LIVE REPORT

ビッケブランカ ライヴレポート

ビッケブランカ ライヴレポート

【ビッケブランカ ライヴレポート】『ONE MAN SHOW 「Voom Voom Room」』 2019年6月14日 at 新木場STUDIO COAST

2019年06月14日@

撮影:Taku Fujii/取材:山口智男

2019.06.25

観どころ満載...いや、アンコールを含め全曲が観どころの2時間だった。話題のシングル「Ca Va?」(読み:サヴァ)のリリースを記念して、新木場STUDIO COASTで開催した1日限りのリリースパーティー『ONE MAN SHOW「Voom Voom Room」』。ファンファーレが流れる中、バンドメンバーとともに登場したビッケブランカがピアノをポロポロと弾きながら、フランス語で歌い始める。いきなりの「Ca Va?」に客席から歓声が上がると、冒頭のシャンソンパートを歌い上げるビッケブランカは、“みんなこれが聴きたかったんでしょ? もっともっとちょうだい!”と言わんばかりにじっくりと間を取り、客席からの歓声を楽しんでいる。そして、《C-C-C-C-Cmon Ca Va?》と演奏はテンポアップ。観客が手拍子とシンガロングで応え、早速、会場の温度がぐっと上がる。

そして、“こんばんは! こんばんは!”とステージを左右に走り回りながらとびきりのポップナンバー「ファビュラス」につなげると、そこから2時間、代表曲の数々をたっぷりと披露。ライヴの直前に手に入れたというギターの名器、グレッチのホワイトファルコンを自慢したかったのか(?)、序盤から「Want You Back」「Buntline Special」「Black Rover」と自らギターを掻き鳴らすロックナンバーを並べ、さらに会場の温度を上げると、アーバンな魅力もある「夏の夢」からの中盤では、ビッケブランカのバラードの魅力をアピールする。

“(曲が良ければ)季節は関係ない”と「まっしろ」をしっとりと聴かせ、ポップな魅力に胸が躍るウィンターソングの「Winter Beat」につなげると、バンドの演奏は再びテンポアップ。ファルセットとアンセミックな曲調という意味で、ビッケブランカの代名詞と言える「Slave of Love」「ウララ」と畳み掛け、ダメ押しで盛り上げると、勇壮さも持つ「THUNDERBOLT」で本編を締め括った。

シングルのリリースパーティーならではの自由な選曲は、結果、新旧の代表曲がどれも聴いた人の気持ちを一発で鷲掴みにできるキラーチューンばかりだということと、彼の曲が持つインパクトの鮮烈さを改めて印象付けた。その中で、新たなことにも挑戦した。「Bad Boy Love」では突然現れた女性バイオリン奏者がアウトロを奏で、“誰!?”とびっくりしているビッケブランカに“ライヴ頑張ってね”とだけ言い残して去るという演出も楽しませたが、「Lucky Ending」が終わったところで、“さっきの謎の美女、気になりますよね”と再び呼び込むと、別の女性バイオリン奏者も現れ、“誰!?”とまたびっくり。そんな芝居仕立ての演出は今後、さらに発展するんじゃないかという期待も残しつつ、「WALK」以降の後半は、ビッケブランカバンドにふたりのバイオリニストを迎え、これまで音源に使ってきたストリングスを生音で再現してみせたのだった。

そして、アンコールでは観客のリクエストに応えて懐かしい「秋の香り」をワンコーラスだけ歌うと、本編中に予告していたとおり、この日2度目の「Ca Va?」を披露。冒頭のシャンソンパートからシンガロングを求めたビッケブランカは、その後も歌い続ける客席にマイクを向け、“今日はとても楽しい時間をありがとう!”と大きな一体感を全身で受け止めながら楽しんでいた。

“1日限りのライヴだからできること、やりたいことを盛り盛りに詰め込んだ”と終演後、ビッケブランカは語っていたが、“まだまだやりたいことはいっぱいある”そうなので、10月から東名阪のZeppを回る『Vickeblanka Ca Va Tour』が楽しみだ!

撮影:Taku Fujii/取材:山口智男

ビッケブランカ

ビッケブランカ:美麗なファルセットヴォイスと緻密なコーラスワークを独創性に富んだ楽曲に昇華させ、ポップとロックの間を自在に行き来する、新しいタイプのシンガーソングライター。2016年10月にミニアルバム『Slave of Love』でメジャーレーベルに移籍し、19年に発表したシングル「まっしろ」が日本テレビ系ドラマ『獣になれない私たち』の挿入歌になるなど幅広い世代から注目を集める。同年6月にSpotifyのCMソング「Ca Va?」を表題とした3rdシングルをリリース。なお、“ビッケブランカ”とは“純真無垢な下っ端の海賊”という意味を持つ。

関連ライブレポート