キミと見たい未来はあっけなくどっかへ消えて行った…。

枯れた心、やせ細る情熱に
潤い与えるキミは僕の希望さ
導かれるよう出会い恋に落ちてった二人
風もヒューヒューヒュー
時にはけんかしたり 仲直りして
朝日昇るまで求め合ったりしてさ
日々重ねていく意味...
キミ以外(しか)知らない僕がそこにいて
僕以外(しか)知らないキミがここにいる

キミの手を握りしめて
もう僕の手を離さないで
僕らもしも...『「病める時も健やかなる時も」』
僕ら二人で歩いて行こう
「Y」/C&K


 CLIEVYとKEENからなる男性2人組ボーカルユニット“C&K”が、2017年6月7日に15枚目のシングルとなる『Y』をリリースします。すでに、いち早くこのタイトル曲を聴くことができるリリックビデオが公開されておりますが、歌ネットでも歌詞の先行公開がスタート!また、「Y」は1年間以上ライブで歌い続けられている楽曲で、ファンの方々から「泣ける」という声も多数…。彼ら史上最強のバラードとなっているんです。
 
 さて、冒頭では歌の幕開けのフレーズをご紹介しました。最愛の人との出逢いから、一緒に過ごす日々の尊さまでを描いたあたたかな歌詞…。この部分だけを読んでみると、ウェディングソングにぴったりな歌詞に感じますよね。“キミと僕”は<『「病める時も健やかなる時も」』 僕ら二人で歩いて行こう>と挙式での誓いの言葉のような想いを抱き合っています。しかし、こんなにも幸せに満ちているからこそ、ここからの物語展開にギュッと胸が締め付けられるのです…。

幸せの絶頂に訪れた絶望
キミと見たい未来はあっけなくどっかへ消えて行った。
切り取ったメモと猫とぽっかりと穴の空いた心に風が
ひゅーひゅーひゅー
休みは料理したり 映画見たり
他愛のない話 じゃれあったりしてさ
年重ねてく意味...
キミ以外(しか)知らない僕がここにいて
僕だけ知らないキミがそこにいた。

キミは手を離して
僕の目の前からいなくなった。
あぁ 今も僕の手の中にキミのぬくもりが
ココにずっと残ってる
「Y」/C&K

 幸せの絶頂に一体、何があったのでしょうか。おそらく二人とも、いつか結婚して<休みは料理したり 映画見たり 他愛のない話 じゃれあったりして>一緒に年を重ねていく未来を夢見ていたはず。しかし<キミ以外(しか)知らない僕がここに>いることは揺るぎないのに対して、突然<僕だけ知らないキミ>の一面が生じたのです。そして、ついに彼女は置き手紙のような“メモ”と“猫”だけを残して、彼の目の前からいなくなってしまったのでしょう…。

突然泣き出したキミの涙の意味を
僕は気づきもせずに知ろうともしなかった。
キミとの約束を果たすことのできぬまま
時は去る

キミの手は細くなって
僕の手を握り返す
キミは笑い 何かいいかけて
そっと目を閉じた

キミの手を握りしめて
もう僕の手を離さないで
僕らもしもまたいつか巡り会えたら
また二人で歩いてゆこう
僕ら二人で歩いて行こう また二人で歩いて行こう
「Y」/C&K

 歌はこのように幕を閉じてゆきます。想像ですが、なんとなく、彼女が彼に何も知らせないまま姿を消した理由がわかるような気がしませんか? あの時は<突然泣き出したキミの涙の意味>を<気づきもせずに知ろうともしなかった>僕ですが、実は少し経ってから彼女に再会し、事実を知ったのでしょう。その再会の場は“病室”だったのではないでしょうか…。細くなった手で、彼の手を再び握り返す彼女。彼女はきっと死が目の前にあるような重い病気のために、彼のもとを離れたのです。
 
 ちなみに先ほど歌詞の中に“猫”というワードが登場しましたが、よく「猫は死期が近づくと、大切な人のもとから姿を消す」と言われております。その理由は諸説ありますが、自分が弱ってゆくところを大切な人にこそ見せたくないからという想いもあるんだとか。もしかしたら、そんな気持ちが彼女にもあったのかもしれません。ただし、最期の最期に<僕の手を握り返す>ことができたことは、たとえ別れてしまうとしても二人にとって大きな救いになったことでしょう。

 また、「Y」というタイトルにはどのような意味が込められているのでしょうか。“プリンセス プリンセス”の「M」のように、大切な人の名前の頭文字だとも考えられますし、“Yの字の道”とも考えられそうですね。そして後者なら、これから一本道が二つの道に分かれてしまうのではなく、<またいつか巡り会えた>そのときに、別々だった二つの道が一つの道になるんだと考えたくなります。哀しいけれど、それ以上に深い愛に溢れた1曲。是非、大切な人の顔を思い浮かべながら、じっくりと聴いてみてください。

◆紹介曲「Y
作詞:CLIEVY
作曲:CLIEVY・栗本修