ヒグチアイ

家族は愛さなくてもいい。

 2021年4月16日に“ヒグチアイ”が新曲「縁(ゆかり)」をリリースしました。ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』エンディングテーマとして書き下ろされた楽曲であり、ポニーキャニオンへの移籍第1弾シングル。昨年リリースされた楽曲「東京にて」は、ラジオ媒体を中心に大きな話題となり、その輪は今なお拡がり続けております。新たな活動が次々と芽吹いているヒグチアイから目が離せません…!

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“ヒグチアイ”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「」に通ずるお話です。家族との距離感が難しい。家族に対する言動や愛情が正しいのかわからない。分かり合えたり、分かり合えなかったりの繰り返し。そんなあなたに、このエッセイと歌詞が届きますように。

~歌詞エッセイ:「」~

家族は愛さなくてもいい。必ずしも、愛さなくてはならない存在ではない。

わたしには妹がいるが、学生の頃、仲が良いことによくびっくりされた。兄弟姉妹という存在は、あまり仲が良いものではないらしい。特に子どもの頃はそういう人が多かったように思う。

幸いにも、虐待や育児放棄などがない家だったし、何不自由なく生活が送れたし、音楽を好き勝手やらせてくれたので、親からもらった愛情をそのまま返したいと思える大人になった。

でもそんなわたしでも、「なんであんなことされたんだろう」「なんであんなこと言われたんだろう」と疑問に思っていることがあった。その全てに、答えが欲しくて、実際に聞こうと思ったことがある。“幼い頃のトラウマは解決しないと後々恐ろしい形で返ってくる”というわたしの確信がさらに深まることが怖かったからだ。

いろんな人に相談したし、親に会う日程まで決めた。最後に妹に相談した。「親にこんなこと聞こうと思っているんだけど聞いてもいいと思う?」と聞いた。きっと、まああいぽ(わたしの呼び名)がそうしたいならいいんじゃない?と答えるはずだと思った。

でも、答えはちょっと違った。「聞かなくてもいいんじゃない?」その後、こう続いた。「今のあいぽになったのはそのおかげだし、今のあいぽがいいよ」と。

その言葉をきっかけに、親に対する疑問の答えを求めることをやめた。考えることも自然となくなった。わたしは、愛される資格が欲しかったし、理由が欲しかった。そうすれば、愛すこともできるから。でも、資格も理由もなく、言葉にもできずとも、「それがいいよ」と認めてくれる存在に、幼い頃のわたしが救われたのだ。

家族は愛さなくてもいい。それでも、わたしは家族を愛すことができて、しあわせだ。

<ヒグチアイ>

◆紹介曲「
作詞:ヒグチアイ
作曲:ヒグチアイ
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