人生終わったって思ったあの日から今日も、こうして生きてるし。

西野カナ
人生終わったって思ったあの日から今日も、こうして生きてるし。
2018年11月21日に“西野カナ”がデビュー10周年を記念して、5年ぶりのベストアルバム『Love Collection 2 ~pink~』と『Love Collection 2 ~mint~』をリリースしました。さらに今作には、このアルバムのために制作された新録4曲も収録。今日のうたコラムではそのなかから、29歳女性のリアルな心情を描いた新曲「29」をご紹介いたします。 ちなみに彼女はこれまで、2014年に「25」、2017年に「27」と、タイトルに年齢を掲げ、その時々の本音を落とし込んだ楽曲を届けてきました。では、2018年の「29」を含め、3曲を比較してみると、どんなところが変化しているのでしょうか。逆に、変わらず貫き続けている気持ちはあるのでしょうか。まず「25」は次のように幕を開けます。 適当だったスキンケアだって 見直さなくちゃ Twenty Five トラブル続き Twenty Five 3年前の派手なスカートはもう 卒業しなきゃ Twenty Five 大人なんだし Twenty Five そんな感じかな 「25」/西野カナ ある程度は仕事にも慣れ、二十代後半に足を踏み入れたばかりの25歳。この頃の<私>が最も頑張っているのは、憧れていた大人になるための“自分磨き”です。たとえば<スキンケア>を見直そうとしてみたり、学生時代の<派手なスカート>は卒業しようとしてみたり。また、続く歌詞では<大人のためのスタイルマガジン>を開いております。 ただし<あのハイヒールもバッグも欲しい でも だいたい手が届かない>のです。それと同じように<大人>という言葉もまだ<私>にとって現実的ではなく、あくまで<そんな感じかな>くらいのもの。物欲は衰えず、飲み会は<新しい服>で可愛く着飾って参加したくて、まだ自由に恋したくて、一方で<結婚>というワードも飛び交い始める。 久々の友達からメール 結婚するの来月 もうそんな時期 Twenty Five Yes or No? 独りぼっちになりたくないの Yes or No? でもまだまだ自由でいたいの Yes or No? ドキドキする恋がしたいの Yes or No? でも危険な賭けならしたくないの 「25」/西野カナ 突然の結婚ラッシュ 一抜け、二抜け、ついにあの子まで 急にちょっと焦ってみたり だけどまぁいっかってなったり 転職サイトを眺めてみたり これでも一応将来のことは考えているの そんなに心配されるほどじゃない 「27」/西野カナ そんな<Yes or No?>どっちつかずな<欲張りな時間>が「25」でした。また、歌詞内で何度も<Twenty Five>というワードが綴られていることから、この<私>が“25歳”という年齢を強く意識し、噛み締めているであろうことも伝わってきますね。さて、その2年後「27」は冒頭から<突然の結婚ラッシュ>というフレーズで幕を開けます。 アラサーに差し掛かったこの時期は、多くの女性が恋愛でも、仕事でも、大きな変化を遂げることが多いんだとか。ゆえに<私>も<結婚>に揺さぶられつつ<転職サイト>を眺めてみたりして、自分らしい<将来>を考えることに懸命です。とはいえ、仕事では<怒られることもそんなに無い>中堅的存在となり“いいバランス”ではあるんです。 ただなんとなく幸せになりたい 恋がしたい ワクワクしたい 旅行も行きたい まだまだいっぱい 好きなものは好き 嫌いなものはやっぱり嫌いでしょ そんなことばかり言ってられないけど 思い描いてた大人とはちょっとだけ 違ったけど私も Twenty Seven 「27」/西野カナ 「25」のときに<思い描いてた大人とはちょっとだけ 違ったけど>そんなに悪くもない現実。まだまだ<恋がしたい ワクワクしたい 旅行も行きたい>気持ちも変わらない。だから<ただなんとなく幸せに>なるために、とりあえず今を私らしく生きよう。そんな決意が「27」のサビフレーズ<私も Twenty Seven>には表れている気がします。 最後の20代と 意気込んでいたけれど何を したら良いのやら分からず 今日もハードワーク 昔はとりあえず ピザと恋バナで朝までコース 女同士のドライブ いつだってエキサイティング その当時お気にだった 超ミニスカート 派手なメイク ヘアスタイル AH 叫びたくなる 「29」/西野カナ そして「27」からまた2年が経ったのが「29」です。歌詞にも<最後の20代と 意気込んでいた>とあるように、この時期は【女のピークは20代】だとか【30歳までに~しなきゃ】だとか、何かと気負ってしまいがち。だけど今まで以上に、仕事では信頼されるようにもなり<今日もハードワーク>であっという間に一日が終わっていくんですよね。 ふと、昔を振り返ってみれば<ピザと恋バナで朝までコース>をしたり、なんの迷いもなく自信に溢れ<超ミニスカート 派手なメイク ヘアスタイル>を楽しんでいたりした、あの頃の自分の姿があります。それはほんの数年前のことで、昨日のことのように思い出せるのに、今の<私>にはありえない。出来ない。その過去の眩しさに<叫びたくなる>のではないでしょうか。 Goodbye 花の20代 Goodbye 私の青春 時代は流れても 男前は男前 どうやったって防げない All right シワの数だけ シアワセになりましょう そうね、そうよ 期待する30代 「29」/西野カナ しかし「29」では、「25」や「27」のように、周りの<結婚>に心を揺さぶられたり、今の仕事で本当に良いのだろうかと<転職>を考えてみたりはしません。この<私>はもう“20代のうちに変わらなきゃ!”と思うのはやめて、ちゃんと<花の20代>を振り返り、潔く過去に<Goodbye>と手を振ることを大切にしようとしているのです。 きっといろんなものを失って その度にもっと強く優しくなれた 人生終わったって思ったあの日から今日も こうして生きてるし 私はもう無敵 Goodbye 花の20代 Goodbye 私の青春 いろいろあったけど あれもこれもいい思い出 どう考えても分かんない All right 未来のことは 成り行きに任せよう そうね、そうよ かかってこい30代 「29」/西野カナ 20代に別れを告げながら、実感する<強く優しく>なってきたこと、何があっても<こうして生きてる>こと、今となっては<あれもこれもいい思い出>だということ。その“実感”を抱えて<私>は<30代>の扉に向き合っております。よく30歳以上の先輩方から聞く「30代は楽しいよ~!」というメッセージ。その光の中へ飛び込む助走の歌が、西野カナ「29」なのだと思います。 さて、いろんな心境が綴られていた「25」「27」「29」ですが、一貫して言えるのは、いつでも<私>は<シアワセに>なるために恋をして、恋に破れ、悩み、あがき、楽しみ、生きてきたということです。それはきっとこれからも変わらないはず。今、何歳であるあなたも、自分と同じ気持ち、違う気持ちを味わいながら、この曲を聴いてみてください…! ◆紹介曲 「25」 作詞:Kana Nishino 作曲:Kentaro(Andersons)・Dominika(Andersons) 「27」 作詞:Kana Nishino 作曲:Kentaro (Andersons)・Dominika (Andersons) 「29」 作詞:Kana Nishino 作曲:Kentaro (Andersons)・Dominika (Andersons) ◆ベストアルバム 2018年11月21日発売 『Love Collection 2 ~pink~』 初回生産限定盤 SECL-2355~2356 ¥4,320+税 通常盤 SECL-2357 ¥3,240+税 『Love Collection 2 ~mint~』 初回生産限定盤 SECL-2358~2359 ¥4,320+税 通常盤 SECL-2360 ¥3,240+税