World」「優しい予感」「Love Birds」3曲の全6曲が収録されます。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“琴音”による歌詞エッセイをお届け。今回は【前編】です。綴っていただいたのは、今作のタイトル曲「 君に 」にまつわるお話です。つい最近まで聞かれると悩んでしまう質問があったという彼女。その悩みを和らげることになったとある気づきとは…。今回は音声版もございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください…! 皆さんいかがお過ごしでしょうか。 この度、久しぶりに歌ネットさんで歌詞エッセイを書かせていただくことになりました。 実は私のブログ(すみっこ目せん)開設のきっかけにもなっている歌詞エッセイ、一方的に恩義を感じたりしております。 この頃は書いたものを音読するという新しい試みも始まったとのこと。 気の赴くままに書き連ねている身としては何だか小っ恥ずかしいところもありますが、何卒お付き合いいただければ幸いです。 琴音です。     さてそんな私ですが、先日4月19日に『君にEP』をリリースいたしました。   私自身言われるまで気づかなかったのですが、実に約1年7ヶ月ぶりのリリースとなるそう。   前作ミニアルバム『君は生きてますか』の時は19歳だった私も、いつの間にか21歳になっておりました。   思っていた以上の時間経過に驚きますが、その分多くの経験とただならぬ思いの詰まった作品に仕上がっています。   特に表題にもなっている「君に」という楽曲。   リリースが決まってからは色々な場でお話しさせていただく機会があり、話すことも何となく定まってきました。   資生堂アネッサのCMに使用されており、CMサイズとフルサイズの2パターンを録音している、なんて秘話めいた要素も今では言い慣れたものです。   ですが、実はつい最近まで聞かれると悩んでしまう質問がありました。   「特に気に入っている歌詞はどこですか?」という質問です。   もっと言えばこの曲に関わらず、提供いただいた曲について話す時は割と悩みがちです。   サラッと聞かれる質問なのですが、どうも引っかかってしまい無難に答えられません。   歌詞から思い起こされる情景もありますし、何ならレコーディングの際は一言一句歌い方やイメージを固めて臨むほどなのですが、いざ特にどこがと歌詞に言及されると呆けてしまいます。   提供曲である以上、歌詞の真意までは知れないにせよ、毎度その質問を投げられると自分の中になにも思い入れがないようで、(あんなに考えていたはずなのに…)と虚しくなっておりました。   そんな中とある取材を機に、「君に」の詞曲を担当された澤田かおりさんとの会話を思い出しました。   澤田さんご本人とは一度だけ直接お会いできる機会があったのですが、その時は曲の話よりほぼ雑談をしていました。   私からは専門学校を卒業し、志のあった友人達が次々と音楽家とは違う道に進んでいったこと。 今では連絡を取れる友人もごくわずかになってしまったことなどを話しました。   澤田さんは頷きながら、自分もそんな時があった、自分も音楽から離れていった人たちを悪く思っていたけど、大人になったら少しずつ考えが変わっていったと応えてくださいました。   些細な会話の中からも大人として経験を積まれた前向きさや優しさが垣間見え、澤田さんだからこそあの歌詞が書けたのだと感じました。   それらを思い出した時、私は誰かにこの曲を届ける側なのだと思っていた自身の間違いに気づきました。   思えば歌詞を書く作業は無の状態から言葉を紡いでおり、その根底には自身の体感した要素が根付いているのです。   ならば歌詞を見れば思い当たる節がある、までの私では真の意味で届ける側になることはできないのです。   その時から私は、この曲を通して教えてもらっている、という気持ちでいようと思い直しました。   自分から周りに向けて歌いつつ、自分自身もこの曲に教えられ、少しずつ大人になっていく。   そう考えると、冒頭の悩みも少し癒されました。   この話、エッセイを書き始めるつい1週間ほど前からのことです。   制作が終わってからも曲に対する気づきは得られるようです。   さて積もる話もございますが、最後に少し「君に」Music Videoのお話を。   そもそも私の楽曲は物語風MVが少なく、個人的には待望の作品でした。   更に贅沢にも菊池日菜子さんを始めとする役者の方々に出演していただき、その演技力を間近に体感することができました。   一方で歌唱パート撮影はというと、太陽光が大変強い上、花粉が飛びまくり潮風が四方から吹き荒れと、暗所大好きな花粉症ロングヘアには過酷な時間が流れました。   本編MVをご覧いただく際は役者さん方の演技力に感嘆しつつ、環境への恨めしさをひた隠す私も楽しんでいただければと思います。   いかがでしたでしょうか。 何かと思い出深いこの楽曲。 まだ聴いていないという方は是非、もう聴いたという方も是非、沢山聴いていただければ幸いです。     っはい! ということで今回はこの辺で終わります。 またどこかでお会いしましょう。 ご清覧ありがとうございました!   <琴音> ◆紹介曲「 君に 」 作詞:澤田かおり 作曲:澤田かおり  ◆『君にEP』 2023年4月19日発売 配信サービス一覧: https://jvcmusic.lnk.to/kimini_ep   <収録曲> 1. 君に 2. ライト 3. 波と海 4. 優しい予感 5. Brand New World 6. Love Birds

