4人で必死になるほどに、4人だけではなくなっていった。

 2020年6月10日に“SUPER BEAVER”がニューシングル『ハイライト / ひとりで生きていたならば』をリリースしました。今年4月1日で結成15周年を迎え、4月8日にメジャー再契約を表明した彼らの今作は、疾走感あるロックサウンドに強い意志が込められた「ハイライト」と壮大なミディアムバラード「ひとりで生きていたならば」の両A面シングル。

 さらに、約10年前のメジャー在籍時最後にリリースしたアルバム収録曲「まわる、まわる」のセルフカバーも収録されております。さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“SUPER BEAVER”の柳沢亮太による歌詞エッセイを3日連続でお届け!今回はその第1弾です。綴っていただいたのは、新曲「ハイライト」に通ずるお話。結成15周年を迎えた今だからこその想いを明かしていただきました。是非、歌詞と併せて受け取ってください。

~歌詞エッセイ第1弾:「ハイライト」~

2020年4月、SUPER BEAVERは結成15周年を迎えた。メンバー全員が高校生だった結成当時のことを思えば、まさか15年後の自分たちなど…想像してみるという発想すら無かったと思う。嬉しかった、だけどどこか漠然とした心持ちで『あ、いいですよ、やります!』と、返答したあの放課後から、結局15年間ずっとSUPER BEAVERであるわけだから、人生は本当に絶妙だ。

これまでの何か一つでも欠けていたら、今ある今日は無い……かどうかもわからないのが実際のところだと、年々思うようになった。「もし」とか「例えば」とか、その類の言葉をどれだけ過去に投げかけても、「今」に変化は起こらないことを経験してきたからだと思う。

時間軸という観点においてだけは、人生は間違いなくやり直しがきかなくて、だからこそ昨日を悔やんだり、明日に不安を抱いたり、「身に起きた全ての物事には意味がある」と自分自身に言い聞かせたくなったりもする。SUPER BEAVERが20歳そこそこでメジャーデビューし、呆気なく契約終了した時も、それまでの人生で一番の挫折を味わった自分に言い聞かせていた。

他方で、忘れてしまっていることにすら気がついていないことが、きっと山のようにあるのもまた人生。嬉しかったこと、楽しかったこと、悔しかったこと、辛くて仕方がなかったことでさえも、だ。「身に起きた全ての物事には意味がある」と自分自身に言い聞かせたくなったりもするけれど、身に起きた全ての物事を憶えてはいない。

所属していたレコード会社と事務所を離れた頃には、かつての高校生も21~23歳。周りはどんどんと就職していき、自分たちは結成7年目にして、どこかまた1からバンドを始める感覚。朝から晩までアルバイト、稼いだお金を持って各地でライブ、ライブ、ライブ。

不思議なもので不安より希望が勝った。辛いより楽しいが強かった。何よりSUPER BEAVERを通じて出会う人との関わり合い、その間に生まれていく一つ一つが心から嬉しかった。

4人で必死になるほどに、4人だけではなくなっていった。幾つも手が差し伸べられ、何度も目を見て言葉を交わし、そして肩を組んだ。4人だけではないことを実感するほどに、SUPER BEAVERは過去の一番を超え、そして過去一番を更新していった。

2020年4月、SUPER BEAVERは結成15周年を迎えた。おまけにメジャーレーベルと再契約を結んだ。メンバー全員が高校生だった結成当時のことを思えば、まさか30歳を超えた今が一番楽しいなど…想像してみるという発想すら無かったと思う。嬉しかった、だけどどこか漠然とした心持ちで『あ、いいですよ、やります!』と、返答したあの放課後から、結局今も明日もSUPER BEAVERであろうというのだから、人生は本当に絶妙だ。

これまでの何か一つでも欠けていたら、今ある今日は無い……かどうかもわからないのが実際のところだけど、「これが欠けていたら今ある今日は無い」と思える出来事は幾つもある。「もし」とか「例えば」とか、その類の希望を今に叶えることで、過去の捉え方が変化していくことを経験してきたからだと思う。

僕らは身に起きた全ての物事を憶えてはいない。
だからこそ、こうして不意に想っても即座に蘇る記憶こそ、欠けてはならない今日までのハイライト。

圧倒的な感動を、圧倒的な感情を、この先も。

僕らの人生に咲き誇り続ける、語り続けたくなる、ハイライトを。
おかげで今がある、だから今日も生きている、そう言いたくなるようなハイライトを。

<SUPER BEAVER・柳沢亮太>

◆紹介曲「ハイライト
作詞:柳沢亮太
作曲:柳沢亮太

◆New Single
『ハイライト / ひとりで生きていたならば』
2020年6月10日発売
初回生産限定盤 SRCL-11496~7 ¥1,727+税
通常盤 SRCL-11498 \1,182+税

<収録曲>
01. ハイライト
02. ひとりで生きていたならば
03. まわる、まわる