普段どんなに自信が持てなくても、無敵になれる瞬間がある。

 2023年7月12日に“バウンダリー”が1st Full Album『あしあと』をリリースしました。今作には全10曲が収録。リード曲「足跡」は、彼女達のバンド活動を振り返るような歌詞と映像が印象的な1曲。これまでの思い出も紆余曲折も全部を花束みたいに抱え、これからを駆け抜けていく彼女達から目が離せません…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“バウンダリー”の中道ゆきによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第1弾です。綴っていただいたのは、今作のタイトル『あしあと』に通ずるお話。メンバー3人のそれぞれ異なる人間性。10年間バンドを続けてきた今の想い…。ぜひ今作と併せて、エッセイをお楽しみください。



「アリが10匹」
これは今回のアルバムの、不採用になったタイトル。
「あしあと」
改めて、こっちの方がしっくり来る。
 
私達はバウンダリーというバンドをやって気付けば10年。
3人、そりゃ感じ方や考え方も違うしキャラクターも全く違う。
同じなのは150センチの背丈くらい。
それなのにずっと一緒に音楽をやっている事、本当に奇跡みたいだと思う。
 
さくちゃんはエンターテイナーだから、どんな時もさくちゃんであることをサボらない。
ライブの打ち上げも、スタジオ練習の帰り道も、そうだな、偶にさくちゃん自身が落ち込んでいる時も。
全力でおちゃらけていて笑っちゃうし、心がぽっかぽかになって実はよく泣きそうになる。
 
ふうちゃんはしっかり者だから、道が逸れそうになったら引っ張って戻してくれるし、
お目目2つ以上あるんじゃないかってほど周りを見ていて、心くばりが温かい。
あと嬉しい時に一番に喜んで、悔しい時、一番に熱い涙を流してくれるのもふうちゃんだと思う。
 
私はというと、めちゃめちゃ引っ込み思案。
例えば小学生の頃、国語の授業の音読で自分の番が回ってくる度に心臓が飛び出しそうだった。
なのにこのバンドでボーカルをやっている。
幼い頃から、前に出るのが得意じゃないくせにステージだけは大好きで別物の感覚だった。
普段どんなに自信が持てなくても、無敵になれる瞬間がある、あの不思議な空間には。
 
…どれも私目線だけど、そんな3人です。
 
これまで色んな楽しい場面があった、けど苦しい思い出も沢山あり。
それが薄れないように時々、あの出来事は必要だったって言い聞かせるように、思い返す。
それが無かったら今は無いし、無理矢理にでも受け止めて少しでも前に進めているとしたら胸を張りたい。
 
頑張っている事、夢中になっている事、小さな事でも誇りを胸に、
全員でレッドカーペット歩こうぜ! そんな気分で一曲が出来ました。
 
まだまだ小さな私達を見つけてくれて、好きになってくれちゃったりなんかして、
皆の愛があるから、バウンダリーという物語がつづくんですよね。
 
<バウンダリー・中道ゆき>


 
◆1st Full Album『あしあと』
2023年7月12日発売
 
<収録曲>
1. 足跡
2. こんな言葉じゃ
3. でたらめ
4. あの言葉
5. バルーン
6. 儚い夢
7. ゆきさき
8. 暗闇
9. 気まぐれ
10. 音楽よ