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  • がらり
    『個』を肯定する曲ばかり
    『個』を肯定する曲ばかり

    がらり

    『個』を肯定する曲ばかり

     2026年6月3日に“がらり”がEP『螺旋の街』を配信リリースしました。3月リリースの楽曲「春を盗んで」のほか、東海ラジオのプロジェクト『TOKAI RADIO ONE ARTIST 2026!』のプッシュ曲「シャイなボーイ」、ドラマ『100日後に別れる僕と彼』オープニング主題歌「単純ないきもの」など計5曲を収録。都会を舞台に、孤独や逃避への衝動と諦念、受容といった感情がリレーのように表現されたEPとなっております。    さて、今日のうたではそんな“がらり”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。最終回は、収録曲「 単純ないきもの 」にまつわるお話です。『個』を肯定する最近の音楽に対する、カウンターを意識して書いたというこの歌。自身が肯定したかったものは…。 最近の音楽の歌詞について、何か一つ特徴を挙げるとすれば、『個』を肯定する描写が頻繁に出てくるという点ではなかろうか。   自分らしさ、ありのままの私、自己肯定感爆上げ、◯◯な私が好き───。   表現方法、筆致に差はあれどやはり個を肯定する、という文脈はJ-POP歌詞世界の一大ムーブメントであり、もはやベーシックなものとして取り扱われている。   「単純ないきもの」という楽曲を先日リリースした。 この楽曲では逆の方向について思いを馳せた。   それはすなわち、我々は個を重んじる前に、共同体に属している感覚に安心する生き物なのではないか、という疑問だ。   『僕はいつでも探しているよ/僕が属する仲間はどこか』   『みんなと同じようになりたいと/もがいてきたけど』   これらの歌詞は明確に昨今の個を肯定する文脈に対するカウンターを意識して書いた部分である。人は分類されることで安心し、他人との繋がりをそこに見出す。 人と人が寄り合い共同体を形作り、街が生まれる。 個の肯定の前に、前提として帰属意識が在るのではなかろうか。   都市の中にはあらゆる共同体が存在し、日々食事をしたり、運動をしたり、労働をしたり、蠢き合いながら生きている。 朝の通勤電車には同じ時間に似たような方向に向かう集団があり、夕暮れのコンビニには皆一様に似たような疲れた顔で弁当や飲み物を選ぶ人達がいる。   その姿に没個性だけを見出すのは暴力的だと感じる。 それぞれの生活を、コミュニティを維持する営みは、そのままで美しさやきらめきがあるはずだ。 個を肯定する文脈と同じくらいの熱量でこれらの営みについての歌が在ってもいいのに。   まるでJ-POP的文脈で個を肯定することを批判するような話を展開したが、この曲のサビは『君が笑えば嬉しくなるんだ』という奇しくも大変J-POP的なメッセージに帰結した。   隣にいる人が笑っているなら、自分も嬉しい。この単純な哲学があってこそ人と人は寄り添い合い、文明を形成し、果てない街が生まれたのではないか。   時代はどんどん複雑化している。我々はいつも自分らしさを見つけなければならず、他人と違う何者かにならなければならないような気がしている。だが、その複雑さの果てにシンプルな答えがあるかもしれない。   君が笑えば嬉しくなる。 それだけで、僕らは今日も街を生きることができるはずだ。   <がらり> ◆紹介曲「 単純ないきもの 」 作詞:がらり 作曲:がらり ◆EP『螺旋の街』 2026年6月3日配信リリース   <収録曲> 01. シャイなボーイ 02. 春を盗んで 03. レンズ 04. 箱庭ダンス 05. 単純ないきもの

    2026/06/19

  • ちゃくら
    死ぬほど会いたいともう二度と会いたくないの繰り返し。
    死ぬほど会いたいともう二度と会いたくないの繰り返し。

    ちゃくら

    死ぬほど会いたいともう二度と会いたくないの繰り返し。

     2026年6月17日に“ちゃくら”がメジャーデビューミニアルバム『GIRLS BAND NEVER DIE』をリリース! 昨年9月24日に配信リリースされた「嫌気」他、ミドル、エモーショナル、ポップス、あらゆる角度のジャンルで枠にはまらない新曲5曲を含む全6曲が収録。成長著しい彼女達が真っ向勝負するデビュー作品が完成しました。    さて、今日のうたではそんな“ちゃくら”のワキタルル(Ba.&Cho.)による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第2弾は、収録曲「 何番目の人 」と「 嫌気 」にまつわるお話です。それぞれの歌詞に込められた<君>への思いとは…。 「 何番目の人 」   実は去年からずっとスマホの中に留めていた曲。 いつなら出しても大丈夫かとタイミングを伺っていたら、このアルバムに入ることになった。 それは季節とか曲調とかそういう事ではなくて、この曲を出す勇気がずっと無かったから。   「 君の一番になれない私より 」という曲を書いた頃から私は君の過去に執着してきた。   過去の恋愛というものは、本当に厄介で呪いで。 自分の過去も無ければ良いのに。 君が初めてで君が最後なら良かったと思う。 好きな人から過去の恋愛の欠片が少しでも見えると、地の底まで落ちる最低な気持ちになる。   過去を大事にするのが上手な人だった、 きっと君の周りの人もそれを望んでいた、 自分は邪魔者だと思ってしまった。 君と過去の恋人がもう一度出会うまでの場繋ぎの様な気持ちになっていた。 これがどれだけ辛かったことか君は分かってくれるかな、?   この言葉達が少しでも分かってしまって、涙を流す女の子全員を抱きしめたい。 本当は共感なんて誰もしないでほしいよ。 君が辛そうなときは無理をしてでも会いに行ってたのにね、ちゃんと隣に居たのにね、   君にとって私が気軽に思い出せる程度の過去の人になってしまったとして、 もし私の次の番号の人が現れたときは その人が私に苦しめられないように 私を君の過去から消してね。       「 嫌気 」   以前とあるバンドマンが、 「人が何かから離れていくとき、声色や匂いや表情一つ一つを順番に思い出せなくなっていくものだけれど、ちゃくらの音楽の最後に残るものは言葉なんだと思う」と話してくれたことがある。 それなら私が恋をしたとき、最後に残るものと残せるものはなんだろう、   これまで私は、ちゃくらの曲と言いながら個人的な恋愛の後悔や言えなかった本音を歌詞にしてきた、それは誰かに共感してほしいという気持ちは勿論、本人にもこの歌詞を読んでくれと思っている節が確かにある。   職権乱用といわれたら本当にそうですごめんなさいとしか言えないのだけれど、、、 故に好きな人に最後に残るものが言葉であってほしいと願っているのだと思う。   初めて強がりの歌詞を書けてしまったのは復讐か、私は君が居なくてもちゃんと生きられるよの嘘つきか、涙した分だけ歌詞にして全世界に君の嫌だったところを見せて君を傷つけたいと思うからか、どれにしても自分の小さな器のせいだ。女の子はいつまでも執念深く、ちゃんと毒を持っている。   死ぬほど会いたいともう二度と会いたくないの繰り返し。 見せてこなかっただけでね、 君の嫌いなところちゃんとあるんだよ 嫌悪や諦めを隠すときだけは上手く笑えていた気がする。   <ちゃくら・ワキタルル> ◆紹介曲 「 何番目の人 」 作詞:ワキタルル 作曲:ワキタルル 「 嫌気 」 作詞:ワキタルル 作曲:ワキタルル ◆メジャーデビューミニアルバム『GIRLS BAND NEVER DIE』 2026年6月17日発売 <収録曲> 1 夏をかける少女 2 生活ごっこ 3 何番目の人 4 嫌気 5 ドール 6 社会の左 7 ちゃくらじお特別編 其の二

    2026/06/18

  • SARUKANI
    届く音と、挑戦する音のあいだで、その一節が景色を変えると信じて。
    届く音と、挑戦する音のあいだで、その一節が景色を変えると信じて。

