ふたりでつくった小さな巻物。

 2024年3月6日に“ゆいにしお”がMajor 2nd Full Album『weekday』をリリースしました。今作には全11曲が収録。“仕事をして過ごす日々=weekday”を過ごす中での葛藤や困難を受け入れて、「自分の時間をもっと大切にしよう、人生を楽しもう」という気持ちにさせてくれる1枚。また、今作で初タッグを組むアレンジャーも多数参加しており、新しく聞きごたえのある楽曲となっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“ゆいにしお”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、収録曲「BFF」にまつわるお話です。ゆいにしおにとって大切な友だちとの記憶とは…。今回は音声版もございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください!


ゆいにしおの朗読を聞く

小学校のころ、仲良しの女の子がいた。
彼女と仲良くなるきっかけは、マンガを一緒に作ったこと。
マンガといっても、ネームを書いてペン入れして、みたいなちゃんとしたのではない。プリントを細長く裂いて、それを繋げて小さな巻物みたいにしたものに、鉛筆で交互に描き合って話を作っていく。
それをマンガと読んで、授業の間にある休みのたびに連載していた。
 
マンガの内容は、カービィとオリジナルキャラクターを登場させた日常マンガだった。とくに起伏やオチもつけず、わたしたちはずーっと飽きずに続けた。小さな分厚い巻物はどんどん増え、いつしか、それはお道具箱や筆箱にパンパンに詰まっていた。
絵や物語を描いて、お互いを見せ合うことが、わたしたちにとっての雑談だったのかもしれない。
 
わたしにとって小学校は、居心地の悪い場所だった。小学校に行くのは本当に苦痛でしかなかった。
だけど、彼女と物語を作ることで、物語のなかに自分をかくまうことができた。ふたりでつくった小さな巻物がわたしのお守りであり、シェルターだった。
そうしてどうにか、小学校を卒業できた。あの物語がなければ、小学校時代はもっと辛いものになっていたと思う。
 
中学が離れ離れになってから、なかなか会う機会はなくなってしまった。親から様子をちらちらと聞く程度。
だけど、彼女はこの間ライブに来てくれた。久しぶりの再会だったけど、背丈すらもほとんど変わらない姿にすごく安心した。
彼女が差し入れしてくれたのは「スパイシーカレーせんべい」。何年もしゃべってないのに、わたしのことを考えてくれたことがわかるセレクトで、とっても嬉しかった。わたしはカレーが大好きなのだ。
 
BFFの<ステージ変わったとしても会ったとたん昔のように>という歌詞が沁み入った瞬間だった。
 
<ゆいにしお>



◆紹介曲「BFF
作詞:ゆいにしお
作曲:ゆいにしお

◆Major 2nd Full Album『weekday』
2024年3月6日発売

<収録曲>
1.TWO HANDS
2.yyyymmdd
3.routine life
4.さくら
5.アイシャドウ
6.おいしい温度
7.帰り道ランウェイ
8.me&cat
9.morning walk
10.BFF
11.routine life (English Ver.)