    2023/04/21

  • 日食なつこ
    夕闇絵画
    夕闇絵画

    日食なつこ

    夕闇絵画

     2023年4月5日に“日食なつこが”ミニアルバム『はなよど』をリリース。今作には、必ずしも明るく華やかではない、彼女らしい“春”を描いた7曲が収録されております。ストレートな思いや音があふれた、物悲しくも柔らかいコンセプチュアルな作品に。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“日食なつこ”による歌詞エッセイをお届け。今回が最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 夕闇絵画 」にまつわるお話です。 思い出すのはまず、灰色。 空も街も地面もセメントを塗り込めたようなグレイ一色。   冬の終わりにしては珍しく高温多湿な気候の日で、スタジオを出た夕方のおもて通りは今にも雨に降られそうに暗く、家路を急ぐ小学生やスーツ姿の大人たちが忙しなく行き交っていて、そこにあなたは溶け込んでいた。   まわりの喧騒をよそにコンクリートの路上にそのまま腰を下ろして、重たげな曇り空をおだやかな顔で見上げながら、落ちてくる雨粒に向かってのんびりした動作で手のひらを差し出していた。濡れることはお構いなしで、誰かとその時間を共有するわけでもなく、少し楽しげな表情まで浮かべて、全ての風景の隅っこで、ひとり。   あなたの日常を垣間見たような気がした。あるいは触れてはいけない他人の秘密を偶然暴いてしまった時のような、そんな一種の後ろめたささえも覚え、私は気づかれていないことを祈りながらそっと目を背けかけた。   同時に、誰に向けたわけでもないにしてはひどく優しすぎるその表情は、常日頃この人が世界を見るときに浮かべるそれなのだろうと理解もした。   退屈な灰色の空、さして美しくもない街の片隅にすら、この人の目は何かを見出していて、それが音となり、絵となり文字となり常にほとばしっていて、だからこんなさもない道端においてでもこれほど満たされた表情で在れるのだ、と。   その視線の奥にある思想を覗き見たくなった。雨粒に手を伸ばした心情について、その口から子細を伺い知りたくなった。なのに声をかけることはこれ以上なく無粋な行いに思えた。それほどにあなたの成す空間は周囲の慌ただしさから完璧に隔絶され、そして完成されていた。   それはさながら、夕闇の街角に置き忘れられた1枚の絵画。 結局目を離すことのできなかったその横顔は、今も褪せないまま記憶に強く焼き付いている。   なんともなしにあなたは世界に存在しているだけなのかもしれない。 でも、その風景に立ち入ることが許される者はきっと限られている。 そして私は、そちら側ではない。   機材を車に積み終えた仲間たちに声をかけられ、あなたはふいに自我を取り戻して立ち上がり、やはりゆったりした挙動と穏やかな笑みを伴ったままで「では」と言って去っていった。   三叉路の向こうに消える背中。ぬるく湿った弱い風。夕刻を告げるサイレンの残響。「では」のその次はあるのだろうか? 後に残るは、只々メランコリックな、グレイオレンジ。   覚えておきたい景色は多くはない。少なくとも、あなたが誰にも知られず道端に座して雨粒を受け止めていたあの瞬間を超える絶景なんて、そうそうありはしないのだ。   <日食なつこ> ◆紹介曲「 夕闇絵画 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ ◆ミニアルバム『はなよど』 2023年4月5日発売   <収録曲> 01. やえ 02. ダム底の春 03. 夕闇絵画 04. 幽霊ヶ丘 05. diagonal 06. ライオンヘッド 07. 蜃気楼ガール