    SARUKANI

    届く音と、挑戦する音のあいだで、その一節が景色を変えると信じて。

     2026年5月15日に“SARUKANI”が新曲「WORLD RECORD」をリリースしました。世界的ギタリスト・Ichika Nitoを迎えたエネルギッシュな1曲。ビートボックスとギターという異なる音楽性を高次元で融合させた楽曲です。KAJIとRUSYによるダブルボーカルが、さらなる熱量と推進力を与え、“世界を獲るのは、決して遠い夢ではない”という強いメッセージを体現しております。    さて、今日のうたではそんな“SARUKANI”のKoheyによる歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、新曲「 WORLD RECORD 」にまつわるお話です。活動を続けるなかで、少しずつ変わってきた音楽との向き合い方。今、自身が“一人で出した記録”よりも大切に思うものは…。 最近よく考えることがあります。   自分はあとどれくらい成長できるんだろう、と。 音楽を始めた頃は、もっと単純でした。   上手くなりたい。 良い曲を作りたい。 たくさんの人に聴いてもらいたい。   ただそれだけを考えていれば前に進めた気がします。   でも活動を続ける中で、音楽との向き合い方は少しずつ変わっていきました。   曲を作るたびに、 「前作を超えられているだろうか」 と考えるようになったし、 音楽プロデューサーとして制作に向き合う時間が増えるほど、 「もっと面白いものが作れるんじゃないか」 という欲も強くなっていきました。   もちろん数字も気になります。 再生回数もライブの景色も、 どれだけ多くの人に届いたかも気になる。 たぶん、気にならないと言ったら嘘になります。   数字は、自分たちの音楽がどれだけ届いたかを教えてくれる大切な指標です。 だからこそ僕たちも、もっと多くの人に届けたいと思っています。 ただ、それだけでは測れない高揚感があることも、制作を続ける中で感じるようになりました。   誰もやったことのないこと。 自分たちも見たことのない景色。 作りながら不安になるくらいの挑戦。 そういうものに心が動くんです。   「WORLD RECORD」を作っていた時、最初に浮かんだのは“世界一”ではありませんでした。   昨日の自分を超えること。 前回の自分たちを超えること。 その繰り返しの先にある景色でした。   でも、この曲について考えているうちに気付いたことがあります。   人は一人では、そんなに遠くまで行けないということです。 行き詰まった時に相談できる仲間がいて、 刺激をくれるアーティストがいて、 作品を受け取ってくれる人がいる。 自分一人の力だけで進んできたつもりだった道も、振り返ればたくさんの人の存在の上に成り立っていました。   世界記録という言葉は、一人で打ち立てるもののように聞こえます。 でも今の僕には、一人で出した記録よりも、誰かと更新した景色の方が強く残っています。   今回の制作でも、Ichika Nitoさんのギタープレイ、RINZOさんのアレンジによって、この曲はさらに大きなエネルギーを持つものになりました。これからも「ありがとう」という言葉を掲げて、arigato.シリーズで沢山の人と繋がり、刺激を貰い、僕達からも渡したい。   一人では辿り着けない場所がある。 だから面白い。 だからもっと先を見たくなる。   「WORLD RECORD」は、不安や迷いがなくなった人の曲ではありません。 むしろ、不安も迷いも抱えたまま、それでも前に進みたいと思った時の衝動を音にした曲です。   この曲を聴いてくれた誰かが、自分自身の記録を更新したいと思った時。 あるいは大切な誰かと新しい景色を見たいと思った時。 その背中を少しでも押せたら嬉しいです。   僕たちもまだ途中です。 だからこそ、もっと先へ。 まだ見たことのない景色を目指して。   <SARUKANI・Kohey> ◆紹介曲「 WORLD RECORD 」 作詞:KAJI・RUSY 作曲:RINZO・Kohey

    2026/06/17

  • 『ユイカ』
    「思ってたんと違う」そんな青春だった。
    「思ってたんと違う」そんな青春だった。

    『ユイカ』

    「思ってたんと違う」そんな青春だった。

     2026年6月8日に“『ユイカ』”が新曲「 青春は見えない 」をリリースしました。学生時代をコロナ禍で過ごした世代である『ユイカ』が、当時を今の視点で振り返り描いた楽曲。“過ぎた後に初めて気付く青春の日々“が歌詞に込められた、“青春は若者だけのものではない”というメッセージを歌った1曲となっております。    さて、今日のうたではそんな“『ユイカ』”による歌詞エッセイを3か月連続でお届けします。第1弾は新曲「 青春は見えない 」にまつわるお話です。自分が生きた青春を“普通の夏”にしたい、という思いから生まれたこの歌。今、改めて自身が思う“青春”とは…。 「思ってたんと違う」そんな青春だった。 普通じゃない青春、でも私にとってそれが、普通の青春。   「可哀想だね」「一度きりの青春なのに」 入学したら授業があって、クラス全員が揃ってて、クラスメイトの顔を覚えてて、体育祭をして、文化祭をして、修学旅行に行って、それが当たり前な人たちからたくさん慰められた。   入学式をしても次の日から授業はないし、やっと行けると思っても分散登校で会ったことないクラスメイトが半分くらいいるし、毎日一緒に登校することになった友達の顔も半分隠れてるし、体育祭も文化祭も、修学旅行も予定通り行われなかったし、これが当たり前の私たちは多分、可哀想だった。   悲劇のヒロインにはいくらでもなれる。だからこそ、自分が生きた青春を普通の夏にしたかった、そう思って「青春は見えない」という曲を書きました。   青春を経験して思い出になった人も、今青春だと気づけていない人も、まだ青春にとてつもなく憧れを抱いている人も、全ての人に当たり前に、平等にある青春を歌いたい。 そして、こんなに何度も言葉にしている「青春」が、意外とそんなに偉大じゃないってことを伝えたい。   何にでもなれる気がするし、同時にこれが終わったら何かにならなくちゃと焦ってしまうし、本当に厄介なやつだよ青春は。 だけどそれって、誰が決めたの? 大人になったら絶対に何かにならなきゃいけなくて、何にでもなれてはいけないの?   私は今、音楽がやりたくてアーティストになったけど、これからまた別のやりたいことを見つけて、意外とあっさり音楽を辞めるかもしれないし、そうでありたいとすら思う。 そのくらい、ふわふわして生きたい。 貴方にもそのくらい、ふわふわして生きてほしい。 地に足つけるくらいなら、地面がトランポリンにでもなればいい!そんな気持ちで生きていたい。   青春を経験して思い出になった人も、今青春だと気づけていない人も、まだ青春にとてつもなく憧れを抱いている人も、全ての人が平等に何にでもなれるし、何かにならないこともできる。 子どもだけが最強じゃない、子どもだけが夢を叶えられるわけじゃない、そんなことを伝えたい。   私にとって青春は顔が見えないものだったし、だけどそんな日々が青春だと気づけなかった。 あの頃の自分にこう伝えたい。今ならちゃんと分かる。青春だった、間違いなく青い春をしていたんだよ。って!   「思ってたんと違う」そんな青春だった。 普通じゃない青春、でも私にとってそれが、当たり前で、大切で、普通の青春。   <『ユイカ』> ◆紹介曲「 青春は見えない 」 作詞:『ユイカ』 作曲:『ユイカ』 

