寂しい辛さの正体は「大切」を想う気持ちなんじゃないだろうか。

 2020年6月10日に“SUPER BEAVER”がニューシングル『ハイライト / ひとりで生きていたならば』をリリースしました。今年4月1日で結成15周年を迎え、4月8日にメジャー再契約を表明した彼らの今作は、疾走感あるロックサウンドに強い意志が込められた「ハイライト」と壮大なミディアムバラード「ひとりで生きていたならば」の両A面シングル。

 さらに、約10年前のメジャー在籍時最後にリリースしたアルバム収録曲「まわる、まわる」のセルフカバーも収録されております。さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“SUPER BEAVER”の柳沢亮太による歌詞エッセイを3日連続でお届け!今回は第1弾に続く第2弾をお届け!綴っていただいたのは、新曲「ひとりで生きていたならば」に通ずるお話です。みなさんには“こだわり”ってありますか? そしてその“こだわり”は何のために持っているものか、意識したことは、ありますか…?

~歌詞エッセイ第2弾:「ひとりで生きていたならば」~

こだわり。
好み、ちょっとしたマイルール、誇りや信念、自らの生き方に関わることだってあるかもしれない。

子どもの頃の話。友達に冷やかされて嫌だったこと。言い返したこと。喧嘩になってしまったこと。ひどい言葉を吐いてしまったし、ひどい言葉を浴びせられたこと。それを家族に話せなかったこと。その感覚を今もよく憶えている。

幼心にも冷やかされた自分自身をどこか惨めに思ったり、喧嘩の後に我に返って不安になってしまったり。その気持ち自体が口を閉ざさせた部分もあっただろうけれど、「心配させてしまうかもしれない」と想像した瞬間に完全に言い出せなくなった。あの何とも形容しがたい寂しい辛さは、実はその後も度々目の前に現れ続けている。

人間関係、学校、受験、就職活動、面接、会社、営業、取引、試合、オーディション、商売、夢、目標、挑戦、etc…。

「いざ」という瞬間、自らで「選択」し「勝負する」ような瞬間は幾度となく訪れる。その全てが100%上手くいく人は……どこかには居るのかもしれないけれど、多くの人が、大なり小なり、失敗や挫折を味わったことがあると思う。そこに懸ける気持ちが大きければ大きいほど、反動は、巨大。

歳を重ねると、経験も増える。経験は予測を生み出して、時に、悔しさ、哀しさ、虚しさを和らげる術へと形を変えもする。例えば本心を誤魔化し、懸けた気持ちを無かったことにしようとしてみたり。経験が、悔しさ、哀しさ、虚しさ、その辛さを知っているからだ。

…本当はそれこそが悔しくて、哀しくて、虚しいよなあって思う。こだわりを、マイルールを、誇りや信念を、懸けた気持ちを誤魔化そうと、言い訳しようとした。それに自分で気がついた瞬間はとてもキツい。

この世に「独り」で生きていたならば、何も気にならない。失敗も挫折もない、冷やかされもしないし、ひどい言葉を浴びせられもしない。「一人」分のこだわりに、マイルールに、誇りや信念に、それだけに従っていればいい。いや「こだわり」にさえこだわらないのかもしれない。

ひとりで生きていないから、簡単じゃない。

「いざ」という瞬間、「選択」したり「勝負する」ような瞬間、思考のどこかに自分以外の人がいる。「一人」分の感情ではなく、ましてや「独り」ではないと強く実感する。家族や友達、同僚や仲間、恋人、あなた、自分の好きな人。好きな人には好かれていたい。シンプルだ。期待に応えたい、歓ぶ顔が見たい、心配をかけたくない、失望させたくない、情けない姿を見せたくない。

そういう自分でありたいのだと思う。想い、想われて、心の底から笑いあう。
そんな歓びを幸せに感じる。こだわりだ。
そのために、時に自分の中の矛盾とも戦い、葛藤だってする。
失敗して失敗して挫折も味わって、あの何とも形容しがたい寂しい辛さとも何度も何度も向き合っていく。

何かを為そうとするときに人の顔が頭をよぎることは、本当に幸せで嬉しいことだ。
言い訳でもない、重荷でもない。「大切」ってそういうことなんじゃないだろうか。寂しい辛さの正体は「大切」を想う気持ちなんじゃないだろうか。だとしたらこの先もずっと向き合い、付き合い続けていきたいと思う。

あなたはどうだろう。

ひとりで生きていたならば こんな気持ちにならなかった
ひとりで生きていたならば 理不尽も許せたかもな
ひとりで生きていたならば ひとりで生きていないから
悔しさこみ上げるほどの 大切に出会えたんじゃないか

こだわって生きると 今一度言い切るよ
原動力はずっと ひとりで生きていないこと

<SUPER BEAVER・柳沢亮太>

◆紹介曲「ひとりで生きていたならば
作詞:柳沢亮太
作曲:柳沢亮太

◆New Single
『ハイライト / ひとりで生きていたならば』
2020年6月10日発売
初回生産限定盤 SRCL-11496~7 ¥1,727+税
通常盤 SRCL-11498 \1,182+税

<収録曲>
01. ハイライト
02. ひとりで生きていたならば
03. まわる、まわる