ダンデライオン 〜遅咲きのたんぽぽ松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | | 夕焼けに小さくなる くせのある歩き方 ずっと手をふり 続けていたいひと 風に乗り飛んで来た はかない種のような 愛はやがて来る 冬を越えてゆく きみはダンデライオン 傷ついた日々は 彼に出逢うための そうよ 運命が用意してくれた 大切なレッスン 今 素敵なレディになる つみとってささげたら ひとに笑われそうな 私にできる全てをうけとって ふるさとの両親が よこす手紙のような ぎこちないぬくもりほど泣きたくなる きみはダンデライオン 本当の孤独を 今まで知らないの とても幸せな淋しさを抱いて これから歩けない 私はもう あなたなしで とても幸せな 淋しさを抱いて これから歩けない 私はもう あなたなしで |
卒業写真松任谷由実 | 松任谷由実 | 荒井由実 | 荒井由実 | 松任谷正隆 | 悲しいことがあると 開く皮の表紙 卒業写真のあの人は やさしい目をしてる 町でみかけたとき 何も言えなかった 卒業写真の面影が そのままだったから 人ごみに流されて 変わってゆく私を あなたはときどき 遠くでしかって 話しかけるように ゆれる柳の下を 通った道さえ今はもう 電車から見るだけ あの頃の生き方を あなたは忘れないで あなたは私の 青春そのもの 人ごみに流されて 変わってゆく私を あなたはときどき 遠くでしかって あなたは私の 青春そのもの |
最後の春休み松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | | 春休みのロッカー室に 忘れたものをとりに行った ひっそりとした長い廊下を 歩いていたら泣きたくなった 目立たなかった私となんて 交わした言葉数えるほど アルファベットの名前順さえ あなたはひどくはなれてた もしもできることなら この場所に同じ時間に ずっとずっとうずくまっていたい もうすぐ別の道を歩き 思い出してもくれないの たまに電車で目と目があっても もう制服じゃない 窓の近くのあなたの机 ひとりほおづえついてみる ふたをあけると紺のボタンが 隅のほこりにまぎれてた もしもできることなら この場所に同じ時間に ずっとずっとうずくまっていたい もうすぐ別の道を歩き 思い出してもくれないの そよ風運ぶ過ぎたざわめき 今は春休み 今は春休み 最後の春休み |
ハルジョオン・ヒメジョオン松任谷由実 | 松任谷由実 | Yumi Matsutoya | Yumi Matsutoya | Masataka Matsutoya | 川向こうの町から 宵闇が来る 煙突も家並みも 切り絵になって 哀しいほど紅く夕陽は熟れてゆくの 私だけが変わり みんなそのまま ヒメジョオンに埋もれてくちづけをした 土手と空のあいだを風が渡った 哀しいほど紅く川面はゆれていたの 越していった日から顔も忘れた 哀しいほど紅く 心は燃えているの 思い出すそばから 葬るくせに 哀しいほど紅く夕陽は熟れてゆくの 私だけが変わり みんなそのまま |
花紀行松任谷由実 | 松任谷由実 | 荒井由実 | 荒井由実 | 松任谷正隆 | 見知らぬ町を ひとり歩いたら 風は空から 花びら散らす 過ぎゆく春の 投げる口づけは 髪に両手に はらはら停まる この場所で嵐見送れば 時の流れに 埋ずもれてしまう 薄紅が なんて優しいの 拾い集める人もいないのに 見知らぬ町を ひとり歩いたら 風は空から 花びら散らす 髪に両手に はらはら停まる |
大連慕情松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | | アカシアのかおりが 今も少し漂う 母にあてた手紙 きのうみつけた 黄ばんだびんせんに そそぐ陽ざし さえぎり 雀遊ぶ影は 果てない空へ 返事は ついたのですか 遠い日の異国へ 父よ あなたに 似合ったでしょう 春の大連 丘の上のベンチ ひとり海を見てると 舟出のさざめきが せつなく遠く 陸風がふくころ 港は暮れなずむの あなたが生きてたら そぞろ歩こう 面影は月のように おぼろに見え隠れ 今も たずねれば 会えそうな 秋の大連 返事は ついたのですか 遠い日の異国へ 父よ あなたに 似合ったでしょう 春の大連 |