    2026/06/16

  • chilldspot
    恋心ってなんぞや
    恋心ってなんぞや

    chilldspot

    恋心ってなんぞや

     2026年6月10日に“chilldspot”が新曲「Ladyy」をリリース! 同曲は、オリジナル婚活リアリティーショー『ガールオアレディ3』挿入歌であり、“レディ”たちが織りなす恋愛模様に寄り添うべく書き下ろされました。抗えない恋心に翻弄されるリアルな心情を、Vo.比喩根の物憂げな歌声と、都会の夜を思わせるサウンドにのせて表現しております。    さて、今日のうたではそんな“chilldspot”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。第1弾は玲山(Gt.)が執筆。新曲「 Ladyy 」にまつわるお話です。“恋心ってなんぞや”という問いから曲づくりをスタートし、自身のなかで膨らませていったイメージは…。 初めましてchilldspot Gtのりょうざんです。歌詞コラムには初の参加でとても光栄でございます。   「Laddy」は、恋愛リアリティショー『ガールオアレディ3』のお話をいただいて、チルズポットがLady側の曲を制作することになりました。   少女とは呼べない年齢くらいの女性(女性はいつまでも乙女と聞いたことがあるので正確にはわかりません)の恋心ってなんぞやというところから着想を経て書き出しました。   若いうちは、もしかしたら恋人がいない人は、その期間に孤独を感じることもあると思うが、経験を重ねたLadyの方々はもう何も思わないはず! と、初めに思いつき、メロディも相まってぴたっとはまる<もう寂しくはないよ>に。 猫を飼っているイメージも勝手にありますはは。 そのまま孤独のイメージを自分の中で膨らませて完成に。   Bメロサビは、比喩根(Vo.)にバトンタッチ。ちるずぽっと関連の次の記事で紹介するはずさ。   歳を重ねるほど、プライドとか増して素を見せられる相手っていなくなっていくものだと思っていて、それを打ち壊せる関係っていいよねぇって2番のAメロでは書かれてます。   サウンド面に関して、楽器はシンプルな構成で歌がよく映えるに心がけた。しっとりとしていてオトナッぽいだろ。 サビは複雑な心情を表せるように色んなギターを入れて、少しごちゃごちゃしてるから耳を澄ませてほしい。それとは逆に、メロディーはキャッチーなシンプルさでまとめている。   歌詞って語呂だったりストーリーだったりいろいろな制約があるなかで書かなければいけないのがとても難しくて面白いところですね。   <chilldspot・玲山(Gt.)> ◆紹介曲「 Ladyy 」 作詞:ryozan・hiyune 作曲:ryozan・hiyune

    2026/06/15

  • がらり
    実像 虚像 肥大した嘘
    実像 虚像 肥大した嘘

    がらり

    実像 虚像 肥大した嘘

     2026年6月3日に“がらり”がEP『螺旋の街』を配信リリースしました。3月リリースの楽曲「春を盗んで」のほか、東海ラジオのプロジェクト『TOKAI RADIO ONE ARTIST 2026!』のプッシュ曲「シャイなボーイ」、ドラマ『100日後に別れる僕と彼』オープニング主題歌「単純ないきもの」など計5曲を収録。都会を舞台に、孤独や逃避への衝動と諦念、受容といった感情がリレーのように表現されたEPとなっております。    さて、今日のうたではそんな“がらり”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第2弾は、収録曲「 レンズ 」にまつわるお話です。すべてがSNSで投げ売りされる、この時代の痛みを描いた歌。あなたにとって“本当の自分”とは何ですか? 本当の自分ってなんなんだろう。 鏡に映る顔なのか。 誰かと会っている時に見せる笑顔なのか。 それとも、夜中に一人で抱えている、誰にも見せられない満たされなさの方なのか。   何者かになりたい。 じゃあ『何者』かになればこの空白は満たされるの?   「どこに行こうと/誰かと会おうと/決して消えないものがなんかあって」   拙作、EP『螺旋の街』は、抜け出そうとしても抜け出せない都会の袋小路を螺旋として描いた作品である。 EPの中心に据えた「レンズ」という楽曲は、都会に迷い込んだ夢を追う少女の心の揺れをキャプチャーした曲だ。   夢を追うことはいつも美談として語られる。 しかし実際には、ひりひりとした焦燥や生々しい嫉妬もつきものであり、誰かの成功を喜べない自分もいる。 ほんの少しだけ間に合わない自分を、どうしても許せないのだ。   顔、過去、才能、タイミング、運。   取り替えることのできない色々が、いつも目の前にある。   「実像 虚像 肥大した嘘」   この世界を切り取るレンズが映し出すのは、本当の自分なのか、人に見せている自分なのか? 見た目も感情もストーリーも、すべてがSNSで投げ売りされる時代。 あらゆる境界線は曖昧になる。   「ほら これすらレンズ越しの嘘泣き」   この時代の痛みの極点としてこの一行を書いた。 悲しいはずなのに、その悲しみを信じられない。 涙が出ているのに、それを本物だと認められない。 擦り切れた心は涙なんて流さないはずだから、この涙もきっと嘘なのだ。   「レンズ」は、自分を見失った少女の歌である。   実像と虚像のはざまで、嘘だけが肥大する。   その螺旋の奥でうずくまる少女のシルエットは、 この街で夢を追うすべての人の中にあると思う。   <がらり> ◆紹介曲「 レンズ 」 作詞:がらり 作曲:がらり ◆EP『螺旋の街』 2026年6月3日配信リリース   <収録曲> 01. シャイなボーイ 02. 春を盗んで 03. レンズ 04. 箱庭ダンス 05. 単純ないきもの

    2026/06/12

  • ちゃくら
    私はまだ君の影と暮らしている
    私はまだ君の影と暮らしている

    ちゃくら

    私はまだ君の影と暮らしている

     2026年6月17日に“ちゃくら”がメジャーデビューミニアルバム『GIRLS BAND NEVER DIE』をリリース! 昨年9月24日に配信リリースされた「嫌気」他、ミドル、エモーショナル、ポップス、あらゆる角度のジャンルで枠にはまらない新曲5曲を含む全6曲が収録。成長著しい彼女達が真っ向勝負するデビュー作品が完成しました。    さて、今日のうたではそんな“ちゃくら”のワキタルル(Ba.&Cho.)による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第1弾は、今作の収録曲「夏をかける少女」と「生活ごっこ」のお話です。それぞれの歌詞に込められた<君>への思いとは…。 「夏をかける少女」 大好きなアニメーション映画を見た。 都合よく止まってはくれない時間に置いていかれないように 少女が全速力で街を走る私の一番好きなシーンを見た。   過去に 「負けヒロイン」 という言葉を使ったことがあるけれど、 やっぱりどうしても彼と私の思い出は二人だけが良かった。 誰も知らない二人だけの世界が確かにあったと信じていたい、 人混みの中ヒーローとヒロインだけが目を合わせるあのシーンみたいに。   私が君の居ない季節を楽しんでいたら寂しいと思ってくれたりするのかな、 こっそりSNSを覗きに来たりして私の今が気になったりしないかな、 ねえ、 また夏がくるよ。 夏が似合う人になんてなっていないでよね   過去は動かせないから私は未来で君ともう一度会えることを期待して信じるだけ、 まだ君のことを過去の人にはしないよ     「生活ごっこ」   実はホラー作品。 粘着質で執着ばかりで、 君のことを絶対無かったことにしてあげないと意地っ張りで気持ちの悪いことを思っている。 最初はまだ君が隣に居た時の歌詞なのに進むにつれてもう実は君が居ないことに気づかされる。 過去と今の境目もつかない幻を見ている程頭がおかしくなってしまった、 もしかして馬鹿女ってこーゆー事なのかも。   私にはまだ君の影が見えている。 君と暮らしていた生活の続きを一人で進める いつかまた君が飲んだくれて間違えて私の家に帰ってきてしまわないかな、 それでまた酔ってアイドルの曲を踊り出して下の階の人に怒られたりしないかな、   最後の最後で言葉が願望に変わる 本当はもう分かっているから。 目を覚ましたくない 夢を見ていたい 多分、 それだけ。   もう会話が出来ないから私がよく使う 「」 も無い ずっと主観のホラー作品   私はまだ君の影と暮らしている   <ちゃくら・ワキタルル> ◆紹介曲「 夏をかける少女 」 作詞:ワキタルル 作曲:ワキタルル 「生活ごっこ」 作詞:ワキタルル 作曲:ワキタルル ◆メジャーデビューミニアルバム『GIRLS BAND NEVER DIE』 2026年6月17日発売 <収録曲> 1 夏をかける少女 2 生活ごっこ 3 何番目の人 4 嫌気 5 ドール 6 社会の左 7 ちゃくらじお特別編 其の二