    2023/04/20

  • 藤川千愛
    ロギア系は手ごわい
    ロギア系は手ごわい

    藤川千愛

    ロギア系は手ごわい

     2023年4月12日に“藤川千愛”がミニアルバム『嬉しい声をほんのちょっと』をリリースしました。今作には、4月スタートのTVアニメ『マイホームヒーロー』オープニングテーマの「愛の歌」の他、全7曲が収録。初回限定盤には1月7日に行われたワンマンライブの映像が収録されたBlu-rayが付属され、12曲のライブ映像を堪能することができます。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“藤川千愛”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 君の匂いは鎮静剤 」にまつわるお話です。彼女がとある匂いを嗅ぐと思い出してしまう忌々しい記憶とは…。みなさんにとってトクベツな匂いってありますか? ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 『チッ』… 思わず舌打ちが出てしまった。音にならず誰も気が付かなかったのがせめてもの救いだ。あたしは誰かのささやかな幸せを邪魔する嫌な奴に成り下がらなかったことに少しだけ安堵した。   新幹線が駅を出ると間もなく、通路を挟んだ隣の乗客が燻製卵を食べ出したのだ。もちろん、駅弁やおつまみは旅の醍醐味である。それを否定するつもりは微塵もない。かく言うあたしだって誘惑に負けて、良心の咎めなど蹴飛ばし、ある時は551のぶたまん、ある時はくくるのたこ焼きで、東海道新幹線内半径5メートルの匂いテロリストになった過去があることは否定しない。   実を言うと、私には苦手な匂いがあるのだ。 その匂いを嗅ぐと条件反射的に身構えたり、突如として落胆したり、あるいは今回のようにちょっとした悪態をついてしまうのだ。理由もはっきりしていて、その匂いを嗅ぐと思い出したくもない忌々しい記憶が蘇るからだ。   これをプルースト現象というらしい。特定の匂いを嗅ぐと、その当時の記憶やエピソード、感情が鮮明に思い出される現象のことをそう呼ぶそうだ。フランスの文豪、マルセル・プルーストが書いた『失われた時を求めて』という作品で、主人公が紅茶にマドレーヌを浸したときの匂いで、幼いころの母との記憶が蘇ったことからそう呼ばれているらしい。   私のまわりだと、音楽を聴いてその当時の記憶が蘇る経験をしている人はそこそこいるのだが、それが匂いになると珍しがられたりもする。   制服が可愛いという理由で選んだ高校は、自宅からは結構な距離があり、私は3年間、自転車を必死に漕いで通学した。必死だなんて大げさに書いたのには理由がある。とある区間で、私は息を止めて、それこそ人目もはばからずに、全身全霊の立ち漕ぎで走り抜けなくてはならなかったのです。この区間限定だったらボルトとだって良い勝負ができた気がする。そのくらい急がなくてはいけない理由があったのです。今更だけど、あたしの高校時代の成績が芳しくなかったのは、きっと朝からここでエネルギーを使いすぎていたのが原因だったんじゃないだろうか。そうに違いない。   漫画や映画では、凶暴な犬を飼っているお宅の前を通るときに、犬に見つからないようにこっそり、あるいは急いで通り抜けるが、結局は犬に吠えられたり、噛まれたりってシーンがあるけど、あたしは毎朝がこんな具合で戦いだったのです。しかも、あたしの敵は凶暴な犬ではなく…、匂い。さながらワンピースで言うならば、動物系(ゾオン)ではなく自然系(ロギア)だったから、それはそれは厄介なのです。   都会では考えられないけれど、当時の田舎は、家の敷地でゴミを燃やすことが黙認されており、なんならそれが当たり前ってくらい日常で、あたしの鬼門ともいうべきある区間のあるご家庭では、ビックダディもびっくり! あんたん家いったい何人家族なの?! って言いたくなるほど大量のごみを毎朝毎朝、ちょうど私の通学時間に燃やし続けたのです。   時空が歪んでいたのか春も夏も秋も冬も風向きはちっとも変わらず、モクモクとした煙が毎朝毎朝あたしを包み込んだのです。ZAGZAG(中国地方を中心に店舗を展開するドラッグストア)で買ったお気に入りのシャンプーの香りも、ZAGZAGで買ったやさしい柔軟剤の香りも、この区間を通り過ぎた後には、燻されたスモーキーな香りにとって代わられました。   たかが匂いかもしれないが、年頃の女子高生にとっては大問題で、七夕の短冊に『あの家の目覚まし時計がすべて壊れますように』と書きそうになったくらいです。 今でもあのお宅は大量のごみを燃やしているのだろうか…。あたしのような燻された女子高生がもう増えていないことを祈ります。     そんな理由で、燻された匂いを嗅ぐと、今でも3年間の忌々しい記憶が鮮明に蘇ってくる。どうか賢明なるファンの皆様、あたしを見かけたら、近くで燻たまや燻製チーズ、いぶりがっこを食べるのは控えてください。   もちろん、悪い記憶だけでなく、犬の肉球の匂いや、ミモザの花の香りなどで、ポジティブな記憶が呼び覚まされることも頻繁にあります(この話はまたいつかどこかで)。そんなこともあり、香りに敏感?なあたしは、いつか香りにまつわる楽曲を作ろうと思っていました。   そうして生まれたのが「君の匂いは鎮静剤」という楽曲です。現在進行形の恋をしているあなたに聴いてもらいたい曲です。   <藤川千愛> ◆紹介曲「 君の匂いは鎮静剤 」 作詞:藤川千愛 作曲:近藤世真(Elements Garden) ◆ミニアルバム『嬉しい声をほんのちょっと』 2023年4月12日発売   <収録曲> 1. 愛の歌 2. 君の匂いは鎮静剤 3. リゲル 4. ちゃんとした人不適合者 5. 面倒な女 6. スローモーション 7. なにも忘れるわけじゃない  

    2023/04/19

  • Lilubay
    私だけ剥がれたままのマニキュア。
    私だけ剥がれたままのマニキュア。

    Lilubay

    私だけ剥がれたままのマニキュア。

     2023年3月1日に“Lilubay”が2nd EP『Home away from home』をリリースしました。本作品は旧バンド名addからLilubayに改名してバンドとして新たな一歩を踏み出し、その方向性を示した全5曲が収録。作詞はVoタグチハナ、作曲は西村コン、タグチハナが担当し、全曲セルフプロデュースでの制作となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Lilubay”のタグチハナによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 mani・cure 」にまつわるお話。容姿にこそ表れる心模様。あなたの爪は今、どんな状態ですか…? 今回も音声版がございます。ぜひ本人による朗読でもエッセイをお楽しみください。 ギターを弾くと、右手の人差し指と親指だけどんどん剥がれていくマニキュア(かといって定期的に通う自信がないのでできないジェルネイル)。   最近はもう、ちょっとくらい剥がれていても気にならなくなってきてしまった。   思わぬタイミングで他人様の目の前に手を伸ばさなければいけなくなった時初めて、あぁなんでこんな…!ちゃんとしておけばよかった…!と、深い後悔と苛立ち。 私の怠惰によって勝手に失望されている可哀想な爪。   恋をするとうってかわって、細かい全てが気になったりもする。髪の毛もメイクもネイルも、恋の重量に比例して気合が入る。いつどこでばったりと会ってもいいようにと一縷の望みのためにも全力をだす。そんな時期もある。   そういう細かいところに、内側の波って現れる。   失恋して、何かを変えたい、進みたいと思っていても、後ろ髪を引かれて動けない…そんな経験をしたことがある人も少なくないはず。   進んだら本当にこの恋が終わってしまうのだ、と怖くなるあの気持ち。   心のどこかで、まだ、もしかしたら、とうじうじやってる時間って本当にダサいなぁって、わかっちゃいるけれどやめられない。   携帯をひらけばすぐ見えちゃう時代になっても、他人の気持ちはわからない。 誰にも気付かれないように抗いたい。   変わっていく街と離れていく心、 私だけ剥がれたままのマニキュア。 もうちょっとだけ、このままで。 <Lilubay・タグチハナ> ◆紹介曲「 mani・cure 」 作詞:タグチハナ 作曲:西村コン・タグチハナ ◆2nd EP『Home away from home』 2023年3月1日発売   <収録曲> 1. mani・cure 2. Home away from home 3. わがままな私と、子どもみたいな君 4. Knock 5. rainy day

