まだ僕も泣いていないのに
自分より 悲しむから
つらいのがどっちか わからなくなるよ
ガラクタだったはずの今日が
ふたりなら 宝物になる
「ひまわりの約束」/秦基博
9月にはさまざまな記念日が存在しますが、とくに忘れてはならない(?)のは“ドラえもん”のお誕生日!ドラえもんは、西暦2112年9月3日に生まれたとされているんです。TVアニメのみならず、たくさんの映画作品も公開されてきましたよね。そして、主題歌の中でもっとも印象が強いのはやっぱりこの「ひまわりの約束」でしょう。8月のDAMカラオケ総合ランキングでも今だ第3位!今作は、2014年に公開された『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌。昨年“秦基博”さんにインタビューした際、この曲について尋ねるとこんなことを語ってくださいました。
「まず、主題歌を担当することが決まったとき“ドラえもんとのび太”の関係を改めて考えてみたんです。(中略) ドラえもんは自分の存在意義を、のび太の中に見出している部分もあるのかもしれないと思ったんです。のび太が一方的に助けられているわけではなくて、ドラえもんもまた、のび太に救われているんだなぁって。」
「そんなふたりの“距離感”をどうやって歌詞で表現することができるんだろうって考えたときに、最初の“どうして君が泣くの まだ僕も泣いていないのに”というフレーズが出てきたんです。悲しんでいる相手より先に泣いちゃうって、ただ同情しているなんてことじゃなくて、もう同じ体験として捉えているんですよね。それくらい“想い”を共有できる関係性ってなかなか無いけど…でも「きっとある」とも思いました。」
…お互いにすべてを同じ体験として捉えてしまうほど“ふたりでひとつ”のかけがえない関係。秦さんは、ドラえもんとのび太の関係をこのように描いたのです。そしてこの“僕”はどちらかというと“ドラえもん”の目線のようですね。では、これまで映画と同じ数だけ様々な主題歌が誕生してきましたが、その歌詞では何が表現されてきたのでしょうか。今日のうたコラムでは、さらに何曲かをピックアップしてみます!
360°どこでも行けるさ
わき起こる感情 自由を手にして change my life
ねえ気づいて あなたは特別な存在なんだよ
手と手と手と手 世界は輝いてる!
さあドアを開けて 息をすいこんで
準備はOK? 飛び出してみよう
勇気をあつめて やさしさ溶かして
空のキャンバス 夢を描こうよ
「360°」/miwa
(2015年 映画『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』主題歌)
ひとりに怯え 迷った時 心の奥 灯りに気付く
そうかあなたは こんなに側に
どんな暗闇だろうと 飛んでいける
今 私が泣いていても あなたの記憶の中では
どうかあなたと 同じ笑顔で きっと思い出してね
「友達の唄」/BUMP OF CHICKEN
(2011年 映画『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』主題歌)
たまにしかってくれた
たまに笑わせてくれた
離れても遠くから 心の瞳(め)で見てくれてた 今も…
あなたがそこに生きてるだけで
それだけで 私も生きられる
いつか私も1人で立てるようになるかな
「大切にするよ」/柴咲コウ
(2009年 『ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』主題歌)
miwaの「360°」からはなんとなく“どこでもドア”がイメージできますね!この曲はドラえもんからの『あなたは自由なんだよ!どこにだって行けるんだよ!』という前向きなメッセージが感じられます。一方、BUMP OF CHICKENの「友達の唄」は、ストーリー内の“リルル”という登場人物の視点からのび太を描いて作詞された楽曲だそうです。リルルはのび太の<怖がりで優しい>面も<どんな暗闇だろうと 飛んでいける>強さも、友達としてとても尊敬し、大切に思っていたことがわかります。
そして柴咲コウの「大切にするよ」は、“のび太”から“ドラえもん”への想いであるような気がします。ドラえもんは、のび太にとって、叱ってくれたり、笑わせてくれたりする頼りがいのある存在。だけどいつか便利な道具に頼らず自立する強さも欲しい。そんな気持ちが込められているのではないでしょうか。曲によって、さまざまな目線からのいろんな感情が描かれているのが面白いですねぇ。2017年春には新作映画『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』が公開となるようですが、一体どんな主題歌が生まれるのでしょうか…!詳細発表が楽しみです。