    2026/06/11

  • TRACK15
    夏色日記
    夏色日記

    TRACK15

    夏色日記

     2026年4月22日“TRACK15”が新曲「夏色日記」をリリースしました。疾走感あるポップロックサウンドにストリングスが重なり、色彩豊かな夏の情景を背景に、まだ「好き」と言えない恋のもどかしさと高鳴りを描いた1曲。また、MVは、Z世代から支持を集めるタレント・時田音々が主演を務め、楽曲の持つ煌めきや瑞々しさを体現しております。    さて、今日のうたではそんな“TRACK15”の蓮による歌詞エッセイをお届けします。2025年の春から描き始めた「 夏色日記 」。鮮明に残っている当時の記憶と、ワンフレーズに込めたこだわりについて綴っていただきました。 TRACK15 Vo.蓮です   もう6月 1年の半分も終わったって考えたらはやすぎてまだなんもできてないと焦りが、、   最近の自分は、というか最近のTRACK15は、今月からZepp東名阪と追加公演5都市のワンマンツアーと全国各地本当に沢山のフェスに出演させていただきます。ありがたい。   メンバーと話してるうちに、これは乗り越えられるか?となって、体力をつけよう!!とランニングをはじめました。が、みんな3日坊主で終わりそうなので、記録して送り合うということを始めたのですが、初手でドラムの夕日が、歩いても出せないような遅すぎるスピードで8km走ってました(歩いてました?)。 あれ以降、記録を送ってきてないような、、   そんな感じで夏に向かって準備を色々しています 僕はランニングする時にもちろん「夏色日記」を聴いて走っています   なんか速くなった気分になるので。     「夏色日記」を描きはじめたのは確か2025年の春でした。 今メンバーのトークを遡ってみたら、4月20日に初めてメンバーに僕の弾き語りデモ音源を送ってました。 「サビ、やりすぎかな?」という文字と共に。   記憶力の悪い自分がめずらしくめちゃくちゃ覚えてるのが、この時期本当にもう曲が描けない、、、、、、、 ってなってて、 何が正解かわからんくて何をやっても自分の中でありがちなものになってしまっていた時だったからです。   性格的に、自分で納得して1人で完璧に完成させてからじゃないとメンバーにも聴かせたくないタイプなのですが、初めてメンバーの感覚を頼ってみようと思いました。   怖かったけど、いつも通りのメンバーの嬉しそうな返事に、間違ってなかった。と安堵して続きをスラーっと描けた覚えがあります。     バンドっていいなって思いました。     楽曲の中身のことなんも触れてないとダメな気もするので、 一個だけこだわりポイントを言うなら、   1番のサビ終わり <恋の音>という歌詞をわざと“こいのーと” と聴こえるように歌っています   「恋の音」 ↓ 「恋ノート」 ↓ 「恋の日記」 ↓ 「夏色日記」   みたいなことです僕はそんな仕掛けが大好きです   あとこんなことやるくせに説明は下手ですすみません 伝わってるかな。     この場所に限らずこういう仕掛けを楽曲の中に散りばめたりしています。 「夏色日記」だけでなく他のTRACK15の楽曲にも沢山あるので、 聴いてくれる方の想像で、自由に、解釈してみてください   正解はないので     ほんなら今月から始まるツアー、全国各地のフェスで! お会いしましょう!!!   またかきたいなこういうの!!!   <TRACK15・蓮> ◆紹介曲「 夏色日記 」 作詞:蓮 作曲:蓮 

    2026/06/10

  • Hakubi
    これは私たちの歌であり、みんなの歌だった。
    これは私たちの歌であり、みんなの歌だった。

    Hakubi

    これは私たちの歌であり、みんなの歌だった。

     2026年4月29日に“Hakubi”がニューシングル「KAZE」をリリースしました。タイトル曲は、レジェンドジョッキー・武豊騎手の現役40周年を記念して制作されたアニメーション武豊デビュー40年記念ムービー『The Derby Dream Goes On ~鳴りやまないダービーの夢』のために書き下ろされた楽曲となっております。    さて、今日のうたではそんな“Hakubi”の片桐による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、タイトル曲「 KAZE 」にまつわるお話です。曲を書き進め、完成させ、リリースし、ライブで歌う。そのなかで生まれてきた新たな思いとは…。 Hakubiの新曲「KAZE」は、武豊騎手のデビュー40年記念アニメーションのために書き下ろした楽曲なのだが、曲を書き終えて、配信リリースをしてから一ヶ月たった今は、少し違う想いが生まれてきた。この曲は武豊騎手だけの歌ではなく、自分を信じ進んでいく全ての人の歌になった。そう思った。   日々の鍛錬と戦いにより選ばれた一握りのジョッキーにしか立てない舞台に立ち続けている武豊騎手は、私には到底想像ができないくらいの重圧の中で戦い続けてきた。そんなレジェンドの気持ちが私にわかるのだろうか、と、この話をJRAの方からいただいた時、怖いと思ったのが正直なところだった。   ところが、武豊騎手について調べていけばいくほど、周りの雑音ではなく、自分自身を信じる、見失わない。そんな武豊騎手の強い言葉に動かされ、曲を書き進めていた。   武豊騎手のように、全てを跳ね返すように強く逞しく生きれない!なんて思ってしまうのは私だけではないのだと思う。もしかしたら、本当は自分を信じたい。けれど、信じるのは怖い。だから迷いながら進むのかもしれない。   この曲の中で一番最後にできた<信じてるよ君となら、信じてるよ僕らなら>という部分の詞とメロディーが生まれた時に、「これは私たちの歌であり、みんなの歌だった。」と、気づいた。   自分自身との戦いの毎日だけれど、独りじゃない、確かに誰かと生きている。そんなひとりひとりの歌。 もっと自分を信じてあげたい。自分の信じた仲間を信じたい。そんな思いが込み上げてきた。   初めて歌ったライブの時には、一緒に音を奏でてくれている仲間たちがいることと、目の前に信じてくれるみんながいてくれることが、楽曲とリンクし、自然と涙が出ていた。   そんな曲に出会わせてくれた、武豊騎手に心から感謝しています。 「KAZE」はまだ旅の途中の曲です。武豊騎手の未来を、私たちHakubiの未来を、そしてこの曲を聴いてくれたあなたの未来を、一緒に見続けていけたら嬉しいです。   <Hakubi・片桐> ◆紹介曲「 KAZE 」 作詞:片桐 作曲:Hakubi 

    2026/06/09

  • 七海ひろき
    生きる覚悟を。
    生きる覚悟を。

    七海ひろき

    生きる覚悟を。

     2026年6月3日に“七海ひろき”が、2ndシングル「AKATSUKI」リリースしました。今作には、新曲2曲と昨年開催した<One-man LIVE773“Crystal”>のライブ音源が収録。リード曲「暁の空」は七海も声優として出演するTVアニメ『天は赤い河のほとり』OP曲にも決定。原作ファンを公言する七海が作詞を担当しております。    さて、今日のうたではそんな“七海ひろき”による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、新曲「 暁の空 」のお話です。自分で考え、選びながら進んでいくことをテーマにしたこの歌。タイトルや歌詞に込めた思いは…。 「暁の空」は、ゆったりとした時間の中で、曲を何度も聴きながら、込めたい言葉を少しずつノートに書き留めていくようにして作詞しました。   今回の楽曲では、運命に翻弄されながらも、争いの中で誰かを愛すること。大切な人を守りたいと願うこと。そして、自分の生きる場所を決めて進んでいくこと。そんな生きる覚悟を描きたいと思いました。   <どんな運命も行ける道とできる方法(こと)>   という言葉から始まるサビには、どんな状況でも前へ進もうとする強さを込めています。運命に流されるのではなく、自分で考え、自分で選びながら進んでいく。その姿勢は、この楽曲の大きなテーマになっています。   タイトルの“暁”は、夜と朝の境目を表しています。不安や迷いを抱えながらも、新しい未来へ向かっていく、その瞬間のイメージを重ねました。   そして、“空”という言葉を選んだのは、時代を超えても繋がっているものを表現したいと思ったからです。遠く離れた場所でも、違う時代でも、見上げる空はどこかで繋がっている。そんな感覚を、この曲全体に込めています。   <ずっと この天(そら)の下生きてゆこう>   というフレーズには、共に生きていきたいという願いと、変わり続ける世界の中でも、互いを大切にし合う約束を表現したいという想いを込めました。   また、<赤い大地>や<流れる河のほとり>といった言葉には、壮大な景色だけではなく、時代の流れや、人が生きてきた歴史そのものを重ねています。   <戦いの女神は 暁の国を救う>という一節には、悲しみや苦しみを抱えながらも、それでも希望を繋いでいく存在への祈りを込めました。   この曲を聴いて、壮大な物語と、自分自身の意思を強く持って、前へ進んでいく力を感じてもらえたら嬉しいです。   <七海ひろき> ◆紹介曲「 暁の空 」 作詞:七海ひろき 作曲:YASUHIRO(康寛)  ◆2ndシングル「AKATSUKI」 2026年6月3日発売   <収録曲> 01.暁の空 02.Dahlia 配信: https://773.lnk.to/AKATSUKI 購入: https://773.lnk.to/AKATSUKI_CD   ◆「HIROKI NANAMI LIVE HOUSE TOUR “AKATSUKI”」 特設サイト: https://nanami-akatsuki.jp/   2026年6月28日(日) 茨城・mito LIGHT HOUSE 2026年7月3日(金) 福岡・福岡トヨタホール スカラエスパシオ 2026年7月7日(火) 大阪・なんばhatch 2026年7月15日(水) 宮城・darwin 2026年7月18日(土) 愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO 2026年7月21日(火) 東京・恵比寿 LIQUIDROOM