    2023/04/18

  • idom
    ここに僕の好きなモノと、全力の愛情を注ぎ込んだ。
    ここに僕の好きなモノと、全力の愛情を注ぎ込んだ。

    idom

    ここに僕の好きなモノと、全力の愛情を注ぎ込んだ。

     2023年4月12日に“idom”が2nd EP『EDEN』をリリース!よりidomらしさにこだわって制作したという今作。リード曲「EDEN」は、楽曲制作風景がidomのTikTokで公開されており、ChillでエモいけどノれるChill Houseな楽曲に仕上がっております。他にも様々な魅力を詰め込んだ2nd EP。idomの新たな魅力を感じさせてくれること間違いなし!    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“idom”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。自分自身を振り返り、自身にとってのクリエイティブについて考えた先で、生まれた今作『EDEN』。全4曲それぞれのテーマと、信じたい大切なモノとは…。ぜひ今作と併せて、エッセイをお楽しみください。 いつからだろう。 今日の曜日を忘れてしまうようになったのは。   いつからだろう。 世間の流れについていけなくなったのは。   いつからだろう。 創ることが楽しくて眠れなくなったのは。   気づけば四半世紀を生きていて。 季節は巡り、身を置く環境も目まぐるしく変化した。 音楽を始めてから約3年。この生活に慣れたのかと言われるとそうでもない。未だに自分の居場所が分からなくなることもある。だから少し自分自身を振り返ってみた。   飽き性な僕は、いつも難しくて目新しいモノを好んだ。 「これ面白そうだな」 沢山のそれを突き詰めて、集めた人間が僕だ。 とことんワガママで、妥協ができない。 迎合することに最後まで抵抗しようとするので、天邪鬼だなんて言われることも多い。 扱いにくい人間かもしれない。 けれど、それが僕だ。   自分自身を曲げて成し遂げたことに対して後悔することは幾度とあったが、自分らしくあることを貫いて失敗したことに対して後悔したことはない。それを押し通す事に責任や肉体的苦痛は伴えども、それすらも喜びと思えるのが僕にとってのクリエイティブだ。   そんな僕が、自分らしく居られる場所を作る事にした。 場所の名前は「EDEN」 ここに僕の好きなモノと、全力の愛情を注ぎ込んだ。   1.EDEN《純愛》 2.Memories《別離》 3.Control《自尊》 4.Loop《日常》   今回のEPに収録している全4曲のそれぞれのテーマは異なるが、共通しているのは自分の大切なモノを信じるということだ。   「EDEN」では混じり気のない純粋な愛を信じ、 「Memories」では大切な人との思い出を信じ、 「Control」では自分の才能と欲求を信じ、 「Loop」では当たり前の日々の大切さを信じる。   自分自身を見つめ直し、信念を確固たるものとしようする姿は、今の僕自身を反映しようとした結果だ。 作詞・作曲・映像編集・アニメーション制作・ジャケット構想など、リリースにおける様々なクリエイティブをディレクションすることも、時間を忘れて没頭した。自分の信念と真っ直ぐに向き合うことは楽しくて仕方がない。   今作「EDEN」は僕にとって、創作の理想郷へと一歩近づくための作品となった。 こんなほんの少しワガママな僕の世界が沢山の人に愛されたなら、僕はきっとこれからも自分を信じられる気がしている。   idom ◆2nd EP『EDEN』 2023年4月12日発売 初回生産限定盤 SECL-2855~2856 ¥1,800(税込) 通常盤 SECL-2857 ¥1,400(税込)   <収録曲> 1.EDEN 2.Memories 3.Control 4.Loop 5.GLOW -English ver.- 

    2023/04/17

  • ゴホウビ
    恥ずかしいって、幸せな瞬間の伏線なのでは?
    恥ずかしいって、幸せな瞬間の伏線なのでは?

    ゴホウビ

    恥ずかしいって、幸せな瞬間の伏線なのでは?

