再び大好きな人たちと歌い奏で笑い合い抱きしめ合えるその時まで。

 2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!
 
 シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第4回をお届けいたします。

第4回歌詞エッセイ:「大切」

毎月第4木曜更新の歌詞エッセイ。今月も書かせていただいております。しかしながら前回の折にはまさかひと月後の今日、世の中がこんなことになっているなんて想像もできずにいました。本来ならば今頃は5月からの3ヶ月連続セルフカヴァーライヴの準備で選曲やらリハやらやっていたはずー、が、全て延期となり、今は家に引きこもりの生活を送っております。

こんな状況の中、医療関係の方々はもちろんのこと、スーパーマーケット勤務の方々や運送業の方々、在宅ワーク不可能な職種で現場に赴かれている方々には本当に頭が下がります。特にスーパーマーケットは亡き父の勤務先であったということが大きく、そこへお勤めの方やご家族を思うと胸がいっぱいになってしまうのです。父もこれが生前なら毎日満員電車に乗って出社していたことでしょう。そしてわたしや母は心配し感謝しやはり心配し、の日々だったでしょう。

ーというようなことをたびたび考えるせいでしょうか、ここのところ父や祖父母や叔母など、血縁の故人が出てくる夢を毎日のように見るのです。普通にそこにいて普通に話したり笑ったりしている、なんでもない平和な夢。なんでもないけどとてもリアルで、目が覚めてからも暫く今がいつなのか自分が何歳なのかどこにいるのかわからないこともたびたび。ああそういえば先代のワンコたちも最近よく登場するなあ、、、というところで思い出したのが、FUNKY MONKEY BABYSへの提供曲(共作詞、共作曲)、「大切」という曲です。

“あなたが笑ってて あなたの声がして
普通に日が暮れて また明日ねって手を振る
ありふれて見えても あたりまえなんかじゃない
あなたといる日々が なににも代えられない
大切”


自分でもものすごく大好きなフレーズ、ここの部分を聴くといつもまずその先代のワンコたちを思い出し父を思い出しなんだか泣けてくるのです。ワンコと父だけでなく(ワンコが先でごめんね、おとーさん)、今はもう会えない大切な人たちや景色を思い出し泣けてくるのです。そして今自分のまわりの大切な人たちや場所を思いまた泣けてくるのです。今書いててすでに泣けてきました。いやほんまに、、、。

今たくさんの人たちが、ありふれて見えてもあたりまえなんかじゃない日々、なににも代えられない大切な日々の愛おしさをあらためて実感し心に抱きしめ、がんばって過ごされていることでしょう。わたしもそのうちの一人です。そんな尊い日々がわたしたちのもとに一刻も早く戻って来ますように。あの時は大変だったよね、と乾杯しながら語り合える時が来ますように。再び大好きな人たちと歌い奏で笑い合い抱きしめ合えるその時まで、前向いて頑張って元気に引きこもっていようと思います。

<川村結花>

◆紹介曲「大切
作詞:FUNKY MONKEY BABYS・川村結花
作曲:FUNKY MONKEY BABYS・川村結花・Naoki-T

◆プロフィール

川村結花(シンガー・ソングライター)
大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。

オフィシャルサイト:https://www.kawamurayuka.com

◆歌詞エッセイバックナンバー
【第1回】
【第2回】
【第3回】