Kitri

“さよならより言いたい言葉がある”それはどんな言葉なのだろう。

 2021年4月21日に“Kitri”がセカンドフルアルバム『Kitrist II』をリリース!今作には、新曲「未知階段」や3作連続配信シングル「Lily」「人間プログラム」「赤い月」ほか、新曲を含む全10曲が収録。さらに、2019年に行われた『キトリの音楽会#2』東京公演の全曲を収録したライブ映像と昨年末の“キトリのライブ上映会”で限定公開された新曲「君のアルバム」のMVを収録した豪華二枚組となっております。

 さて、今日のうたコラムではそんな“Kitri”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその第2弾。綴っていただいたのは、アルバムリード曲「青い春」のお話です。Mona、Hina、それぞれの視点でこの曲に対する想いを明かしてくださいました。出会いと別れの季節…。是非、歌詞と併せて受け取ってください。

~歌詞エッセイ第2弾:「青い春」~

<Mona>

ただの笑い話だが、私はいつも曲を作り終えるたびに寝込んでしまう。いや、作り終えるたびにというのは大袈裟かもしれない。4曲に1曲くらいのペースだ。この「青い春」もその1曲だった。フルコーラスが完成し、スタッフにデモ音源をメールで送信した直後、安堵感と疲労感から熱を出してしまった。ちょうど1年前の春のことだ。

その頃、1年後に2ndアルバムをリリースすることを目標に動き出していた。過去に作った曲やアルバムに入れるために作った曲、全部合わせると既に6、7曲はある。良いペースで進んでいるはずなのに、私はどこか焦燥感に駆られていた。そう、アルバムの要となる肝心のリード曲が無い。リード曲はアルバムの顔ともいえる大事なポジションで、そのアルバムのイメージや、アルバムを知ってもらうためのきっかけを作ったりもする。

既にある6、7曲の中から決めることもできるかもしれないが、私も誰もそれでいいねとはならない。リード曲として光を放つ曲を全員が期待して待っていた。こうして、まずは自分や周りの人の心を動かせるような渾身の1曲を作ろうという想いで、「青い春」を書くことになった。

いつも春は出会いや別れを一緒に連れてくる。もう少し別れを惜しむ時間が欲しいのに。もう少し新しい場所へ行く心の準備が欲しいのに。卒業、引越し、転校…。終わりへと向かうカウントダウンは、何度経験しても慣れない。お世話になった先生の最後のピアノレッスンの日、引越し前に友達に会いに行く日、続いていた仕事が終わる日、私はこみ上げる思いを我慢するのに精一杯で、言いたいことのほんの一部しか伝えられていない気がした。

「ありがとう、私に出会ってくれて」
「ずっと大切な存在だよ、元気でね」

一人になって初めて、そんな言葉を心の中で唱えている自分がいる。馴染んだ場所から離れ、つい昨日までの日常が思い出に変わった瞬間、それまで当たり前だった光景や街並みや人々が恋しく思えて感謝が溢れ出す。だから寂しくて仕方ない"終わり"は次のステップの始まりとして、私の背中を押してくれるんだと思うことにしている。きっとまた、新しい場所でもかけがえのない出会いが待っているはずだから。

思い出ばかりが舞い上がる青い春よ
もうすこしだけ目を閉じていたい
また会えたら 今度は間に合って
さよならより言いたい言葉がある


「アルバムのリード曲にしましょう」そう決まったのは、寝込んでから数ヶ月後のことだった。Hinaも周りの人も、おそらく全員違う景色やストーリーを浮かべながらも、この曲を良いと言ってくれた。そして今日、ついにアルバムのリリース日を迎えた。どこかでこのアルバムを手にとって聴いてくれる人がいるなんて、信じられないくらい幸せなことだ。この「青い春」が、これから数えきれないくらいのいろんなストーリーを乗せて、どこまでも飛び立っていくことを心から願っている。



<Hina>

さよならより言いたい言葉がある

それはどんな言葉なのだろう。私には、想いを伝えたい人が沢山いる。感謝や応援、褒め言葉や挨拶、好きという気持ち、謝りたかったことや許したかったこと。生きていると様々な感情が駆け巡るが、それを言葉にできたりできなかったり、満足や後悔を繰り返しながら大人になっていく。

いつになっても、言葉にするというのは、簡単なようで難しい。一つ一つの言葉には重みがあり、相手の気持ちも伴う。言葉にしないと伝わらないこともあれば、言葉だけでは伝えきれないこともある。だから私は、ある曲に自分の気持ちを託そうと思う。

私たちは今日、『Kitrist II』のリリース日を迎えた。この日が来るまで長いようであっという間だった。惜しみない愛をもって、いつもKitriの音楽に期待を寄せてくれている人たちに届けたい。そう思いながら心を込めて作った一枚だ。

冒頭に書いた一行は、その中の「青い春」という曲の歌詞の一部である。この季節にぴったりな曲だ。そして、私の気持ちにもぴったりな一曲である。


ようやく空は春めき、色鮮やかな花々と穏やかな風を愉しむ今日この頃。ゆっくりと夏に向かいつつ、暖かい空気が広がるこの季節が私は一番好きだ。誰かの門出を祝い、何かを新しく始める。緊張と期待が入り混じったこの時期、私は胸の高鳴りを抑えることができないまま日々を過ごしている。


思い返せば、私はいつも春の中にいた。遠足が楽しみで眠れなかったこと。放課後に友達と話をしたこと。転校初日に緊張したこと。真夜中に流星群を見に行ったこと。ノートが真っ黒になるまでがむしゃらに勉強したこと。合唱のコンクールで悔し涙を流したこと。丘の上の運動場から初日の出をみんなで見たこと…。

意味もなく笑い、小さなことに悩み、人間関係や勉強のことで精一杯だった。その頃はそれが全てだった。何気ない日常が、こんなにも眩しくて愛おしいものだったと気づいたのはいつだっただろうか。

これを青春と呼ぶのであれば、私は今もなお、その真っ只中にいるのかもしれない。私たちは毎日、二度とない貴重な時間を過ごしている。だから未来の私にとっては、今がきらめいて見えるのだろう。今の私にとっては、過去がきらめいて見える。


Kitriを通して、色んな人が私の心に春風を贈ってくれている。その風が運んできた種を、私は育てているところだ。いつか木になり、花を咲かせ、多くの人に春を届けたい。感謝の想いと共に。そんな夢を抱きながら、私なりの青い春を過ごしていようと思う。 

<Kitri>

◆紹介曲「青い春
作詞:Mona
作曲:Mona

◆セカンドフルアルバム『Kitrist II』
2021年4月21日発売
CD+Blu-ray COZB-1741-2 ¥5,000(税込)

<収録曲>
1.未知階段
2.人間プログラム
3.青い春 ※TBS系テレビ「ひるおび!」4月度エンディングテーマ
4.NEW ME
5.羅針鳥(S.A. Rework)
6.小さな決心
7.水とシンフォニア
8.赤い月
9.パルテノン銀座通り
10.Lily
11.君のアルバム
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