聴いているうちに混乱してゆく…。クリープハイプ「鬼」に注目!

あなたはもしかしたら
存在しなかったのかもしれない
あなたという形をとって
何か素敵な気がすうっと流れただけで
わたしもほんとうは
存在していないのかもしれない
何か在りげに息などしてはいるけども
「存在」/茨木のり子

 作家・茨木のり子さんの詩集『歳月』から「存在」という作品をご紹介いたしました。みなさんは自分の“存在”とはどういうものだと思いますか?うまく言葉で説明できますか?社会の中では、顔、名前、住所、電話番号、などで身分を証明しますよね。しかしその情報がすべて何者かによって乗っ取られてしまったら、あなたは、あなたがあなたであることをどのように証明しますか…?
 
 現在、日本テレビにて日曜22時半から放送されている、藤原竜也主演ドラマ『そして、誰もいなくなった』は、まさにそんな“自分という存在”について考えさせられる作品です。イケメンで優秀で、周囲の人間にも恵まれていたはずの主人公・藤堂新一(藤原竜也)が、ある日突然ニセモノに“人生を丸ごと乗っ取られ”順風満帆な毎日が一転。一体、誰が、何のために…。そして、自分の名前すら名乗れなくなってしまった彼の行く末は…?

あぁもう疲れきって玄関開けたら
束の間の休息 津田沼の六畳間で
愛しいあの子 つまりは未来の妻
キスからのお帰りって言って 
優しく微笑んでご飯にする?
お風呂にする? それともアレ?
あれ?誰?あなたは誰?
ってお前馬鹿か

俺だよあれ、コレ誰? 
それならコレ、誰?俺?誰?
駄目だよ それ、コレ駄目 
それならコレ、誰?駄目?誰?

もういいかい もういいよ ここだよ
もうずっと ここにいるよ
もういいかい もういいよ ここだよ
もうずっと ここにいるよ
ねぇねぇ 早く見つけてよ
ねぇねぇ 早く捕まえて
ねぇねぇ ずっと離さないで
ねぇ 手の鳴る方へ
「鬼」/クリープハイプ

 そんな最高に最悪な本格サスペンスドラマの主題歌は、クリープハイプの「鬼」です。「あなたは誰?」そう聞かれて「俺だよ!」とヤケになって説明しているうちに、だんだん自分でも自分が何者なのかわからなくなっていくような歌詞となっております。この楽曲の“俺”の声は、『そして、誰もいなくなった』主人公・藤堂新一の混乱や叫びにもピッタリ重なりますね…!尚、この曲のラストはこのように幕を閉じます。

鬼が来る 鬼が近づいてくる
見つけたって声がして
君の手が優しく肩に触れる
「鬼」/クリープハイプ

 普通は“鬼”から逃げるものですが、ずっと<早く見つけてよ><早く捕まえて>と自ら“鬼”に呼びかけていた彼。そんな彼にとっての“鬼”とは、「君」の正体とは、一体、誰なのでしょうか。この歌詞に込められたそんな謎も、ドラマの真相に繋がっていそうです。味方ゼロ、信頼していた仲間の裏切り、登場人物が全員容疑者という『そして、誰もいなくなった』の今後の展開から目が離せません。そしてクリープハイプの「鬼」もますます人気が上昇していきそうな予感…!

◆ニューシングル「鬼」
2016年8月10日発売
初回限定盤【CD+DVD】 UMCK-9857 ¥1,800(税抜)
通常盤【CDのみ】 UMCK-5607 ¥1,200(税抜)

<収録曲>
1.鬼
2.炭、酸々
3.買いもの