深みのある暗めのブルーではなく“明るい青”にしたい想いが強かった

 2020年3月18日に“Uru”がニューアルバム『オリオンブルー』をリリースしました。今作には、これまでにリリースした「remember」、「プロローグ」、「願い」に加え、ドラマ『テセウスの船』主題歌として話題を呼んだ「あなたがいることで」も収録。Uruがこれまで積み重ねてきた活動の集大成のような内容となっている作品です。

 さて、今日のうたコラムでは特別に、そんな最新作を放った“Uru”さんへのメールインタビューを【前編】【後編】に分けてお届けいたします。まず【前編】では、アルバム収録曲についての想いはもちろん。ドラマ主題歌の大ヒットや初のテレビ出演、歌詞面の変化などをお伺いしました。彼女の透き通った歌声と、まっすぐな言葉たちが、その心へ届きますように…!

~Uruメールインタビュー【前編】~

― Uruさんと言えば、やはり2018年12月リリース「プロローグ」の大ヒットがひとつの大きな転機ですね。この歌の反響はどういったところから感じましたか?

SNSやミュージックビデオのコメント欄などで、これまで以上に多くの方からメッセージをいただきました。あとは動画配信サイトで「プロローグ」をカバーしてくれる方がたくさんいたことでも、歌が届いていると実感できてありがたいなと思いました。とくに、歌詞を切り取って「ここがすごく共感する」と言ってくださっているのを見ると、とても具体的な喜びというか、歌詞に共感してもらえるって本当に嬉しいことなんだなと気づきました。

― また、これまでTV出演はされてこなかったUruさんですが、先日の『CDTV』や『Mステ』大変感動いたしました。

出演させていただいた際にもお話しをさせていただいたのですが、テレビなどの華やかな場所が自分にはそぐわないと思っていて、それは今もそう思っているのですが(笑)、デビューからここまで本当にたくさんの方のお力をお借りして今の自分がいるということや、何より、いつも応援してくださる皆さんに感謝の気持ちを伝えたいと思ったときに、出演させていただこうと決心することができました。

― タイアップ曲のヒット、楽曲提供、TV出演、と様々な経験を重ね、新章へと進んでいるUruさんですが、なにかご自身で“歌詞面”で変化したと感じるところはありますか?

歌詞を書くにあたって、ありきたりな言葉はあまり使いたくないという意識がずっとあったのですが、でも、今は「なぜその言葉がスタンダードに成り得たのか」という事を深く考えるようになり、それからは妙に納得したというか、あまり考えすぎず、これだと思った言葉を素直に使えるようになりました。

― では、ここからはニューアルバムについてお伺いしていきます。前作アルバム『モノクローム』の“モノクロ”から、今作では『オリオンブルー』というご自身のイメージカラーがタイトルに表れているんですね。

まず1stアルバムは、私の原点でもあるモノクロの世界からの出発という意味で『モノクローム』というタイトルにしたのですが、今回はそこから時間が経過して、少しずつ自分なりの色というものを見つけて来ることができたかなと思ったのと、いつも応援してくださっている皆さんに私から連想する色をお聞きした時に、ブルー系が多かったのをタイトルの参考にさせてもらいました。

ジャケットやアーティスト写真、ライブの照明でもブルーを使うことが多かったですし、バラード=寒色というイメージもあったと思います。私自身は緑が好きで(笑)、緑がかったブルーということで『オリオンブルー』にしました。雰囲気やイメージとしては、深みのある暗めのブルーではなく“明るい青”にしたい想いが強かったです。この色の私的なイメージは、うーん…綺麗な海の色ですかね。

― 2曲目「今 逢いに行く」は、いつ頃どのようなきっかけから生まれた楽曲でしょうか。

デビューする前に作った曲なのでもう4年以上前ですね。Uruとして初めて作ったオリジナル曲です。男女のイメージを膨らませながら書いたのですが、曲の雰囲気から歌詞を書いていって、煮詰まることもなくとても自然な流れの中で生まれた楽曲でした。

― ドラマ『テセウスの船』主題歌として書き下ろされた、3曲目「あなたがいることで」は大変歌詞人気も高く、現在もなおアクセスを伸ばし続けております。Uruさんご自身はドラマを観ているなかで、どのフレーズがもっとも心に響きましたか?

