鈴華ゆう子
涙のあとに残るのは、静かな光。
2025年10月29日に“鈴華ゆう子”がニューアルバム『SAMURAI DIVA』をリリースしました。今作には、先行シングルとして配信中の「ケサラバサラ」「パピヨン」「うたいびと」のほか、ライブで披露されており今回初音源化となる「泥棒猫」や陰陽座のカバー「甲賀忍法帖」、アルバムオリジナルの新曲など計15曲が収録されております。
さて、今日のうたではそんな“鈴華ゆう子”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。第2弾は、収録曲「 月の兎 」にまつわるお話です。かつて自身のそばにいた一羽の兎が教えてくれたのは、想いは形を変えて続いていくということ…。ぜひ歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。 「月の兎」
この作品のモチーフとなったのは、かつて私のそばにいた一羽の兎です。
言葉を持たず、ただ静かに寄り添ってくれていた小さな命。
その存在がいなくなっても、
ふとした夜、風の音や月の光の中にその“気配”を感じる瞬間があります。
ただ、この歌は単に“別れ”を表現したものではありません。
「兎」はあくまで象徴であり、
誰にでもある“失ってもなお心の中で生き続ける存在”を表しています。
人が誰かを想う時、その想いは形を変えて残り続けるでしょう。
孤独や別れの静寂の中に、
“想いは形を変えて続いていく”というメッセージを込めました。
失った誰か、もしくは離れた誰かを想い続ける切なさはありつつも、
“悲しみ=つながり”として受け入れる成熟した想いに焦点をあてています。
涙を流しきった後の、静かな時間、信頼のようなものを感じていただけるよう、「存在の余韻」を描きました。
“今も静かに共にある気配”を、
聴く人それぞれの“誰か”や“何か”に自然と重なり、個人の体験が普遍的な祈りへと変わっていくよう背中を支えられたら本望です。
別れの先にも続く繋がりを大切にし、
悲しみを“終わり”ではなく“つづき”として描くことで、聴く人自身の心の中にも、あたたかい余白が生まれてくれるといいなと思っています。
涙のあとに残るのは、静かな光。
淡くても確かに照らしてくれるような温かさ。
「月の兎」は、そんな光を見つめるための歌です。
この歌が、あなたにそっと寄り添う曲になれますように。
<鈴華ゆう子>
◆紹介曲「 月の兎 」 作詞:鈴華ゆう子 作曲:鈴華ゆう子
◆ニューアルバム『SAMURAI DIVA』
2025年10月29日発売
<収録曲>
01. SAMURAI DIVA
02. ケサラバサラ
03. Incubation
04. 泥棒猫
05. ミトコンドリア
06. Bloody Waltz
07. SHIGIN BEATS-大楠公-
08. うたいびと
09. 百年夜行
10. 甲賀忍法帖
11. 巡り巡る
12. The Battle of the Monkey and the Crab
13. パピヨン
14. 月の兎
15. サムライハート(Bonus track / CDのみ収録)