     男女混声豆腐メンタル4人組バンド“ゴホウビ”が、2023年4月14日にデジタルシングル「一糸まとわぬアイを見せてよ」をリリースしました。同曲はカンテレ 木曜深夜ローカル連ドラ『全ラ飯』オープニング曲。“ひれ伏せ常識世間体よ”がテーマとなっており、ゴホウビらしい楽しく明るいナンバーに仕上がっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ゴホウビ”のスージーによる歌詞エッセイを3ヶ月連続でお届け!今回が最終回です。綴っていただいたのは新曲「 一糸まとわぬアイを見せてよ 」にまつわるお話。ドラマ『全ラ飯』の台本を読み、改めて“恥”と向き合ってみたとき、感じたことは…。ぜひ今作の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 恥ずかしいって、幸せな瞬間の伏線なのでは?   4月13日から始まった関西テレビの木曜深夜ドラマ『全ラ飯』のオープニング曲を担当させていただくことになり、楽曲を書き下ろすにあたって台本を読ませてもらったとき、そう思ったんです。   恥って聞くと、とにかくわたしにとっては嫌な思い出ばかり。小さいところでいうと漢字の読み間違え(イヤ勉強せい)、大学生時代、レストランでホール担当のバイトをしていた時には最初に持って行く水をお客様の前で初日に連続3回こぼすなど。特に失敗に付随する恥のエピソードは数えたらキリがありません。   恥をかいた記憶は脳から抹消してしまおう。いつしか、恥をかきそうなところは極力避けて日々を過ごすようになっていました。   自分のコンプレックスに関わることなら尚更。人に秘密にしていることを晒して恥をかくくらいなら、人前では大人しくしていよう。そう思うのが一般的だと思います。時に恥は心に深い傷をつけてしまうくらい、取り扱いにくい感情だと思うのです。   このドラマに出てくる主人公たちも、それぞれ秘密を抱えて生きています。一見とてもコミカルな作品ですが、物語が進んでいくうちにその秘密の核に迫っていくのです。   自分自身振り返ってみると、心が揺れるとき、身体中の毛穴が細胞がブワァッと開くとき、「恥ずかしい」が関係していることが多々。でも大体その感情が湧いた瞬間にその物事を拒絶。向き合うなんてしなかった。   あのときもし「恥」の向こう側に踏み入れていたら、もっと面白いことが待っていたかもしれない。穏やかに生きていたら訪れないような未来が待っていたかもしれない。自分の知らない自分を知ることができるチャンスだったかもしれない。人目なんて気にせずに、思い切って飛び込んでみればよかったかな。過ぎたから言えることでしょうが、そう思ったんです。   「恥ずかしい」ことは決して悪いことではないのかも。   そう考えると、未来に対して少し気持ちが楽になることができました。     今回はゴホウビの新作「一糸まとわぬアイを見せてよ」のコラムなんですが、とにかく頭空っぽにして、心裸にして聞くのが一番“感じる”曲になっていると思います。   “殻を破る”をテーマにメンバーそれぞれプレイしたり、ドラマ『全ラ飯』のオープニングということでとにかくポップとキャッチーとスパイシーがアクセル全開なので、そちらも物語ともに是非注目してみてください!   3ヶ月連続で、コラムを担当させていただくなんて初体験でした。   拙い文章だったと思いますが楽しんでもらえたでしょうか。。   UtaNetコラム担当者様、お世話になりました。 またよかったら書かせてください!   ゴホウビの音楽もあなたの日々のささやかな彩りのひとつになりますように。 いつかライブでお会いできますように。   ありがとうございました。ゴホウビのvo.&key.スージーでした!   <ゴホウビ・スージー> ◆紹介曲「 一糸まとわぬアイを見せてよ 」 作詞:スージー・むんちゃ・405 作曲:スージー

    2023/04/14

  • 日食なつこ
    ダム底の春
    ダム底の春

    日食なつこ

    ダム底の春

     2023年4月5日に“日食なつこが”ミニアルバム『はなよど』をリリース。今作には、必ずしも明るく華やかではない、彼女らしい“春”を描いた7曲が収録されております。ストレートな思いや音があふれた、物悲しくも柔らかいコンセプチュアルな作品に。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“日食なつこ”による歌詞エッセイをお届け。今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 ダム底の春 feat.Sobs 」にまつわるお話です。 人に花を贈るのにハマっていた時期があった。 飲食物や雑貨の贈り物も選ぶのはもちろん楽しいけれど、花は人のために選ぶという気持ちが特別に強くこもる気がする。自分自身のために花を買う習慣がない、ということもあるのかもしれない。   用がなくても花屋の前を通りがかるとちょっと立ち寄って、この花とこの花が並んでる、じゃああの人に贈るイメージで、こんな雰囲気で、ここをこうして…なんてブーケ作りの構想を繰り広げ出すこともある。   はなから買う気が無いので店側からしたらとんだ迷惑な冷やかし客だし、いきなり妄想の対象に据えられる相手もそうと知ればさぞ気色悪かろう、ということは一応きちんと自覚しているつもりなのでひとつご容赦いただきたい。   これはただの自己満足なイメージ遊び。ここから何か面白い曲や企画を思いついたりするかも…なんてことまで考えていたりもして、本当に自分のため。ひとしきり妄想を散らかしたら、あとは満足げな薄ら笑いを浮かべ店を立ち去るのである。 こうして書いてみると改めて誰も得をしない謎行為であることが分かる。気をつけたい。   でもあの時は、ちゃんと贈りたい相手がいた。 実際このあと会いに行って、おめでとう、いつもありがとう、よかったらこれ、という言葉と共に花束を手渡そうと、現実的な計画を立てた元で、あの日私は花屋に立っていた。   祝い事だった。だから華やかで元気のあるブーケにしようと、バケツから花を抜いては挿し、手持ちの花と組み合わせては戻し、長いこと頭を捻ってそれを作った。ラッピングもきちんとしてもらった。正直、かなり高かった。でもよかった。予算を大きく上回った割にはすぐ枯れて捨てられる運命にある消えモノでも、相手のことを考えれば価値は余りあった。   春の嵐が吹き荒れるひどい天気だった。 車が目的地に着こうかという頃になり、ふと窓の外に異様な明るさを見留めて、私は助手席側のウィンドウから横目で外を見やった。 花だ。花が行列になっていた。大きな花、高そうな花、立派な飾り付きの花…。 片田舎のがらんと開けた僻地に突然それは現れた。その場所にはおよそ不釣り合いな色彩感で、豪奢なスタンド花の数々が、それを受け取る主がいる家屋の入り口へと見事な列を成していた。 みんな考えることは同じだった。私が慕う相手は、私以外からも慕われる存在だったのだ。   助手席に目をやる。あれほど気持ちと時間をかけて作った花束が、泣きたいほど粗末なものに見えた。殴りつけるような風雨。整地されたてで遠目からでも分かるくらいぬかるんでいる駐車場。迷いは1秒にも満たなかったかもしれない。出しかけたウィンカーを戻し、アクセルを踏み直す。巨大な花たちが残像の塊となって後ろへ流れる。花を贈りたかった相手、そして大勢からそれをまさに今祝われている最中であろうその場所を、私は一直線に通り過ぎた。   薄暗い車内で、助手席に寝かせた花束だけが場違いの明るさで主張をし続けていた。 弔わないと。このまま持ち帰ったらあの駐車場の泥みたく、きっとひどくぬかるんで傷になる。 山奥へと車を走らせた。どうしようか、何をしたいのか、考えもついていなかった。 不意に晴れ間が現れ、にわかに射した陽光で雨に濡れた山の草花がはち切れそうなくらい輝いていて、足の踏み場もないくらい、そこは春だった。   車を停める。花束を掴んで外に出る。眼前には、新鮮な雨水で満たされた無人のダムが広がっている。渡せなかった花も、存在させられなかった愛も、ひといきに飲み込んでくれそうな美しいグリーンブルーだった。   <日食なつこ> ◆紹介曲「 ダム底の春 feat.Sobs 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ ◆ミニアルバム『はなよど』 2023年4月5日発売   <収録曲> 01. やえ 02. ダム底の春 03. 夕闇絵画 04. 幽霊ヶ丘 05. diagonal 06. ライオンヘッド 07. 蜃気楼ガール

