カラリと晴れた青空は
こんなに綺麗な青なのに
悲しく積もるユウウツを
どうしてブルーと呼ぶのかな
「ブルー」/黒木渚
まず、冒頭のフレーズからは<ブルー>という色が含んでいる、両極のイメージが伝わってきます。開放感のある<カラリと晴れた>青空のような気持ちの良さ。不安や寂しさや<悲しく積もるユウウツ>を表す冷たさ。その色の感じ方はきっと、自分自身の心模様しだいなのでしょう。たとえばこの歌の<私>にとって今、晴れた青空の<綺麗な青>とは、自分のなかのブルーな感情を余計に際立たせる痛みを伴う色なのだと思います…。
1日3回ひとつずつ
まあるい元気を飲み込んだ
お腹で溶けたビタミンは
私の元気になるのかな
ブルー、ブルー、ブルー、
少し泣いたらまた明日
「ブルー」/黒木渚
さらに<ブルー>とは、生命の源である海や、身体に不可欠な水、溢れ出す涙、など<命>を感じさせる色。それはフレーズひとつひとつに表れております。<1日3回ひとつずつ まあるい元気を>飲み込んで、毎日毎日、病と闘って過ごしていた黒木渚の姿も見えてきそうですね。また、3回繰り返される<ブルー、ブルー、ブルー>は<お腹で溶けたビタミン>が、1回飲み込むごとに少しずつ心の<ブルー>に効いて<私の元気>になっているかのようにも感じられます。
切ないほどに優しくて
弱音も吐けずに強がった
重く残った無気力は
私を許してくれるかな
ブルー、ブルー、ブルー
少し泣いたらまた明日
「ブルー」/黒木渚
同時に、その<ブルー>が<私の元気>になるために欠かせないものは“涙”です。これまでは<弱音も吐けずに強がった>彼女…。でも<ブルー、ブルー、ブルー>とひと粒ひと粒、涙をこぼしたことによって<また明日>と思える生命力を保つことが出来たのではないでしょうか。実際に、黒木渚はそうやって弱さと向き合ったからこそ、上向きになることができて、「泣くことはカッコ悪いものじゃないなって思った」のだとも語っておりました。そして、そのビタミンや涙の力は、サビの想いへと繋がってゆきます。
本当は知ってるのに
臆病になっていたあの日の弱さ
心はもう逃げない
しあわせよかかってこい
体は生きてるのに
気まぐれに去ってった私の命
心はまだ逃げない
悲しみよかかってこい
しあわせよかかってこい
「ブルー」/黒木渚
人それぞれ、体でも心でもない<私の命>というものがあるのでしょう。それは、家族や友達かもしれませんし、恋や夢や仕事なのかもしれません。黒木渚にとっては<声>でした。そんな最も大切なものを失ったとき、生きている意味を見失うことは誰にでもありうることです。しかし、体は鼓動や呼吸を続けるし、心は苦しんでも悲しんでも逃げない。その事実が<私>を支えるのです。だからこそ、この曲のラストに綴られている<悲しみよかかってこい しあわせよかかってこい>というフレーズには<ブルー>によって回復した“強さ”を感じますね。
今、自分にとっての<命>を失って抜け殻のようになっているという方、泣けずに強がっているという方、誰にも言えない孤独を抱えているという方、是非、黒木渚の「ブルー」を聴いてみてください。この歌がその体と心に<ブルー、ブルー、ブルー>と沁みこんで、ほんの少しでも、上向きになれますように。
◆New Single「解放区への旅」
2017年9月20日発売
初回限定盤A(CD+DVD) LASCD-0080 ¥2,300+税
初回限定盤B(CD+冊子) LASCD-0081 ¥2,300+税
通常盤(CD) LASCD-0082 ¥1,200+税
<収録曲>
01. 解放区への旅
02. 灯台
03. 火の鳥
04. ブルー