円環の物語

 2024年2月28日に“saji”が3rd Digital Full Album『カルト』をリリースしました。タイトルはフランス語で”地図”の意。今作には新録を含む全10曲を収録。これまでの軌跡を辿る<宝の地図>であり、コロナ禍を経てsajiは今ここからが<冒険の始まり-スタート->といった決意表明の1枚となっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“saji”のヨシダタクミによる歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回が最終回。綴っていただいたのは、収録曲「Circle」にまつわるお話です。愛や恋という言葉を嫌い、永遠という言葉に憧れた10代の頃。あれから経験や月日を重ねた今、描いた“愛のカタチ”とは…。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



10代の頃はそれなりに思春期を送ってきて、
愛や恋だといった言葉が嫌いだった。
それらを疑っていた訳じゃない。
言葉にすることですべてを陳腐に感じてしまったのだ。
 
その反面、
永遠という言葉に強い憧れを感じ、
今じゃ恥ずかしくてとても言えないような
言葉も平気で口に出来た。
若さとは恥ずかしいものだと大人は言うが、
それが素晴らしいものであったと気付く。
 
10代の頃から音楽という仕事を始め、
これまで100曲以上書いてきた。
自分ではブレていないつもりだが、
大人になるにつれて書けるようになった
物語も沢山ある。
 
その中の一つとして愛がある。
恋愛ごっこではない、
掛け値なしの愛情
というもの。
 
高校生の頃に僕は 
ナンバーコール」という曲を
書いたことがある。
それは子供から見た
親の愛のカタチをテーマにした歌で、
いつか僕が親になった時、
その時初めてあなた方の深い愛情に気付くのでしょう。という歌。
 
そこから時間を経て、
今回「Circle」という新曲を書いた。
これは元々は他の人への楽曲提供用に書いたうちの一曲で
自分で歌う予定ではなかった。
 
たまたま先方のオーダーで僕バージョンの
仮歌を録る必要があり、
ラフで歌ってみた所
<今のタイミングだったら自分で歌ってみても良いかもしれない。>
そう感じ、
急きょsajiの作品として
収録することになったという経緯がある。
 
なので敢えて歌詞も殆ど直しておらず、
親から子へ向けた目線の愛の歌となっている。
 
本来僕が歌うとすれば、
「ナンバーコール」のように逆の目線で歌詞を書いていただろう。
でもそうはしなかった。
 
僕と共に同じ時間を生きてきたファンやリスナーにとって、
愛のカタチもまた
与えられる側から与える側のフェーズに移行していると思ったからだ。
 
sajiのファンは10代も多いので、
まだ言葉の意味が分からない人も当然多く居るだろう。
 
それでも、僕らという存在が
共に過ごした時間の中でどう変わっていったのかも知ってほしくて、
「Circle」という曲を歌った。
愛は繋いでいくものだから。
 
ありふれた言葉を送ろう。
どうか、幸せに。
 
<saji・ヨシダタクミ>



◆紹介曲「Circle
作詞:ヨシダタクミ
作曲:ヨシダタクミ

◆3rd Digital Full Album『カルト』
2024年2月28日発売
 
<収録曲>
01. 感脳性リベレーション
02. 並いる敵蹴散らし侍
03. Magic Writer
04. エチカ
05. 月とワルツ
06. スターチス
07. フラッシュバック
08. EVERY DANCE SING
09. Live in Peace
10. Circle