バウンダリーを好いてくれる皆はきっと、私達に似ている。

 2023年7月12日に“バウンダリー”が1st Full Album『あしあと』をリリースしました。今作には全10曲が収録。リード曲「足跡」は、彼女達のバンド活動を振り返るような歌詞と映像が印象的な1曲。これまでの思い出も紆余曲折も全部を花束みたいに抱え、これからを駆け抜けていく彼女達から目が離せません…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“バウンダリー”の中道ゆきによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾です。綴っていただいたのは、曲の事を考える時間のお話。どんな気持ちで歌詞を書くのか。そして、どんな気持ちでバウンダリーの音楽を世に放つのか。今作と併せて、エッセイを受け取ってください。



ハマっている抹茶ティーラテを飲みながら公園のベンチで、1時間くらい経つ。
夢中になって歌詞を考えていて、ふと頭を掻こうと後ろに手を回したら、髪にしては硬い感触。
後ろに木があるから葉っぱかな? と思いそれを取ると……カマキリだった。
突然のカマキリ……驚いて物凄い声を出しながらバッッとベンチを離れてしまったけど、
今思えば、カマキリは鮮やかな黄緑色をしていて可愛らしかったし、手元の抹茶ティーラテとお揃いの色だった。
せっかくなら写真の一枚でも撮ればよかったなあ。
 
早速話が逸れてしまったけど、曲の事を考える時はそんな感じで屋外でぼーっとしていることが多い。
私はあまりポンポンと曲を生み出せるほうではないから、もどかしい時間も沢山あるけど、
これだ! と思うフレーズが自分の中で生まれる瞬間といったらもう、たまらない。
周りの人に不審に思われないよう声は極限まで小にして、絞り出すように、ボイスメモに吹き込む。
一応平静を装うんだけど、もしこの瞬間の心拍数を測ったりしたらめっちゃやばいと思う。
 
出来た歌を3人でこだわってこだわって曲にして、レコーディングをして、CDにして、お店に並べてもらって。
今回のアルバムをお店で実際に目で見た時、とんでもなく幸せだった。
隅々まで愛情をたっぷり詰めたんだ。
あとは沢山、受け取ってもらえますように。
 
歌詞って、耳に入るだけじゃなく心まで届いてほしいからいつも悩み込む。
けど、結局は素直な気持ちが一番だなって、自分なりの言葉を紡ぐことにしている。
私達の音楽を気まぐれでいいから側に置いてほしい、心のどこかにお邪魔させてほしい。
聴いてくれる皆への、ラブソングが一つ、出来ました。
 
バウンダリーを好いてくれる皆はきっと、私達に似ている。
似たもの同士惹かれるように、まだまだこの先もいっぱい出会いたい。
 
心は変わっていくから、“ずっと”なんてものは無いのかもしれない。
でも、ライブで向かい合って歌える喜び、確かなトキメキ、加速していく気持ち。
これだけは私達、ずっと感じていたいなと思う。
 
<バウンダリー・中道ゆき>


◆1st Full Album『あしあと』
2023年7月12日発売
 
<収録曲>
1. 足跡
2. こんな言葉じゃ
3. でたらめ
4. あの言葉
5. バルーン
6. 儚い夢
7. ゆきさき
8. 暗闇
9. 気まぐれ
10. 音楽よ