ニューシングルまだまだ人気上昇中!“文字ビジュアル”にこだわった歌詞とは?

一寸女盛りを如何しやう
この侭ぢやまだ終れない
花盛り色盛り真盛りまだ
「長く短い祭」

 椎名林檎が8月5日にリリースした両A面シングル「長く短い祭/神様、仏様」が発売後も尚、人気を伸ばしております。リリース直後からオリコンデイリー2位に登場。とくに浮雲(東京事変)とのデュエット曲「長く短い祭」は“コカ・コーラ”2015年サマーキャンペーンCMソングとして好評を博していましたが、Mステや夏フェスで披露されたことでさらに話題に!歌ネットでも歌詞が連日上位にランクインしております。

 この「長く短い祭」、サウンドのみならず、歌詞にもかなり“林檎節”が効いていて<まして若さはあつちう間><思へば遠くへ来たものだ><愈々宴も酣、本番です>といった旧仮名遣いが魅力的。椎名林檎はわりと昔からこのような手法を使っていますが、改めて、先日出演された朝番組『ZIP!』にて「親として女として大和心を残していきたい」というこだわりを語っていたのを拝見しました。また、彼女はよくインタビューで「歌詞はデザインとしか考えてない」といったコメントをしておりますが、その“文字ビジュアル”が本当に美しい!

気高いあなたもこの大自然の一端ね
わたしに見せてよ今尚未開拓の根源
生きているあなたいのちは無色透明
「いろはにほへと」

こんなとこなのか知らんこの人生
いったい何から制限されているの
いいや!最初から自由そのものさ
たった今この瞬間をつかまえたい
わたしたちは何時も‥行ったきり
「人生は思い通り」

ああ打ち勝つさ 焦燥を呑込め
先き立った頭よ 間違える勿れ
斃る日に 丁度 終わるように
いまは何ひとつ 諦められない
「逆さに数えて」

 「長く短い祭」をはじめ、フレーズの一つ一つが綺麗な長方形に収まるようになっている楽曲が多いんです。さらに、椎名林檎のアルバムや、すでに解散してしまいましたが椎名がボーカルを務める東京事変のアルバム収録曲タイトルも、すべて文字数が揃えられていたり、中心から対称に見えるよう構成されていたりします。歌詞も曲名も、ひらがな、カタカナ、漢字、英語の並びが隅々まで考え抜かれた芸術作品!ちなみに、前述した「ZIP!」ではそんな椎名林檎が歌詞において大きな影響を受けたアーティストとして、エレファントカシマシの宮本浩次を挙げておりました。

“悲しみの果てに 何があるかなんて
俺は知らない 見たこともない
ただ あなたの顔が
浮かんで消えるだろう”
「悲しみの果て」/エレファントカシマシ

 高校時代、日本語のポップスをあまり好まなかった彼女は、日本語で歌詞を書くということにとても抵抗があったのだとか。しかし「全部、平易な言葉で、誰でも聴きとれる言葉で」ストレートな歌詞を力強く歌い上げる宮本により、それまで「だっせぇ日本語のポップス」と思っていたものが覆されたそうなんです。それが大きなきっかけになって、今の彼女の歌詞に辿り着いたんですねぇ。是非、椎名林檎の歌詞も、エレファントカシマシの歌詞も、楽曲を聴きながらじっくり味わってみてください!