    2026/06/08

  • がらり
    『趣味:人間観察』は『私はあなたのことを色眼鏡で見ています』という宣言に等しい。
    『趣味:人間観察』は『私はあなたのことを色眼鏡で見ています』という宣言に等しい。

    がらり

    『趣味:人間観察』は『私はあなたのことを色眼鏡で見ています』という宣言に等しい。

     2026年6月3日に“がらり”がEP『螺旋の街』を配信リリースしました。3月リリースの楽曲「春を盗んで」のほか、東海ラジオのプロジェクト『TOKAI RADIO ONE ARTIST 2026!』のプッシュ曲「シャイなボーイ」、ドラマ『100日後に別れる僕と彼』オープニング主題歌「単純ないきもの」など計5曲を収録。都会を舞台に、孤独や逃避への衝動と諦念、受容といった感情がリレーのように表現されたEPとなっております。    さて、今日のうたではそんな“がらり”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第1弾は、収録曲「 シャイなボーイ 」にまつわるお話です。人間の“こじらせ”を切り取ったこの歌。主人公が内面に抱えている矛盾とは…。 『趣味:人間観察』は『私はあなたのことを色眼鏡で見ています』という宣言に等しい。   やや極論に振り切れているかもしれないが、それが悪いという話ではない。 人は誰しも、大なり小なり差はあれど他人を眺めては分類し、勝手に自分の中の偏見を振りかざして気ままな物語をぶつけているのだ。   あのタイプの服装の人は、根明で人知れず周りを振り回すキャラクターだ。 あの飲み物を手に持って歩く人は、流行に流されて自分がないのだろう。 あの表情を浮かべる人は、難しいことは何一つ考えずに生きてきたに違いない───。   「シャイなボーイ」という曲で描かれた主人公は、間違いなく『趣味:人間観察』というタイプだ。 彼は他人に暴力的に視線を投げかけるが、他人からの視線にはことさらに弱いのである。   都会暮らしに少しずつ順応した主人公は、自分は他人を見抜いていると思っている。 だが、自分が他人によって見抜かれることには耐えられない。 「独りきりこそ僕を/暖める子守唄」と宣言し、孤独を愛す高潔な存在であるとの自認を示す。 しかし、歌詞のムードからは彼の内面にある寂しさが隠し切れていない。   落ちサビの「どこにも置いて行かないでよ」は彼の心から不意に漏れた無防備な本音である。 どこまでも他者や自分を茶化し、分類し、あらかじめ傷つかないための言い訳を重ねてきた主人公。   実のところ、彼は孤独を愛しているのではない。 孤独に耐えるために、孤独を愛しているふりをしていただけなのだ。   あらゆる人が内包する「こじらせ」をありのまま切り取った本作。 「シャイなボーイ」が内面に抱える矛盾は、あなたの中にもあるのではないでしょうか。 <がらり> ◆紹介曲「 シャイなボーイ 」 作詞:がらり 作曲:がらり ◆EP『螺旋の街』 2026年6月3日配信リリース   <収録曲> 01. シャイなボーイ 02. 春を盗んで 03. レンズ 04. 箱庭ダンス 05. 単純ないきもの

    2026/06/05

  • yonige
    しがないふたり
    しがないふたり

    yonige

    しがないふたり

     2026年5月27日に“yonige”がニューシングル『芽吹くとき』をリリース。タイトル曲は、TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』OP主題歌です。yonigeらしいざらついた肌触りのギターやベースがリードしていく、春らしい暖かくも爽やかな曲調に、<君がいる明日がいいなって思っていたって変えられない伝えなくちゃ>という歌詞が印象的な楽曲。Vo.牛丸による肯定的なメッセージが込められております。    さて、今日のうたではそんな“yonige”の牛丸ありさによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。最終回は、楽曲「 しがないふたり 」にまつわるお話です。別れの直後に書いた歌。相手に対する感情のみならず、その視線が向く先は…。 このコラムの 第1弾 は、過去をひっくるめて30歳のときに書いた恋愛の詩。 第2弾 は、20代半ばに経験した壮絶な恋愛の終わりがけに書いた詩。 今回は、その恋愛を経験する前の22歳の時に書いた詩、「 しがないふたり 」について書く。   この曲を聴くたびに思う、気持ちがなくなったときの自分は容赦なく辛辣だ。 こっぴどい別れ方をして、その直後にあんな詩を書いて世の中に発表するのだから。   しかし相手のことばかり刺して終わる詩を書かないのが、yonigeの特徴だと私は思う。 昔から、相手への怒りや不満、冷めていく感情を書きつつ、一方で自分のことも同じように、冷めた目線で俯瞰し内省している詩が多い。   これは私自身が、他人に辛辣であると同時に、自分にも同じだけ辛辣だったからだ。 yonigeのメンバーであるごっきんは真逆で、周りにも自分にもとびきり優しいから、“自分を愛せないと人を愛せない”という言葉はガチだということを、私は身をもって知っている。   「音楽は10代のバカなうちに始めたほうがいい」、と誰かが言っていた。 その通りで、大人になって冷静になってしまってからじゃ初期のあんな恋愛の詩は一生書けなかっただろう。 もしこのコラムを、ミュージシャンを志してる人が読んでいるとしたら切実に伝えたい。 1日でも早く、君の恥ずかしい作品を世の中に発表するべきだ。   P.S. 今回のEPをリリースするにあたって、英題もこだわった。 しがないふたりの英題は“Unpoetic Romance” 直訳したら“詩にはならないような恋愛” 詩がない、ふたり   <yonige・牛丸ありさ> ◆紹介曲「 しがないふたり 」 作詞:牛丸ありさ 作曲:牛丸ありさ   ◆ニューシングル『芽吹くとき』 2026年5月27日発売   <収録曲> 1.芽吹くとき 2.Don’t 3.Wet 4.しがないふたり(re-arrange ver.)

