この世に「絶対」と言えることがいくつあるだろうか。

 2023年12月13日“Thinking Dogs”がバンドとして初めてのアルバム『FAQ』をリリースしました。今作には、4月から毎月配信してきたシングル曲に新曲3曲を加えた全13曲が収録されております。さらに12月22日にはアルバム発売記念のワンマンを代官山UNITで開催決定!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“Thinking Dogs”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回。執筆を担当したのは大輝(Dr.) です。綴っていただいたのは、収録曲「多分絶対」にまつわるお話。「絶対」という言葉の存在について考えた結果、大輝がたどりついた一つの答えとは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。



「絶対」という言葉。それはとても強固で、何とも頼り甲斐のある強い言葉。
だけどその反面、とても無責任で、何とも脆く危うい言葉だとも思う。
 
そもそも、この世に「絶対」と言えることがいくつあるだろうか。
 
令和の時代になった今でも天気予報はハズレるし、仕事で信頼できる上司のアドバイス通りにしても失敗することもあるし、親しい友達からの恋愛のアドバイスだって当てにならないこともある。
 
それを考えると、生活の中でちらほら見聞きする「絶対」という言葉の影には、いつも「多分」という言葉が隠れているように思えてならない。
そう思うようになってから、「絶対」という言葉を口にするのが少し苦手になった。
 
「絶対に大丈夫。」「絶対に上手くいく。」
そんな言葉を人に掛けたことが、誰しもきっとあると思う。もちろん僕もある。
 
相手を勇気付けるために良かれと思って掛けた言葉。
今思うと何の確証もない、なんて曖昧で無責任な言葉を掛けていたんだろう…と少し反省する。
 
 
もし「絶対」と言えることがあるとしたら、それは「命あるものはいつか死ぬ。」ということくらいだと思う。
 
だけどそれも今のところは…の話。
少し都市伝説的な話になってしまうけど、いつか人間は肉体を捨ててメタバースの世界で生きるようになって、そこで永遠の命を手に入れる日が来るかもしれない。なんて話もある。
 
そうなったら、僕の思う唯一の「絶対」にも「多分」がくっ付いて、いよいよ僕の中の辞書から「絶対」という言葉は消えてしまうかもしれない…。
 
 
そんなことを思う中で、僕が辿り着いた一つの答え。
「絶対」は最初から有るものではなくて、自分で生み出すもの。自分が「絶対」だと思いたい、信じたいものを努力と経験で磨き上げたとき、初めてそれになるのではないか。
 
生きていく上で指標となる明確な答えなんてそうそうない。だからこそ人は悩み、迷い、苦しむ。
そんな茨の道のような人生を少しでも生きやすくするために、自分だけの「絶対」を僕はこれからも探す。

<Thinking Dogs・大輝>



◆紹介曲「多分絶対
作詞:大輝
作曲:綿引裕太

◆ニューアルバム『FAQ』
2023年12月13日発売

<収録曲>
1.I xxxx YOU
2.多分絶対
3.エレメント
4.オートクチュールな愛を
5.ダレカ
6.キャパクラ
7.棘
8.サンクション
9.KODONAism
10.燃やせ
11.メメントモリ
12.深海魚(FAQ ver.)
13.Possibility≠0