さよならじゃない。例えばもう、会えなくなっても。

 2018年9月26日に“Uru”がニューシングル「remember」をリリースしました。今作のタイトル曲は『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』主題歌に抜擢された楽曲です。しっとり柔らかく美しいピアノの音で幕を開けるイントロ。そこへ溶け込んでゆく彼女のナチュラルな澄んだ歌声。今日のうたコラムでは、そんな新曲をご紹介いたします。

夏の終わりを知らせるように
道端にそっと 並んで咲いた
夕にも染まらず風も知らない
青い、青い、リンドウ

傷つくことを恐れながら
心を隠したりしたけれど
誰かが傍にいてくれる温かさを
教えてもらったから
「remember」/Uru

 青い、青い、リンドウ。晴れた秋の日、上向きに凛と咲く花です。この花には【あなたの悲しみに寄り添う】という花言葉があるのですが、歌の主人公は<道端にそっと 並んで咲いた>リンドウを目にしたとき、まさにいつも自分の隣で“悲しみに寄り添ってくれていた人”の存在を思い出したのではないでしょうか。

 ずっと<傷つくことを恐れながら 心を隠したり>して、土の中に閉じこもっていた冬。芽を出してみたら誰かに出会えた春。少しずつ<誰かが傍にいてくれる温かさを>教えてもらいながら成長していった夏。そして<夏の終わりを知らせるように>花を咲かせた秋。その<夏の終わり>は、主人公の“臆病”の終わりにも重なります。

遠くで聞こえる祭りの声は
関係ないんだって そう思っていた
見たくもなかった境界線が
寂しかった日々

誰の背中も追わなかった
時には嘘もついたけれど
守りたいものがここにできたこと
それがただ嬉しくて
「remember」/Uru

 2番の歌詞に綴られているのは、まだ“臆病”で誰に対しても<心を隠したり>していた夏の日々のこと。たとえば、友達と思いっきり騒いだり。恋人と打ち上げ花火を見上げたり。そういう、誰かと共有し合う類の幸せは自分には一生<関係ないんだって>勝手に<境界線>を引いて、寂しさだけを抱えていたのでしょう。
 
 しかし、リンドウは青い花を咲かせ、秋のはじまりを教えるのです。初めて<誰かが傍にいてくれる温かさを>知って、やっと<守りたいものがここにできた>新しい自分のはじまりに気づくのです。そうして主人公は、自ら引いた<境界線>をふわりと越えて、あの<寂しかった日々>を背に、この道の先へ進んでゆきます。

さよならじゃない
向かい合えずいた寂しさも
帰りたい場所がここにあるだけで
それだけで 強さに変わる

愛されたいと本当はもがいていた
この孤独も涙も包むような
優しさに出逢えたから

さよならじゃない
例えばもう 会えなくなっても
きっとどこかで
笑っていると
心繋げて

さよならじゃない
名も知らない遠い場所へ
離れたとしても 記憶の中の
温もりを ずっとずっと忘れないよ
「remember」/Uru

 そして、包み込むような歌声が響き渡るラストのサビ。もしかしたらこの先<誰かが傍にいてくれる温かさを>教えてくれた人と<名も知らない遠い場所へ>離れる日がやってくるかもしれません。だけどもう<傷つくこと>も<祭りの声>も<寂しさ>も<孤独>も<涙>も怖くはないのでしょう。
 
 何故なら、二度と忘れない<優しさ>や<温もり>がいつだってお守りになるから。それに<帰りたい場所がここにある>ことや、<愛されたいと本当はもがいていた>自分を受け止められたことや、<きっとどこかで 笑っていると>思うことが、すべて生きる<強さ>に変わるから。
 
 人は一度、絆が結ばれたら、会えなくなっても<さよならじゃない>。一緒に過ごした時間のなかで、芽生えた感情や交わした言葉が、自分の心の一部になって息づき続ける。そんなメッセージが込められているのが、Uruの「remember」です。是非、あなたにとっての大切なひとを思い浮かべながら、歌詞に、歌声に、浸ってみてください。

◆紹介曲「remember」
作詞:Uru
作曲:Uru

◆New Single「remember」
2018年9月26日発売
期間限定生産盤 AICL-3560~1 ¥1,800(税込)
通常盤 AICL-3562 ¥1,200(税込)

<収録曲>
1. remember
2. ごめんね。
3. One more time, One more chance
4. フリージア Self-cover ver.
5. remember -instrumental-
6. ごめんね。 -instrumental-