    2023/04/13

  • 藤川千愛
    もうひとつの愛の歌
    もうひとつの愛の歌

    藤川千愛

    もうひとつの愛の歌

     2023年4月12日に“藤川千愛”がミニアルバム『嬉しい声をほんのちょっと』をリリースしました。今作には、4月スタートのTVアニメ『マイホームヒーロー』オープニングテーマの「愛の歌」の他、全7曲が収録。初回限定盤には1月7日に行われたワンマンライブの映像が収録されたBlu-rayが付属され、12曲のライブ映像を堪能することができます。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“藤川千愛”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾。綴っていただいたのは、収録曲「 愛の歌 」にまつわるお話です。彼女が友人との会話のなかで触れた、ひとつの”愛”とは…。みなさんは<愛してる>って何だと思いますか? 友人と喫茶店で待ち合わせをしていると、先に来ていた友人がひどく落ち込んでいる様子だったので理由を聞いてみた。すると友人は膝の上で気持ちよさそうに寝ている仔犬を撫でながら『人間と犬とじゃ、時間の流れ方が違うっていうのは知ってるよね?』と逆に私に質問してきた。   人間と犬とで時間の流れが違うことを真剣に考えたことはなかったけれど、友人の口調から察するに、愛犬家の間では常識なのかもしれない。私はもしもこの喫茶店の誰かに、友人の問いと同じ温度感の質問をするならば、『コーヒーを飲むと眠気が覚めるのは知ってるよね?』がちょうどぴったりの塩梅じゃないかと想像してみた。   友人は、私が質問にYESかNOかを答える前に、『犬っていうのは、もちろん小型犬と大型犬じゃ異なるけど、おおよそ生まれてからの2年で、人間で言うと24歳になるんだ。それって信じられる? 人間のたった1ケ月がワンちゃんにとっての1年になるんだよ。その後は加齢のスピードも幾分かゆるまるんだけど、それでも人間の3ケ月がワンちゃんの1年になり、つまりはワンちゃんは1年に4歳も歳を取ってしまうの。だから、いまは仔犬でもあっという間に私の年齢を追い抜き、先に召されちゃうわけ…、このひどい現実を受け入れるなんて私にはとうてい出来なくて…』そう早口でまくし立てると一層落ち込んで見せた。   ご主人様のそんな悩みは露知らず、仔犬は相変わらず友人の膝の上で気持ちよさそうに寝ている。友人は仔犬の柔らかそうな後頭部から尻尾の先までを繰り返し繰り返しねっとりと撫でた。   愛が友人を変えたのだろうか。つい最近まで、まだ起きてもいないことを憂うなんて時間の無駄だと言っていたのに、随分と変わったものだねと…言いかけたけれど、軽口を許すような雰囲気でもなく、ちょっと意地悪な冗談は音になることなくコーヒーで胃袋へと流し還された。   気のせいかもしれないけれど、その日の帰り道はいつもよりたくさんの犬とすれ違った。皆一様に幸せそうだ。傍らのご主人様たちは友人と同じように、犬と人間の時間の流れの違いに悩まされたりしているのだろうか? 犬とすれ違うたびにそんなことを考え、いつか、愛する人を奪われることを想像した時の痛みを歌にしてみようと思った。愛するが故に痛いだなんて、厄介にもほどがあるけど。ねえ、愛してるって何だろう?   <藤川千愛> ◆紹介曲「 愛の歌 」 作詞:藤川千愛 作曲:藤永龍太郎(Elements Garden) ◆ミニアルバム『嬉しい声をほんのちょっと』 2023年4月12日発売   <収録曲> 1. 愛の歌 2. 君の匂いは鎮静剤 3. リゲル 4. ちゃんとした人不適合者 5. 面倒な女 6. スローモーション 7. なにも忘れるわけじゃない  