    2026/06/04

  • スピラ・スピカ
    よくばり
    よくばり

    スピラ・スピカ

    よくばり

     2026年6月3日に“スピラ・スピカ”がニューシングル「ちゅーんあっぷ☆」をリリースしました。タイトル曲は、TVアニメ『黒猫と魔女の教室』エンディングテーマ曲です。スピラ・スピカがこの春お届けする最光級なハッピーチューン。楽曲のもつ可愛らしさや楽しさを存分に表現した、ポップでカラフルな作品に仕上がっております。    さて、今日のうたではそんな“スピラ・スピカ”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 よくばり 」のお話です。wacciの橋口洋平による提供曲であり、七夕をテーマにしたラブソング。この歌のワンフレーズを歌ったとき、自身が思い出したことは…。 “スピカ”は春の夜に青白く輝く一等星。 スピラ・スピカには、星にまつわる曲がたくさんあります。   そしてまた新たに、「よくばり」という曲が誕生しました。   wacciの橋口洋平さんに書き下ろしていただいたこの楽曲は、七夕の織姫と彦星の物語をモチーフにしています。   一年に一度、天の川を渡って会うことができる二人。 だけどその背景には、「会いたい」という気持ちだけではどうにもならない現実があって…。   この曲の中の二人も、現代ならではの寂しさや切なさを抱えています。 それぞれに夢や日常があって、その上で守りたいものがある。   会いたい。 できることならずっと一緒にいたい。 でも、自分の夢も諦めたくない。 相手の幸せも願っていたい。   誰かを大切に思うほど、人は少しよくばりになってしまうのかもしれません。   歌詞の中に登場する“青色の短冊”にも意味があります。   青は「仁」 自分自身を高めたり、周りの幸せを願ったりするときの色なんだそう。   あなたはあなたの夢 叶えてくの 私は 私の夢を叶える   このフレーズを歌っているとき、ライブに遊びに来てくれたいつもお世話になっている美容師さんが教えてくれたことを思い出しました。   開演前のフロアで聞こえてきた、近くにいるファンの皆の会話。 「スピラ・スピカのライブがあるから仕事を頑張れる」 「この日のためにしんどいことも乗り越えてきた」   すごく楽しそうに話していたよって。 それが本当に本当に嬉しくて。   ファンとアーティストって、不思議な関係だと思います。   お互いの人生を全部知っているわけじゃない。 それぞれ違う場所で、違う毎日を生きている。   でも、遠いようで近い。   だって、ひとつの歌を通して繋がることができたり、同じ気持ちになれたりするから。   音楽には目に見えない距離を越えていく力があるのかな。   嬉しい言葉をもらうたびに、ライブで皆の笑顔を見るたびに、歌ってきてよかったなぁと思います。 皆のおかげで、私も毎日頑張れるんだよ。   この「よくばり」という曲では、恋をする二人を描いています。 だけど同時に、この曲を聴いてくれる大切なファンの皆への気持ちも重ねています。   スピラ・スピカの音楽に出会ってくれたあなたが、明日も笑っていますように。今日より幸せでありますように。   今年の七夕は晴れたらいいな。 この日は特別に、いつもより少しよくばりな願い事でも許してね、神様。   <スピラ・スピカ> ◆紹介曲「 よくばり 」 作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平 ◆ニューシングル「ちゅーんあっぷ☆」 2026年6月3日発売 <収録曲> 1.ちゅーんあっぷ☆ 2.よくばり 3.ちゅーんあっぷ☆ -Instrumental-(通常盤のみ収録) 3.ちゅーんあっぷ☆ -TV ver.-(期間生産限定盤のみ収録)

    2026/06/03

  • androp
    残したいもの
    残したいもの

    androp

    残したいもの

      2026年7月15日に“androp”がニューアルバム『imperfect』をリリース!タイトル『imperfect』(インパーフェクト=不完全)には“完璧を作成しやすくなった時代、完璧を求められる時代、だからこそ迷い・傷・余白・時間の痕跡にこそ、生きている実感と美しさが宿る。”という想いが込められております。    さて、今日のうたではそんな“androp”の内澤崇仁による歌詞エッセイを2日連続でお届け。第2弾では、今作で自身が向き合っている「違和感を触り直す」、「余白を支える音」、「作品として残したいもの」というテーマについて綴っていただきました。 ・違和感を触り直す   制作を続ける中で、今までになく季節をテーマにした曲が多くなった。 春の「Mirai Bana」「Sakura Song」、秋の「Magic Hour」、冬の「Santa」。 同じ季節でも、毎年まったく同じ心象にはならない。 その違いに重なる言葉を想像しながら、一曲一曲と向き合っている。   制作の過程では、形になりそうなものを一度崩してみることがある。 意味は通っているし、流れも自然。それでも、どこか違うと感じる瞬間がある。 その違和感を見過ごさずにいると、一度整えたものを手放し、もう一度触り直すことになる。 そうやって、形になりかけたものを何度も行き来している。   ・余白を支える音   何を正解とするかは、自分でもはっきりとはわからない。 ただ、きれいに整ったものよりも、予定調和ではないものの方に耳が向くことが増えた。 例えば「Magic Hour」では、歌詞ですべてを説明しきらない形を選んだ。 心情を言い切って定義するのではなく、あえて言葉の余白を残した。 そのような余白を、わずかにずれているリズムや、揃いきらない声の重なりがそのまま支えてくれることがある。 言葉とメロディは、そうやって互いに支え合っているのだと思う。   伝わるように整えようとすれば、意味は明確になる。 でも、その分だけ削ぎ落とされてしまうものがある。 逆に、残しすぎると、今度はどこか嘘くさくなる。 その「あいだ」で、どこまで言葉にするかを探っている。 はっきりと言い切らないことで残るものもあれば、言い切らなければ届かないものもある。   その境目を探す作業は、思っているよりもはるかに時間がかかる。 andropで17年向き合い続けても、いまだにルールは見つからない。 他人から見れば、大きな違いではないかもしれない。 それでも、そのわずかな差の中にしか残らない体温があると感じている。   ・作品として残したいもの   録音した音を何度も聴き返していると、最初は気付かなかった言葉の引っかかりが浮かび上がってくることがある。 整っていないように感じた響きが、あとになって深く心に残ることもある。 何を残して、何を消すのか。 その判断の積み重ねが、このアルバムになっていく。 完成に近づいているのかどうか、自分でもわからなくなる瞬間がある。 一ヶ月悩んだものが、数分で決まることもある。 うまく説明はできないけれど、その迷いや感覚ごと、作品として刻みたい。 ようやく出口が見え始めてきたこのアルバムが、一人ひとりの中で、長く残り続けるものになることを願っている。   <androp・内澤崇仁>

    2026/06/02

  • androp
    imperfect=I'm perfect
    imperfect=I'm perfect

    androp

    imperfect=I'm perfect

     2026年7月15日に“androp”がニューアルバム『imperfect』をリリース!タイトル『imperfect』(インパーフェクト=不完全)には“完璧を作成しやすくなった時代、完璧を求められる時代、だからこそ迷い・傷・余白・時間の痕跡にこそ、生きている実感と美しさが宿る。”という想いが込められております。    さて、今日のうたではそんな“androp”の内澤崇仁による歌詞エッセイを2日連続でお届け。第1弾は今作『imperfect』で大事にしている「不完全という体温」について。言葉と音の「あいだ」のお話。そして、新曲「 Sakura Song 」に込めた思いを綴っていただきました。 ・違和感と向き合う   アルバム『imperfect』は、本来4月8日に届ける予定だった。 制作を進める中で、納得しきれない違和感と向き合い続けた結果、発売を延期することになった。 形としては整っているのに、どこかに名前のない違和感が残る。そんな実体のない何かと対峙する時間が今は続いている。 メンバーを含めたくさんの人を待たせてしまっているという申し訳なさと、それでも妥協はしないという、両方の気持ちがある。   ・不完全という体温   今回のアルバムは、今のandropの表現と、自分の中で変化してきた感覚をそのまま形にしようとしている。 タイトルである『imperfect』は、不完全という意味を持つ言葉。 昨今、AIの発達によって僕たちの生活は劇的に変わりつつある。 音楽の世界でも、曲を生み出すことや、リズムやピッチを整え、言葉を組み立てること自体は以前よりもずっと身近になった。だからこそ、その中で「何を残すのか」を、これまで以上に考えるようになった。   完全や不完全の定義は人それぞれ違う。それを前提としても、言葉であれば、完璧なものよりも少し揺れているものや、言葉になりきらないまま残っているもの。ピッチやリズムであれば、完全にクオンタイズされているものよりも、その「あいだ」で揺らいでいるもの。「完璧に整えること」だけでは表現できない感覚がある。   あえて「不完全」なままにしておくことでしか宿らない体温があるのではないか。完全になりきれない不完全な自分こそが、自分にとっての「完全」なのではないか。そんなことさえ思いながら、これまで以上に深く思考を巡らせている。   ・言葉と音の「あいだ」   思えば昔から、感情や景色を言葉にしようとするたび、その一部がこぼれ落ちてしまうような感覚がある。言葉にしなければ伝わらない。けれど、言葉にした瞬間に失われるものもある。その「あいだ」にある自分の正解を、メロディや音の響きで少しでも手繰り寄せたい。   前に書いた 「言葉の居場所」 という文章でも触れたが、消えかけている足跡や、自分でも忘れてしまいそうな感覚を、もう一度掘り起こして「言葉」という居場所に置き直したいと思うこともある。今回のアルバムにも、そんな葛藤の末に生まれる音楽を残したいと思っている。   ・「 Sakura Song 」という曲   制作が遅れているなか、本来アルバムを届ける予定だった日に「Sakura Song」をリリースすることにした。エンジニアやデザイナー、スタッフが日程を調整して、この曲をこのタイミングで届けられるように動いてくれた。   andropとして、これまでいろんな場所で音を鳴らしてきた。 桜もまた、時期は違えど日本の中を巡っていく。 別れや旅立ちの季節の中で、その先でまた笑い合える未来までをこの曲に込めた。会いたいと願う気持ちや、揺れながら進んでいく時間もそのまま音に残した。 言葉にできなかった想いは消えてなくなるのではなく、そのまま時間の中に溶けて残っていくのだと思う。それぞれの場所で、それぞれの時間を過ごしている人に、この曲が重なってくれたらと思う。   アルバムを掲げた5月からのツアーでは、今のandropとして鳴らせる音を一つひとつの場所で届けていきたい。   「Sakura Song」がその先で出会う景色に繋がっていくのを楽しみにしている。   <androp・内澤崇仁> ◆紹介曲「 Sakura Song 」 作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

