「We are 22/7」

22/7
「We are 22/7」
2025年12月10日に“22/7”が3rdアルバム『ABC予想』をリリースしました。彼女たちは、秋元康の総合プロデュースによるデジタル声優アイドルプロジェクトです。今作には、3作連続アニメタイアップ主題歌となった、13th single「YESとNOの間に」、14th single「ロックは死なない」、5th single「あなたでなくちゃ」を含む全12曲を贅沢に収録。 さて、今日のうたでは、そんな“22/7”の歌詞エッセイを4日連続でお届け。第1弾は、収録曲「22on7」「Why are you crying?」「スパシーバ!」にまつわるお話です。1曲目「 22/7 」は、作曲者のShoichiro Tokoによる短編二次創作を。2曲目「 Why are you crying? 」は、作曲者のShoichiro Tokoとamaneの対談を。そして3曲目「 スパシーバ! 」は、作曲者の山崎あおいと炭竃智弘によるライナーノーツをお届けします。ぜひ、歌詞とあわせてお楽しみください! 1.「22on7」 短編二次創作:「小数点の先へ」 その日、彼女たちは気づいた。 この世界に存在する、最も割り切れないものに。 今まで生き抜いてきた過酷な環境の中で、 いつしか忘れてしまっていた目的。 「僕たちはその為に存在するのではなかったのか?」 天文学的性能をもつ計算機が何台あろうとも解き明かせない数式。 きっとそれは、机上で計算をしたところで終わりはないのだろう。 そして大人たちは考えることを辞めてしまったらしい。 ごもっともだ、終わりがないということだけは予測が付くのだから。 しかし本当にそれでいいのか…? 五感を揺さぶるこの感覚こそが物語る。 現にこうして、僕たちを突き動かしているではないか。 これは一体なんだ? 目に見えず、不確定で、それでいて確実に僕たちの中に存在している。 ひとがひとである要素。 そうだ、これはひとの“想い”だ。 この“想い”を形にするなら、どうなる? 知りたい、知らなくてはならない。 好奇心だけではない何かに背中を押される。 できるかどうかではない、やるしかないんだ。 だけど足りない、まだ足りない。 決めつけて諦めてしまうには早すぎる。 僕たちは、大人たちが切り捨てていた小数点の先へ行かねばならない。 彼女たちは、もう一つ気づくことになる。 「終わりのないプロセスにこそ意味があるのかもしれない」 あらゆる試行錯誤、心が折れるような苦悩、それでも前へ進もうとする意思…。 そのループの中で、1秒1秒を必死に生きる。 次のステージへ進む為に計算し続けよう。 いつか来たる“答え合わせ”まで、一つずつ踏み締めて…。 そして彼女たちは、初めて自らを現すことにした。 何にも頼らない、自分たちの声で。 「We are 22/7」 <Shoichiro Toko> 2.「Why are you crying?」 Toko:はい、ということでこの度は3rd Album『ABC予想』に、我々作編曲の「Why are you crying?」(以下WAC)が収録されることになりました! amane:ありがとうございます!対談という形で裏話?などお話出来ればと。 Toko:まず、amaneさんは22/7への楽曲提供は僕よりも先輩なわけですが(キウイの主張)、WACに関しては僕がわりとリードしつつ制作していたかなーと思ってます。なんせ僕がユーロビートオタクなので(笑)、とくにメロディについて沢山やり取りした記憶がありますね。 amane:第1稿から作り込まれたトラックとメロをTokoさんが作ってくださっていて、そこからメロを調整していく流れでしたよね。最初に音源を聴いた時は、ゴリッゴリでビックリした覚えがあります(笑)。 Toko:まだ令和になってゴリゴリのユーロビート曲が出てくる前だったので、amaneさんにも何曲もユーロビートを共有して聴いてもらいました。A、Bメロは主にamaneさん、サビは僕の要素が濃く残ってるかなと思います。サビ直前の掛け声、デモ音源では僕が叫んでいましたね(笑)。 amane:掛け声の話、私もしようと思ってました(笑)。皆さんに聴かせられないのが残念なくらい素晴らしかったです。楽曲として締まりが出て印象も強くなったので、大事なポイントですよね。実際にメンバーさんが歌っている音源でも「泣くな」「笑え」がかっこよくて…! Toko:「泣くな」「笑え」は、実際のライブでも一瞬緊張が走るセクションになりましたね。サウンド面ではバッキングギターは僕が弾きましたが、心のギター(速弾きギターソロ)だけは妥協したくなくて、北川翔也くんに無茶振りしました(笑)。秋元先生の歌詞が上がってきた時の印象はいかがですか? amane:最初、テキストのみでデータを頂いたんですよね。このサウンドにはこの歌詞しかないというくらい情熱的なワードが多く、ナナニジの皆さんがどんな風に歌うのか、セリフを言うのかワクワクしました!ギターソロ前も、デモ音源でセリフを入れていたのですが、それが「心のギターを」「鳴らしてくれ!!!」になっていまして。この流れでギターソロ入るなんて最高過ぎる、早く音源を聴きたい!と思っていました(笑)。 Toko:マスター音源があがってきた時、秋元先生の歌詞の世界観とナナニジとユーロビートが見事にマッチしてて…最高!のひと言しか出てこなかったですね(笑)。メンバー、リスナーの皆さんにはWACの愛称で親しんでいただけて、本当に嬉しい限りです。末永く楽しんでいただけたら何よりです。 amane:ナナニジは幅広いジャンルの楽曲があるのがとても魅力的だと思っています。