    2023/04/12

  • Kitri
    そっと隣り合うココロネ、いつか重ねたいココロネ。
    そっと隣り合うココロネ、いつか重ねたいココロネ。

    Kitri

    そっと隣り合うココロネ、いつか重ねたいココロネ。

     2023年4月10日に“Kitri”が新曲「ココロネ」をデジタルリリースしました。TVアニメ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』エンディングテーマとして書き下ろされた楽曲。このアニメは、転校生の高田くんとクラスの皆から「死神」と呼ばれているクラスメイトの西村さんとの心温まる物語。そんなアニメをKitriの音楽が彩ります。    さて、今日のうたコラムでは“Kitri”による歌詞エッセイをお届け! HinaとMonaにそれぞれ新曲「 ココロネ 」にまつわるお話を綴っていただきました。さらに今回は音声版もございます。おふたりの朗読でもエッセイをお楽しみください…! 大切に綴られた言葉を受け取り、温度感や表情を交わす。それを自分の言葉にしていく作業。Monaが1番を、私が2番の歌詞を担う時、一人で書く時とはまた違った緊張感がある。   「これはどういう意味?」と聞くのは簡単であるが、私はMonaに歌詞の解釈を問うことを敢えてしない。自らが感じたものや受け取ったメッセージによって2番を作っていく方が意外な展開が見つかる気がするし、何より面白いからだ。   そんな面白さを感じながら作ったのが、新曲「ココロネ」である。疾走感のあるメロディーや鼓動の高鳴りを感じさせるアレンジで、新たなKitriの音楽を表現できたのではないだろうか。   TVアニメ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』のエンディングテーマとして書き下ろしたものであり、原作の漫画を熟読した後にまずメロディが誕生した。 久々に二人で手分けをして歌詞を書くことになり、Monaが書いた1番の歌詞を読み込むところから私の作詞が始まった。   二人で半分ずつ歌詞を書くというのは、手紙を書く行為にも似ている。 もらった言葉に返事を書く。1番の登場人物や情景につづきの話をプレゼントする。1番の意図や想いを考えた上で、自分が伝えたいことを文字に込める。そうやって私が書いたものを、またMonaが受け取り、形や色味を整えていく。 二人の気持ちを分け合ってできた歌は、どことなくいびつで、それでいて美しいものだ。   春風が吹く季節に、私たちの手元から羽ばたいていくこの曲。手紙のように想いを込めた大切なこの歌が、多くの方のココロネに届きますように。   <Hina> 私はこれまでの日々を、「ココロ」とともに過ごしてきた。 ココロは正直厄介で、気まぐれで、気難しい存在だ。幼い時から片時も離れず過ごしてきたというのに、ココロの中が何によってできているのか、今日はどんなココロの変化を見せるのか、予想することも見ることもできない。そして日々起こるあれやこれやに振り回される。ちょっとしたことで嬉しくなったり、悲しくなったり、何かを諦めたり。   人のココロはもっと分からない。 「嬉しそうでよかった」 「でも本当に喜んでいるのだろうか」 「本当は悲しんでいるのではないだろうか」 表情や言葉に惑わされながら、都合よく喜んでみたり、勝手に不安を感じたり、堂々巡りを繰り返す。   いっそ、人と人の本心がはっきりと分かる世界だったら良いのに、と考えたこともあるけれど、それはそれで違うんだろう。分からないからこそ知りたくなり、歩み寄りたくなる。難しいからこそ、誰かと気持ちを分かち合えた時の喜びを感じられる。   ココロは開いたり、許したり、合わせたり、一生かけても使いきれないほどの使い道がある。そして、いろんなものでコーティングされたココロの奥深くに、きっとその人の素顔が隠されている。それを「ココロネ」と呼んでみよう。   そっと隣り合うココロネ いつか重ねたいココロネ   <Mona> ◆紹介曲「 ココロネ 」 作詞:Mona・Hina 作曲:Mona

