物語のヒロイン(吉岡里帆)は、110世帯の生活保護受給者たちを「生活課」で担当。歯車の狂ってしまった彼らの人生を、どうすれば希望ある明日へ導けるのか。どうやって彼らの人生に、寄り添い、向き合い、自立への道筋を見つけ出してゆけばいいのか。22歳の新人が、壮絶な現実で様々な壁にぶつかりながらも、誰かの生きる光になってゆく…。そんなドラマを彩るのが、安田レイの「Sunny」なんです。
臆病と訳なき焦燥
その狭間小さなため息
空回りの答え集めたら
追い風に変わると思いたいこの頃
きっと何度迷って泣いて 乗り越えてきても
また自信を失くして立ち止まりながら行くのだろう
「Sunny」/安田レイ
歌は、物語を晴れやかに照らすようなサウンドで幕を開けます。しかし冒頭に綴られているのは、ドラマのヒロインの心情にも重なるいろんな苦悩。自分のちょっとした言動が誰かを傷つけたり、大きな失敗に繋がるかもしれない恐れによる<臆病>と。もがいても思うように事が運ばない<焦燥>と。早く成長したいのに、相反する<臆病>と<焦燥>の<狭間>で心が揺れ惑っております。そんなふがいない自分に<小さなため息>を吐いてしまう感覚、なんだかわかりますよね。
だけどこの歌の<私>は、わたしたちにいくつもの“力”を教えてくれるんです。まずは、自分の弱さから目を逸らさない力。鈍感になれば<臆病>も<焦燥>も<ため息>もなくなるのでしょうが、それはきっと強さとは呼べません。さらに、困難のなかでも<空回りの答え集めたら 追い風に変わると思いたい>と前向きな未来を想像できる力。雨のときに晴れを、向かい風のときに追い風を期待するのは難しいこと。それでも<私>は今の<空回り>さえ無意味ではないはずだと、自分に言い聞かせるのです。
さらに、どんなことが起ころうと<行くのだろう>と進むことを選択しようとする力。これまで、自分の弱さから目を逸らさなかったがゆえに<また自信を失くして>立ち止まるであろう情けない予想はできるのでしょう。ただ一方で、何度でも<乗り越えて>きた確かな軌跡と、前向きな未来を想像できる力もあります。では、いざというとき弱さと強さどちらが勝つか。やはり、着々と築き上げてきたいくつもの“力”が<行く>という選択をしっかり支えてくれるのではないでしょうか。
手をのばせば届くくらいのヒカリでいたい
わたしのために泣いてくれたあの笑顔みたいな
ため息ひとつで逃げてく 小さなしあわせ追いかけて
ナミダ流してもいい
太陽が笑う日を 一緒に見ていたい
自分撮りのピース掲げて 矛盾だらけに今 向き合う
出会ったから 出会えたから
その一言で また走り始めてる
私らしさ見つけたくて
重くなった君の胸の奥の方がほんの少しだけ
軽くなっていたらいい
太陽が笑う日に 一緒に笑っていれたらいい
「Sunny」/安田レイ
そしてサビフレーズでは<私>の持つ“力”が<太陽>のようなエネルギーになって溢れ出します。でもそれは自分ひとりで作り出した力ではないんですよね。たとえば<わたしのために泣いてくれたあの笑顔>や<出会ったから 出会えたから>誰かがくれた<その一言>が<私>をパワーアップさせるのです。また<手をのばせば届くくらいのヒカリでいたい>と、<重くなった君の胸の奥の方がほんの少しだけ 軽くなっていたらいい>と、誰かを心から想う気持ちが<私>をもっとパワーアップさせるのです。
この歌の<私>が持つ最大の“力”は、そうして人と人との繋がりを何より誰より大事にできる力なのでしょう。ドラマ“ケンカツ”で、生活保護受給者の人生と真剣に向き合うヒロインの姿にも重なります!是非、あなたも<太陽が笑う日に 一緒に笑っていれたらいい>と大切な存在を思い浮かべながら、安田レイの「Sunny」を聴いてみてください…!
◆紹介曲「Sunny」
2018年8月22日発売
作詞:松原さらり・安田レイ・玉井健二
作曲:南田健吾