大切な人だらけ。本当に大切な人だらけだ。

 2021年2月3日に“SUPER BEAVER”がニューアルバム『アイラヴユー』をリリースしました。今年結成15周年を迎え、メジャー再契約第1弾アルバムとなる今作。数多くのタイアップ楽曲が収録されるほか、アルバムタイトルにもなっている「アイラヴユー」を始めとした新曲6曲が収録された全11曲入り、約2年半ぶりのフルアルバムとなっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“SUPER BEAVER”の柳沢亮太による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、アルバムタイトル曲「アイラヴユー」に通ずる想いです。わたしたちに今、必要なものとは。自分にとってのたくさんの“大切”を思い出しながら、このエッセイと曲を受け取ってください。

~歌詞エッセイ:「アイラヴユー」~

今僕らに必要なのは、想う気持ち、想像力。
今あなたに必要なのは、想われている、その実感。

SUPER BEAVERは結成15周年、16年目のバンド。早くも17年目に突入しようとしている。歩みを振り返るたびに思い出すのは、出来事そのものだけではなく、そこにいた人の顔や、言葉だったりする。

どれだけの人とともに生きてきたのだろう。どれだけの人とともに生きているのだろう。言葉にするのは難しいけれど…「自分という存在は本当に多くの人の存在があって成り立っている」その実感は年々強さを増している。

これはバンド活動に限ったことではなく、人生においての話とも言えるかもしれない。

今思えば、子どもの頃でさえ無意識的にカテゴライズしていた、人との関係性。クラスメイトと友達は何かが違ったし、幼馴染と親友は何かが違った。歳を重ねるにつれ、それらは意識的に分類されていき、時に歪みを生んだ。誰のため、何のためだかわからない優劣や、変な意味をつけようとしていたように思う。…とにかく安心したかったんだ、きっと。

やがて社会に出ると、そんなちゃちな枠組みはあっという間に崩壊する。勝手に引いていた線の、その向こう側からやって来た人と初めましてを繰り返す。自分の世界の中には無かった新しい景色だらけになる。不思議なもんで、和気あいあいと仕事をしたり食事をしたとしても、その後は二度と会わない、なんて人も少なくない。

膨大な情報に触れ、人の数だけある価値観に触れ、溢れかえる悪意に触れ。混乱して、葛藤して、苦悩する。それでも挑んで、必死になって…そうして一生懸命に生きている最中で、ふと、我に返るかのように実感することがある。

大切な人がたくさんいるなって。矛盾した言い方になるかもしれないけれど、親密度がその限りではない。あらゆる意味で「大切」な人が本当に増えていく。

あれだけ毎日会っていたのに、もう何年会っていないだろう?という友達を思い出す。あの時、一緒にツアーを回っていた人を思い出す。昔の恋人を思い出す。嫌いなオトナを思い出す。初めてワンマンライブが出来た各地のライブハウスを思い出す。今はもういない店長との打ち上げを思い出す。バイト先のバックルームを思い出す。始発を待ちながら本音をこぼした居酒屋を思い出す。大げんかした駐車場を思い出す。期待に応えたくて、応えられなくて、悔しかった夜を思い出す。幾つも幾つも思い出す。

ライブ会場で、大きな声で、いい顔して、歌っているあなたのことを思い出す。

どれだけの人とともに生きてきたのだろう。どれだけの人とともに生きているのだろう。心の底から思う、もうとっくに、いちいちカテゴライズなんて出来るわけないくらいの出会いを経験している。大切な人だらけ。本当に大切な人だらけだ。

親密度がその限りではない。すぐ会える距離にいなくたっていい。毎日連絡を取らなくたっていい。趣味も、思考も、価値観も、もうあらゆることが全然違くっていい。

「でも好きなんだ」って。

そう思うあなたに聴かせたくて。届けたくて。だから作った曲。アイラヴユー。

今僕らに必要なのは、想う気持ち、想像力。
今あなたに必要なのは、想われている、その実感。

この気持ちを全部言葉にするのは難しいから、歌うんだ。

ねえ、元気しているかい?

<柳沢亮太>

◆紹介曲「アイラヴユー
作詞:柳沢亮太
作曲:柳沢亮太

◆ニューアルバム『アイラヴユー』
2021年2月3日発売

<収録曲>
1.今夜だけ
2.ハイライト
3.突破口
5.自慢になりたい
6.パラドックス
7.アイラヴユー
8.予感 -Album mix-
9.時代
10.ひとりで生きていたならば
11.さよなら絶望