2025年9月10日に“Cody・Lee(李)”がMajor 2nd EP『SILVER』をリリースしました。今作には、台湾のアーティスト洪佩瑜(Pei-Yu Hung)をゲストボーカルに迎え、今年2月に配信リリースした楽曲「Ghost feat. 洪佩瑜」や、6月に配信リリースした「ダンスする惑星」など計6曲が収録されております。
さて、今日のうたではそんな“Cody・Lee(李)”の高橋響による歌詞エッセイをお届け。「都会的な夜」というコンセプトで制作した今作『SILVER』。自身にとっての“夜の東京”とは…。ぜひ歌詞とあわせて、エッセイをお楽しみください。
コラムで書く内容がなんとなく決まったので、パソコンを開き、キーボードに指を乗せた。すると犬がうんちをし始めた。
「早く片付けて」という視線に負け、犬のトイレの掃除をした。洗面所で手を洗って再びパソコンの前に座った時、なんとなく決まっていたコラムの内容はとっくに忘れていた。
中学生の頃、母と妹と上野に旅行に来た事があった。それが自分にとって初めての東京だった。
不忍改札、アメヤ横丁、ヨドバシカメラで買ってもらったDS、首都高速が見えるビジネスホテル…それらの光景は、上京して9年が経った今でも鮮明に覚えている。まるでタトゥーの様に消えない記憶となって内側にこびりついていた。
タイのバンコクで見た野良犬、カオサン通りの喧騒、ナイトマーケットも、香港で見た目が眩むような夜景、ビクトリアハーバーを走る船、雲呑麺も、この記憶には敵わなかった。
『SILVER』というEPを作った。「夜」それも「都会的な夜」というテーマで作ったコンセプチュアルな作品である。
作品が出来上がって聴いた時、あの日、上野で感じた匂いがした。
「自分の考える夜の東京は、あの日の事だったんだ」
田舎で育って、東京に憧れていた自分が見た東京、それが『SILVER』なんだと思います。
さっきまで「早く片付けて」の視線を送っていた犬は、ソファで呑気に寝てる。でも、元々書こうと思っていた内容よりも良いものが書けた気がする。
<Cody・Lee(李) 高橋響>
◆Major 2nd EP『SILVER』
2025年9月10日発売
<収録曲>
01. ダンスする惑星
02. 未知
03. Ghost feat. 洪佩瑜
04. Chérie
05. 夜の東京
06. 月面接吻