    2023/04/11

  • idom
    軍曹は僕にとって親友だった。
    軍曹は僕にとって親友だった。

    idom

    軍曹は僕にとって親友だった。

     2023年4月12日に“idom”が2nd EP『EDEN』をリリース!よりidomらしさにこだわって制作したという今作。リード曲「EDEN」は、楽曲制作風景がidomのTikTokで公開されており、ChillでエモいけどノれるChill Houseな楽曲に仕上がっております。他にも様々な魅力を詰め込んだ2nd EP。idomの新たな魅力を感じさせてくれること間違いなし!    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“idom”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 Memories 」にまつわるお話。家族との別れ、恋人との別れ、友との別れ…。今、大切な誰かとの別れの痛みのなかにいるあなたへ。この歌詞とエッセイが届きますように。 3年前。 春の訪れに皆が胸を膨らませる頃。パンデミックという未曾有の危機が僕たちを襲っていた。誰もが先の見えない不安の中、新たな生き方を模索した時期だろう。   僕はというと、大学卒業後イタリアでやりたかったデザインの仕事がパンデミックの影響で就けなくなり、「イタリアに行けるようになるまでの間の仕事探さないとな…」なんて思いながらも、意外にも呑気に過ごしていた。もちろん不安も抱えていたけれど、きっとなんとかなるだろうと、軽く考えるようにしていた。   そんな僕の家から歩いて5分ほどのところに「軍曹」と呼んでいる友人が住んでいた。何故あだ名が軍曹なのかはさておき。彼は春から建築の大学院に行くことに。他の仲間たちは大学卒業後に町から離れ、残ったのは職探し中の僕と大学院に行く彼だけ。日中行く場所のない僕は暇さえさえあれば彼の家に転がり込んでいた。「仕事がないなら大学院で一緒に遊ぼうぜ」なんていってくる彼は、居心地の良い奴だった。   どこに行くにも一緒で、ラーメンを食べるためだけに片道2時間ドライブしたり、一晩中一緒にテレビゲームをしたり、旅行したり…。それからデザインと建築の夢も沢山語り合った。   何でもない日々も彼といると楽しかった。これから先続く人生でも、きっと同じように2人でバカするんだろうなと思っていた。 軍曹は僕にとって親友だった。     よく雨の降る日だった。 桜木に残っていた花びらは殆ど道に落ちていた。 そんな日の夜、一本の電話が鳴った。 仲の良い大学時代の友人からだ。   「軍曹が死んだらしい」   電話越しの友人の震える声が、窓の外の雨音をかき消すように響いた。僕は電話を静かに切って、その言葉を嘘だと確かめるために、傘もささずに玄関を飛び出し、彼の家へと向かった。出るはずのない電話をかけながら土砂降りの夜道を全力で走った。     その日から何もかもが変わってしまった。 職探しなんてものは辞めてしまったし、胸の痛みを紛らわすために、なんとなく空元気でやった事のない音楽を始めてみた。 軍曹が病に倒れたあの日、いつものように家に転がり込んで、異変に気づけていたらと後悔も沢山した。   何日か経って彼が住んでいた家が取り壊されるかもしれないと聞いて、僕はその場所に何とか住まわせてもらう事にした。彼との思い出が詰まった場所が無くなることが怖かったのだと思う。   心の中ではあの日の雨が降り続いていて、忘れたくない彼との愛すべき日々さえ、忘れられたらどれほど楽だろうかと思うこともあった。   そして現在。 あれから3年が経ち、あの頃思い描いていた未来とは随分違う日々を歩んでいる。 今でも彼に対する親友としての愛情は変わらない。 僕の原動力であり、僕が進むべき道を彼が示してくれていると信じている。 きっとこの先も彼は僕にとって1番の親友で、彼との思い出がこれからも僕を支えてくれると思う。 前に進み続ける事を彼が望んでいると僕は知っている。   誰にでも大切な人との別れは訪れうる。 それは家族との別れかもしれないし、恋人との別れかもしれないし、友との別れかもしれない。 大切な人との別れはどんなものでも辛く悲しい。その痛みを乗り越えることは容易ではない。 そんな時この曲が、前を向こうとする誰かの心を少しでも支えられたら嬉しい。   僕たちは今日も歩き続けてる。 愛しい思い出たちを胸に抱きながら。   idom ◆紹介曲「 Memories 」 作詞:idom 作曲:idom ◆2nd EP『EDEN』 2023年4月12日発売 初回生産限定盤 SECL-2855~2856 ¥1,800(税込) 通常盤 SECL-2857 ¥1,400(税込)   <収録曲> 1.EDEN 2.Memories 3.Control 4.Loop 5.GLOW -English ver.- 

    2023/04/10

  • Lilubay
    あなたの未来はわたしの未来でもある。
    あなたの未来はわたしの未来でもある。

    Lilubay

    あなたの未来はわたしの未来でもある。

     2023年3月1日に“Lilubay”が2nd EP『Home away from home』をリリースしました。本作品は旧バンド名addからLilubayに改名してバンドとして新たな一歩を踏み出し、その方向性を示した全5曲が収録。作詞はVoタグチハナ、作曲は西村コン、タグチハナが担当し、全曲セルフプロデュースでの制作となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Lilubay”のタグチハナによる歌詞エッセイをお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 Knock 」にまつわるお話。大切なひとが泣いているとき、孤独でいるとき、みなさんならどんな景色を見せたいですか…? 今回も音声版がございます。本人による朗読でもエッセイをお楽しみください。   きっと誰もが持っている、孤独でどうしようもない夜。 大切な人が自分を見失ってしまいそうなそのときに、もしそばにいられるのなら見せたいのはどんな景色だろう?   深夜の高速道路をかっ飛ばし、大好きなあの歌を歌いながら、月明かりの遊園地、星屑たちのサーカスを横目に夜空へと続く汽車に飛び乗って…… そんな誰も知らない空想のような、束の間の逃避行のような特別な時間と光景を、私は想った。       ここ数年なかなか思うように離れた人たちと会うことができなかった期間でも、この小さな携帯電話を通して世界は存在していた。   思い思いの言葉を綴り、発信し、それは生存確認のように思えた。 みんなが試行錯誤してアイデアを生み、見えない明日を模索する中で、私は無力さを感じずにはいられなかった。   大切な人を抱きしめることもできないのに、一体何ができるというのだろう? それは私にとって何よりも重要なことなのに…     そんな気持ちの中で、ゆっくりと書き進めた詩が「Knock」     時間をかけて言葉にしていくうち、頭で考える理屈より先に まず空想の中でも行動してみようと思った。恐れも迷いも望みも、一旦素直に感じてみる。 そこからいつも歌は生まれているんだと気づいた。     メールやテレビ電話では伝えられないものがある。 ただ音楽なら、とても個人的な感情をも景色にできるのではないか? そしてその景色は、多くの言葉を要さずとも伝わるあの手の温もりのような存在になり得るんじゃないか。   私はこれまで会ったことのない人の音楽で何度もその温もりを感じ包まれてきたし、歌を紡ぐ友人たちの音楽はまるで手紙のように近く近く感じられるのだ。   “ユア・フューチャー・イズ・マイ・フューチャー” ______あなたの未来はわたしの未来でもある______     現実と夢想の入り混じる音楽の世界を通して、私はただ心を抱きしめ合いたい。   < Lilubay・タグチハナ> ◆紹介曲「 Knock 」 作詞:タグチハナ 作曲:タグチハナ ◆2nd EP『Home away from home』 2023年3月1日発売   <収録曲> 1. mani・cure 2. Home away from home 3. わがままな私と、子どもみたいな君 4. Knock 5. rainy day

    2023/04/07

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