acacia [アカシア]松任谷由実 | 松任谷由実 | Yumi Matsutoya | Yumi Matsutoya | 松任谷正隆 | 銀の花が散ってる 風と陽ざしの中で 知らない町に来てる 目を閉じてかすかに響く列車の音に 心はゆられているの 遠く旅をしてても きっと Do you love me? 今は見えない未来に たったひとつの道しるべ 銀の花の押し花栞にしてはさんだ 好きな詩のフレーズに いつの日か誰かと開いて見つけたとき 笑えるような一途さで やっと出逢えたときは きっと Do you love me? なつかしすぎる未来が たったひとつの探しもの 遠く旅をしてても きっと Do you love me? 今は見えない未来に たったひとつの道しるべ なつかしすぎる未来が たったひとつの探しもの |
緑の町に舞い降りて松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | | 輝く五月の草原を さざ波はるかに渡ってゆく 飛行機の影と雲の影 山すそかけおりる 着陸ま近のイヤホーンが お天気知らせるささやき MORIOKAというその響きが ロシア語みたいだった 三つ編みの髪をほどいてごらん タラップの風が肩にあつまる もしも もしもこの季節 たずね来ればきっとわかるはず あなたが気になりだしてから 世界が息づいてる 銀河の童話を読みかけて まどろみ 心ははばたく あてもなく歩くこの町も 去る日は涙がでるわ セロファンのような午後の太陽 綾とる川面をゆっくり越えて いつか いつかこの季節 たずね来ればきっとわかるはず 誰かが気になりだしてから 世界が息づいてる 新しい笑顔お土産に誰かのもとへ帰る |
丘の上の光松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | | すみれ色のまま夕暮れを止めて 新しい自転車で高原をすべる 夏へ急ぐ空 おだやかに翳り このまま二人ずっと漕いでゆきたいの いつしか今日の日も想い出に 少しずつかわる 今 大事なのは前をゆくあなたが 綺麗なシルエットになっていること 向かい風そっと ほほつねってみて 愛し始めた気持 まぼろしかどうか いつしか 今日の日も想い出に 少しずつかわる すみれ色のまま夕暮れを止めて 流れる雲のように丘へ上ぼるまで ひととき神様 息をかけないでね 素敵な光ほど移ろうのだから |
まぶしい草野球松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | | 風の外野席 手のひらかざして 青い背番号 たしかめてみる エラーの名手に届けるランチは クローバーの上 ころがしたまま まだ季節浅く 逆もどりの天気もあるわ やっと気づいてくれた その心の行方のように 寝坊できる休みの日にも なぜあわててとんでゆくの そんなに夢中にさせるもの のぞいてみたい ちょっと高いフライ 雲に溶けてボールが消えた 今日はじめて見た あなたがまぶしい草野球 ちょっと高いフライ 雲に溶けてボールが消えた 今日はじめて見た あなたがまぶしい草野球 |
サンド キャッスル松任谷由実 | 松任谷由実 | Yumi Matsutoya | Yumi Matsutoya | | ひとりで出かけた砂浜で キャッスル作った午前中 もうすぐ満ちて来る潮に 崩れ去るのを待ってる さよなら さよなら 長い恋 陽差しが翳った遊歩道 季節が戻ってまだ寒い ナイロンのコートのすそが そよ風に泣いているわ ごめんね ごめんね つらい恋 世界で一番 幸せと信じてた もういつだってゴールインねと からかわれてた 砂のお城に住んでた プリンセスとプリンスね Somebody to kiss, Somebody to hug, Somebody to love くるくる散ってたプラタナス 気取って歩いた うでをくみ どこまでも続くみたいに アーチが流れていった さよなら さよなら 長い恋 いつか近くに寄せて来ていた波が 心の中の足あとさえも さらってゆくの 誰もがうらやむような 二人になれなかったね Somebody to kiss, Somebody to hug, Somebody to love 波のフレアー 白いレースの泡に こわさ知らずなきらめく日々が 崩れてゆくわ 砂のお城に住んでた プリンセスとプリンスね Somebody to kiss, Somebody to hug, Somebody to love 誰もがうらやむような 二人になれなかったね Somebody to kiss, Somebody to hug, Somebody to love |
