残された人生の中で、あと何曲作り、残せるのだろう。

 2023年11月15日に“odol”がNew Album『DISTANCES』をリリース! 今作は、JR東海『会うって、特別だったんだ。』TVCMソング「望み」をはじめとする2021年11月以降にリリースされた6曲に、未発表の新曲を6曲加えた全12曲を収録。また、来春にはアナログレコードでリリースすることも予定されております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“odol”のミゾベリョウによる歌詞エッセイを2週連続でお届け! 今回は第1弾。綴っていただいたのは、自身の歌詞に対する想い、向き合い方のお話です。何のために歌詞を書き続けているのか。そして今作を放つ今の気持ちは…。



歌詞を書くのは難しい。
楽曲のアレンジやメロディができあがってから歌詞を書いていくのが僕のスタイル。そもそも僕のバンドには、作詞をする僕の他に作曲をするメンバーが居て、最終的には彼と一緒にメロディと歌詞をブラッシュアップします。
 
彼が作る曲の断片や、そのデモに入った音色なんかを頼りに歌詞を書いていくことが多いのですが、他人の書いた曲に言葉を乗せる以上、どんな理由でその言葉を歌おうと思ったのかを説明できる必要があると思っています。
 
深く自分の心の奥へ潜っていき、向き合う作業は多くの場合すごく苦しい作業。思っていることや感じたことをわざわざ歌にして、それを録音してこの世の中へ向けて発表するのであれば、大層な理由が必要な気がするし、生半可なものなど作れないとも感じてしまいます。
 
何日も粘って考えたところで、書いては消してを繰り返した結果一文字も残らないことも多くあります。メロディができあがって一ヶ月以上の時間があっても、レコーディングの日まで完成しないということがほとんどです。
もっと肩の力を抜いて書いてみればと言われることもありますが、それもまた難しいものですね。
 
毎回毎回“なんとかできた、次はもう作れないかも”の繰り返しです。それらが12個集まって、今年ひとつのアルバムが完成しました。
 
最初に作った曲の歌詞を書いていたのはもう2年以上も前のこと。世の中の状況もいろいろと変わったように思うし、自分の心境が変わってきている部分もあって、自分の曲なのに改めて聴いてみると発見があったりもします。
 
そうやって悩みながら作った曲たち、定型文のような感じもしますが色々な場所で聴いてくださいと発言するたび、その気持ちに嘘はないと確信します。
 
残された人生の中で、あと何曲作り、残せるのだろう。今回の楽曲を聴いてくれた人たちの反応を見るたび、聞くたび、また新しい曲を作ろうという気持ちが湧いてきます。
やっぱり僕は誰かに聴かせるために歌詞を書いていたんですね。簡単に書けはしないけど。
 
<odol・ミゾベリョウ>


 
◆New Album『DISTANCES』
2023年11月15日発売
 
<収録曲>
01. 望み
02. 幸せ?
03. 本当の顔
04. 今日も僕らは忙しい
05. reverie
06. 君を思い出してしまうよ
07. 遠い街
08. 泳ぎだしたら
09. 幽霊
10. 三月
11. Distances
12. 時間と距離と僕らの旅 (Rearrange)