LIVE REPORT

GALNERYUS ライヴレポート

GALNERYUS ライヴレポート

【GALNERYUS ライヴレポート】 『"STRUGGLING BETWEEN DREAD AND VALOR" TOUR 2023』 2023年4月30日 at KT Zepp Yokohama

2023年04月30日@

撮影:WHOKO/取材:金澤隆志

2023.05.30

ようやく“ポストコロナ”の日常が見えてきた今年のゴールデンウイーク。1週間後には新型コロナウイルス5類移行という、世の中的に大きな節目となる週末にGALNERYUSの『"STRUGGLING BETWEEN DREAD AND VALOR" TOUR 2023』ファイナル公演が神奈川・KT Zepp Yokohamaで開催された。彼らにとって、コロナ禍以降初の声出しOKのライヴ。マスク有りという縛りはあるものの、声をあげて歌える喜びが勝ることは明白だ。

定刻を少々過ぎて暗転。打楽器が力強いビートを打ち鳴らすSEから、生演奏による最新アルバム『BETWEEN DREAD AND VALOR』のオープニング曲「DEMOLISH THE WICKEDNESS!」へ。Masatoshi "SHO" Ono(Vo)の天を衝くようなハイトーンシャウトで「RUN TO THE EDGE」へと一気に雪崩込む。吹き上げられる特効の火柱が場内の温度を徐々に上昇させ、長尺かつ展開の多い曲をドラマティックに盛り上げていく。疾走感をキープしつつ、YUHKI(Key)のシグネチャーともいえる哀愁メロディーが心を打つ「TIME WILL TELL」へ。会場全体に響き渡るシンガロングに心を揺さぶられる。

本日初となるSHOのMCは、3年間叶わなかった想いをにじませるものだった。“みなさんの声を聞かせてください。ありったけのハイトーンで叫んでみましょう!”。呼応するファンの叫びにも、やはり並々ならぬ想いが籠もっていた。

ギアを幾分か落とし、新曲「LET US SHINE」と「WITH PRIDE」へ。以前、本媒体で筆者が行ったインタビューの中でSYU(Gu)は、この2曲を“メロディックハード区画”と表現。ドリーミーなシンセサウンドは場内の空気を一変、GALNERYUSのライヴに新たな世界観を与えた。LEA(Dr)のきめ細やかで歌心を感じさせるプレイも曲を際立たせている。

「祈」は、ギリシャ語のサビフレーズが印象的なバラード。もともとは小野正利(SHO)のソロ名義の曲だが、GALNERYUSバージョンが『BETWEEN DREAD AND VALOR』に収録されている。その歌唱力が発揮されたこの曲は、まさにヴォーカリスト・小野正利の真骨頂であり、すごみさえ感じさせる。

そうこうしている内に本編は後半戦へ。再度ギアをトップに入れ直し、前作からの高速メタル「FLAMES OF RAGE」、そしてキャッチーな哀愁ナンバー「絆」、さらにはジャンプせずにはいられないグルーヴが牽引する「THERE'S NO ESCAPE」と、バラエティーに富んだ曲調で彩る。SYUがかつて“ライヴで馬鹿になってほしい曲”と語っていた「BASH OUT!」では、メンバーが順番にサビのフレーズを歌う場面があるのだが、TAKA(Ba)だけはマイクを向けられても頑なに拒否(笑)。本編ラストは新曲の「BRAVEHEARTS」。男臭いコーラスと三連符の重厚なビートが最高にメタリックに締め括った。

アンコールの歓声が響く中、ひとりステージに戻ってきたSHO。本人曰く“地方公演でもウケた”という面白エピソードを披露。このメタルバンドらしからぬ緩い空気感もまたGALNERYUSの魅力だ。この空気を一変させたのは、このバンドのルーツを遡れば必ず辿り着くRAINBOWの名曲「KILL THE KING」のカバーだ。勢いはそのままに、LEAの超絶ドラミングで口火を切り、場内をひとつに結束させた「UNITED FLAG」。本公演のセットリストの中で最古、まさに彼らの原点とも呼べる曲だ。

ダブルアンコールは、本日最大の隠し玉「MY FAITH」、そして場内の興奮を頂点に押し上げた「RAISE MY SWORD」へ。曲が終わると、リーダーであるSYUがマイクに向かい、内秘めていた思いを吐露。“コロナ禍によって2,3年の年月が失われたことは本当に大きかったが、今日1日でGALNERYUSは生きていることを実感した”という言葉からは、終わりの見えない苦悩からようやく解放された喜びが伝わってきた。さらに、今年10月のデビュー20周年にあわせてツアーや音源リリースなどのプロジェクトが進行中であることが明らかにされた。

彼らのライヴのラストで披露されることが多い定番曲「DESTINY」は、至福に満ちたエンディングを演出すると同時に、このバンドが技巧派集団というアイデンティティを示すスリリングな曲。完全燃焼である。

3年間以上溜め込んできたモヤモヤがすべて吹っ飛んだ気がした。ようやく大声をあげ、拳を振り上げられる日常が戻ってきたのだ。生の声、音圧、肌にまとわりつく熱気。そこにはバーチャル、オンライン、リモートでは味わえないGALNERYUSの生の魅力があった。全員総出でシンガロングできるようになったことで、今後のライヴはいっそう一体感溢れたものになるだろう。

撮影:WHOKO/取材:金澤隆志

GALNERYUS

ガルネリウス:SYU(Gu)を中心に結成。2001年に現在までプロデュースを務める久武頼正と出会い、翌年にデビューを果たす。その後、メンバーチェンジを経て現在は、驚異的なテクニックとエモーショナルなギタープレイで絶大な人気を得るSYUをリーダーに、HM/HRサウンドに於ける理想的なキーボードプレイを聴かせるYUHKI、テクニシャンながら押しと引きをわきまえた理想的ベースプレイで魅せるTAKA、ミリオンヒット曲「You're the Only...」を筆頭にJ-POPシーンでの数多くのヒット曲で知られる、日本が誇るクリアハイトーンヴォーカリストのMasatoshi“SHO”Ono、21年に加入したドラマー・LEAという最強のラインナップが揃う。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    01. DEMOLISH THE WICKEDNESS!

  2. 10

    10. Bash Out!

  3. 12

    <ENCORE 1>

  4. 13

    01. Kill the King(RAINBOWのカバー)

  5. 15

    <ENCORE 2>

  6. 18

    <ENCORE 3>

  7. 19

    Destiny