    2026/06/01

  • オレンジスパイニクラブ
    好きも嫌いも本音も嘘も、全部口から出る。
    好きも嫌いも本音も嘘も、全部口から出る。

    オレンジスパイニクラブ

    好きも嫌いも本音も嘘も、全部口から出る。

     2026年5月27日に“オレンジスパイニクラブ”が新曲「口」を配信リリースしました。同曲は、7月3日より全国公開される映画『口に関するアンケート』のインスパイアソング。オレンジスパイニクラブにとって初の映画タイアップとなり、スズキナオト(Gt.&Cho.)が楽曲制作を手掛けました。    さて、今日のうたではそんな“オレンジスパイニクラブ”のスズキナオトによる歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、新曲「 口 」にまつわるお話です。ホラーには慣れていたはずの自身が、映画『口に関するアンケート』により恐怖を感じた理由は…。ぜひ、歌詞とあわせて、エッセイをお楽しみください。 ホラー映画をよく観る。 父も母もホラー映画が好きで、小さい頃からその影響を受けていたからか、ホラー映画には怖さだけではなく、安心感や懐かしさ、みたいなものを感じる。   ただ、今回の『口に関するアンケート』は、恐怖の割合がものすごく高かった。 なぜだろうと考えたんだけど、多分<アンケート>という形式がまず怖いんだよな。 普段、映画を観るとき、自分は映画の外にいる第三者で匿名で安全なはずなのに、「アンケートに答える」という形式のせいで急に他人事じゃなくなるというか、「やべー巻き込まれたな」という気持ちになる。   「お、おれは関係ないからな...!」 という気持ちでずっと観ることになるし、ホラー映画において、こういう無責任で逃げ癖があるやつは高確率で死ぬ気がするな、、、とか色々考えて勝手に追い詰められていった。   あと「口に関する」の部分も身近で怖い。 僕みたいに失言に失言を重ね、「なんであの時あんなことを言っちまったんだ...」が頭んなかでグルグル。 眠れない夜が増えた増えた。 “口は災いの元”とはよく言ったもんで、 身に覚えがありすぎる僕はこの部分にもガッツリやられてしまった。   好きも嫌いも本音も嘘も、全部口から出る。 今回の楽曲「口」はそんな言葉の不安定さや脆さにフォーカスを当てて詩を書いた。   自分なりの言葉ももちろんあるけど せっかくのインスパイアソング。 出来るだけ作品の世界観に寄り添えるように言葉を選んでいったので、映画を観る前と観た後では、浮かぶ情景の解像度が違って見えると思います。   映画と合わせて、いっぱい聴いてください!!   <オレンジスパイニクラブ・スズキナオト(Gt.&Cho.)> ◆紹介曲「 口 」 作詞:スズキナオト 作曲:スズキナオト

    2026/05/29

  • yonige
    愛しあって
    愛しあって

    yonige

    愛しあって

     2026年5月27日に“yonige”がニューシングル『芽吹くとき』をリリース。タイトル曲は、TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』OP主題歌です。yonigeらしいざらついた肌触りのギターやベースがリードしていく、春らしい暖かくも爽やかな曲調に、<君がいる明日がいいなって思っていたって変えられない伝えなくちゃ>という歌詞が印象的な楽曲。Vo.牛丸による肯定的なメッセージが込められております。    さて、今日のうたではそんな“yonige”の牛丸ありさによる歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第2弾は、アルバム『Empire』収録の「 愛しあって 」にまつわるお話です。地獄のような恋愛の真っ只中にいたとき、赤裸々な歌詞を書けずにいた、その理由とは…。 前回 の題材、「芽吹くとき」は20代の恋愛を経て、30歳になった自分が書いた恋愛の詩だった。 今回は、2年前の29歳の時に出したアルバム『Empire』収録の「 愛しあって 」について。 まさに自分の20代の一番大変だった恋愛が終わる少し前にリリースしたアルバムだ。   どれくらい大変だったかと言うと、地獄と形容したいほどだが、その地獄の真っ只中で詩を書こうとしても、なかなか赤裸々な詩が書けずにいた。   なぜなら自分の気持ちを形にして世に出したら、過去になるからだ。 “詩に残したら終わる”と、なんとなく肌感でわかっていた私は、直接的な自分の気持ちの詩をずっと書けないでいた。   でもやっぱり、yonigeの作詞者でいる以上、自分のリアルを避けて過ごすことはできない。 そこで一番最初に書いたのが「愛しあって」だった。   そしてリリースした数ヶ月後に、その恋愛は終わった。   作詩というものは本当におもしろい。 詩を書いているとき、潜在意識に深く潜り込むと、顕在意識の自分からは出てこない言葉が見つかったりする。 潜在意識ではもうわかっていたんだろう、この恋愛の先がもう長くないことを。 P.S. この話を踏まえた上で、『Empire』の他の収録曲も聴いてもらえたらおもしろいと思います。   <yonige・牛丸ありさ> ◆紹介曲「 愛しあって 」 作詞:牛丸ありさ 作曲:牛丸ありさ ◆ニューシングル『芽吹くとき』 2026年5月27日発売   <収録曲> 1.芽吹くとき 2.Don’t 3.Wet 4.しがないふたり(re-arrange ver.)