私自身もそうですが、コメントやメッセージで多く届いたのは、<会えない日々が続いたとしても 僕はずっとあなたを想うよ>というフレーズだったでしょうか。ドラマに寄り添うことができたのかな…と思うことができました。

― 5曲目「marry」は、Uruさんには珍しい幸せなラブソングではないでしょうか。

そうですね。カバーをさせていただいていた頃もそうですし、私のウエディングソングでないオリジナル曲でも、ウエディングソングとして使ってくださる方の声が届いていたこともあって、それであればザ・ウエディグソングを作ってみたいと思ったことがきっかけでした。しっとりとしたものか、明るい曲調のものか迷いましたが、まずは明るい方を、と思って作ってみました。人生に一度、本当に幸せで大切な瞬間に自分の楽曲が寄り添えることがあったら…そんなに嬉しいことはないですね。

― 8曲目「頑な」は、プロボクサー・和氣慎吾さんのドキュメンタリー番組がきっかけで生まれた楽曲だそうですね。具体的には、どのようなシーン、言葉、想いに胸を打たれたのでしょうか。

和氣さんが歩んでこられた道のりにとても共鳴したというか、心に響くものがあって、気づいたら泣きながら見ていて、自分でもびっくりしました。当時の私は、とてもくよくよとしたネガティ部の部員だったので、自分と向き合って、周りに何を言われても貫きたい気持ちがあるという和氣さんをすごいと思いましたし、勇気をもらいました。その感情や勢いのまま、ピアノに向かって、和氣さんがスパーリングをするように、私はピアノを弾いて曲を作りました。なので、和氣さんと、そして自分自身への応援歌でもあります。

― 9曲目「いい女」は前作の「いい男」と対になる名曲ですね。どちらも別れたあとの“強がり”という点では通じておりますが、<僕>と<私>で異なるところを挙げるとすると?

異なるところは、ないのかもしれません(笑)。あえて言うとすれば、並べる「理屈の多さ」でしょうか。男性の方は、あまり思い出を語ったりせず、ただ自分のなかだけで彼女への想いに浸っていますが、女性の方は、細かい思い出を口に出しているというか。根本は男性も女性も同じだとは思うのですが、男性同士あまり恋愛話はしないけれど実は心の中ではものすごく色んな事を想っていて、女性は女性同士恋愛相談をしたりトークが止まらなくなったりするもの…そういうところに通じているのかもしれません。


【後編】に続く!(5月1日公開)

(取材・文 / 井出美緒)

◆New Album『オリオンブルー』
2020年3月18日発売
初回生産限定盤(映像盤) AICL-3840~1 ¥5,000(税込)
初回生産限定盤(カバー盤) AICL-3842~3 ¥4,000(税込)
通常盤 AICL-3844 ¥3,000(税込)

<収録曲>
1. プロローグ
2. 今 逢いに行く
3. あなたがいることで
4. space in the space
5. marry
6. 願い
7. Don't be afraid
8. 頑な
9. いい女
10. PUZZLE
11. Scenery
12. 横顔
13. remember
Special Track
Binary Star / SawanoHiroyuki[nZk]:Uru

<MUSIC VIDEO>
1. プロローグ
2. 願い
3. あなたがいることで
<Uru Live「 T.T.T 」@東京・TOKYO DOME CITY HALL>
1. The last rain
2. いい男
3. remember
4. アリアケノツキ
5. 娘より
6. プロローグ
7. フリージア
8. 奇蹟
9. 君を忘れない(松山千春)
10. ごめんね。

<初回限定盤B(カバー盤)>
新曲カバーを含む8曲を収録

1. 3月9日(レミオロメン)
2. カムフラージュ(竹内まりや)
3. 白日(King Gnu)
4. このまま君だけを奪い去りたい(DEEN)
5. Funny Bunny(the pillows)
6. Pretender(Official髭男dism)
7. 若者のすべて(フジファブリック)
8. 雪の華(中島美嘉)