その中の1つとして、ユーロビートWACも長く愛していただけたら嬉しいです。 <Shoichiro Toko・amane> 3.「スパシーバ!」 22/7のニューアルバム『ABC予想』に収録された「スパシーバ!」は、私にとってナナニジ作品への初参加となる特別な一曲だ。初めて声をかけていただいたとき、求められているのは、ある種“変な曲”だろうと勝手に確信していた。22/7の世界観は、いつもどこかにひと癖あって、それが魅力になっている(「あざす」はかなり衝撃的だった!)。だったら私も、思い切り振り切った曲を書いても良いのかも。 そうして辿り着いたのが、ロシア民謡をポップに再構築するというアイデアだ。突飛に思えるかもしれないが、日本人、特に女性にはロシア民謡的なメロディーに反応するアンテナがあるのでは、と密かに考えていた。 おジャ魔女どれみの「おジャ魔女カーニバル!!」を歌い狂っていた幼少期~思春期の記憶がまだ身体に残っている世代だからかもしれない(単に私とその周辺が好きすぎただけ説もある)。あのメロディーからは、ロシア民謡的なムードを感じる。ナナニジさんなら、この“ときめきのツボ”を軽やかに表現してくれそうだと思い、異国の音楽を頭にインストールしつつ、J-POPへ落とし込んだ。 タイトルの「スパシーバ!」はロシア語で「ありがとう」。けれど、この曲の主人公の女の子は、ただ感謝を伝えるような素直な子ではない。むしろ真逆で、なんでも受け入れてくれるイエスマンのスパダリ彼氏に対して、なぜか心の中でむず痒さが膨らんでしまう面倒な女の子だ。言ってしまえば、恋愛のこじれ方としてはかなり面倒くさい。けれど、面倒って、可愛いのと紙一重じゃないだろうか。誰かを好きになると、人はみんな少しくらいねじれてしまう。私はそのひねくれの瞬間を、曲の中心に置きたかった。 サビ前のセリフ、曲間に挟んだちょっとコミカルなガヤ、色気が残る声のニュアンス……それらをすべて合わせて、主人公の彼女の愛らしさが立ち上がるように設計した。ナナニジメンバーの声を想定しながら作っていく過程は、まるでキャラクターに命が宿っていくようで楽しかった。歌詞だけ読むと、「なんでこんなに拗らせてるの?」と呆れるかもしれない。でも彼女たちの声を通すと、不思議と放っておけない可愛さに変換される。そのギャップこそ、この曲の狙いであり、完成音源を聴いたときには想定以上のいじらしさに嬉しくなった。 面倒な女の子は、面倒であるほど可愛い。そんな矛盾に満ちた恋の感情を、ほんの少しロシア風味のポップに閉じ込めたのが「スパシーバ!」だ。アルバムの中でひとり異国情緒を漂わせるこの曲が、聴く人の胸に小さなスパイスとして残ってくれたら嬉しい。スパシーバ! <山崎あおい> 後に「スパシーバ!」というタイトルとなるこの楽曲は、山崎さんから届いたファーストデモ音源からすべてが始まりました。 それを聴いて僕が感じ取ったのは、非常に生々しくて力強い感情の波でした。 それは、言葉にするなら“もどかしさ”や“心の中で渦巻く葛藤”そのものでした。 このデモに込められた初期衝動こそが、僕の創作意欲を掻き立て楽曲制作におけるすべての原動力となりました。 ファーストデモ音源の中には確かなテーマとインスピレーションを激しく刺激する「熱量」が宿っていて、聴いてすぐに僕が直感したのは、メロディやコードの美しさだけではなく「乙女心のうずき感」とでも言うべき、繊細で切実な感情でした。 この胸を締め付けるような感覚こそが、楽曲の魂だと確信しました。 そのうえで、“内面の葛藤とは裏腹に身体が自然と動き出すような心地よいリズム”“情熱的でありながら、どこか物悲しさも感じさせるサウンド”、この2つの要素を軸にサウンドを構築しようと早い段階で決めていました。 今年は僕の中で、サンバやラテンといった情熱的な音楽がマイブームだったこともあり、その要素を積極的に採用しました。 たぎる情熱を象徴する上で絶対に欠かせなかったのがトランペットの音色です。 この楽曲でのソロは特に「しっくり来た!」と感じていて、少し風変わりで独特なメロディラインに対して、トランペットの音色が実に見事に絡み合ってくれたと感じています。 この融合によって「スパシーバ!」の核となる感情が表現できたかと思っています。 さらにいくつかのユニークなサウンドを「隠し味」として加えました。 バグパイプやインド楽器をレイヤーしてスパニッシュな情熱さだけでなく、異なる次元のエキゾチックな響きを深めて楽曲の世界観を複雑で魅力的なものに仕立てました。 エンディングに不穏なコード を一発鳴らしていますが、どこかミステリアスな雰囲気もあり独特の余韻を表現できたかなとお気に入りポイントの一つです。 この楽曲の制作プロセスで僕が最も大切にしていたのは、ファーストデモ音源から受け取った生々しい感情の「熱量」を決して失わないことでした。 共同で作曲をする喜びでもあり醍醐味でもあると再確認できたとても刺激的な時間でした。 <炭竃智弘> ◆紹介曲「 22/7 」 作詞:Shoichiro Toko 作曲:Shoichiro Toko 「 Why are you crying? 」 作詞:秋元康 作曲:Shoichiro Toko・amane 「 スパシーバ! 」 作詞:山崎あおい 作曲:山崎あおい・炭竃智弘 ◆3rdアルバム『ABC予想』 2025年12月10日発売 <収録曲> 1. 22/7 2. Why are you crying ? 3. スパシーバ! 4. あざす 5. 佐藤さん 6. YESとNOの間に 7. ロックは死なない 8. あなたでなくちゃ 9. 箱庭の世界 10. 春雷の頃 11. 後でわかること 12. 理論物理学的 僕の推論
















