2025年7月23日に“バウンダリー”が2nd Full Album『ミラクル』をリリースしました。今作には、弾けるようなポップな表現で“沼”る様子を描いたリード曲「沼。」を始め、女性ならではの目線でロックンロールを歌う、大ボリュームの全10曲が収録。メンバーの“今”が詰め込まれた曲達は、聴くひとの全てを包み込む強くて優しい1枚に。
さて、今日のうたでは“バウンダリー”の中道ゆきによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。第1弾は収録曲「沼。」にまつわるお話です。どんどん気持ちが膨らんでいく、自分にとっての生きがいになる。あなたにとってのそんな存在は…? ぜひ歌詞とあわせて、エッセイをお楽しみください。
「好き!」と言える存在って、これまでの人生でどのくらい出会ってきただろう。
人物、音楽、キャラクター、食べ物、映画、スポーツ…ジャンルもいろいろあるよね?
気持ちはずっと同じとは限らないから、離れてしまったものもたくさんあると思うけれど。
記憶をさかのぼると、私の初恋はたぶん、小学生のころ。席が隣の男の子。
給食の時間にしりとりをする毎日だった。
いつもラ行攻めで来られるので、必殺ラ行返しの「ランドセル」を切り札に用意したりなど。
楽しいなと思っていた。
それだけだったのに、気づいたらその子のこと、目で追うようになっていて。
“好き”なんだと確信したのは音楽の授業、歌のテストのとき。
聴こえたのは、しりとりのいたずらっぽい声とはちがう、少しハスキーで繊細で、真っ直ぐな歌声。
心臓の音が漏れていないか心配になるくらい、ドキドキした。
テスト中で静かだったので、もはや漏れていたかもしれないけれど、かまわない。耳は歌声に集中させた。
ちなみにこの初恋、まさかの展開が待っている。
とある休み時間。この日は気分を変えて、絵しりとりをしていた。
長くつづいてもう終わりにしようかというタイミングで、急に、自由帳の真っ白なページを差し出し、
「メールアドレス書いて」と言われて。
家に帰るとメールが届いた。
「やっほー」みたいな、たわいないやり取りだったかな、しばらくメールしていると、
「お姉ちゃんのアドレスも教えてくれへん?」と。
…同じ小学校に通う私の姉のことが気になっていたみたいです。
なんて悲しい初恋の終幕!
二十年も経った今でも、よく覚えているものだな。
そして今回のアルバムには、“好き”をテーマにした一曲を。愉快なビートに乗せて、タイトルは「沼。」
おかげで早起きできたり、元気をもらったり、苦しいとき踏ん張れたり、踏み出す勇気をもらったり。
そんな存在に出会えたなら、自分にも拍手。
ぷくぷく膨らんでいく気持ち、ハマっていく沼。
溺れないようにだけ気をつけて、楽しめたらいいな。
<バウンダリー・中道ゆき>
◆2nd Full Album『ミラクル』
2025年7月23日発売
<収録曲>
1. 沼。
2. カレンダー
3. エナジー
4. 三月の風
5. いちについて
6. ハシレ
7. たとえばロックンロール
8. こんなに
9. もう、思い出
10. 輝く