    2026/05/28

  • なきごと
    ただ君がここにいるだけでそれでいいよ
    ただ君がここにいるだけでそれでいいよ

    なきごと

    ただ君がここにいるだけでそれでいいよ

     2026年5月20日に“なきごと”がニューシングル「204号室」をリリースしました。タイトル曲は、TVアニメ『彼女、お借りします』第5期エンディングテーマです。初回生産限定盤と期間生産限定盤の2形態を同時発売。初回生産限定盤には「204号室」と「甘々吟味」(Glico「ポッキー」CMキャンペーンソング)の2曲を収録。期間生産限定盤は、キャラクターデザイン・平山寛菜による描き下ろしジャケット仕様となっております。    さて、今日のうたでは“なきごと”の水上えみりによる歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回が最終回です。綴っていただいたのは、とある曲のお話。“夕暮れ、河川敷、ふたり、手を繋いで歩く帰り道。” このシチュエーションからあなたはどんな景色を思い浮かべますか…? 3週連続で担当させていただいたこの歌詞コラムも今週でラスト…! 私が曲や歌詞を作るときに大切にしていることなど、 伝わってきたのではないでしょうか…!   改めて、この度なきごとは、『204号室』というSingleのCDをリリースしました。 なきごとを好きでいてくれているあなた 初めて出会ってくれたあなたにしっかりと届きますように。   _______________________________   私は、その人の表現を感じることがとても好きだ。 曲をアレンジするときや、MVやアートワークの相談をする時間。   歌詞を見て、曲を聴いて、その人がどう思ったか、 その上でどういう表現をするのかに興味がとてもある。   とある曲の話。   “夕暮れ、河川敷、ふたり、手を繋いで歩く帰り道。”   このシチュエーションが頭に浮かぶような音にしたい。 アレンジの時にもRecの時にもそんなオーダーをした。   補足をすると歌詞の中のこのふたりは、 指でしーっと指を立てるポーズをして、笑い合っている。   さて、あなたはどんな景色を思い浮かべるだろうか。     例えば…   「男女ふたり、一緒に歩く帰り道。 お互いの気持ちを交換し合って、ひとつになった。 クラスのみんなには内緒のふたりだけの秘密。」   だとか、   「友達ふたりで歩く帰り道。 あんなところへ行こうと計画を立てている。 先生ないし、親には内緒のふたりだけの秘密。」   とか。   「男女ふたり、最後の帰り道。 好きなだけじゃ一緒にいられないお互いの気持ちにふたをした。 そんなふたりだけの秘密。」   だったり、   「親子ふたりで帰る帰り道。 アイスを溢さないように食べる。 夜ご飯前に食べたら怒られてしまうだろうから これはふたりだけの秘密。」   とかね。     今一度、あなただったらどんな光景を思い浮かべるでしょうか。   この曲は、聴いた人それぞれの   “夕暮れ、河川敷、ふたり、手を繋いで歩く帰り道。”   を想像してほしくて、あえて主人公を決めない方法で制作を進めました。   存在する記憶でも、しなくても、 聴く人に情景を委ねた楽曲というのは、 歌詞をひとつ基軸に置いて、 この作品に関わる私以外の人間全員が、 各々の解釈でこの作品の色を塗ってくれるような、 そんな感覚になるのです。     そんなこの曲のサビの歌詞は   “誰にも言えないふたりの秘密が 増えてくみたいで なんか愛しくなるよな いつかはふたりと呼べなくなったとしても 今君がここにいるだけでそれでいいよ”   あなたはどんな景色、情景を思い浮かべてくれるだろうか。 あなたが最後に付けてくれて完成される曲になりますように。   _______________________________   3週間お付き合いいただきありがとうございました!   <なきごと・水上えみり> ◆ニューシングル「204号室」 2026年5月20日発売

    2026/05/27

  • Conton Candy
    レイニーデイ
    レイニーデイ

    Conton Candy

    レイニーデイ

     2026年5月20日に“Conton Candy”がMajor 1st Full Album『すっぴん』をリリースしました。今作には、全14曲を収録。メジャーデビュー以降に発表された楽曲の中から、タイアップ楽曲5曲を含む6曲をセレクトし、さらに「レイニーデイ」をはじめとする新曲8曲を加えた構成となっております。    さて、今日のうたではそんな“Conton Candy”による歌詞エッセイを3回連続でお届け。最終回は彩楓が執筆。収録曲「 レイニーデイ 」のお話です。さまざまな感情とともにある雨。雨の日を思い出してみたとき、心に残っている記憶は…。 雨は、時にはキラキラ綺麗に見えたり、時には靄がかかって何も見えないように思えたり、時には洗濯物が干せなくてイライラしたり、時には一緒に泣いてくれているような気がしたりする。   私は雨女のせいか、実際、家を出る時に雨が降り出すことが多い。行事ごとだって中止になったり、片方の手が傘で塞がってしまうから不自由だなー、と思ったり。なんといったって言葉に出来ないような気分の下がりようを感じる日が多かった。 雨の日だ、憂鬱だなあ、と。   でも、辛い考え事をして眠れない雨の日の夜。屋根に当たる雨粒の音が、私と一緒に泣いてくれているような気がした。私の辛さなんて、涙の量なんて、比にならないほどの空からの涙。 なんか、辛いことでもあった?とこちらが聞きたくなるほど、一緒の気持ちでいてくれるような気がした。   大好きな君と同じ傘に入れる日だって、雨の日だ。   そんなことを思ったら、 いろんな感情が寄り添っている、雨。   キラキラ、髪とまつ毛についた霧雨。 大切で仕方ない君と2人で歩く。 ただ、このまま君といて幸せでいられるのかな。 ふと、そんな感情が浮かぶ。 続く道。ぼやけて見えたまま、手を繋いで歩いた日。   思い返して1人、モヤモヤして、どこか憂鬱になる。 また雨の日、ぼーっと信号待ち。 ズボンの裾が濡れて気持ち悪いなあ。 ただ、交差点の地面に落ちる雨粒と、反射するヘッドライトが美しい。 立ち止まる。私はどこに向かっているのだろうか。   雨の日。 あの時、繋いだ手を思い出す。 降り頻る雨が、移り変わる景色と感情を映し出す。 君と一緒にいて、その反面、本当は寂しかった。   きっと誰かもこうして、 人知れず、キラキラ涙を流すようなレイニーデイ。   これからも続く長い道。 わたしたちの足取りは、これからも続く。 心に雨が降った日の、あなたの人生に寄り添える一曲になりますように。   <Conton Candy・彩楓> ◆紹介曲「 レイニーデイ 」 作詞:Conton Candy 作曲:Conton Candy ◆Major 1st Full Album 『すっぴん』 2026年5月20日発売   <収録曲> 1.すっぴん 2.レイニーデイ 3.Rookies 4.思い出は海風のように 5.普通 6.何ら変わりない1日から 7.恋 8.フルムーンライクアキャットアイ 9.スノウドロップ 10.傷 11.OTAGAISAMA 12.ライブハウス! 13.国道20号 14.Touring  

    2026/05/26

  • Conton Candy
    国道20号
    国道20号

    Conton Candy

    国道20号

     2026年5月20日に“Conton Candy”がMajor 1st Full Album『すっぴん』をリリースしました。今作には、全14曲を収録。メジャーデビュー以降に発表された楽曲の中から、タイアップ楽曲5曲を含む6曲をセレクトし、さらに「レイニーデイ」をはじめとする新曲8曲を加えた構成となっております。    さて、今日のうたではそんな“Conton Candy”による歌詞エッセイを3回連続でお届け。第2弾は楓華が執筆。収録曲「 国道20号 」にまつわるお話です。大好きなのに、別れへ向かっていく恋のなか。言葉にできない感情と孤独を抱えながら、今思うことは…。 真夜中走り出す国道20号 私はこの道が逃げ道だった 君といない時の思い出がほとんどだ 幸せで、解放されて、でも辛い 君はいないのに、君からの逃げ道だから 頭は君でいっぱいだった   国道20号 深夜でも走り続ける車たち 酔っ払った人、明日のことを考えて歩く人、幸せそうな恋人たち。 誰といても、どうしても私は孤独だった   見上げた東京の空は曇っていて 全く綺麗じゃなかった 国道20号のオレンジのライトを眺めると、わたしの目からはいきなり雨が降ってきたように大粒の涙がこぼれた   綺麗だな どうしてこう思ったのかは分からない こんな気持ちも季節も 頭の中いっぱいになっている君のことも いずれ恋しくなるんだろうな   さようなら この言葉を伝えた時の気持ちに名前は付けられない さようなら それぞれの道へ それでも、心の距離で繋がっている。   __   「愛を伝えることで何となく続く日々 本当の気持ちはどこ?」   好きな人と時間を重ねていくごとに、伝えることが上手くなるどころか下手になってゆく 複雑になった感情は、伝えることが苦手な私にとってさらに上手く言葉にできない おやすみ、だいすきはすぐに伝えられるのに。   その気持ちも本心? 自分の中で考えては、苦しくなってゆく   先を歩く君と後ろを歩く私 二人の世界は壊れ始めていると感じる私と、目の前に広がる私のいない世界を見ている君 その目にはいったい何が映っているのだろう   見えない喉の蛇口は詰まって、とても苦しい ひねり出せば、何かが変わる?   大好きなのに、離れていく。 不器用な私と君の曲   <Conton Candy・楓華> ◆紹介曲「 国道20号 」 作詞:Conton Candy 作曲:Conton Candy ◆Major 1st Full Album 『すっぴん』 2026年5月20日発売   <収録曲> 1.すっぴん 2.レイニーデイ 3.Rookies 4.思い出は海風のように 5.普通 6.何ら変わりない1日から 7.恋 8.フルムーンライクアキャットアイ 9.スノウドロップ 10.傷 11.OTAGAISAMA 12.ライブハウス! 13.国道20号 14.Touring  

    2026/05/25

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