ラブソングは処方箋

 2023年9月20日に“MACO”が約1年半ぶりの新曲「ラブソング」をリリースしました。同曲は、TikTok上で100万回再生を瞬く間に超え、多くのファンから「フルで聴きたい」「待ってたよ」「リリースして欲しい」という声が寄せられていたもの。夏の終わりをテーマにした切ない楽曲で、そのどこか懐かしいメロディーが印象的な1曲です。
 
 今日のうたコラムではそんな“MACO”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「ラブソング」にまつわるお話です。今日は心が満たされていて、なんだか幸せなあなたへ。今日は何かが足りなくて、なんだか寂しいあなたへ。この歌詞とエッセイを受け取ってください。



薬や酒でブーストしても
残るのは孤独と疲労
あとアセトアルデヒド
趣味、Netflix、ちいかわよりも
私の心の穴を埋めるもの
結局それは君の存在だと
みな心のどこかでわかってる
君の言葉肌の温度その声のうわずり
嬉しそうに話すとき
聞こえる呼吸の音に
幸せを感じて
私の体の一部になる
そんな気がする
 
メモを開いて歌詞になって歌になる
 
あなたの顔を見ると
この世の全ての愛を知るような
そんな気になる
手を洗ってうがいをして
部屋着に着替えてから
私を抱きしめる
“今日もお疲れ様”
私を抱きしめる
一日の全てがここに溶ける
作ってたお味噌汁が吹き出す音で
慌ててこちらの世界へ戻る
 
そんな日常がラブソングになる
 
 
 
ラブソングは多分処方箋
 
今日は心が満たされていて
何を見ても微笑ましく
なんか幸せで涙がでます
ではこちらの曲出しておきます
副作用でいつもの景色が特別に見えるかもしれません
それがやめられないのです
 
今日は何かが足りないです
きっと彼の存在です
思い出に浸りたい、そんな感じです
ではこちらの曲出しておきます
副作用で少し辛くなるかもしれません
でもそれがまた心地良いのです
 
自分で自分に処方する
自傷行為に近いときもある
 
 
誰かのラブソングが
本物か偽物かはどうでもいい
君の一部になれればなんだって本物だから
音楽ってそういうもの
 
例え心の穴を埋められなくても
余計に傷がえぐられても
また笑える日まで
頓服として飲む
 
もう一生彼に会えないのなら
君の好きなラブソングを一生飲み続ければいい
 
君の一部になれたら
少しだけ強くなれる気が、する?
 
 
大好きなあの人のラブソング
もう何百回聴いたかな
心が何度擦り減っても
あの曲がいつも背中を支えたり押したりして
 
気付けば今日も息をして
私は作る側として
日常をななめに見たり
真っ直ぐ見たり
上から眺めたり
振り返ったりしてる
 
今日も世界のどこかで
イヤフォンで、スピーカーで
街中で、タクシーで、電車の中で、
部屋の中で、トイレの中で
 
あなたは、私は、
ラブソングを何錠も飲む。
 
<MACO>



◆紹介曲「ラブソング
作詞:MACO
作曲:Tana.H・KOSUKE