LIVE REPORT

ビッケブランカ ライブレポート

ビッケブランカ

『GOOD LUCK TOUR 2015』

2015年08月30日@渋谷 TAKE OFF 7

取材:山口智男

2015.09.22

“ビ、ビ、ビ、ビ、ビッケブランカですっ!”。オープニングの「追うBOY」から前作『ツベルクリン』の4曲を立て続けに演奏し、改めて客席に言った自己紹介の挨拶からも、ビッケブランカの意気込みが感じられた。ダンサブルなサウンドとファルセットを武器にユーモアとペーソスが入り混じるポップソングを歌うピアノマン、ビッケブランカ。その彼が8月5日にリリースした2ndミニアルバム『GOOD LUCK』を聴いてからずっと楽しみにしていた『GOOD LUCK TOUR 2015』のツアーファイナルとなるワンマンライヴ。

その『GOOD LUCK』は『ツベルクリン』のワンマンツアー以降、ライヴが楽しいと思えるようになったというビッケブランカが、いいライヴをするために作った作品だったが、“その仕上げ”と自ら位置付け、“ライヴを観てもらわないことにはアルバムが完成しない”と言っていたツアーだ。当然、こういうライヴになることは分かっていたし、だからこそ心待ちにしていたわけだけれど、ライヴパフォーマーとして、その吹っきれ方があまりにも痛快すぎて、アンコールを含め1時間半、鍵盤を連打しながら歌い踊るビッケブランカの熱演にすっかり気持ちを鷲掴みにされてしまった。

この日のメンバーは『GOOD LUCK』のレコーディングにも参加したコジロウこと佐々木康之(Gu)、山崎英明(Ba)、畑 利樹(Dr)という信頼できる兄貴たちに、にしのえみ(Cho&Key)を加えた4人。終演後、“余力を残したくなかった”とビッケブランカは語ったが、逸る気持ちを抑え切れず、序盤から飛ばしまくる彼の熱演に4人も苦笑い...いや、吹き出したいのを堪えているようにも見えたが、弾き語りの「girl」、曲のモチーフになった失恋体験を語った「TARA」他、しっとりと聴かせた中盤の3曲が終わってから、お客さんが楽しんでいることを確かめた畑が“思いっ切りいくからね!”と宣言。コール&レスポンスが楽しい「ココラムウ」「アシカダンス」「ファビュラス」とアップテンポの曲を畳み掛けた終盤は、一丸となって飛ばし始めたバンドに応えるように観客もジャンプ! スタンディングの客席にそれまでになかった大きなうねりが生まれ、それとともにビッケブランカの曲が持つハッピーなヴァイブが会場中に広がっていった。

確かに荒削りだったかもしれない。しかし、いい曲が書けることは『ツベルクリン』と『GOOD LUCK』の2枚で証明済みなんだから、少しぐらい荒削りだっていい。それがライヴの醍醐味だろう。ライヴパフォーマーとして、ひと皮剥けた姿を観ながら、もっともっとビッケブランカのライヴを観てみたいと思った。

アンコールに応え、ステージに戻ってきたビッケブランカが感極まったように見えたのか、“泣くなよ!”という声が客席から飛ぶと、“泣かないよ。泣くのはみんなと一緒に、もっと大きな会場に行った時”とビッケブランカは今後の飛躍を約束したのだった。
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