潮風にちぎれて松任谷由実 | 松任谷由実 | 荒井由実 | 荒井由実 | Masataka Matsutoya | 泳ぐにはまだはやい よせ来る波 くるぶしまで あなたの好きな このサンダル なぜはいてきたんだろう 砂浜にうちよせた 木ぎれひろい 沖へ投げた あなたと歩いた年月を けちらしてみたかった なぜ泣けないのかな ひどく淋しいのに 吹きすさぶ潮風に あなたは息を止めていた かわいい彼女のこと これから自由に愛しなさいよ 国道に止まってる 小さな車 指さして うそでも わたしは背をむける 恋人が待ってると 今ふりむいたらなら 心くじけるから 吹きすさぶ潮風に わたしは まぶた閉じていた あなたと来なくたって わたしはもとから この海が好き |
ランチタイムが終わる頃松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷正隆 | 会えるはずのないあなたの姿も 見つけられそうに混んだレストラン みじめなうわさが届かないように 気の早い半袖で来てみた 手紙も出せぬほど忙しいのよ 話しかけられて微笑みかえす ほら チャイムを鳴らし コーヒー冷まし もうすぐランチタイムが終わる 日向で語らう人々は急ぎ また白いビルに吸い込まれる 私と鳩だけ舗道に残って 葉裏のそよぎをながめていた かすかに響いて来る地下鉄に乗り はやびけをしたい そんな午後です ほら チャイムを鳴らし 背中をたたき もうすぐランチタイムが終わる チャイムを鳴らし 背中をたたき もうすぐランチタイムが終わる |
ベルベット・イースター松任谷由実 | 松任谷由実 | 荒井由実 | 荒井由実 | 荒井由実・キャラメル・ママ | ベルベット・イースター 小雨の朝 光るしずく 窓にいっぱい ベルベット・イースター むかえに来て まだ眠いけどドアをたたいて 空がとってもひくい 天使が降りて来そうなほど いちばん好きな季節 いつもと違う日曜日なの ベルベット・イースター きのう買った 白い帽子 花でかざり ベルベット・イースター むかしママが好きだった ブーツはいていこう 空がとってもひくい 天使が降りて来そうなほど いちばん好きな季節 いつもとちがう日曜日なの ラー、ララララ……… |
経る時松任谷由実 | 松任谷由実 | YUMI MATSUTOYA | YUMI MATSUTOYA | 松任谷正隆 | 窓際では老夫婦が ふくらみだした蕾をながめてる 薄日の射す枯木立が 桜並木であるのを誰もが忘れていても 何も云わず やがて花は咲き誇り かなわぬ想いを散らし 季節はゆく 二度と来ない人のことを ずっと待ってる気がするティールーム 水路に散る桜を見に さびれたこのホテルまで 真夏の影 深緑に ペンキの剥げたボートを浸し 秋の夕日細く長く カラスの群れはぼんやり スモッグの中に溶ける どこから来て どこへ行くの あんなに強く愛した気持も憎んだことも 今は昔 四月ごとに同じ席は うす紅の砂時計の底になる 空から降る時が見える さびれたこのホテルから |
春よ、来い松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷正隆 | 淡き光立つ 俄雨 いとし面影の沈丁花 溢るる涙の蕾から ひとつ ひとつ香り始める それは それは 空を越えて やがて やがて 迎えに来る 春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに 愛をくれし君の なつかしき声がする 君に預けし 我が心は 今でも返事を待っています どれほど月日が流れても ずっと ずっと待っています それは それは 明日を越えて いつか いつか きっと届く 春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき 夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く 夢よ 浅き夢よ 私はここにいます 君を想いながら ひとり歩いています 流るる雨のごとく 流るる花のごとく 春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに 愛をくれし君の なつかしき声がする 春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき 夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く |